停電が起こるほどの災害は、そう頻繁に起こるものではありませんが、時に人や動物の生活を脅かすことがありますよね。
特に夏場に良く発生しやすい台風の影響で起こる停電は、それが長引いてしまうと命に関わる危険性も…。
今回は、もしも夏に停電が起こってしまった時に知っておきたい、愛犬の命を守るための対策から停電時でも犬に快適に過ごしてもらう方法をご紹介します。
<目次>
近年の日本における停電の現状とは?

近年、気候変動の影響で猛暑の日が続いたかと思えば、突然ゲリラ豪雨に見舞われたり、雹が降ったり、また肌が焼けるほどの暑さになったりと、目まぐるしいほど天気がコロコロ変わることが多くなりました。
ただ、そうした気候変動の影響で頻繁に停電が起こるほどの変化があるかと言えば、そうではありません。
以下図表は、2015(平成27)年~2019(令和元)年までの欧米諸国と日本における停電回数を示したものになります。
▽『欧米諸国と日本における需要家停電回数
日本を示す赤色の線を見ても分かるように、他の欧米諸国と比べて圧倒的に停電回数の少ない日本は、電気事業連合会が発表している棒グラフ推移でも、年々停電回数、停電時間が減っていっていることが分かります。
▽『欧米諸国と日本における需要家停電回数
そのため、こうしてグラフで推移を見る限りでは、日本はそこまで停電が頻発する国でないことは確かです。
ただ、問題はその停電が夏場や冬場など、冷房・暖房器具を頻繁に使用する季節に起こってしまった場合です。
特に夏場は、台風の発生が多くなることに加え、熱中症にも人や犬は注意しなければならない時期です。
また、異常気象の影響で起きやすいゲリラ豪雨・雷雨によっても、停電を引き起こしてしまう危険性があるため、夏場の停電には、もしもの事前対策を心掛けておくことが重要となります。
夏場の停電、犬は室温○○℃だと熱中症危機!?

通常、犬が快適に過ごせる室内の温度は犬種にもよりますが、夏場であれば室温は20℃~25℃前後、湿度は40%~60%程度と言われています。
そして、この程度の室温と湿度が維持された状態(実際には十分な飲み水などの確保)を保つことが出来れば、愛犬の熱中症リスクもだいぶ減らせるとされています。
では、夏の停電によって冷房機器が一斉に使用できなくなってしまった場合、犬が熱中症になってしまうリスク温度の目安と湿度の目安はどれくらいだと思いますか?
正解は…、環境温度22℃以上、湿度60%以上です。
犬の場合、外気温が25℃以上を観測すると、それだけで熱中症のリスクが高まると言われています。
しかしこれは、室内の環境温度が例えば22℃以上で、湿度60%以上だった場合でも同様で、その際には、除湿器の使用やエアコンの除湿機能を使っての湿度軽減を図ることが推奨されています。
けれど、停電が起きてしまった場合ではそれも実現することはなかなか難しいものです。
そのため、以下のような症状を愛犬が見せた時には熱中症のサインなので、見過ごさないよう注意しましょう。
▼【犬の主な熱中症サイン】
・パンティングをする(舌を出してハァハァとする)
・横になりグッタリしている
・体が熱い
・動きが鈍い
・痙攣や意識混濁
・嘔吐や下痢が見られる
なお、この中で特に緊急性を要するものは、「パンティングをする」や「横になりグッタリしている」、「痙攣や意識混濁」状態です。
停電時は、エアコンや扇風機といった冷房機器だけではなく冷蔵庫なども使えなくなってしまいますが、それでもすぐに氷が溶けたり、保冷剤が溶けたりするわけではないため、そうした愛犬の緊急時には、まずは可能な限り凍っているものや濡れタオルなどを、犬の首回りや脇下、大腿部の間などの太い血管に当てて、体温の低下を図りましょう。
また、合わせて一刻も早く動物病院に連絡を入れ、適切な処置、適切な対処を施してもらってください。
熱中症という症状はどんなに症状が軽く見えても、脳や内臓に障害を引き起こしてしまう可能性がある大変恐ろしい症状だからです。
愛犬の体温を図った時に、平熱範囲である39℃程度まで下がっていたとしても、万が一を考えて、必ず動物病院を受診するよう心掛けましょう。
夏場突然の停電に慌てないために。準備したい事前対策とは?

