ジメジメした梅雨の季節には、人だけではなく犬もまたストレスを抱え込みやすくなりますよね。
特に雨が連日続いてしまうと、散歩に行けない状況はもちろんのこと、愛犬にも起こり得る気象病や罹りやすい皮膚疾患の影響で、益々ストレスを溜めてしまうなんてこともあると思います。
そこで今回は、梅雨時期に愛犬が抱えやすいストレスで見せるストレス反応やその際知っておきたいメンタルケア方法などをご紹介します。
<目次>
そもそも『ストレス』とは具体的に何を指すの?

世間一般では、ストレスが溜まると心身に不調を来す、そのため、そうならないためのメンタルケアが重要。
…なんてことを耳にしたりしますが、では、その『ストレス』とは、具体的に何をもってストレスと言うのでしょうか?
一般的にストレスとは、医学的に言えば「寒冷、外傷、疾病、精神的緊張などが原因となった体内で起こる非特異的な防衛反応」と定義されています。
防衛反応、と聞くと一見聞こえは良いですが、【刺激(ストレッサー)に対して反応を見せるもの】と考えると、どうでしょうか?
これらは、一時的であれば環境の変化に関係なく生理機能を一定に保ってくれる性質を持つホメオスタシス(恒常性)のおかげで、数日のうちに回復することが可能です。

しかし、湿気が多く雨も長続きしやすい梅雨では、普段の犬の散歩に行けない日が多くなるだけに留まらず、自律神経の変化や皮膚疾患の悪化も生じやすくなる季節のため、ストレスを溜め込みやすくなってしまいます。
すると、本来であれば機能するはずのホメオスタシス(恒常性)が正常に機能しなくなり、犬の問題行動に発展してしまいかねない可能性があるのです。
愛犬にストレスが掛かる仕組みは本能と理性が関係している?

では、ホメオスタシス(恒常性)が正常に機能しなくなるとはどういうことでしょうか?
まずは以下で人と犬の脳の違いを表した図を確認してみましょう。
▽『人の脳と犬の脳の比較・ストレスの掛かり方』
引用元:しつけの常識にしばられない 犬とのよりそイズム|左:人の脳 右:犬の脳
いかがでしょうか?
この図を見ても分かる通り、人であれ犬であれ、大まかな脳の作りに違いは見られません。
さらに、理性を司る大脳新皮質と感情を司る大脳辺縁系、そして、呼吸や意識、循環などの生命を司る脳幹までも、変わりなく機能しています。
上記でもお伝えしましたが、通常ストレスと言うのは一時的であれば、数日のうちにホメオスタシス(恒常性)の機能のおかげで、ストレスの改善を見込むことができます。
しかし、例えば犬が大脳辺縁系の本能(感情)で「散歩に行きたい!」と感じて飼い主さんにおねだりをしても、飼い主さん自身が大脳新皮質の理性で「今日は行かないよ」と制止してしまうと、当然ですが、犬にとってはストレスが掛かる結果となってしまいます。
▽『犬のやりたいことが出来ない時の脳の働き』
引用元:しつけの常識にしばられない 犬とのよりそイズム
こうした日常が何日も続いてしまうような梅雨時期では、本来であれば正常に機能するはずのホメオスタシス(恒常性)が、度重なる制止によるストレスの影響で機能が弱まり、最終的には愛犬の感情や身体に、異変を生じさせてしまう可能性があるのです。
愛犬が梅雨時期見せるストレス反応とは?

それでは、致し方ないこととはいえ梅雨時期に散歩に行けないなどで、もし愛犬にストレスが掛かっていた場合、どのような反応が見られるのでしょうか?
主に挙げられるストレス反応をいくつか確認してみましょう。
▼【犬が梅雨に抱える主なストレス反応】
・普段しないイタズラをする
・濡れていないのに身震いする
・無駄吠えが多くなる
・落ち着きがなくなる
・攻撃的な態度を取る
・やたらとあくびをするようになる
・自身の体を噛んだり執拗に舐めたりする
以上が、犬が梅雨に抱える主なストレス反応です。
こうした反応は、梅雨で思うように散歩に行けない状態が続いたり、室内でのストレス発散方法が足りていなかったり、理由は様々です。
ただ、中でも自身の体(特にしっぽ)を噛んだり、執拗に手足を舐め続けてしまっていたりする場合、それはストレスだけではなく、常同障害と言われる精神疾患の一つが関係している場合があるため、注意が必要です。
また、こうした反応を見せた時に思わず「ダメ!」や「コラ!」と言って愛犬を叱ってしまう行為も、かえって状況を悪化させてしまうため、注意しましょう。
こうした状況を打開するためには、愛犬がストレスを感じているかいないかをしっかりと観察し、ストレスを感じているようなら、原因となるものをしっかりと取り除くことが大切です。
梅雨の愛犬のメンタルケア方法

