暑すぎた夏が過ぎ、愛犬との散歩もしやすくなる秋。
公園内だけではなく、街路樹などでも葉っぱが紅葉に色づき始める季節に気を付けてほしいものに“毛虫”の存在があります。
今回は、秋でも発生する毛虫について、愛犬を守るためにできることや対処法をご紹介します。
そもそも毛虫ってすべて有毒なの?

皆さんは、“毛虫”というフレーズを聞いてどのようなイメージを持たれるでしょうか?
見た目のグロテスクな印象であったり、春に生息する幼虫であったり、様々だと思います。ただ、中でも一番根強いイメージとして挙げられるものとして言えば、やはり有毒というイメージではないでしょうか?
筆者も幼い頃は毛虫と聞くと体中に毛があって、その毛の一本一本にはすべて毒があるものだから危険だという印象を持ち合わせていました。
しかし実は毛虫という幼虫は、痒みや痛みを引き起こす有毒を持ち合わせて刺してくる種類と、触っても全くの害もない無毒の幼虫が存在します。
そのため、まずは犬にとっても人にとっても無害な毛虫と危険な毛虫の種類をそれぞれ確認してみましょう。
▼【無毒の毛虫の種類】
・マイマイガ
・モンクロシャチホコガ
・アメリカシロヒトリ
仮に触ったとしても無毒として知られている毛虫には、以上のような種類が存在しています。
これらの種類は見た目こそ、れっきとした毛虫というような姿をしていますが、これといった毒を持っている訳ではないため、例え誤って愛犬が踏んづけてしまっても心配はありません。
ただし、やはり毛虫なのでその毛が指や愛犬の肉球などに刺さってしまえば痛い場合があるため、その点には注意しましょう。
▼【有毒の毛虫の種類】
・チャドクガ
・イラガ
しかし一方で、このような種類がもしも愛犬の散歩ルートに存在していたなら、これらは有毒な成分を持ち合わせた種類なので注意が必要です。
次章では、これら毛虫の特徴※(イラスト)と発生時期についてご紹介しますが、万が一発見した際には、愛犬を近寄らせないように散歩ルートの変更など、工夫を検討するよう心掛けてあげてください。
※イラストではあるものの毛虫などの幼虫自体が苦手な方は、ご注意の上ご覧ください。
毛虫の発生時期っていつ?

それでは、ここからは有毒な成分を持つ毛虫の特徴と発生時期をご紹介します。
私たちが良く知る毛虫の発生時期は、種類によるものの主に4月から10月頃にかけて発生することで知られています。
ただし、種類によっては以下のように生息時期に多少の違いが生じています。
チャドクガの発生時期
4月~6月と8月~9月頃の年2回発生すると言われているチャドクガは、主に本州や四国、九州などのツバキ科の木(ツバキ、サザンカなど)やバラ科の木(サクラ、ウメなど)に生息すると言われています。
チャドクガは、卵・幼虫・脱皮した殻・さなぎ・成虫の全ての段階で毒針毛(どくしんもう)を持つとされており、刺されると強烈な痛みや激しい痒み、発疹が生じます。また、一般的に幼虫の毒針毛は50万本以上あり、その長さは約0.1ミリメートルと細かいため、風に乗っても飛散する恐れがあると言われています。
チャドクガの幼虫と卵の時期は、以下の画像のように重なっている部分がありますが、孵化して活動する時期に、丁度6月や9月頃と散歩のしやすい時期が重なっても居るため愛犬の散歩の際には注意しましょう。
▽『チャドクガの生育状況』
イラガの発生時期
イラガは7月~10月頃の主に日本全国に発生し、バラ科の木(サクラ、ウメなど)やツバキ科の木(ツバキ、サザンカなど)、他にも柿、梨、アンズ、ケヤキ、カエデの幹や枝など、様々な樹木に生息すると言われています。
イラガに生えている体中のトゲのような突起物は、全て毒針毛(どくしんもう)のため、刺された場合には電流が流れたような強い痛みを感じます。またイラガは様々な樹木の中でも、落葉樹を好む傾向が強いのと葉っぱの裏側に生息している傾向が強いため、落ち葉が集まる公園内での愛犬の散歩には、特に注意するよう心掛けましょう。
毛虫の発生に備えて愛犬にできることって?