それでは、夏場突然停電に見舞われた際、愛犬を熱中症のリスクにさらさないための事前準備にはどういったものがあるのでしょうか?
以下でいくつか確認していきましょう。
ポータブル電源を使用する
ポータブル電源とは、内蔵されたバッテリーに電気を蓄え、電源コンセントがなくても家電製品などに電気を供給できる可搬型の蓄電池のことを言います。
いざという時に役立ち、それこそ扇風機や冷風機といった冷房機器と繋げれば、数時間~数日、見通しが立たないような停電時にも重宝します。
ただしポータブル電源を購入する場合、安いものでは数千円から購入できますが、高いものでは数十万円以上と値段に大きな差が生じるため注意が必要です。
ポータブル扇風機を使用する
今では当たり前となったポータブル扇風機の使用ですが、普段使用しているこうしたアイテムはいざとなった時に、飼い主さんや愛犬の熱中症対策として重宝します。
ポータブル扇風機であれば、数千円から購入が可能です。
ただし普段から使用している場合、充電が残り少ないといった事が考えられるため、普段から使用している場合には、必ず使い終わったら充電するよう心掛けましょう。
クーラーボックス
クーラーボックスは、冷蔵機能の役割を果たしてくれるとても便利なアイテムです。
近年は愛犬のドッグフードにおいても、無添加素材にこだわったものを与えている飼い主さんは多く、取り分けそういったドッグフードほど、冷蔵保存を推奨していることが少なくないため、数日間停電が続くようならこうしたアイテムは一家に最低でも一個は持っておくと便利です。
その際は当然、ご家族の食べ物だけではなく保冷剤や保冷枕、氷のう、ペット用のポカリスエットといった飲み物など、万が一熱中症になってしまった場合に役立つものを入れておくよう心掛けてください。
クールリングやアルミマットを使用する
クールリングとは、冷却個体化した輪っか状のクールアイテムです。28℃以下で自然凍結し、首に巻くことで体温の低下を期待できます。
ネッククーラーやアイスリングとも呼ばれるこれらのアイテムは人用で主に店頭販売、ネット販売されていることが多いですが、当然犬用のクールリングも販売されているため、愛犬にあったサイズを購入すると良いでしょう。
また、アルミマットはそのまま愛犬が寝転がれば冷たさを感じさせてあげられるため、とても便利です。愛犬が良く寝転がる場所に複数個置いてあげることで、停電時でも涼める場所を確保してあげましょう。
停電時でも犬に快適に過ごしてもらう方法

夏に突然停電してしまった時、そんな状態でも愛犬に快適に過ごしてもらう方法には以下のような方法があります。
上記で紹介した事前に対策したいものと併用しながら、愛犬が快適に過ごせるような工夫を施してあげましょう。
▼【停電時に犬が快適に過ごすための方法】
・窓を開けて風通しを良くする
・簾(スダレ)を掛けたり緑のカーテンを作る
・接触冷感アイテムを活用する
・寝床を窓際から遠ざける
・水を複数個所に置いておく
停電時、エアコンや扇風機が使えなくなってしまった場合は、以上のようなことで愛犬の暑さを出来るだけ凌がせてあげましょう。
特に「窓を開けて風通しを良くする」方法は必須で、その上で簾(スダレ)を掛けたり緑のカーテンを作ったりしておけば、なお涼しさを感じさせてあげられます。
緑のカーテンとなる野菜には、主にゴーヤやキュウリ、ツルありのインゲンなどがあり、植物であれば、朝顔やクレマチス、ルコウソウといったものがあります。
ただし、こうした緑のカーテンの場合、上記で挙げた植物では犬に有毒な成分を持つものが多いため、安全性を考慮するのであればゴーヤやキュウリといった野菜類での緑のカーテンを検討すると良いでしょう。
また接触冷感アイテムでは、触るだけで冷たさを感じられる接触冷感素材の犬用の洋服や水に濡らすことで涼しさを得られる洋服を活用しながら、その上でポータブル扇風機などを併用してあげると、なお涼しさを感じさせてあげられるため、オススメです。
まとめ

今回は、夏に停電が起こった時の愛犬への事前対策や快適に過ごす方法をご紹介しました。
地震などの災害でもそうですが、停電に見舞われた時も愛犬の安全を守ってあげられるのは飼い主さんだけです。そのため、愛犬のためにも、日頃から意識しておくよう心掛けましょう。
<参考書籍>
決定版 犬と一緒に生き残る 防災BOOK
<参考サイト>
電気事業のデータベース|電気事業連合会
>www.fepc.or.jp/library/data/infobase/pdf/2023_b.pdf
あらためて学ぶ、「停電」の時にすべきこと・すべきでないこと|経済産業省 資源エネルギー庁
>https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/teiden_info.html

また、生前疾患の多かったシェットランド・シープドッグをキッカケに取得した愛玩動物飼養管理士などの様々な資格の知識を生かし、皆様に役立つような記事を提供、執筆出来ればと思っております。
何卒、よろしくお願い致します。

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