夏に気をつけたい犬の病気といえば「熱中症」ですね。
熱中症は重症化すれば命を落とす危険もある恐ろしい病気ですが、きちんと対策を取れば予防することもできます。
今回はそんな熱中症から愛犬を守るための知識をクイズ形式でご紹介します。
愛犬を熱中症から守る知識を楽しく覚えていきましょう。
<目次>
【Q1】「熱中症の発生について正しいものはどれ?」

A.「熱中症は室内では起こらないので、外出の時だけ気をつければよい」
B.「熱中症は夏の病気なので7~8月だけ気をつける」
C.「熱中症は気温が上がる5月頃から気をつけたほうがよい」
▼正解は?
熱中症というと外で起きるイメージがありますが、室内であっても「エアコンのつけ忘れ」「激しい運動」「停電で空調機器が止まる」などで発症することがあります。
また、上の画像はアニコムが発表した「月ごとの熱中症の診療件数」をまとめたグラフですが、7~8月だけでなく、5月や9月も診療件数が多いことがわかります。
熱中症は夏に注意したくなりますが、実際には気温が急に高くなったり暑さに体が慣れていない5月頃から熱中症にかかりやすくなります。
そのため、Cの「熱中症は気温が上がる5月頃から気をつけたほうがよい」が正解です。
【Q2】「犬の熱中症の初期症状で正しいものはどれ?」

A.「ハッハッと呼吸が荒くなってきた」
B.「ふらふらと足元がふらつく」
C.「舌の色が紫色になっている」
▼正解は?
犬は汗をかけないので呼吸によって体温を下げます。
そのため暑いと呼吸は荒くなりますが「ハッハッ」と呼吸が荒くなってきた時点で、すでに熱中症の初期症状が出ていると考えてください。
そのため、Aの「ハッハッと呼吸が荒くなってきた」が正解です。
すぐに「体を冷やす」「涼しい場所に移動する」「水を飲ませる」などの応急処置を取りましょう。
足元がふらついたり舌の色が紫色になっているのは、重症化しているサインで意識障害やチアノーゼ(酸欠)が出ているので非常に危険です。
熱中症は重症化した際の死亡率が高く、後遺症が残る可能性もあります。
初期症状の呼吸の粗さを見落とさないようにしましょう。
▼オススメ記事
「今年こそ犬の熱中症ゼロへ」熱中症対策や初期症状、もしものときの応急処置まで知りたいことを広くご紹介
>https://www.inutome.jp/c/column_7-243-50650.html
【Q3】「熱中症のリスクが高い犬はどの犬でしょう?」

A.「鼻が長い犬種」
B.「認知症を発症しているシニア犬」
C.「標準体重より痩せている犬」
▼正解は?
上のグラフはアニコム損害保険㈱が発表した「年齢ごとの熱中症の発症割合」ですが、年齢が上がるほど熱中症を発症する可能性が高いことがわかります。
そのため、高齢で認知症を発症している犬はさらに注意が必要です。
「何時間も徘徊する」「水の場所がわからなくなる」「家具の隙間に入り込んで鳴き続ける(体温が上がる)」などで熱中症を引き起こす可能性があります。
そのため、Bの「認知症を発症しているシニア犬」が正解です。
鼻が長い犬種は鼻が長い分吸い込んだ空気が冷めやすいため、短頭種に比べると熱中症にかかりにくく、ガリガリにやせ細っている犬でなければ熱中症のリスクは他の犬と同じです。
【Q4】「愛犬が熱中症にかかった!」やってはいけない対応はどれ?」

A.「日陰に移動する」
B.「早く体を冷やしたいので氷水をかけたり保冷剤を当てる」
C.「常温の水をかけて風を送る」
▼正解は?
熱中症になると「早く体を冷やそう」と氷水をかけたり保冷剤を当てたくなりますが、氷水や保冷剤を当てると血管が収縮して逆に体から熱が逃げにくくなってしまいます。
また過剰に体が冷えてしまうと、下痢や嘔吐といった別の症状が出やすくなります。
そのため、やってはいけない対応はBの「早く体を冷やしたいので氷水をかけたり保冷剤を当てる」です。
熱中症にかかったら日陰や空調が効いている屋内に移動し、常温の水をかけて風を送り体を冷やしましょう。
▼オススメ記事
「犬が熱中症になった時の対処法知ってる?」ワンランク上の対策で愛犬の命を守ろう
>https://www.inutome.jp/c/column_7-172-45720.html
【Q5】「犬の熱中症予防に有効でないものはどれ?」

