犬は夏場にも乾燥するってご存知ですか?
乾燥と聞くと、どうしても夏場よりも冬場のイメージが強く感じられてしまいますが、実は犬の乾燥は夏にも、そして、夏のシャンプーの仕方によっても起こり得る場合があります。
今回は、そんな犬の夏場の乾燥原因からシャンプーのNG行動3つ、適切なケア方法をまとめました。
<目次>
犬が夏場起こす乾燥の主な原因
犬が夏場に起こしてしまう乾燥の主な原因とは一体なんでしょうか?
まずは以下で、夏場に起きやすい乾燥の主な原因をいくつか確認してみましょう。
夏場乾燥する主な原因①:エアコンによる乾燥
夏場には決して欠かすことの出来ないエアコンの冷房。
しかしこの冷房による湿度の低下や温度の低下は、熱中症などを防いでくれる一方で、皮膚の角層の乾燥(インナードライ)を招いてしまう場合があります。
夏場や冬場のエアコンは、どちらも欠かすことが出来ないアイテムではありますが、どちらも使い方を誤れば愛犬の乾燥に繋がってしまうため、注意しましょう。
夏場乾燥する主な原因②:紫外線ダメージによる乾燥
紫外線に当たることで皮膚の乾燥を招いたり、皮膚がダメージを受けてしまうことは、多くの方がご承知の通りかと思います。
しかし、これは犬でも例外ではなく、犬も人同様紫外線のダメージは皮膚に影響を及ぼすため、注意が必要です。
とはいえ、豊富な被毛で覆われている犬の場合、目から直接入ってくる紫外線量の影響以外は、そこまで大きくはないでしょう。
ただし、これが極端なサマーカットをしていたり、被毛が薄い場所(例えばお腹や脇)であったりした際には、そうした部分は紫外線の影響を直接受けているため、しっかりとしたケアが必要です。
犬は夏シャンプーをした後も乾燥が起こるの?
それでは、犬が夏にシャンプーをした後も乾燥は起こるのでしょうか?
結論から申し上げれば、なり得る可能性はあります。
ただ、これは次章でお伝えする夏にやりがちな行動、忘れがちなケアなどを怠らなければ、そこまで乾燥が起こるということはないかもしれません。
しかし、これが皮膚疾患を患いやすい犬種だった場合には、梅雨時期からその皮膚トラブルは悪化してくるため、シャンプー頻度の影響によって乾燥肌になる危険性があります。
▽『犬と人の皮膚の厚さイメージ』
だからと言って皮膚疾患になっていない犬にその危険性がないかと言われればそうではありません。
そもそも犬の皮膚と人の皮膚の厚さは、上記イメージ図の通り、随分と違います。人の約1/3の薄さしかない犬の皮膚では、例え皮膚疾患のない犬種であっても、ちょっとした事で乾燥肌を起こしてしまう場合があるため、犬にシャンプーをおこなう時には冬に限らず、夏場にも同じように犬の皮膚事情を考慮しておくよう注意しましょう。
では、私たち飼い主が無意識にやってしまう前に気を付けておきたいNG行動3つを次の章で詳しく見ていきましょう。
犬の夏場シャンプーNG行動①:自然乾燥
犬の夏場のシャンプーで、私たち飼い主がつい無意識にやってしまいがちな行動の一つ目は、愛犬の被毛の自然乾燥です。
自然乾燥は一見すると、愛犬が嫌がりやすいドライヤーを使うことなく、且つ晴れてカラッとした陽気の日であればすぐに乾いてくれるような、正に一石二鳥とも思えるような方法です。
そのため、タオルドライをし終わったら、あとは太陽にお任せと、つい無意識にやってしまっている飼い主さんは多いかもしれません。
けれど、こうした方法は人の毛髪でもそうですが、犬の被毛もキューティクルが開いたままになり、毛質の悪化を招きます。
加えてこの方法では、シャンプー後に完全に乾燥するまで長時間放ったらかしにしていると菌の増殖も招いてしまうため、せっかくシャンプーをしても皮膚疾患の悪化に繋がってしまう可能性があります。
毛質悪化と皮膚悪化を招かないための適切なケア方法
キューティクルを傷付けず、且つ皮膚疾患の悪化を招かない適切なケア方法は、タオルドライとドライヤーの併用です。
ただ、ここで気を付けておきたいのは十分にタオルドライをすることと、短時間でドライヤーを終わらせることです。
犬の皮膚というのは上記でもお伝えした通り、とても乾燥しやすい性質を持ち合わせています。
そのため、適切なケア方法のコツとしては、以下の方法でしっかりとケアしてあげましょう。
<タオルドライ>
表面だけではなく毛の根本付近もしっかりと水気を拭き取る。ゴシゴシ擦って拭くのはNG
<ドライヤー>
怖がるようならまずは弱風を愛犬から20~30cm離した状態で乾かす。毛量が多く乾きづらい時にはマイクロファイバータオルを掛けた状態で乾かし、仕上げは冷風でキューティクルを整える。
