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高齢になると麻酔リスクも高まる?老犬の避妊・去勢手術で気をつけること【動物看護師が解説】

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犬の避妊・去勢に全身麻酔はつきものです。

「不妊手術は考えているけれど、麻酔のリスクも気になる」と悩んでいたら、いつの間にか愛犬が高齢になってしまったという方もいるのではないでしょうか。

高齢だと麻酔リスクが高いとも聞きますし、なかなか踏み出せないのが飼い主さんの心情ですね。

そんな方のために「高齢で麻酔をかけるのは無理なのか?」「どんなことが高リスクに繋がるのか?」について、今回はお話ししていきます。

高齢な犬だと麻酔をかけるのは無理なの?

犬の年齢が高くなると「麻酔のリスクが高い」とよく聞きますね。

そのことが不安で、避妊・去勢手術を避けている方もいるかもしれません。

麻酔をかける上で年齢も確かに重要なのですが、もっと大事な情報があります。

「その犬が今、どんな健康状態にあるのか」ということです。

獣医師さんはやみくもに「麻酔をかけてもOK」と判断しているわけではなく、きちんと「麻酔リスクの評価」とその犬の状態を照らし合わせた上で判断をしています。

▼麻酔リスクの評価表

上の図は、「アメリカ麻酔学会が定めた麻酔リスクの評価基準」です。

ASAステータスは1~5段階まであり、1が健康な状態で5が重篤な状態です。

表を見てみると、老齢動物はステータスは「2」に分類されているので、若い犬達と同じ麻酔リスクに分類されていることがわかりますね。

この数値は「犬がどんな健康状態にあるのか」を総合的に診て判断するので、高齢であったり持病があったとしても、健康な状態と変わらないと診断されれば「麻酔をかけても問題ない」という判断になります。

どんなに注意していても100%安全な麻酔はありません。

だからこそ「今この子がどんな状態にあるのか」を、術前検査や診察をしてリスク評価をします。

「高齢=麻酔はかけられない」と思いがちですが、麻酔のリスクは「今その犬がどんな状態にあるのか」によって変わってきます。

もちろん高齢になると臓器が「急激な変化に対応できる力」が低下するので、十分注意が必要ですが、高齢だから麻酔はできないということでは無いのです。

麻酔リスクが低い健康な犬の状態とは?

犬が健康な状態であれば、麻酔リスクは低くなるということがわかりましたね。

では、麻酔リスクが低い健康な状態とは、どんな状態をいうのでしょうか。

●食欲や体力はあるか
●体型に問題はないか
●心臓に問題がないか
●ホルモンに異常は出ていないか
●腎臓や肝臓などの臓器に異常は出ていないか

麻酔リスクとどう関わってくるのか、一つずつ解説していきますね。

犬の食欲や体力はあるか

手術の後は、体力を回復するのにとてもエネルギーを使います。

体力があったり食欲がある子は基礎体力もしっかりしているので、手術に耐えて回復できる力も強いです。

犬の体型に問題はないか

痩せすぎの体型、肥満の体型、どちらも麻酔のリスクは高くなります。

特に肥満体型の場合、胸まわりの脂肪で気管が膨らみにくく、麻酔中の呼吸が上手くできないことがあります。

適切な体型を保っているということも、麻酔リスクをぐっと下げるのに大切です。

犬の心臓に問題がないか

麻酔薬は一時的に心臓の動きを低下させる働きがあります。

そのため心臓病があったり心臓が弱っていると、全身に血液を送るポンプ機能がうまく働かず、循環不全などのトラブルを起こす可能性が高くなります。

犬のホルモンバランスに異常は出ていないか

ホルモンの分泌異常を起こしている場合も注意が必要です。

ホルモンのバランスが崩れる病気の場合、不整脈が合併症として現れる可能性が報告されています。

不整脈は麻酔の際にはリスクが高い症状なので、術前検査でしっかりと異常がないか調べることが大切です。

犬の腎臓や肝臓などの臓器に異常は出ていないか

腎臓や肝臓はかけた麻酔を体外に排出させるときに欠かせない臓器です。

そのため肝臓や腎臓にも問題があると、かけた麻酔がうまく体外に排出できないためリスクが高くなります。

予防するのが難しい病気もありますが、体型の管理や適度な運動で体力をつけるなど、日頃から取り組めそうなこともありますね。

健康な体づくりを意識することが、手術の選択をしたときにリスクを低くすることに繋がります。

麻酔のリスクが高くなる犬の状態は?

