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犬の避妊・去勢手術後に注意すること!術後の食事やお散歩、愛犬の変化について【動物看護師が解説】

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わんちゃんに避妊・去勢手術をさせた後は「安静に過ごしてください」といわれますね。

でも、「散歩は行っていいのかな?」「ご飯はどうしたらいいだろう?」「いつもと様子が違う?」など心配事や悩み事も多いと思います。

飼い主さんがよく感じる悩み事や避妊・去勢後の注意点を解説するので、よかったら参考にしてくださいね!

愛犬の避妊・去勢後の食事は?

手術当日の夜ごはんは少し少なめに与えましょう!(普段の量の2/3程にする)

麻酔をかけるために前日に絶飲・絶食をしています。お腹の中が空っぽの状態なので、急にたくさん食べると吐いてしまったり、下痢をすることがあります。

❖食欲がないときは?
傷の痛みや手術の動揺から手術直後は食欲が落ちる子が多いです。
ご飯を食べた方が回復も早いので、少量でも口に入れられるように、好きなものをフードにトッピングしてあげるなど工夫してあげましょう。
水分補給もできるのでドッグフードをお湯でふやかしたり、缶詰を与えることもオススメです。
手術翌日からは、通常の量に戻しても問題ありません。

避妊・去勢後、愛犬のお散歩はいつから行ってもいいの?

いつから散歩に行けるかは獣医師さんによって意見が分かれることが多いですが、共通しているのが下記のことです。

・激しい運動は避けてほしい
・天気が悪い場合は行かない

激しい運動をすると傷口が開いたり痛みが激しくなる可能性がありますし、天気が悪いと汚れで傷口が膿んでしまう可能性があります。

散歩に行きたがる、外でしか排泄をしないという場合は、獣医師さんに確認してゆっくり短時間だけ散歩に行きましょう。

抜糸までは激しい運動や長時間の散歩は避けて、お家の中で長めに遊んで(引っ張りっこやボール投げなどはNG)ストレスを発散させてあげましょう。

避妊・去勢後によくある4つの悩み事

①愛犬の元気がない

手術の後に「元気がない」「ぐったりしている」という事をよく聞きます。

あくまで一例ですが、原因としては下記のことが考えられます。

麻酔をかけ、お腹を切っているので飼い主さんの想像以上にぐったりしていることは多いですが、3日ほど経つと徐々に回復してきます。

3日たっても元気がないようであれば、別の異常も考えられるので、動物病院に連絡しましょう。

また痛がっているようなら、下記の図とわんちゃんの様子を照らしあわせてみましょう。

レベル0 レベル1 レベル2 レベル3 レベル4
痛みの兆候は見られない   ケージから出ようとしない   痛いところをかばう   背中を丸めている   持続的になきわめく  
    逃げる   第3眼瞼の突出   心拍数増加   全身の強直  
  尾の振り方が弱々しい、振らない   アイコンタクトの消失   攻撃的になる   間欠的になきわめく  
  人が近づくと吠える   自分からは動かない(動くよう促すと動く)   呼吸が速い   持続的に鳴く  
  反応が少ない   食欲低下   間欠的に唸る   持続的に唸る  
  落ち着かない、そわそわ   じっとしている(動くよう促しても動かない)   間欠的に鳴く   食欲廃絶  
  寝てはいないが目を閉じている   術部に触れられるのを嫌がる   体が震えている   散瞳  
    元気がない   耳が垂れたり、平たくなっている   額にしわを寄せた表情   眠れない  
    動きが緩慢   立ったり座ったり   体に触れたり、動かそうとしたりすると怒る      
    尾が垂れている       流涎    
    唇を舐める       横臥位にならない    
    術部を気にする、舐める、咬む       過敏    
    ケージの扉に背を向けている       術部を触ると怒る    

引用元:https://dourinken.com/forum/itamiken/

「犬の急性痛ペインスケール」は動物痛み研究会が定めた「犬の痛みの評価基準」です。

レベル3以上になると、追加の鎮痛剤や痛み管理を見直す必要があるので、獣医師さんに相談しましょう。

➁愛犬が傷口を気にしている

傷口を縫っているので引っ張られるような違和感や痛みから傷口を気にするわんちゃんは多いです。

そのため傷口を舐めないようにエリザベスカラーを装着するのですが、装着の違和感からイライラして暴れたり、逆に動かなくなることがあります。

❖傷口を気にしないためには?
・犬に負担の少ないエリザベスカラーに変える
・傷口を保護する服(術後服)を着る
・気を紛らわす物(かじるオモチャなど)を与える

「柔らかい素材」や「視界を遮りにくい」など、犬の負担を少なくする工夫がされているエリザベスカラーもあるので、そういった物に変更してあげましょう。

またエリザベスカラーを嫌がる子は、術後服(傷口を保護するための服)を着るという選択肢もあります。

➂愛犬がなかなか排泄をしない

手術の前には絶飲・絶食をする場合が多いですね。そのため排便のリズムが崩れて、術後は数日排便をしないことがあります。

また力んだりしゃがんだりすると、痛みが走って排泄をしにくいのかもしれません。

丸1日以上おしっこが出ない場合、尿毒症の危険や他のトラブルの可能性もあるので、すぐ動物病院に相談しましょう。(排尿しやすいようにフードをふやかすなど意識的に水分は取らせてあげてください。)

