愛犬とお出かけできる場所の増加や室内飼いが当たり前になったことで、飼い主さんに求められるしつけの質は高くなってきています。
「迷惑をかけないように」と頑張るものの、思うようにしつけが上手く行かず、苛立ったり落ち込んだりすることがあるかもしれません。
でも、愛犬のしつけを行う前に飼い主さんに知ってほしい心構えがあります。
心構えを知ることで、愛犬の気持ちに寄り添ったり、問題を解決するヒントを得ることができるかもしれません。
<目次>
しつけ前に知りたい飼い主の心構え①「何もしていない時ほど褒める」

犬が困った行動や止めてほしい行動をしたときだけ、叱っていませんか?
つい私たちは、愛犬が吠えたり困った行動をしたときだけ注目して叱り、静かに穏やかに過ごしているときは「当たり前」として見過ごし褒めることがありません。
愛犬が落ち着いている時や困った行動をしていない時こそ「いい子だね」と声をかけて褒めてあげましょう。
のんびり落ち着いている時間を褒めてあげることで、犬は「この状態はいいことなんだ」「落ち着いた状態が正解なんだ」と学習してくれます。
止めてほしい行動を止めることも大切ですが、やってほしい行動を褒めて強化することも大切です。
愛犬が静かにのんびり過ごしているときにこそ、褒めてあげましょう。
しつけ前に知りたい飼い主の心構え②「犬ではなく飼い主の行動や環境を変えてみる」

「家具をかじる」「トイレじゃない場所で排泄する」など犬と一緒に暮らすうえで困ったことが起きると、犬の行動を変えようとすることが多いですね。
もちろんそれもしつけをするうえで重要ですが、犬の自身を変えるよりも飼い主さんの行動や環境を変えた方が早く解決することもあります。
▼犬を変える前に飼い主さんの行動や環境を見直そう
【トイレ以外で排泄する】
・犬がよく排泄する場所にトイレを設置する
・ペットシーツと間違えやすいクッションやマットは床に置かない
【排泄の時にトイレトレーからはみ出す】
・トイレを広めに設置する
・トレーではなく柵でトイレを囲う
【家具をかじる】
・家具を別の部屋に移動させる
・かじれない形状(足なしなど)の家具を選ぶ
【ゴミ箱を漁る】
・犬の行動範囲にゴミ箱を置かない
・蓋やロック付きのゴミ箱に変える
・ゴミ箱はロック付きゲートのある場所に置く
いろんな「ダメ」が増えると、犬はどの行動を取るのが正しいのかわからず混乱します。
犬のしつけをするときに大切なのは、犬が困りごとやイタズラをする機会を作らないことです。
犬が困りごとをしたときは、犬ではなく自分の行動や環境を変えられないかなと考えてみましょう。
しつけ前に知りたい飼い主の心構え③「散歩・運動・遊びの時間を見直す」

しつけをする前に、その犬種に適切な散歩や運動、遊びの時間が取れているかを見直しましょう。
運動量が多い犬種が十分に体を動かす時間が取れなかったり、散歩時間が短いと、ストレスが溜まり「吠やすい」「物を壊す」「攻撃的になる」といった問題行動を起こしやすくなります。
こういった精神状態は、興奮しやすかったり集中しにくいので、しつけをしようとしても上手くいきません。
また、飼い主さんとのコミュニケーションの時間や遊びの時間が少ないのも、刺激不足でストレスが溜まりやすくなります。
愛犬にしつけをするときには、運動時間や散歩時間、遊びの時間も適切に取れているか見直しましょう。
しつけ前に知りたい飼い主の心構え④「しつけ本を読めば上手くいくわけではない」