犬にとって散歩はとても重要なルーティンの一つではありますが、そうした日常のルーティンを我慢させざるを得ない日が続いた場合、梅雨時期の愛犬へのメンタルケアがとても大切になってきます。
具体的にはどういった方法がメンタルケアに最適なのか、以下でいくつか見ていきましょう。
室内ドッグランやドッグカフェなどで犬との交流を増やす
トイレは基本室内で完結できる愛犬の場合、雨の日に散歩に出掛ける飼い主さんは少ないかもしれません。しかし、それなら尚更、運動不足の解消やストレス発散目的の室内ドッグランやドッグカフェなどで、犬との交流を増やす機会を作ってあげましょう。
梅雨の季節は、連日雨が止まない日が多くなります。
ただ、その度に散歩をお休みしてしまうと、愛犬のストレスの溜め込みを助長してしまう結果となるため、出来るだけそうした場に連れ出してあげるよう心掛けると良いでしょう。
アロマテラピーやフラワーレメディを活用する
人にとってもリラックス効果をもたらしてくれるアロマテラピーやフラワーレメディは、犬にも効果的です。
中でも気持ちを落ち着かせたりストレス発散したりするのに効果的なアロマには、以下のような種類があります。
▼【鎮静系の香り】
・ラベンダー
・ローマン・カモミール
・イランイラン
・スイートマージョラム
・クラリーセージ
ただし、犬にアロマテラピーやフラワーレメディを使用する際には、事前に動物に避けておきたいものを知っておく必要があるため、この方法でメンタルケアを試みる時は、まずは獣医さんに相談しましょう。
知育トイや宝探しゲームなどの室内遊び
知育トイや宝探しゲームといった室内遊びは、梅雨時期に愛犬のストレスを発散させるのに、一番身近なメンタルケア方法です。
室内遊びをすることによるメンタル面でのケアを図る際には、その子が元々持ち合わせている特性に合わせて遊んであげると、効率よくストレス発散に繋げられます。
以下の記事では、犬種別でオススメな室内遊びをご紹介しています。ご興味があれば、ぜひご覧になってみてくださいね。
▼【合わせて読みたい!こちらの記事もオススメです】
雨の日は室内遊びでストレス発散!犬種別で分かるオススメの遊び方
>https://www.inutome.jp/c/column_9-295-45463.html
犬が好む音楽やホワイトノイズなどを聞かせる
クラシックなどの音楽は、犬を含めて多くの動物に対してリラックス効果をもたらすと言われています。
また犬が好む音楽には、意外かもしれませんがレゲェやポップスに近いソフトロックなどにもリラックス効果が認められた実験があります。
さらに、扇風機やテレビの砂嵐のような「サー」、「ゴー」といった音も、犬にはリラックス効果があると言われています。
ツボマッサージやブラッシングなどをしつつコミュニケーションを取る
普段から犬の体重を支えている四肢や飼い主さんを見上げる首回りなどの重点的なマッサージやブラッシングなどをしつつ、コミュニケーションを図ってあげることはメンタルケアに効果を発揮します。
特に梅雨時期散歩に行けないストレスの解消に効果的なツボには、胸骨(喉の下のくぼみからみぞおちまでの骨)の下から1/4の位置にある膻中(だんちゅう)というツボを刺激することで、ストレスに強くなると言われています。

1回5秒を5回程度優しく刺激してあげると良いでしょう。
雨の合間に散歩に出掛ける
やはり、どんなにメンタルケアに気を付けていても、直接外への散歩に出てあげることは、最もストレス発散に効果を発揮するでしょう。
ただ梅雨の晴れ間は結構貴重なものでもあるため、散歩に出る時には念のためレインコートの用意や傘を持ち合わせた上で、足元に十分注意しながら散歩をしてあげましょう。
散歩から帰った後は、しっかりと皮膚被毛のケアをすることで、皮膚疾患の悪化などを防いであげることもお忘れなく。
まとめ

梅雨時期に犬が抱えるストレスの多くは、そのほとんどが運動不足であったり、行けても嫌いなレインコートを着せられたり、または不完全で終わってしまったりするためが多いようです。
ストレスは、時には病気や精神の不調にも影響を及ぼし、また、免疫力の低下にも繋がる大変厄介なものです。
梅雨時期に少しでも愛犬に普段と違った様子が見られたなら、それはもしかしたらストレスを抱えているサインかもしれません。
そうした時には、慎重に、けれど適切に愛犬のストレスが軽減するような方法を是非試してみてあげてください。
<参考書籍>
犬と猫のためのメディカルハーブガイド|MEDICINAL HERBS for DOGS and CATS
しつけの常識にしばられない 犬とのよりそイズム
観察する目が変わる 動物学入門
<画像元>
Canva

また、生前疾患の多かったシェットランド・シープドッグをキッカケに取得した愛玩動物飼養管理士などの様々な資格の知識を生かし、皆様に役立つような記事を提供、執筆出来ればと思っております。
何卒、よろしくお願い致します。

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