自然に生えている草花や木の実などは、犬にとって興味の対象になることが多いものですよね。中でも【松ぼっくり×犬】といった組み合わせでは、なぜだか『犬が好む』イメージを持つ飼い主さんも多いのではないでしょうか?
今回は、犬が松ぼっくりを好む理由から飼い主さんが知っておきたいリスク、予防法などを解説します。
何気なく遊ばせている松ぼっくりの意外な危険性もご紹介するので、ぜひ最後までお付き合いください。
<目次>
そもそも松ぼっくりって何?

多くの犬が、なぜだか好みやすい松ぼっくりですが、そもそも松ぼっくりが何なのかご存知でしょうか?松に生える木の実?それとも種?
正解は、松の木や杉の木から出来る種子(タネ)を保護するための「球果(きゅうか:別名松かさ)」と呼ばれる器官が、松ぼっくりです。
▽『松ぼっくりの正体』
つまり、松ぼっくりは木の実でも種でもなく、どちらかというと外皮という扱いに近い存在です。
そして、松ぼっくりの役割は主にこの種子を守ることだと言われているため、当然中には種子が詰まっています。
ただ通常松ぼっくりは、その種子を飛ばすまでは、木から落ちることはあまりないようです。
▽『木の上で笠を開き種を飛ばす松ぼっくり』
けれど役目を終えたら松ぼっくりは、最後には地面に落ちて、私たち人や愛犬たちが良く目にする『松ぼっくり』の姿となります。
▽『役目を終え、地面に落ちた松ぼっくりたち』
そのため、地面に落ちた松ぼっくりに例え愛犬が齧りついていても、その中の種子は既にカラだと思って問題ないでしょう。
犬が松ぼっくりを好む理由

松の木にとっては種を守る重要な役目を果たす松ぼっくりですが、犬にとっては単なる外皮のはず。
それなのに、なぜ犬からは好まれることが多いのでしょうか?それは、以下のような理由が考えられるからです。
犬が松ぼっくりを好む理由①:自然の匂いがするから
生活の多くを嗅覚に頼って過ごしている犬にとって、木や土といった自然の匂いを感じられる松ぼっくりは、とても魅力的な遊び道具となり得ます。
松ぼっくり特有の匂いは犬の興味を掻き立てやすいため、犬は好んで松ぼっくりを咥えたがる場合があるのです。
犬が松ぼっくりを好む理由②:噛み応えがあるから
松ぼっくりのその独特な形状は、犬の興味と噛み心地をとても惹きやすい傾向にあります。
特に松ぼっくりには、他の植物にはない独特な噛み応えが感じられることから、犬にとっては「噛むのに丁度良いおもちゃ」として、好まれる傾向が強いです。
犬が松ぼっくりを好む理由③:本能的な好奇心が刺激されるから
犬は元々本能的に噛む習性が身に付いており、その上好奇心も旺盛な動物と言われています。
そのため、松ぼっくりのような見た目からして特徴的な植物は、犬にとって未知の物として興味をそそる対象となることがあります。
犬は松ぼっくりを口にしても大丈夫?

それでは、このように犬の興味を惹きやすい松ぼっくりを、犬が口にしても問題ないのでしょうか?
結論から申し上げれば、松ぼっくりには犬に有毒となる成分は含まれていないため、口にしても問題はありません。
しかし、たくさん口にしてしまったり、噛み続ける時間が長くなったり、はたまた松ぼっくりを一個丸まる飲み込んだりした場合には、腸閉塞や下痢や嘔吐の原因になることがあります。
犬にとって松ぼっくりという対象は、多くが「遊べるおもちゃ」という認識だと思います。それは、そばで見守る飼い主さんにとっても、同じ認識の人は多い事でしょう。
けれど、松ぼっくりは齧り方や遊び方によっては、口腔内の出血や消化管の損傷などに繋がる場合があります。
特に小型犬や子犬の場合、松ぼっくりのゴツゴツした質感や形状、大きさは、喉に詰まらせる可能性が高いため、一段と気を付けておきましょう。
松ぼっくりを飲み込んで、万が一腸閉塞や消化管などを傷付けてしまうと、その除去には開腹手術などの処置が必要となる場合があります。
松ぼっくりは、絶対に口にさせてはいけないという訳ではありませんが、安易に口にさせ過ぎる行為は、かえって消化器官系に悪影響を及ぼす可能性があるため、ほどほどにするよう心掛けましょう。
覚えておきたい松ぼっくりによる犬への健康リスク

