春は、犬にとっても花粉症やノミ・ダニの予防、狂犬病予防接種など、多くの行事が盛り沢山です。
でも散歩に関して言えば、『春の芽吹き』なんていう言葉があるほど、気温の上昇とともに、過ごしやすくて、散歩日和となる日が多いのではないでしょうか?
しかし、そんな愛犬との春の散歩でも、花粉症やノミ・ダニ以外に気を付けたい意外な天敵があります。
今回は、犬の意外な天敵になりやすい除草剤中毒について、主な症状や対処法を解説します。
<目次>
犬にとっての意外な天敵、除草剤の散布時期とは?

以前から、犬を迎えた飼い主さんたちにとっての除草剤や殺虫剤の位置づけというのは、「愛犬が舐めたり吸い込んだりすると危険だから、出来る限り影響のないものを」が常識だったと思います。
そのためご自身が、ご自宅のガーデニングや室内などで使用する際の除草剤や殺虫剤に関して言えば、商品の裏面に必ず記載されている成分表をしっかりと確認した上で使用すれば、そこまで心配することはないでしょう。
しかし、もしもそれがお散歩の時間だった場合はどうでしょうか?
一般的に除草剤というのは、春の芽吹きに伴って生えてくる雑草の駆除などで用いられるため、大体春頃と秋頃の2回と言われています。
ただ、除草剤などを散布する時期というのは、除草剤の種類によっても異なるようで、次のような散布時期の違いが存在します。
|
除草剤の種類 |
散布時期 |
|
顆粒タイプ |
春先(2月~3月) |
|
液体タイプ(茎葉処理剤) |
雑草が大きく成長する時期(4月~10月) |
|
土壌処理タイプ |
春先(2月~3月) |
業者さんが使用する一般的な除草剤の多くは、主に希釈液タイプのものが主流のようです。
となると、犬の散歩で犬が好んで歩んでいくことの多い公園や緑が豊富な遊歩道、街並みの景観を重視して整備された場所については、丁度春真っただ中となる4月頃には、既に散布されている可能性があります。
そのため、少なくともこの時期の愛犬との散歩については、除草剤に対する危機管理に気を付けましょう。
犬で起こる除草剤中毒で多い成分

世間には、数多くの除草剤が販売されていますよね。
それこそ、農薬取締法によって今日までに登録されている有効登録件数は、殺虫剤や殺菌剤など、農薬全体で見た時には3,903件(内有効成分数は577種類)と言われるほどです。
しかしその内除草剤だけで見た場合には、全体の38%が含まれているとあって、少なくとも農薬件数だけでも1,483件(端数切捨て)の製品で使用されているため、注意が必要です。(令和7年9月30日時点)
このような状態で、果たして犬で起こる除草剤中毒で、最も多く挙がる成分は何なのでしょうか?
犬の除草剤中毒症状を知る前に、まずはその成分を以下で確認してみましょう。
クリボサート
クリボサートとは、世界中で最も多く使用されている除草剤の主成分の一つです。
1970年代にアメリカで開発され、世界中で使用されるようになりましたが、人体や環境への悪影響が大きいことから、世界では次々と規制強化が進んでいるのだとか。
しかし、日本では農林水産省や厚生労働省で安全性が確認されていることで、逆に規制を緩和し、今も幅広く使用されている農薬のようです。
ただ、この農薬が多く使用される場所というのは、宅地や駐車場、道路、公園、運動場、鉄道など、人が植えたような植物がない場所に多く使用される薬剤とされているため、愛犬の散歩中、愛犬が知らぬ間に誤ってこれらが散布されている草などを経口摂取してしまったりすると、中毒症状が見られる危険性があります。
また、クリボサートは経口摂取だけではなく、皮膚や目からも吸収される場合があるため、注意が必要です。
パラコート
パラコートとは、主に農業で広く活用され、茎や葉に効果を発揮する除草剤の一つです。
1999年に、致死率が高く強い毒性と危険性の高さから、日本では使用が中止された成分の一つのようです。しかし、そのパラコートの低濃度製剤として開発されたパラコート・ジクワット製剤(PGL)という製品は、現在でも販売、使用されている可能性があるため、油断は禁物です。
現在も使用されているパラコート・ジクワット製剤(PGL)でも、水田や野菜畑、果樹園などで使用されることが多いようです。
水田などは愛犬の散歩道としても多く通る場所でもあるはずなので、このような場所を愛犬と散歩する際には、愛犬の様子には十分注意しましょう。
犬が除草剤を誤って摂取してしまった時の症状って?

