秋が深まるにつれ寒さが身に沁みると入りたくなるのが温かい温泉。
今では愛犬も一緒に入れる温泉施設が増えてきていますが、皆さんは犬にも温泉療法が効果的なのをご存知でしょうか?
今回は、愛犬と温泉旅行を検討・計画している飼い主さんに知ってほしい、愛犬が温泉利用をする際のイロハや注意点をご紹介します。
犬にとっての温泉療法の効果とは?
元来温泉療法とは、人の場合であれば温泉に入る、あるいは飲用することで、温熱効果や化学作用などの効果を享受して病気の治療や改善、療養したりするものがこれに当たると言われてきました。
そして、主にこれらの効能には利用する温泉の泉質によって、リウマチの改善であったり、筋肉痛・関節痛の緩和であったり、また、皮膚疾患の寛解であったりと、様々な効果が期待できるとされてきました。
では、この効果を犬に当て嵌めた時にはどうなのでしょうか?
結論から申し上げれば、犬にもこのような人と似た効能は、とても期待できるのではないかと言われています。特に愛犬に免疫疾患や皮膚疾患があったり、関節疾患があったりした場合、上手く温泉の効果を利用できれば、薬のみに頼っていた方法が、そうではなくなることも期待できるかもしれません。
ただ、犬のそうした様々な疾患を温泉療法で改善するためには、現時点での疾患の状態や愛犬自身の性格、愛犬の年齢、獣医さんへの事前の相談、さらには温泉療法では禁忌症とされている病気などの併発はないかなども考慮した上で検討することが大切です。また、いくら温泉療法によって症状の改善が見られた場合であったとしても、その後完全に薬を必要としなくてよいかどうかは別物のため、愛犬の持病に改善が見込めたからと言って、それまで処方されていた薬を自己判断で中断したりしないよう注意しましょう。
犬にとっての温泉療法の効果には、様々な改善効果が期待できるとされておりますが、だからといって実際に改善が見られた際の薬の軽減については、予め獣医さんと相談の上、検討するよう心掛けましょう。
愛犬が温泉を利用する際のイロハを知っておこう!
私たち人からすると、『温泉=一般的に体に良いもの』というイメージが定着していますが、犬の場合ではそうとも言い切れない部分があるため、事前の知識を身に付けておくことはとても大切です。
ここからは愛犬が温泉を利用する際のイロハを見ていきましょう。
愛犬の温泉利用のイロハ①:犬の皮膚に合った温泉を選ぶ
愛犬と一緒に温泉を楽しむ場合には、まずは愛犬の皮膚に合う温泉かどうかを調べておく必要があります。
なぜなら、愛犬の元々の皮膚の構造を知らずに、ロケーションや料金などだけで温泉を選択してしまうと、かえって皮膚に悪影響を及ぼしてしまう可能性があるためです。
基本的に犬の皮膚構造というのは、人の皮膚構造とは違ってとてもデリケートだと言われ、その表皮における厚さは、人(約0.2mm)に比べて、犬は1/3~1/5(約0.05~0.1mm)の皮膚の厚さしかありません。
▽『人の皮膚pH値と動物の皮膚pH値の違い』
また、これは皮膚のpH値においても例外ではなく、人の場合の皮膚のpHはおおよそ4.5~5.5と言われていますが、犬の場合の皮膚のpHはおおよそ7.4~7.8とされていて、弱酸性と弱アルカリ性の違いがあります。
▽『肌におけるpH表の違い』
そのため、愛犬と一緒に温泉に入る際の泉質が、例えば酸性泉や硫黄泉だった場合、強い殺菌効果が見込める一方で、愛犬の皮膚状態や耐性状況によっては症状悪化などを引き起こしてしまう場合があります。
愛犬と一緒に温泉に入る際には、そういった面も考慮して、適宜愛犬の皮膚に負担のない泉質が使用されている温泉かどうかで選ぶよう心掛けると良いでしょう。
愛犬の温泉利用のイロハ②:愛犬の適正温度と入浴時間を厳守する
愛犬と一緒に温泉に入る時には、本来、犬がお湯に浸かっても問題ない適正温度かどうかを知っておくことも重要です。
一般的に犬にとってのお湯の適正温度は約36~38℃と言われています。大抵のペットと泊まれる宿泊先では専用のバスタブなどが用意されているため、温度の状態などは職員さんに確認してみると良いでしょう。
その上で愛犬が湯船に浸かる時には、改めて飼い主さんが湯温を確かめてから入れてあげてください。
また、入浴時間についても長すぎる入浴は皮膚の保護に必要な油分を洗い流してしまう危険があるため、長くても10分~15分を目安に長風呂にならないよう心掛けてあげましょう。
