みなさんはブルドッグにどのようなイメージをお持ちですか?
犬種は知っていても実際に見たことはないという方も多いかもしれません。
今回は、ブルドッグの起源や健康問題について解説いたします。
ブルドッグの起源とは?

ブルドッグは18世紀頃にイギリスで流行した雄牛(ブル)と犬を戦わせる牛いじめ(bullbainting)という見世物が流行した際に、牛と戦える顔や体に改良された犬のひとつです。
マスティフ系の犬と頑強なテリア系の犬をかけ合わせた犬がブルドッグです。
1835年にイギリスで「動物虐待法」が発足されてから「牛いじめ」のような残酷な見世物が禁止になり、ブルドッグは一時、絶滅寸前になりました。
しかし、ブルドッグ愛好家のブリーダー達によって闘犬に必要だった獰猛さなどが品種改良で取り除かれ、今はその見た目からは想像がつかないほど温厚でおとなしい性格の愛玩犬となっています。
ブルドッグの顔が潰れている本当の理由とは?

ブルドッグの顔がシワくちゃで、潰れている理由は、牛に咬みつかれても皮膚が伸びて傷が深くならないように、潰れた鼻は咬みつかれても呼吸をしやすくするために改良されたからと言われてきました。
現在ではこれは事実ではないことがわかっています。
ブルドッグが今のような極端な姿になった本当の理由は、1800年代後半からドッグショーが盛んになり、外見的な特徴を誇張する大きな改良が行われたからなのです。
下の絵をご覧ください。
こちらは「牛いじめ」があった当時に描かれた闘犬です。
よく見ると、牛と戦いやすくするために、マズルは短めで、皮膚もたるんでいるように見えます。しかし、顔は今のブルドッグほど潰れてはなく、体格も足や首は長めに見えますね。
つまり、闘犬だった昔の犬は、現在のブルドッグの特徴的な姿ではなく、もっと普通の犬だった事がわかります。
当時の姿のブルドッグは、今のブルドッグと区別するため、「オールド・イングリッシュ・ブルドッグ」と呼ばれています。
改良されすぎたブルドッグが抱える健康問題とは?

ドッグショー向けに改良された現在のブルドッグの特徴は、顔が潰れていてシワくちゃ、頭が大きい、下あごが突き出ている、足が短い、肩幅のわりに骨盤が小さいなど、とても特徴的になっています。
このようなブルドッグの極端すぎる姿はブサカワ代表でとても可愛いのですが、実は多くの健康問題をかかえています。
【ブルドッグにある多くの健康問題】
・皮膚炎になりやすい
・チェリーアイ(第三眼瞼腺脱出)になりやすい
・短頭種気道症候群になりやすい
・暑さに弱い
・自力で出産ができない
・下あごの突出
・いびき・よだれが多い
※ブルドッグは他の犬種より1年の間に2倍以上の確率で健康問題が起こりやすいとされています。
一番多くある病気は、たるんだ皮膚のシワからの皮膚病や、目の瞬膜が赤く飛び出るチェリーアイ(第三眼瞼腺脱出)、短頭種気道症候群などです。
短頭種気道症候群はいびきや睡眠時無呼吸症候群の原因となり、夏場の暑さで呼吸困難を起こしたりします。
加えて、同じ動物として信じがたいのが、ブルドッグは自力で出産ができないということです。
ブルドッグは、肩はがっしりしているわりに、おしりは小さく改良されています。そのため、お腹の胎児の頭の大きさに比べて骨盤が小さく自然分娩が困難となります。ブルドッグの出産は帝王切開で行うことが一般的なのです。フレンチブルドッグにも同様の事が言えます。
ブルドッグと私たちの今後(まとめ)

昨今のニュースで英王立獣医科大学(RVC)がブルドッグの健康問題に関する研究結果を発表し、ブルドッグには健康に関する「重大な」懸念があるので、購入は思いとどまってほしいと、不買を愛犬家に呼びかけていることが報道されました。
→2022年の6月17日CNNニュース
>https://onl.la/htdGYmG
人間の都合で特徴的な体に改良され、健康問題を抱えやすく、自然分娩さえ不可能になってしまったブルドッグ。この問題について知らない人の方が多いかもしれません。
いくら可愛いから、人気が出るからといって、人間が動物をここまで変えてしまって良いのでしょうか?とても残念で可愛そうで、恐ろしい事に筆者は感じます。
需要があるから供給がある、その上でさまざまな犬が品種改良されてしまうならば、飼い主になる私たちは、いま一度犬を選ぶ際の選択肢を考えてみる必要があるかもしれません。
<参考URL>
一般社団法人ジャパンケンネルクラブ(マスティフ)
>https://www.jkc.or.jp/archives/world_dogs/2701
ウィキペディア(オールド・イングリッシュ・ブルドッグ)
>https://onl.la/jbza7Lb
ウィキペディア(ブルドッグ)
>https://onl.la/zicpNFD
一般社団法人ジャパンケンネルクラブブルドッグ
>https://www.jkc.or.jp/archives/world_dogs/2711
CNN(ニュースブルドッグは「不健康」、英獣医科大が不買を呼びかけ)
>https://onl.la/htdGYmG
<参考書籍>
イヌが好きになる50の質問(著)吉田悦子
新犬種大図鑑 (著)ブルース・フォーグル

フラワーアレンジメント講師
2人の息子の母
実家でパグの出産、育児を経験し、
現在はトイプードルの男の子と暮らしています。
みなさまの愛犬にお役に立てる情報を発信していきたいです。

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