では逆に麻酔のリスクが高い状態とは、どんな状態をいうのでしょうか。

「どうしてリスクが高くなるのか」という理由と共にまとめてみました。

▼麻酔のリスクが高くなる状態
【神経に問題がある場合】麻酔をかけると脳へ血液がいきわたりにくくなる
【短頭種の場合】気道が狭い体つくりのため、呼吸障害を起こしやすい
【肥満の場合】胸や首回りの脂肪が換気を阻害しやすい
【肝臓に問題がある場合】代謝機能が低下するため、麻酔の効果が予測しにくい
【腎臓に問題がある場合】排出機能が低下するため、麻酔の作用や調整に影響する
【年齢が高い】若齢時に比べて臓器の急な変化に対応する力が低下

理由まで一緒に見ると、どうして麻酔リスクが高くなるのか、よりわかりやすいのではないでしょうか。

麻酔をかけたときやかけた後に、トラブルが起こる可能性が出てくると、リスクが高くなると判断されます。

獣医師さんとしっかり話し合いをしたうえで、レントゲンやエコー検査など、より詳しく術前検査をして麻酔に耐えられるかを確認することが大切です。

老犬を避妊・去勢する前に知ってほしいこと

今までの内容で「麻酔をかけるには評価基準がある」「麻酔リスクが高い・低いとはどんな状態なのか」がお分かりいただけたと思います。

それでは、老犬を避妊・去勢手術を考える前に知っておくべきことはなんでしょうか。

年齢と共にリスクも高くなる

最初に健康な状態と判断されれば、高齢でも麻酔をかけることができるとお話ししました。

しかし、年とともに起きやすい病気もあります。

下の図はアイペット損害保険株式会社が報告した「年齢別の保険請求額が多い病気」のランキングです。

7歳以上になると、腫瘍や心臓病といった病気が増えているのがわかります。

麻酔薬は一時的に心臓の動きを低下させるので、心臓に問題があると麻酔リスクが高くなります。

つまり年齢が高くなると重篤な病気が起きやすく、病気からの麻酔リスクもだんだんと高くなってしまうという事です。

年齢ごとに起きやすい病気も覚えて、いつ手術をするかの判断材料にすることが大切ですね。

避妊・去勢後に起こる変化を知る

よく避妊・去勢手術というと麻酔リスクに目が行きがちですが、術後に起こる変化もあります(すべての犬に起こるわけではありません)。

避妊・去勢後に起こる変化の例
●手術後のストレス反応
●トイレを失敗しやすくなる
●体脂肪が増える
●毛質が変わる

特に超高齢犬の場合、術後に足がふらついたり、食欲がなかなか戻らないといった、予想外の変化が起きることもあるので、術後のこともしっかりと調べておくことが大切です。

▼術後の変化や避妊去勢の手術時期の検討について、下の記事に詳しくまとめているので、よかったら読んてみてくださいね。

いかがでしたか?

「高齢=麻酔リスクが高い」とよく聞きますが、麻酔リスクはその時の犬の状態によって大きく変わります。

とはいえ、手術となると大きな決断になるので、後悔しないように獣医師さんとしっかりと話し合いをすることが大切です。

<参考URL>

犬・猫における避妊手術のメリットとデメリット:アンケート調査の結果
>https://ci.nii.ac.jp/naid/130004051208

麻酔について エリー動物病院
>http://www.elly-ah.com/original48.html

不整脈とアブレーション治療
>http://www.ncvc.go.jp/hospital/pub/knowledge/treatment/ablation.html

<画像元>

Unsplash

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伊藤さん

伊藤さん

・倉敷芸術科学大学 生命動物科学科卒業
・(元)認定動物看護師
・一般社団法人日本小動物獣医師会 動物診療助手

やんちゃなミックス犬とおっとりトイプードルと暮らす。

大学在学中に「病気になる前の予防が一番大事」と気づき、
ペットフードやペットサプリメントの会社に就職。
「食」に関するさまざまな知識を身につける。

愛犬を亡くしたときに
「もっと色んな情報を知っておけば」と感じた後悔を
「他の飼い主さんにはさせたくない」との思いから、
ライター活動を開始。

「勉強になった・信頼・わかりやすい」を目標に情報を発信しています。
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