わんことの旅行を
もっと楽しく、
もっと快適に。
メニュー
  • いいね!してね

「正しく理解、予防しよう」犬から人にうつる病気5つ、家庭内で注意することもご紹介

シェアする

犬と人の間でうつる病気を「ズーノーシス(人獣共通感染症)」と言います。

犬からうつると聞くと、ドキッとしてしまうかもしれませんが、大切なのは正しく病気を理解して予防をすることです。

特に愛犬がズーノーシスになってしまったら、治療だけでなく感染を広げないためにお家での対策も重要になります。

今回は、犬から人にうつる病気5つと家庭内での注意点をご紹介するので、愛犬の健康管理にぜひお役立てください。

犬から人にうつる病気①「皮膚糸状菌症」

皮膚糸状菌はカビの一種で犬や猫の皮膚や毛、爪などに住みつき、増殖して発症する病気です。

子犬や老犬、基礎疾患あるなど免疫力が弱い状態にあると、感染しやすくなります。

皮膚糸状菌に感染すると、犬の頭部や足まわりに赤みやフケ、かさぶたや脱毛が見られます。

人に感染すると「リングワーム」と言われる赤い円状の炎症が現れます。

▼皮膚糸状菌症が人に感染した場合の症状(リングワーム)

シャンプーや投薬で治療を行いますが、治療期間が長期間になることもあります。

そのため、愛犬や家族に上記のような症状が現れたら、すぐに病院に行きましょう。

家庭内で注意することは?

では、愛犬が「皮膚糸状菌症」になってしまったら、どんなことに注意すればよいのでしょうか。

▼家庭内で注意すること
・愛犬が使用していたものは洗濯、処分する
・愛犬の毛をこまめに掃除する
・犬と接触後は手を洗う
・多頭飼いの場合は、他の動物から隔離する
・お世話や隔離の部屋に入る人数を絞る
・家庭内に年配の方や幼い子供がいる場合は、犬との接触を控える

先ほど「皮膚糸状菌症」は皮膚や毛に住みつくとお話ししましたね。

そのため、感染した動物に抱き着いたり、抜けた毛に接触することで感染します。

犬が使用していたタオルや毛布などはこまめに洗濯し、毛やフケが大量に付着している場合は処分するようにしましょう。

また、抵抗力が弱い子供や年配の方は感染の可能性が高くなるので、犬との接触はなるべく控えるなど病気が完治するまで注意することが大切です。

犬から人にうつる病気➁「パスツレラ症」

約75%の犬の口の中に常在菌として「パスツレラ菌」がいると言われています。

犬の場合、この菌に感染してもほとんど症状が出ることはありません。(まれに肺炎や化膿性の炎症が出る場合もあります。)

しかし犬に噛まれたり引っ掻かれることによって人が感染すると、「噛まれた箇所が腫れたり化膿する」「髄膜炎」「敗血症」「外耳炎」などの症状が現れます。

特に免疫不全や糖尿病などの基礎疾患があり、免疫力が低下している場合、重症化するリスクが高いので家庭内に治療中の方がいる場合は、より注意が必要です。

犬にパスツレラ症の症状が出ていない場合は治療は行いませんが、人の場合は感染すると噛まれた患部の消毒や抗生物質の投与が必要になります。

犬に噛まれた後に傷口の腫れや体調不良が見られたら、すぐに病院にいきましょう。

家庭内で注意することは?

▼家庭内で注意すること
・犬に噛まれたり引っ掻かれたりする機会を作らない
・愛犬と過度な接触は控える
・犬を触った後は手を洗う
・傷口がある場合は、犬に舐めさせない
・赤ちゃんがいる場合は、オモチャや食器を介しての感染に注意

犬に噛まれたり引っ掻かれたりする意外にも、「口移しで食べ物を与える」「口の周りを舐めさせる」など過度な接触でも感染のリスクはあります。

過度なスキンシップは控えて、犬に触れた後は必ず手を洗いましょう。

また赤ちゃんや幼い子供がいる家庭は、犬用のオモチャや食器を誤って口に入れてしまわないように注意しましょう。

犬から人にうつる病気➂「カンピロバクター」

カンピロバクターといえば、食中毒の原因菌で有名ですね。

犬の腸に常在はしていますが、保菌率自体は1%前後とそれほど高くないと言われています。

しかし、抵抗力の弱い子犬やストレスの多い環境にいるなどで免疫力が低下してくると、「カンピロバクター症」を発症する場合があります。

人への感染は、「感染した動物の糞の始末」「口移しで食べ物を与える」「食器の共有」などで起こる可能性があります。

成犬の場合、感染していても無症状のことが多いですが、免疫力の低い子犬では下痢、嘔吐、腹痛などの症状が出ることがあり、人に感染した場合も同様の症状が見られます。

家庭内で注意することは?