犬の夏場シャンプーNG行動②:ドライの後、保湿をしない
夏場にシャンプーした後、つい忘れがちな行動二つ目は、保湿です。
特に保湿シャンプーや保湿リンスなどと記載があるものを使用していると、必要だと分かっていてもタオルドライやドライヤーで乾かしているうちについ忘れてしまったり、また、愛犬自身がにおいに敏感で嫌がると「可哀そうだから…」と大目に見てしまう飼い主さんも少なくないかもしれませんね。
しかし、保湿をしないことは愛犬の皮膚の乾燥を招き、バリア機能の低下や痒みの原因になります。
そのため、人の場合でも洗顔の後やお風呂から上がった後に化粧水や保湿クリーム、乳液などを付けるのと同じように、犬にも保湿する心掛けが大切です。
バリア機能低下や痒みを招かないための適切なケア方法
愛犬の大切な皮膚のバリア機能、また、痒みの発生を招かないためには、適切な保湿ケアが重要です。中でもその時に気を付けておきたいのは、セラミド成分が配合されている保湿クリームなどを使用することでしょう。
セラミドは、皮膚の角質層に存在する保湿成分で、皮膚に備わっているバリア機能を維持する働きを持った成分のことを言います。
皮膚疾患でも特にアトピー性皮膚炎を患いやすい犬種の場合、セラミド成分配合の保湿剤は、治療にも良く使われているもののため、とてもオススメです。
使用する時には、ものによって香料・無香料があるため、そういった部分に気を付けながら愛犬に合ったものを使用しましょう。
犬の夏場シャンプーNG行動③:低温の水でシャンプーする
犬のシャンプーをする際、つい忘れてしまいやすい行動の三つ目はシャワー温度です。
特に夏場は暑いからという理由で、シャワーの温度をぬるま湯(35℃~36℃ほど)に設定せず、水でシャンプー剤を洗い流す人も多いかもしれません。
しかしその方法は、シャンプー剤の洗い残しの原因、シニア犬や幼犬の場合への低体温症、愛犬自身が嫌がってしまったりする原因を招いてしまう場合があります。
また逆に、夏場に38℃以上の温度設定で愛犬のシャンプーをおこなった場合、それは熱中症などの原因になります。
犬はシャワー自体を怖がったり、苦手意識を持ったりする子が多く居ます。そのため、冬場であれ夏場であれ、適切な温度設定を心掛けることが大切です。
低体温症や熱中症を招かないための適切なケア方法
犬の夏場シャンプーで低体温症や熱中症を起こさないためには、何よりもシャワーの温度、そしてお風呂場の環境に気を付けましょう。
一般的に犬にシャワーを浴びせる際の適切な温度というのは、大体冬場で37℃~38℃、夏場では35℃~36℃と言われています。
この温度よりも低い場合、上記でもお伝えした通り低体温症や内臓への影響、また苦手意識などに繋がってしまったりするため、シャワーの温度は愛犬の基礎体温(38℃前後~39℃前後)より少し低めのぬるま湯に設定しましょう。
またお風呂場の環境については、窓があれば窓を開けたり、換気扇を回したりすることで、熱中症にならないよう心掛けることが大切です。
夏場は特に、例え35℃~36℃のぬるま湯でシャンプーをしていても、お風呂場の環境次第では高湿度が保たれて、熱中症の危険性が考えられます。
そのため、夏場のシャンプーをする際には必ず換気扇を回すか、窓を開けるよう心掛けましょう。
まとめ
いかがでしたか?
今回は、犬の夏場の乾燥について、また、シャンプーでついやってしまいがち・忘れがちのNG行動の3つ、合わせてそのケア方法をそれぞれご紹介しました。
犬の皮膚はとてもデリケートなため、夏場に悪化しやすい皮膚疾患とは関係なく、気付いたら痒がっていたり、皮膚が赤くなっていたりすることがあります。
こうした場合は、もしかしたらシャンプーのやり方に問題があるかもしれません。
もしも皮膚疾患のない愛犬で、ご自身にも思い当たる節がない時には、今一度シャンプーの方法や生活環境を見直してみてくださいね。
<参考書籍>
イラストでわかりやすい! 愛犬との絆がぐーっと深まる本
<参考サイト>
皮膚科におけるシャンプー療法のストラテジー
また、生前疾患の多かったシェットランド・シープドッグをキッカケに取得した愛玩動物飼養管理士などの様々な資格の知識を生かし、皆様に役立つような記事を提供、執筆出来ればと思っております。
何卒、よろしくお願い致します。
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