A.「エアコン」
B.「サーキュレーター」
C.「扇風機」
▼正解は?
どれも熱中症予防に有効な気がしますが、正解はCの「扇風機」です。
扇風機の風を涼しいと感じるのは、汗が蒸発することで体温が下がるからです。
犬は人のように全身に汗をかくことができないので、扇風機単体では涼しさを感じにくく、熱中症対策としての効果は薄いと考えられます。
犬の熱中症予防にはエアコンをメインで使い、部屋の空気のムラを無くすためにサーキュレーターを使いましょう。
【Q6】「夏場に犬を車内で待たせる時に正しい行動はどれ?」

A.「エアコンをかけて1匹で留守番させる」
B.「日陰になっているのでエアコンは切ってもOK」
C.「夏は1匹で車に残さない」
▼正解は?
日陰に止めていれば涼しいイメージがありますが、JAFが行った日向と日陰の車内温度の比較実験によると、日陰に駐車していてもエンジンを切った車内温度はわずか30分で35℃を超えました。
犬の快適な温度は20℃前後と言われているので、短時間でも十分に熱中症を起こす可能性があります。
また、エアコンをかけて車内に犬を留守番させている光景をよく見かけますが、不安と興奮で体温が上がると熱中症にかかりやすくなります。
窓の開閉ボタンを押して外に飛び出したり、プッシュ式のエンジン始動のボタンに触れてエンジンが止まっていたという事例も報告されているので、1匹で車内に残す(特に夏場)ことは絶対にやめましょう。
Cの「夏は1匹で車に残さない」が正解です。
【Q7】「夏場の犬の散歩コースで避けたい場所はどれ?」

A.「アスファルトの多い住宅街」
B.「土や芝生が多い道」
C.「木の多い公園」
▼正解は?
夏場のアスファルトの温度は55℃にもなるそうです。
熱中症だけでなく肉球やけどの危険もあるので、アスファルトの多い住宅街は散歩コースでなるべく避けておいた方が良さそうですね。
正解はAの「アスファルトの多い住宅街」です。
土や芝生はアスファルトに比べると太陽の照り返しが少ないので、表面温度は低くなります。
また、日向と日陰の地面の温度を比較すると15℃ほど差があるそうです。
そのため、夏場のお散歩は「土や芝生が多い道」や木陰ができやすい「木の多い公園」を選ぶといいですね。

犬の熱中症の警戒情報は毎年のように出ていますが、それでも熱中症を発症する犬は後をたちません。
少しの油断や誤った行動が犬の熱中症を引き起こしてしまいます。
今回ご紹介した内容を愛犬の熱中症予防や対策にぜひ役立ててくださいね。
<参考URL>
「日なた」と「日陰」の車内温度【JAFユーザーテスト】
>https://www.youtube.com/watch?v=0KiUCm-1B6k
島根県 気候変動適応情報 Vol.1
>https://www.pref.shimane.lg.jp/infra/kankyo/kankyo/chosa/tekiou_center/tekiou_jouhou/tekiou_jouhou_2022_03.data/tekiou_jouhou_r04_01.pdf
STOP熱中症プロジェクト アニコム損保
>https://www.anicom-page.com/tobyoki/yobo/yobo01.html
犬の熱中症 について こざわ犬猫病院
>https://www.anicare.net/illness/%E7%8A%AC%E3%81%AE%E7%86%B1%E4%B8%AD%E7%97%87/
<画像元>
Canva
<素材>
illust STAMPO

・(元)認定動物看護師
・一般社団法人日本小動物獣医師会 動物診療助手
やんちゃなミックス犬とおっとりトイプードルと暮らす。
大学在学中に「病気になる前の予防が一番大事」と気づき、
ペットフードやペットサプリメントの会社に就職。
「食」に関するさまざまな知識を身につける。
愛犬を亡くしたときに
「もっと色んな情報を知っておけば」と感じた後悔を
「他の飼い主さんにはさせたくない」との思いから、
ライター活動を開始。
「勉強になった・信頼・わかりやすい」を目標に情報を発信しています。

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