犬を迎えた方なら、一度くらいは犬にも糖尿病があるという話を聞いたことがあるのではないでしょうか?
糖尿病と聞くと、運動不足や日々の不摂生での肥満などが原因して起こるイメージが強いことから、日常生活に対する注意を意識する人は多いでしょう。
ですが、犬の場合には少し勝手が違うかもしれません。
今回は、犬の糖尿病について、その基本や犬がなりやすい糖尿病タイプ、主な症状や治療法と予防策をご紹介します。
<目次>
糖尿病ってどんな病気?

そもそも糖尿病とは、世間一般的に日々の生活習慣の不摂生が関係して発症する“生活習慣病”の一つと言われています。
インスリンの不足や働きの鈍りによって、慢性的な高血糖状態を招いてしまった場合、基本的にその状態は糖尿病と診断され、生活習慣の見直しや生涯に渡るインスリン投与の継続などが必要となります。
また、こうした代謝異常性疾患は、程度によっては、無症状から昏睡状態に至るまで幅広い症状が現れます。
さらに、糖尿病には基本的に、インスリン自体の分泌が無くなってしまうⅠ型糖尿病と不摂生や運動不足が原因して起こるⅡ型糖尿病に分けられます。
日本人の場合、この分類の多くは約9割(90%~95%)以上がⅡ型糖尿病とされ、残りの約1割(3%~5%)がⅠ型糖尿病とされているようです。
▽『人の糖尿病Ⅰ型・Ⅱ型の発症割合』
犬の場合も人と同様で、日々生活を送る中で何らかの原因がきっかけで、膵臓から分泌されるはずのインスリンが正常に分泌されなくなったりインスリンの働きなどが鈍ってしまったりすると、糖尿病になってしまうことがあります。
続いては、人にも犬にも発症する糖尿病のⅠ型とⅡ型のそれぞれの特徴を見ていきましょう。
糖尿病のⅠ型とⅡ型の主な特徴

人でも犬でもなる可能性のある糖尿病には、大きく分けてⅠ型とⅡ型というタイプの違いがあります。
まずは、それぞれの主な特徴を確認してみましょう。
Ⅰ型糖尿病の主な特徴
Ⅰ型糖尿病は、別名インスリン依存型とも言われ、生涯に渡ったインスリン投与が必要となるタイプの糖尿病です。
主に遺伝的要因や膵臓疾患による影響で、インスリン分泌が阻害された場合、このⅠ型糖尿病と診断されます。
Ⅱ型糖尿病の主な特徴
Ⅱ型糖尿病は、インスリン自体の分泌は正常に行われるものの、肥満やストレス、運動不足などが原因で、正常な分泌状態とならずに高血糖状態が続くタイプの糖尿病です。
主に7歳~9歳の中高齢のシニア犬に見られ、犬ではオスよりもメスに多く見られ、特に未避妊のメスの発症リスクは若齢期の4.5倍も高いと言われています。
犬の糖尿病タイプはⅠ型とⅡ型のどっち?

前述で、日本人の糖尿病割合の多くはⅡ型糖尿病が多いと説明しましたが、犬の場合、糖尿病タイプの多くはⅠ型糖尿病(約7~8割)と言われています。
一方、人と猫に多いと言われるⅡ型糖尿病については、犬の場合はわずかながらに見られると言われています。
犬の糖尿病を犬種別に見た場合、小型犬ではミニチュア・ダックスフンドやミニチュア・シュナウザー、トイ・プードル、中型犬ではキース・ホンド、大型犬ではゴールデン・レトリバーやジャーマン・シェパード、グレイハウンドといった犬種は、若齢期での発症が良く見られると言われています。中でもゴールデン・レトリバーやキース・ホンドでは、インスリン分泌を担うランゲルハンス島(膵島)の形成不全によって、Ⅰ型糖尿病が発症してしまうとも言われている程です。
ただ、犬が糖尿病を発症する割合は200頭に1頭と言われており、その内若齢期(1歳以下)で発症する割合は、2%~3%とごくわずかという情報もあります。
そして、残りのほとんどは6歳以上の犬での発症とも言われているため、6歳以上で肥満傾向にある愛犬は特に注意しましょう。
犬が糖尿病になってしまった時の主な症状とは?