愛犬の温泉利用のイロハ③:愛犬が嫌がるようなら無理に入れない
当然と言えば当然ですが、愛犬が温泉に入ることを嫌がるようなら、無理して入れるようなことは決してしないようにしましょう。
確かに温泉の効能は、皮膚疾患や関節疾患を持ち合わせている犬種を迎える飼い主さんからすれば、自然の力で症状の改善が見込めるなら、という思いから愛犬にはどうにかこうにか入ってほしいと願う人も少なくないかもしれません。
しかし、そうしたことによって愛犬がストレスを抱えてしまっては、本末転倒です。
愛犬がどうしても温泉を嫌がるようなら、それは致し方ない事です。
そのため、そういった時には無理に愛犬を温泉に入れたりするのではなく、例えばタオルを温泉水で濡らして拭いてあげたり、市販された温泉水を別途スプレーボトルなどに入れて、後で愛犬のグルーミングスプレーとして使用するといった方法で、対応してあげましょう。
また、場所は限られてしまうかもしれませんが、実は温泉街などで有名な地域では『温泉スタンド』と言われるガソリンスタンドのような給水所が設けられていたりします。
場所によって、かかる料金や持ち帰れる量、また、泉質などの違いはあるものの、グルーミングスプレーまたは化粧水程度の量なら抵抗も嫌がりもしないというワンコであるなら、こうした方法を検討してあげるのも良いでしょう。
愛犬が温泉を利用する際の注意点
愛犬が温泉を利用する場合には、いくつか注意する点があります。
以下でその主な内容をそれぞれご紹介します。
▼【愛犬が温泉を利用する際の注意点】
・食事1時間前後の入浴ではないか
・ワクチン接種後1週間以上の間隔が空いているか
・禁忌症に該当する持病がないか
それでは、詳しい内容を一つずつ確認してみましょう。
食事1時間前後の入浴ではないか
人が入浴をする場合も、食前・食後1時間の入浴が禁止されるように、犬の場合でも食前・食後1時間の入浴は避けましょう。
特に食後すぐにお風呂に入れてしまうと、胃に集中している血液が消化の負担となって嘔吐してしまう原因となる場合があります。
温泉に入る際には、飼い主さんも愛犬も、食前・食後1時間以上間隔を空けてから入るよう心掛けましょう。
ワクチン接種後1週間以上の間隔が空いているか
犬には年に一度、狂犬病予防注射の義務付け、また、混合ワクチン接種の推奨が行われています。
しかし、これらワクチン接種をした後1週間については、ワクチン接種による免疫活発の影響で体に負担が掛かるため、温泉はおろかお風呂への入浴は避けるようにしましょう。
禁忌症に該当する持病はないか
温泉に入る際に気を付けておきたい禁忌症とは、例えば以下のような症状がある場合です。
▼【愛犬が温泉を利用する際の気を付けたい禁忌症】
・急性疾患(熱などがある場合)
・悪性腫瘍
・心不全
・腎不全
・出血性疾患
・高度の貧血症
・高血圧症
禁忌症があるからと言って、必ずしも温泉に入ってはいけないということではありませんが、愛犬にもしもこのような持病、または症状がある場合には、入浴を避けるか、事前に獣医さんへ相談しましょう。
まとめ
基本的に温泉の効能というのは即効性があるものではないため、漢方薬の要領と同じように徐々に改善を目指していきます。
そのため、時間が掛かることは覚悟しておく必要があります。ただ、温泉の効能は基本的には処方薬などと違って副作用などの心配がないため、安心して使用できます。
愛犬との温泉を検討される際には、是非ともこうしたことに気を付けた上で、温泉の効果を最大限堪能させてあげてくださいね。
<参考サイト>
犬のアトピー性皮膚炎や皮膚病には?|温泉宅配
>https://shop.onsentakuhai.com/collections/pet
人のお肌は弱酸性、犬のお肌は○○性|どうぶつの皮膚科耳科アレルギー科
>https://magazine.vdt.co.jp/941/
【獣医師が解説】ペットの病気編: テーマ「皮膚のpHとバリア機能」|ハウンドカム通信
>https://www.houndcom.com/blog/archives/4543
また、生前疾患の多かったシェットランド・シープドッグをキッカケに取得した愛玩動物飼養管理士などの様々な資格の知識を生かし、皆様に役立つような記事を提供、執筆出来ればと思っております。
何卒、よろしくお願い致します。
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