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犬に教えたい芸は、手本を見せると有効?犬の新しい訓練法『Do as I do』メソッドとは?

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犬を迎えて一番初めに障壁となるのは、しつけという方も多いのではないでしょうか?

トイレトレーニングから始まり、オテやオカワリ、フセやマテなど、出来るだけ早くマスターさせたいコマンドは多いと思います。

ただ、そんな時飼い主さんからまずは手本を見せて、愛犬に「真似して!」と示す方法は、有効なのか疑問になったことはありませんか?

今回は、そんな犬の芸の教え方について、『Do as I do』メソッドという方法をご紹介します。

従来の犬のしつけの種類とは?

犬は、人のように言語によってコミュニケーションを取らない代わりに、非言語コミュニケーションを取って、飼い主さんの気持ちを汲んだり、自分の気持ちを表現したりします。

一般的に犬に対して芸(コマンド)を教える時の代表的な理論は、【古典的条件付け】と「オペラント条件付け」に分けられます。まずは簡単にその方法を見ていきましょう。

古典的条件付け

古典的条件付けは、ロシアの生理学者であるイワン・パブロフによって、今から約100年前に条件反射という現象として発見されました。

パブロフは、犬へ餌を与える前に毎回ベルを鳴らす行動を繰り返していくうちに、犬がベルを聞くだけで唾液が分泌されるということを発見したのです。これは、犬だけでなく人でも酸っぱいもの(例えばレモンや梅干しなど)を目にすると、食べてもいないのに自然と唾液が分泌されてしまう現象と同じです。

こうした無意識のうちに意味もない行動が、意味を成す行動(条件反射)になることを、古典的条件付けと言います。

オペラント条件付け

オペラント条件付けは、アメリカの心理学者であるソーンダイクによって、提唱されました。

ソーンダイクは、動物にとって満足がもたらされる反応は、刺激と組み合わさって起こりやすくなり、不快な結果をもたらす行動は起こりにくくなるといった「効果の法則」を原理としました。

オペラント条件付けでは、犬の行動に何らかの結果(例えば呼ばれて近寄ったら褒められたなど)が伴うことでその後の行動が増えることを「強化」と呼び、逆に犬の行動に何らかの結果(例えば呼ばれて叱られたなど)のせいで行動が減ることを「罰」と言います。

犬も他人(他犬)の振り見て我が振り直せます

人間社会では、『他人の振り見て我が振り直せ』ということわざが存在します。

これは、他人の言動を参考に、自分の振る舞いを反省し、良いところは真似し、悪いところは改めるという意味のことわざです。

人の場合、このことわざが意味するところは、「他人の行いを見て自分の行いを反省しなさい」という、どちらかというと自分への戒めによく使われることが多いと思います。

しかし、例えばこの相手が犬同士や犬と人だった場合には、その行いは「社会的学習」となって、“模倣”対象となり得ます。

ある実験では、模倣犬Aの問題解決をする様子を観察していた犬Bが、同じ動作を再現することで、問題解決までにかかる時間に差が出たことが分かっています。

また、母犬が警察犬の子犬だと、母犬の仕事の様子を観察することで、後に同じ仕事を学ぶ時の成績が優れていることも分かっています。

犬はこのように、他者を観察して情報を得て学習することで、自分一人で試行錯誤して学習するよりも、別の犬や人を観察、真似して学習して無駄や危険の減少・回避に加え、楽に柔軟な知識を増やすことが可能だと言われているのです。

犬のしつけメソッド『Do as I do』って?

『Do as I do』とは、直訳すると、「私の真似をして!」という意味になりますが、この『Do as I do』メソッドとは、その言葉通り犬に自分の真似をさせることで、芸(コマンド)を覚えさせる方法のことを言います。

例えば人がクルッと回転する芸を犬に教えたいと思った場合、従来の古典的条件付けやオペラント条件付けの方法では、まずおやつを持った手で誘導して犬を回転させ、成功したらご褒美を…。という手順で教える必要がありました。

しかし、この『Do as I do』メソッドの場合では、人が犬の前でクルッと回転して見せて、即座に「Do it!(やってみて!)」と指示した後に、そのまま真似ができた時には、すぐさまご褒美をあげる、といった方法で犬に芸を教えてあげることが出来ます。