④震えている

術後にガタガタ震えているという事もよく聞きます。

原因として下記のようなことが考えられます。

❖どうして震えるの?
・痛みやしびれがある
・手術が怖かった

痛みやしびれがある

寒い時に体が無意識にブルブル震えることを「シバリング」といいます。

「シバリング」は痛みやしびれを感じているときにも起きるので、術後に痛みが出てきて、震えているのかもしれません。

しびれの場合は神経に異常が出ているかもしれないので、2~3日たっても続くようなら動物病院に相談してください。

手術が怖かった

「避妊・去勢後の変化に注意」で詳しく書きますが、わんちゃんにとって手術は心的負担も大きいです。

怖い思いがトラウマになって震えているのかもしれません。

避妊・去勢後の愛犬の変化に注意!

手術後のストレス反応

「採血の針の痛みにたえる」「薬を飲むときの副作用」など医療行為には多かれ少なかれ、患者さんのストレスが付きまといます。

このストレスのことを医学用語で「侵襲(しんしゅう)」といいます。

手術は医療行為の中でも大きな侵襲をともなう治療のひとつです。

この侵襲は精神面に出ることもあれば、免疫低下などの肉体面に出ることもあります。

術後に「怯えがひどくなった」「体調を崩しやすくなった」といったことが見られたら、侵襲が原因かもしれません。

トイレを失敗する

術後に「トイレを失敗する」ことはありませんか?

トイレを覚えたはずなのにとショックを受けるかもしれませんが、わんちゃんのせいではないのです。

トイレを失敗するのは、わんちゃんにとっても飼い主さんにとっても辛いですね。

改善するお薬もあるので獣医師さんに相談して、もう一度トイレトレーニングを頑張りましょう。(全ての犬に起こるわけではありません。)

体脂肪が増える

避妊・去勢手術をすると、体脂肪が増える傾向にあることがわかっています。(特に1歳未満で手術をした子の方がより太りやすい)

肥満はさまざまな病気の引き金になるので、意識的に太らせないようにしましょう。

❖太らせないためにどうする?
・ローカロリーフードへの切り替え(量だけ減らすと栄養バランスが崩れることも)
・しっかり運動をする
・体重や体形をこまめにチェック

毛の質が変わる・脱毛

ホルモンバランスの変化で「毛の状態が変わる」「脱毛」などが現れることがあります。(ダックスフントに多く見られるようです)

避妊・去勢によるホルモンへの影響ではないかという見方もありますが、わかっていないことが多く因果関係も証明されていません。(海外では因果関係を疑う論文もでています。)

ホルモン剤の投与で改善したという報告もあるので、もし症状がひどい場合は皮膚科専門の獣医師さんに相談してはいかがでしょうか。

決心をして避妊・去勢手術をしたけれど「こんなことも起きるの?」と不安に思う飼い主さんも多いです。

術後の影響も対応も幅広く知って、不安を解消する手助けになれば嬉しいです。

<参考文献>

・Spaying-induced coat changes: the role of gonadotropins, GnRH and GnRH treatment on the hair cycle of female dogs

・イヌにおける腹腔鏡下手術が生体に与える影響 朴永泰 Ve.C.動物病院

・犬の去勢が体組成に及ぼす影響に関する研究 日本大学大学院獣医学研究科獣医学専攻 小林豊和

・イヌの避妊手術が骨密度および副腎機能に及ぼす影響とその対策 東京農工大学農学部獣医学科 岸本 海織

・不妊手術後に発症した性ホルモン失調の犬の1例 獣医臨床皮膚科

・Neutering Dogs: Effects on Joint Disorders and Cancers in Golden Retrievers

・Long-term risks and benefits of early-age gonadectomy in dogs

・術後の痛みどめ,実はオーナーは欲しがっています! 獣医師プログラム 疼痛管理

・診療科目と症例紹介 尿漏れ(失禁)まつき動物病院

尿漏れ(失禁)|まつき動物病院|犬と猫の内科の病院|千代田区岩本町
尿漏れ(失禁)、千代田区岩本町の犬と猫の内科の病院「まつき動物病院」です。ホームドクターとしての予防や健康診断から、専門診療まで幅広く対応します。動物の病気のことや、日々気になることなど、お気軽にご相談ください。

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<画像元>

Unsplash

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伊藤さん

伊藤さん

・倉敷芸術科学大学 生命動物科学科卒業
・(元)認定動物看護師
・一般社団法人日本小動物獣医師会 動物診療助手

やんちゃなミックス犬とおっとりトイプードルと暮らす。

大学在学中に「病気になる前の予防が一番大事」と気づき、
ペットフードやペットサプリメントの会社に就職。
「食」に関するさまざまな知識を身につける。

愛犬を亡くしたときに
「もっと色んな情報を知っておけば」と感じた後悔を
「他の飼い主さんにはさせたくない」との思いから、
ライター活動を開始。

「勉強になった・信頼・わかりやすい」を目標に情報を発信しています。
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