では、秋の時期でも生息する毛虫から愛犬を守るためには、どうすれば良いのでしょうか?
犬は一般的に豊富な被毛で全身が覆われているため、皮膚のあまり露出していない鼻先以外の被毛に仮に毒針毛が付着したとしても、その毛のおかげでそこまで被害が及ぶということはありません。
しかし、毛のない鼻先や肉球の場合にはそうはいかず、万が一散歩中に愛犬が誤って毒のある毛虫を踏んづけてしまったり、鼻先に毒針毛が付着してしまったりした場合には、しきりに肉球を気にしたり、顔周りを気にしたりすることがあります。
毛虫が発生する時期に公園内の落ち葉の上を歩きたがるワンコの場合、そこは出来る限り避けて歩かせるように心掛けましょう。また、肉球の保護として犬用の靴を履いたりすることに抵抗がないワンコであれば、そういった対策で愛犬の肉球を守ってあげるのも効果的です。
一方で、好奇心から顔から落ち葉にダイブして散歩を楽しむワンコの場合、散歩から帰った際にはしばらく様子を見るよう心掛けましょう。
チャドクガなどの毛虫は、刺した直後や付着した直後は無症状の場合がほとんどだと言われています。
そのため、後から腫れや発赤が出てきた際には、むやみに愛犬を素手で触るようなことはせずに、動物病院を受診するよう心掛けると良いでしょう。
万が一愛犬が毛虫に刺されてしまったら…

こうした幼虫の毒というのは非常に稀ではあるものの、時にアナフィラキシーショックを起こしてしまう原因でもあるとされています。
そのため、万が一愛犬が毛虫に刺され、急激に異常が見られた際には迷わず動物病院を受診しましょう。
万が一、愛犬との散歩中または帰宅後、知らぬ間に愛犬がしきりに肉球を気にしたり、顔周りを気にしたりしていた場合には、まずは腫れや発赤などがないかを隅から隅まで確認しましょう。
チャドクガに刺された場合であれば、痛みの他に、痒みや発赤などが見られることがあります。一方で、イラガに刺されていた場合では、痒みよりも痛みの方が強烈のため、発赤や腫れなどが見られることがあります。
仮にこれらの異常が愛犬の肉球に見られた場合には、ガムテープなどで肉球に付いた毒針毛をペタペタやって取り除いてあげましょう。その上で、流水で十分に洗ってあげるようにしてください。
また、仮にこれらの異常が愛犬の顔周りに見られた場合にも、同じような対処で毒針毛を除去してあげてください。なお、こうした処置をする際には飼い主さん自身が素手でおこなわないよう注意してください。
こうした処置はあくまでも応急処置としての方法です。
しっかりと腫れや赤み、痒みなどを軽減させてあげる場合には、別途ヒスタミン剤の投与やステロイド剤軟膏などの処置が必要となりますので、自身での応急処置だけでは不安な場合には、動物病院で適切な処置を施してもらうと良いでしょう。
まとめ

いかがでしたか?
毛虫の一般的なイメージでは、桜が咲く3月下旬から長くても5月頃まで、という感覚を持ち合わせていた人は少なくないと思います。
しかし、実際の毛虫の発生時期は春だけではなく秋にもあるため注意しましょう。
特に毛虫が生息しやすい樹木の植えられている場所を散歩コースにしている場合や落ち葉などを好む愛犬の場合には、発生時期の間だけでもルートの変更、回避などを心掛けてあげましょう。
<参考サイト>
病気の話ーイラガ刺症|こうべどうぶつクリニック
>https://www.koube-ac.com/sick/?id=19
有毒ケムシ類ードクガとイラガ|神奈川県衛生研究所
>https://www.pref.kanagawa.jp/sys/eiken/008_topics/files/topics_040311_02.htm#05
チャドクガについて|板橋区
>https://www.city.itabashi.tokyo.jp/kenko/eisei/doubutsu/1050015/index.html
毛虫を駆除する方法|毛虫の見分け方や寄せ付けない対策も解説
>https://magazine.cainz.com/article/94055
<画像元>
photoAC
Canva

また、生前疾患の多かったシェットランド・シープドッグをキッカケに取得した愛玩動物飼養管理士などの様々な資格の知識を生かし、皆様に役立つような記事を提供、執筆出来ればと思っております。
何卒、よろしくお願い致します。

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