▼家庭内で注意すること
・愛犬に生肉を与えない(特に鶏肉、牛生レバー)
・犬の糞の処理をしたら必ず手を洗う
・愛犬と人の食器を共有にしない
・愛犬の散歩中の拾い食いに注意

感染した犬の糞に触れることによって、感染するリスクが高くなります。糞の処理をした後は、必ず手を洗うようにしましょう。

また生肉を食べることによって、カンピロバクターに感染する可能性がありますので、犬にお肉を与える際は必ず加熱するようにしましょう。

犬から人にうつる病気④「SFTS」

SFTS(重症熱性血小板減少症候群)という病気をご存じでしょうか。

SFTSウィルスを保有しているマダニに噛まれることによって、発症する病気です。

発症すると下痢や嘔吐などの消化器症状をはじめ、頭痛やリンパ節の腫れ、意識障害などが起きることもあります。

マダニに噛まれて発症することがほとんどですが、SFTSに感染したペットを通じて人に感染したと思われる例が何件か報告されています。

SFTSに感染した犬の血液にはSFTSウィルスが検出されるので、体液(血液や唾液など)に触れることによって感染する可能性が示唆されています。

家庭内で注意することは?

▼家庭内で注意すること
・愛犬のマダニ予防をしっかりとする
・犬に触れた後は必ず手を洗う
・犬を触れた後に目や口などの粘膜に触らない
・愛犬との過度な接触は控える

まずSFTSウィルスを保有しているマダニに噛まれないことが大切なので、愛犬のマダニ対策をしっかりと行い、家の中にマダニを入れないようにしましょう。

また、ペットから人へのSFTSウィルス感染はごくまれと言われていますが、過度な接触は控えて犬に触れた後や体液に触った後は、必ず手を洗うようにしましょう。

犬から人にうつる病気➄「犬回虫症」

犬回虫症は犬に寄生する回虫という寄生虫が原因で引き起こされます。

感染した犬の糞との接触や胎盤を通じて母子感染をします。

人に感染した場合、ふ化した幼虫がいろんな臓器に移動することによって「肺炎」「肝炎」「てんかん発作」「失明」など重篤な病気を引き起こします。

子犬ではよく見られる寄生虫ですが、無症状のことが多く、糞中に現れる寄生虫に気が付かない場合、人への感染の可能性があるので注意が必要です。

家庭内で注意することは?

▼家庭内で注意すること
・犬の糞の処理をしたら必ず手を洗う
・土や砂を触った後は必ず手を洗う
・犬の糞からそうめん状の虫がでたら、早めに動物病院へ行く

人への感染は感染した犬の糞が口の中に入ることによって起こります。

「そんなこと起こるかな?」と思うかもしれませんが、子供であれば砂や土を触った手で口まわりを触ってしまうということも考えられます。

糞の処理や公園の砂などを触った後は、必ず手を洗うようにしましょう。

いかがでしたか?

犬から人へ感染する病気はいろいろとありますが、きちんと対策をすることで感染を予防することもできます。

今回ご紹介した内容をぜひご家庭の感染予防と愛犬の健康管理に役立ててくださいね。

<参考URL>

名古屋市内で飼育されている犬の“カンピロバクターの保菌状況”に関する調査
>https://www.city.nagoya.jp/kenkofukushi/cmsfiles/contents/0000025/25355/H20zoonosis.pdf

食中毒の原因カンピロバクターが子犬から感染
>https://mainichi.jp/premier/health/articles/20180306/med/00m/010/012000c

ペットからうつる感染症
>https://www.medience.co.jp/forum/parts/pdf/2009_05.pdf

ペットからSFTSウイルスに感染し, SFTSを発症した事例報告
>https://www.niid.go.jp/niid/ja/allarticles/surveillance/2467-iasr/related-articles/related-articles-473/8987-473r05.html

<画像元>

Unsplash

写真AC

The following two tabs change content below.
伊藤さん

伊藤さん

・倉敷芸術科学大学 生命動物科学科卒業
・(元)認定動物看護師
・一般社団法人日本小動物獣医師会 動物診療助手

やんちゃなミックス犬とおっとりトイプードルと暮らす。

大学在学中に「病気になる前の予防が一番大事」と気づき、
ペットフードやペットサプリメントの会社に就職。
「食」に関するさまざまな知識を身につける。

愛犬を亡くしたときに
「もっと色んな情報を知っておけば」と感じた後悔を
「他の飼い主さんにはさせたくない」との思いから、
ライター活動を開始。

「勉強になった・信頼・わかりやすい」を目標に情報を発信しています。