当然、こうした芸の教え方は、従来の方法よりよっぽどシンプルで、且つ飼い主さんが楽しそうに教えてあげることで、真似する確率は上がるでしょう。

しかし、こうして言葉で説明すると、とても簡単に思えるかもしれませんが、実際に教えようと思った際には、やはりそれなりの回数熟さなければ、飼い主さんの起こす行動=『真似してほしい芸』には結び付きづらいです。

また、犬はこれまで、個人的な経験や体験を通して物事を覚える“エピソード記憶”というものを、苦手とする動物だとされてきました。

しかし、この『Do as I do』メソッドが、2016年のCurrent Biology(カレントバイオロジー)誌に掲載された論文の発表では、人の動きを模倣して真似ることが要求される訓練技術は、犬が“エピソード記憶”を持ち、必要がない場面でも人の行動を記憶することが出来るとの証明を示したのでした。

そのため、飼い主さん自身が愛犬の前で覚えさせたい芸があった時のお手本として、まずは自分がその行動を示してみるというのは、とても良い方法と言えます。

ただし、このメソッドでの芸の教え方は、相当な強い信頼関係があることが重要となってくるため、日頃から愛犬との接し方には、十分配慮した関係性を築くことを心掛けましょう。

犬をしつける時に必要なトレーニングの心得とは?

犬に対して使われる「しつけ」や「トレーニング」、「訓練」といった言葉は、どれもどこか取っ付きにくい印象を持たせるものが多く、人によっては苦手意識を持たれる人も少なくないと思います。

しかし、犬が最低限覚えておきたい芸(コマンド)というのは、犬が人間社会を生きていく上で多かれ少なかれ必要となってくるものです。

そんな風に思えば、人にとっても犬にとっても、しつけやトレーニング、訓練というものは、楽しいものであったり、自発的に取り組みたいものであることが大切です。

犬をしつける際のトレーニングは、飼い主さんも愛犬も、双方が楽しんで行えるゲーム感覚のような方法が理想的です。

そのため、もしも『Do as I do』メソッドを愛犬でお試しする時には、遊びの延長線上で、飼い主さん自身も「楽しいね!」というような思いを持ちながら、教えてあげるのがオススメです。

特に今回ご紹介している『Do as I do』メソッドに関しては、犬にはまず「Do it!(やってみて!)」という言葉と、教えたい芸が関連していることを教える必要があります。

これは、飼い主さんが出す言葉と行動は、上手く出来ればご褒美に直結することを覚えさせる従来のしつけ方法と同様です。

けれど『Do as I do』メソッドは、飼い主さんがお手本を見せた後、愛犬自身に考えさせながらもおやつを与え、愛犬もそれに倣って真似ができた時には目一杯褒める(この時のご褒美は量より質)、という一連の動作を最初に根気強く覚えさせなければなりません。

犬とのトレーニングは、昔のイメージが根強い面もあるからか、いまだに「キッチリ、真面目にするのが大切!」という感覚を持ち合わせている人は多いかもしれません。

しかし、実際に犬にしつけやトレーニングで何かを教えたい時には、普段から使っているおもちゃで楽しみながら教えてあげることこそ、犬の学習能力は格段に向上します。そのため、愛犬とのしつけやトレーニングを行う際には、何よりも楽しさを心掛けながら、色々な芸を教えてあげましょう。

まとめ

いかがでしたか?

多くの犬は、飼い主さんから褒められたり、飼い主さんと遊びながら学んだりすることが、とても好きな動物です。そのため、一見難しそうに見える行動でも、飼い主さんと楽しみながら行なうことで、報酬がない無意味なことであっても、人の真似が出来ることがあります。

犬にはそれぞれ個々に備わった性格というものが関係するため、すぐ覚える子も居れば、なかなか覚えられない子も居ることでしょう。

しかし、根気強く愛犬と楽しくトレーニングに向き合ってあげることで、もしかしたら将来は、優秀な天才犬が誕生するかもしれません。

ぜひ愛犬とのトレーニングは、楽しんで行なってあげてくださいね。

<参考書籍>

気持ちを知ればもっと好きになる! 犬の教科書

いぬほん

<画像元>

Canva

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yukako

yukako

幼少期の頃より柴犬やシェットランド・シープドッグと生活を共にし、現在は3代目となる柴犬と暮らしております。
また、生前疾患の多かったシェットランド・シープドッグをキッカケに取得した愛玩動物飼養管理士などの様々な資格の知識を生かし、皆様に役立つような記事を提供、執筆出来ればと思っております。
何卒、よろしくお願い致します。
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