過ごしやすい季節は、愛犬を連れてアウトドアやキャンプへ行く機会が増えますね。
アウトドアやキャンプで気をつけなければならないのが「虫」の存在です。
刺されて少し痒いくらいならまだしも、出血をさせたり感染症を引き起こす可能性のある虫もいるので注意が必要です。
そこで今回は、アウトドアやキャンプで「犬が刺されやすい虫」と「刺されたときの対処法」を紹介するので、お出かけのときの参考にしてみてくださいね。
犬が刺されやすい虫①「マダニ」

キャンプやアウトドアで気を付けてほしいのが「マダニ」です。
マダニは暑い気候を好むため5~9月頃活発に活動します。
10月以降は活動が鈍ってきますが、マダニの生息地である水辺や深い草むらなどに行くときは注意しておきた方がよいでしょう。
「マダニ=血を吸う」イメージがあると思いますが、血を吸う以外にも様々な病気を媒介する原因になります。
▼マダニに刺されるとどうなる?
・大量に噛まれると犬が貧血を起こす
・アレルギー性皮膚炎を引き起こす(ダニの唾液がアレルゲンになる)
・バベシア症に感染する可能性(マダニに寄生しているバベシア原虫が犬の赤血球に寄生して破壊する病気)
・ライム病に感染する可能性(ライム病に感染しているマダニに刺されて発症。関節炎、全身性麻痺などの神経症状を引き起こす)
▼「マダニ」に刺されたらどうする?
犬の体にマダニを見つけたら、自分で取らずに動物病院に行きましょう。
取ろうとした拍子に潰れてしまうと、マダニの体内にある卵が散らばったり、アゴの部分がちぎれて体内にあごが残ってしまいます。
あごが残るとその部分から皮膚炎を起こしたり、引っ張った拍子にマダニの中の病原体が犬の体内に入る可能性があります。
マダニに噛まれて48時間以内であれば、病原体に感染するリスクは低いと言われているので、マダニを見つけたら、すぐに動物病院に行きましょう。
▼「マダニ」に刺されないためには?
愛犬をマダニに刺されないために下記のような対策を取りましょう。
・普段から予防薬(駆虫薬)を使っておく
・ドッグウェアを着て露出部分を減らす
・ペット用の虫除けスプレーを使用する
・犬の体をチェックし早めに寄生に気づく
マダニは犬だけではなく人へも寄生するので、飼い主さんも刺されない対策を取りましょう。
犬が刺されやすい虫②「アブ」

アウトドアやキャンプに行くときはアブにも注意しましょう。
犬は人よりも皮膚が薄いため、刺されると皮膚が炎症を起こすことがあります。
また、刺された箇所を気にして、傷口を舐めたり噛んだりするので、傷がなかなか治らないこともあります。
▼「アブ」に刺されたらどうする?
愛犬がアブに刺された場合は、刺された患部をすぐに水で洗い流しましょう。
刺された箇所が赤くなったり、腫れたり、愛犬が気にしている場合は早めに動物病院を受診しましょう。
刺された直後の皮膚の写真を撮っておくと、診察に役立ちます。
▼「アブ」に刺されないためには?
ドッグウェアを着せて、露出部分を少なくしましょう。
アブは黒色や濃い色に寄ってくる習性があるので、着用する服の色は白か明るい色がおすすめです。
毛の色が濃い犬や黒っぽい犬も刺される可能性があるので、白っぽい服を着用すると安心です。
また、ペット用の虫除けスプレーを使用したり、近寄ってくる場合はアブ専用のエアゾールで退治するようにしましょう(使用する場合は犬にかからないように注意しましょう)。
犬が刺されやすい虫③「ハチ」

草むらに顔を突っ込んだ拍子にハチを刺されてしまうことがあります。
また、土の中に巣をつくるハチもいるので、巣に気がつかずに接近して刺されてしまうケースもあります。
ミツバチであれば比較的軽い症状で済むこともありますが、スズメバチに刺されると危険度はぐっと上がり、強い痛みだけでなくアナフィラキシーショックを起こす可能性もあります。
スズメバチは黒いものを狙う習性があるので、黒い鼻や目があり、毛の短い顔まわりは特に刺されやすいので注意が必要です。
▼「ハチ」に刺されたらどうする?
ハチに刺されたら犬の体に針が残っていないかを確認しましょう。
針には毒袋がついているため、そのまま放置すると毒が体内に流れ込む危険があります。
針を抜くときは、患部の皮膚を軽くつまみ、ピンセットや毛抜きで抜くか、クレジットカードの端など薄くて硬いもので押し出しましょう。
犬が嫌がる場合や針が見つからない場合は、無理に抜かず動物病院で処置をしましょう。
針が抜けたら患部を流水で洗い、冷やしましょう。
痛みや腫れを抑え、毒の広がりを防ぐことができます。
針を抜いて患部を冷やしたら、すぐに動物病院で診察を受けましょう(何箇所も刺されたり多数のハチに刺されると命の危険があるので即動物病院へ)。
▼「ハチ」に刺されないためには?
ハチはアブと同様に色の識別ができるといわれており、黒っぽい色や濃い色には強く反応します。
アウトドアやキャンプに行くときは、犬に黒っぽい服を着せるのは避けた方がよいでしょう。
また、犬の近くにハチが来ても棒や手で振り払ったり大声を出すと、攻撃とみなして襲われることがあるので、静かに立ち去りましょう。
犬が刺されやすい虫④「ムカデ」