松ぼっくり自体に有毒となる成分が含まれていないとはいえ、全く犬への健康リスクがないかと言ったら、そうではありません。
松ぼっくりは、前述でも述べた通り、口にし過ぎたり噛み続ける時間が長かったり、松ぼっくりを一個丸まる飲み込んだりした時には、消化管への健康トラブルを招く危険性があります。
しかし、それと合わせて、さらに松ぼっくりには以下のような有害物質へのリスクも考慮しておくことが大切です。
▼【松ぼっくりの犬への健康リスク】
・農薬などの散布剤
・カビや菌
・寄生虫や細菌
松ぼっくりを生やす松の木などへは、松へ特に悪影響を及ぼす除草剤の使用は禁止されていますが、代わりに農薬の使用がされている場合があります。
農薬は、皆さんもお察しの通り口にすれば中毒症状などを起こしかねず、人にとっても犬にとっても有害となり得るため、落ちている松ぼっくりを洗わずそのまま与えたり遊ばせたりするのは、止めましょう。
また、松ぼっくりは農薬以外にもカビや菌、寄生虫や細菌といった微生物が数多く付着している可能性があり、安易に口にさせると、後々腹痛や嘔吐などを招く場合もあります。
松ぼっくりは、実りこそ10月~12月の秋頃という周期が存在しますが、落ちているかどうかは松ぼっくりによって様々で、一年中見掛けることが珍しくない植物です。
そのため、農薬の散布時期や落ちた時期に関わらず、愛犬が松ぼっくりを見つけて遊びたそうにした時には、勢いのままに愛犬に松ぼっくりを咥えさせるようなことがないように注意しましょう。
安易に松ぼっくりを口にさせない予防法

松ぼっくりを咥えて楽しそうにする愛犬を目にするのは、飼い主からするととてもほっこりする光景ですが、それが日常化してしまっている場合には、対策や予防をした方が賢明です。
具体的には、愛犬の噛みたい欲求などが日頃から強い場合、松ぼっくりに変わるような噛むおもちゃを用意してあげると良いでしょう。
▲【小型犬用 蝦夷鹿の角】|鹿角さんstore楽天市場店|価格:1,078円(送料無料)|四つ割り1本入り
引用元:https://item.rakuten.co.jp/tezukuriyasan-hokkaido/10000000/
上記商品のような鹿角の場合、一本を噛み終わるまでには相当時間を要します。
途中で満足して愛犬が噛み終わった後は、噛んだ部分を一旦水洗いし、風通しの良い場所でしっかりと乾燥させると、再度また与えることが可能です。
また、このような噛むおもちゃやおやつに加え、日頃から咥えたものを放すしつけも一緒に行うことで、より予防が見込めます。
ただ、犬は本来一度自身が咥えたものを再度『放す』という行為を、どちらかというと苦手とします。
特に松ぼっくりのような独特な形状や噛み心地に興奮しやすい愛犬の場合、安易に取り返そうと手を出してしまうと、最悪手を咬まれて流血してしまう危険性があるため、慎重に行いましょう。
『ちょうだい(放せ)』というしつけは、最初は段階を踏んで少しずつ慣らしていくのがコツです。
以下の記事では、おもちゃ遊びを通じて教えるしつけ方法をご紹介しています。
気になる方は、ぜひご覧になってみてください。
▼【合わせて読みたい!こちらの記事もオススメです】
犬とのおもちゃ遊びはしつけにも効果的!おもちゃの種類別効果と教えるコツをご紹介!
>https://www.inutome.jp/c/column_9-440-54267.html
まとめ

いかがでしたか?
秋の季節となると、特に松ぼっくりを目にする機会が多くなると思います。けれど、愛犬の松ぼっくりの遊ばせすぎは、思わぬ健康被害やリスク、事故に繋がる可能性もあるため、注意が必要です。
それでもやっぱり松ぼっくりを咥えて楽しそうにする愛犬の姿が可愛くて仕方ない時は、決して目を離さずに、常に見守った上で安心安全な状態で万全を期して、遊ばせてあげましょう。
<参考サイト>
知ってるようで知らない「松ぼっくり」のヒミツと松ぼっくりのクリスマスツリーの作り方
>https://global.honda/jp/philanthropy/hondawoods/forest/library/041/
<画像元>
photoAC

また、生前疾患の多かったシェットランド・シープドッグをキッカケに取得した愛玩動物飼養管理士などの様々な資格の知識を生かし、皆様に役立つような記事を提供、執筆出来ればと思っております。
何卒、よろしくお願い致します。

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