それでは、もしご自身の愛犬が誤って除草剤を摂取してしまった時には、どんな症状が表れるのでしょうか?
一般的に農薬は、多くの場合には例え摂取しても、無毒化されて自然に体外に排泄されるものが多いため、ほとんど症状として表れることは稀だとされています。
しかし、一度に多量に摂取した(草を食べることが多いなど)場合には、以下のような症状が見られることがあります。
▼【除草剤中毒の主な症状】
・嘔吐
・下痢や血便
・食欲不振
・運動失調
・皮膚炎(皮膚に付着した場合)
除草剤中毒は、重症化してしまうと循環器系や呼吸器系、神経系などにも障害を起こし、最悪死に至ってしまう恐ろしい症状です。
また除草剤中毒は、いつどんな時に愛犬が危険に晒されてしまうか分からない点も厄介と言えます。
特に嘔吐や下痢、食欲不振、皮膚炎などは、春時期に犬も起こしやすい自律神経の乱れなどで見られる症状と似ている点も多いため、判断が付きづらい時には、早急に動物病院を受診しましょう。
愛犬が除草剤中毒かも!除草剤中毒で取る対処法とは?

愛犬がもしもご自身の知らない間に、お散歩中草をむしゃむしゃ食べていて、その後に体調を崩したといった時には、除草剤中毒を疑った方が良いかもしれません。
その上で、飼い主さんが愛犬の除草剤中毒に対して取れる対処法は、以下の通りです。
▼【飼い主さんが取れる対処法】
①状況の整理
②動物病院への連絡
③水分などを飲ませる応急処置
詳しい内容を一つずつ見ていきましょう。
状況の整理
愛犬に除草剤中毒の可能性が考えられるようなら、まずは中毒を起こす前後の愛犬の様子をしっかりと整理しましょう。
状況の整理をすることで、獣医さんに事情を話すことがスムーズに行えます。
そして、この時意識しておきたいポイントは、「どんな場面」で「どれくらいの量」を「どういった方法」で摂取したか、これを最低限整理しておけると、例え飼い主さん側で農薬成分が分かっていなくても、獣医さん側はあらかた検討を付けてくれる場合があるため、とても重要です。
愛犬が大変な時の状態では、咄嗟にそこまで頭が回らないということもあるかもしれませんが、出来るだけ覚えておくよう心掛けておきましょう。
動物病院への連絡
状況の整理が大体ついた時には、すぐに動物病院へ連絡しましょう。
愛犬の様子がおかしい時に、例えばご自身だけではなくご家族もいる状態であった時には、一人が状況の整理をし、一人が動物病院への連絡をする方が効率良く事情を伝えられるため、同時進行で行なうよう心掛けましょう。
その上で、獣医さんから応急処置の方法を伝えられた時には、それに従いつつ、なるべく負担の掛からないような態勢で、愛犬を連れて動物病院へと向かいましょう。
水分などを飲ませる応急処置
もし動物病院ですぐに受診が難しい場合には、まずは愛犬の体力をこれ以上消耗させないよう、日陰や空調の効いた部屋などに移動しましょう。
体力が消耗すると、代謝機能(無毒化する機能)も落ちてしまうため、暑ければ涼しい場所に、寒ければ暖かい場所に移動してください。その上で、愛犬に水分を飲ませて、胃に残っている除草剤成分や血中濃度などを薄めてあげてください。
その時には、犬が分解を苦手とする乳頭が含まれる牛乳を飲ませて、催吐処置に似た応急処置で対処することも可能です。
ただし除草剤の場合、成分内容によっては催吐処置が適切ではない場合も中にはあるので、事前に獣医さんに相談して、問題がないようならそれを試しましょう。
まとめ

今回は春の散歩で注意したい除草剤中毒についてご紹介しました。
飼い主さんや愛犬にとって春の散歩は、とても心地良いひと時だと思います。
しかし、この時期に多く農薬散布されている可能性が高いため、注意しながら愛犬の散歩をしてあげてください。
そして万が一愛犬が、散歩途中の草を食べて体調を崩したような場合には、その時は迷わず動物病院を受診して、診てもらってくださいね。
<参考サイト>
ペット(犬・猫)が除草剤を飲んでしまったらどうするか?|株式会社食環境衛生研究所
>https://www.shokukanken.com/colum/colum0142/
お散歩の時は除草剤、殺虫剤に要注意!|横須賀市つだ動物病院
>https://tsuda-vet.com/
農薬検査部について|独立行政法人農林水産消費安全技術センター(FAMIC)
>https://www.acis.famic.go.jp/acis/gyomu.htm
<画像元>
Canva
PhotoAC
また、生前疾患の多かったシェットランド・シープドッグをキッカケに取得した愛玩動物飼養管理士などの様々な資格の知識を生かし、皆様に役立つような記事を提供、執筆出来ればと思っております。
何卒、よろしくお願い致します。
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