犬がもしも糖尿病を発症してしまった場合、どのような症状が見られるようになるのでしょうか?
まずは、以下でその主な症状と詳しい内容を確認してみましょう。
▼【犬の糖尿病で見られる主な症状】
・多飲多尿
・体重減少
・白内障
・下痢や嘔吐
多飲多尿
犬が糖尿病を発症すると、よくおしっこをし、よく水を飲むようになります。
これは、血液中に増えた糖と一緒に余分に排泄された水分と、その水分を補うための水分補給で、糖尿病に罹った場合には典型的な症状の一つとして見られます。
体重減少
インスリンが足りないと、食事を摂っていてもブドウ糖を脂肪やグリコーゲンに変えて貯めたり、エネルギーとして効率よく利用することが難しくなったりしてしまうため、体重の減少が見られます。
特にシニアで食欲はあるのに体重の減少が見られたような時には、それを安易に加齢から伴うものと解釈しないよう注意が必要です。
白内障
糖尿病が進むと、人でも犬でも白内障になったりすることがあります。
この白内障は、糖尿病性白内障といわれる白内障で、糖尿病を患ったことによる合併症として発症します。
下痢や嘔吐
長い間糖尿病を放置しておくと、そのうちに血液中のケトン体という物質が著しく増え、下痢や嘔吐を引き起こすことがあります。
この状態は糖尿病性ケトアシドーシスと呼ばれ、これまでご紹介した症状の中でも一番重く、食欲の減退、飲水量の低下、元気の消失などが現れ、最悪は昏睡状態や命に関わる状態となり得ます。
犬の糖尿病の治療方法

犬が糖尿病を発症してしまった場合、Ⅰ型糖尿病であれ、Ⅱ型糖尿病であれ、その多くは生涯に渡るインスリン投与と食餌療法になります。
ただ、例えばこれが未避妊のメスだった時には、まずは避妊手術を行なうことから始めます。その後、体重のコントロールをするための食餌療法とインスリン投与という順番になります。
犬の糖尿病治療のためのインスリン注射は、通常獣医師の指示に従って飼い主さんが毎日注射する必要があります。
基本的にインスリンは冷蔵庫に保存し、使用する前にはよく容器を振ります。こうして内容物を混ぜ合わせてから一定の量を注射器に吸い取って、愛犬に皮下注射します。
インスリン注射をした後は、約3時間経つとその作用が出始め、8~12時間で血液中のインスリン濃度が最も高くなり、その働きも高まります。
またインスリンを投与する時は、愛犬には必ず作用が強くなる前に食餌を与えるよう注意しましょう。
さらに、こうしたインスリン投与は、その日の運動量や摂取したカロリー量によっても必要とするインスリン量は変わるため、飼い主さんは日々の愛犬の状態を逐一観察し、獣医師さんと連携しながら行ないましょう。
犬を糖尿病にさせないための予防策

愛犬を糖尿病にさせないためには、何と言っても普段から太り過ぎないように食餌管理を徹底しましょう。
また、その愛犬に適した運動を心掛けることも大切です。
食餌は、量よりもカロリーに気を付け、低脂肪、高繊維、高たんぱく中心の食餌が有効です。
このような除脂肪食餌療法は、必要とするインスリン量を減らして安定化させることが重要となります。一方で愛犬に適した運動については、小型犬だから30分程度といった考えではなく、犬種にとって適した運動量が大切です。
また、定期的に愛犬の体重を測定し、愛犬にとって理想的な体重のままかどうかを調べることも大切です。
一般的に犬の理想体重は、犬種によってそれぞれ違います。
それこそ、徹底的に体重管理をしようと思ったら、少し専門的な知識も必要となってしまいますが、そうでなくともその犬種の基本的な理想体重と、自身の愛犬の1歳時の体重がどれくらいだったかで、その子の目安体重が分かります。
例えば筆者の三代目柴犬つむぎであれば、1歳時の体重は大体7kgだったため、この体重を維持・目標とすると理想的と言えます。
犬を糖尿病にさせないための予防策には、以上のような心掛けが大切です。
人でも肥満などの生活習慣病は、百害あって一利なしと言われるものです。犬にとってもそれは同様なので、意識的に生活習慣は整えてあげましょう。
まとめ

いかがでしたか?
犬にとっても糖尿病はⅠ型とⅡ型に分けられるものですが、そのほとんどはインスリン分泌自体が上手く行えなくなってしまうⅠ型糖尿病に分類されます。
Ⅰ型糖尿病は日々のインスリン投与から食餌量の管理、運動量の管理など、なかなか一筋縄ではいかない管理が多いものです。
愛犬自身も糖尿病を発症してしまうとツラい思いをする疾患でもあるため、日々の愛犬の健康は、しっかりと管理してあげましょう。
<参考書籍>
犬の医学
もっともくわしいイヌの病気百科
最新版 愛犬の病気百科
<参考サイト>
犬と猫の病気と食事|糖尿病|ロイヤルカナン食事療法食VETSヘルスステーション
>https://portal.v.royalcanin.jp/health-and-foods/diabetic/
<画像元>
photoAC
また、生前疾患の多かったシェットランド・シープドッグをキッカケに取得した愛玩動物飼養管理士などの様々な資格の知識を生かし、皆様に役立つような記事を提供、執筆出来ればと思っております。
何卒、よろしくお願い致します。
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