ムカデは暖かく湿った場所を好むため、普段の散歩コースにも潜んでいる可能性があります。
公園など土のある場所はもちろん、落ち葉の下や河川敷の石のすき間、キャンプ場の草むらや森の中などでは特に注意が必要です。
ムカデは刺激を与えない限り噛むことがありませんが、歩いているときに誤って犬が踏んだり、気になって触ってしまうと噛みついてくる可能性があります。
▼「ムカデ」に刺されたらどうする?
ムカデには強い毒性はありませんが、噛まれると激しい痛みが生じます。
また、ムカデの持つ毒にはハチと似たような物質が含まれており、刺された際にアナフィラキシーショックを起こすこともあります。
毒の活性を下げる為にお湯で患部を洗う、43度以上に患部を暖めると良いと言われていますが、43度は温度が高いので思うように犬が対応させてくれない可能性があります。
そのため、ムカデに噛まれた場合は、すぐに動物病院に行き処置を受けましょう。
▼「ムカデ」に刺されないためには?
ムカデは湿った暖かい場所を好むため、湿った土や草むらなどを歩かせるのはできるだけ避けるようにしましょう。
また、河川敷などの石がある場所では石の裏側にムカデが潜んでいる可能性があるので、石を裏返したり、動かしたりしないようにすることも大切です。
犬が刺されやすい虫⑤「ヒル」

ヒルは虫ではありませんが、アウトドアや森歩きに行くと噛まれる可能性が高いです。
ヒルは「ヒルジン」という血液抗凝固物質を出すので、噛まれると血が止まりにくくなります。
▼「ヒル」に刺されたらどうする?
ヒルを見つけたら、すぐに剥がしたくなりますが、無理やり剥がさないようにしましょう。無理に剥がすと傷が残りやすくなります。
吸血が終わるまで待つか、塩や塩水をかけると剥がれてくれることがあります。
また、噛まれた箇所が化膿する場合もあるので、患部を流水で洗って早めに動物病院に行きましょう。
▼「ヒル」に刺されないためには?
噛まれる機会を減らすためにドッグウェアを着用しましょう。
足首まで覆われているウェアがおすすめです。
また、犬が嫌がらないようなら犬用の靴で足元もしっかりガードしてあげるとよいでしょう。
また、ヒルはハッカを嫌うため、ハッカ水でヒルを寄せ付けないようにするのも良いでしょう(犬以外の動物と同居している場合はハッカはNG)

愛犬と自然を満喫するのは楽しいことですが、噛まれやすい虫にも対策が必要です。
アウトドアに行くときは、近くにすぐ駆け込める動物病院があるかも調べておくと安心ですね。
<参考URL>
犬・猫がムカデに咬まれたら(刺されたら)毒と症状と治療 アニウェル犬と猫の病院
>https://www.aniwel.com/blog/vm/2014/3384/
犬に寄生するマダニについて知ろう Zoetis Japan
>https://www2.zoetis.jp/dog-fleas-and-ticks/tick
犬 Babesia gibsoni 感染症の発生状況に関する全 国 アンケート調査
>https://www.jstage.jst.go.jp/article/jvma/65/4/65_293/_pdf
<画像元>
canva
・(元)認定動物看護師
・一般社団法人日本小動物獣医師会 動物診療助手
やんちゃなミックス犬とおっとりトイプードルと暮らす。
大学在学中に「病気になる前の予防が一番大事」と気づき、
ペットフードやペットサプリメントの会社に就職。
「食」に関するさまざまな知識を身につける。
愛犬を亡くしたときに
「もっと色んな情報を知っておけば」と感じた後悔を
「他の飼い主さんにはさせたくない」との思いから、
ライター活動を開始。
「勉強になった・信頼・わかりやすい」を目標に情報を発信しています。
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