愛犬にしつけをしようとする時に、しつけ本を参考にする方も多いと思います。
本を参考にして解決する方も、もちろんいらっしゃると思いますが、しつけ本を読めば愛犬の問題が解決するかというとそうではありません。
理由は4つあります。
▼しつけ本を読んでも解決しないのはなぜ?
①「そのしつけ方法が愛犬に合っていない」
②「飼い主さんの問題認識がずれている可能性がある」
③「載っているしつけの方法が古い」
④「犬を擬人化している」
①「そのしつけ方法が愛犬に合っていない」
人と同じように犬も色々な性格の犬がいます。
よくしつけ本には「犬を褒めよう」と書いてありますが、臆病な性格の犬は大げさに褒められると怯えて萎縮してしまいますし、興奮しやすい犬は高い声で褒められることで気持ちが高ぶってしまい、落ち着いて行動できなくなってしまいます。
同じしつけ方法でも犬種や性格によって、合わないこともあるので、しつけ本を読めば上手くしつけられるとは限りません。
②「飼い主さんの問題認識がずれている可能性がある」
例えば、急に吠えて噛んでくる犬がいるとします。
犬の気持ちが「遊ぼうよ」というお誘いの噛みつきと吠えだったとしても、飼い主さんが攻撃行動だと認識してしまうと、噛まないためのしつけを行います。
でも犬の「遊びたかった」という気持ちと「どう遊びに誘えばいいの?」という疑問は満たされません。
そのため「別の物を噛んだらかまってくれるかも」など別の問題行動に変わってしまう可能性があります。
飼い主さんの問題認識がずれていると、根本的な解決ができず、しつけ本を読んでも解決することができません。
③「載っているしつけの方法が古い」
「犬と人は上下関係が大事」「言う事を聞かないのは犬の方が偉いと思っているから」「悪いことをしたら叩く」など動物行動学や動物福祉、動物愛護に反することを書いてあるしつけ本もまだ存在します。
一昔前は効果的と考えられていたしつけも、現在では効果がないだけではなく、信頼関係を崩壊させたり問題行動を悪化させるとして、推奨されていないことがあります。
「最新の方法=良い」というわけではありませんが、書いてある方法が本当に適切なのかはきちんと調べるようにしましょう。
④「犬を擬人化している」
一緒に暮らしていると、つい犬を人のように扱って「これくらいわかるでしょ」と考えてしまうかもしれません。
でも、犬は人とは違う生き物です。
例えば犬は「般化」が苦手です。
▼般化とは?
ひとつのスキルを覚えた後に人や状況が変わっても、覚えたスキルができること
(例:家のドライヤーと旅館のドライヤーが違っても同じ物と認識でき、使い方がわかる)
そのため「昨日は右手で指さしたけど、今日は左手で指さした」という状況だと犬は同じと認識できず、混乱してしまいます。
同じく「今日はしつけをする人が違う」「今日はしつけをする部屋が違う」など、人からすると些細すぎて気づかない事でも、犬からしたら大きな違いでしつけがうまくいっていない可能性があります。
犬は人とは違う生き物ということを知ったうえで、しつけをしないと、しつけ本を読んでもうまくいきません。

しつけの前に飼い主さんに知ってほしい心構えを4つご紹介しました。
一昔前に比べて飼い主さんに求められるしつけのレベルは高くなりましたが、それが犬と飼い主さんを追いつめるものであってはなりません。
心構えを知ることで犬に対する向き合い方は変わるので、今回ご紹介した内容をしつけの参考にしてみてくださいね。
<参考書籍>
こころのワクチン 村田香織 (著)
ドッグ・トレーナーに必要な「子犬レッスン」テクニック ヴィベケ リーセ (著), 藤田 りか子
<画像元>
canva
・(元)認定動物看護師
・一般社団法人日本小動物獣医師会 動物診療助手
やんちゃなミックス犬とおっとりトイプードルと暮らす。
大学在学中に「病気になる前の予防が一番大事」と気づき、
ペットフードやペットサプリメントの会社に就職。
「食」に関するさまざまな知識を身につける。
愛犬を亡くしたときに
「もっと色んな情報を知っておけば」と感じた後悔を
「他の飼い主さんにはさせたくない」との思いから、
ライター活動を開始。
「勉強になった・信頼・わかりやすい」を目標に情報を発信しています。
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