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【動物看護師が解説】愛犬のために知っておきたい!軽く見てはいけない犬の歯周病

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家庭で飼われているわんちゃんの約8割が歯周病、または歯周病予備軍であるといわれています。

悪化しないと症状に現れないため見落としがちですが、放置すると「心不全」や「肝障害」などを引き起こす可能性がある恐ろしい病気です。

愛犬にずっと元気でいてもらうためにも「歯周病」と「歯周病がまねく病気」を知っておきましょう。

歯周病ってどんな病気?

歯周病は「歯周病菌」や「プラーク(細菌の塊)」によってひきおこされる炎症のことをいいます。歯ぐきの炎症でとどまった状態を「歯肉炎」。歯肉炎が悪化し歯を支える骨の部分にまで炎症が広がっていると「歯周炎」といいます。

こんな症状がでたら要注意!

わんちゃんによっては重症化するまで症状をださない子もいます。

下記の症状がひとつでも見られたら注意しましょう。

■口臭がある

■歯がぐらついている

■歯ぐきが赤い

■目や頬の下が腫れている

■フードを落とす・こぼす

■口を触ると嫌がる

■硬いものを噛めない

■頬に黒いあざのようなものがある

どうして歯周病になるの?

わんちゃんの口の中にはたくさんの細菌が住んでいます。その中のひとつが歯周病菌です。口内環境がよければ特に悪さをしませんが、口内環境が悪化すると増殖して炎症を起こします。

また犬の歯周病はヒトから犬へ感染してしまう病気のひとつであるという報告もあります。かわいくても口移しで食べ物を与える、キスをするなどの過度な接触は控えましょう。

歯周病になりやすい犬種

アニコム損害保険株式会社の報告によると、約70万頭のわんちゃんを調べた結果、歯周病になりやすい犬種の上位は「イタリアングレートハウンド」「ダックスフント」「トイプードル」でした。

他の犬種が歯周病にならないわけではありませんが、口が小さくて歯が密集している犬がなりやすいと推測されます。

歯周病になるとどうなるの?

①歯周病菌やプラークが歯に付着 

歯周病菌は空気に触れるのが苦手な菌なので、空気が届きにくい場所に住む傾向があります。

口の中で空気が当たりにくい場所といえば、歯と歯の間や歯周ポケットです。歯と歯の間はでこぼこして隙間があるのでプラーク(細菌の塊)も溜まりやすい場所といえます。

➁ネバネバの膜(バイオフィルム)をつくる 

歯についた細菌たちはよだれや水で流されないように、ネバネバした膜を作ります。これがバイオフィルムです。

お風呂の床を掃除していないとヌルヌルしてきますが、それと同じことが口内でおきます。バイオフィルムは除去しにくいだけでなく、悪臭や毒素を排出します。この毒素が炎症を引き起こすのです。わんちゃんの口が匂ったり、歯肉が充血してきたら歯周病が進み始めたサインです。

➂プラークが歯石になる

歯にプラークが付着し続けると唾液の成分で硬い歯石に変わります。

一度歯石になるとホームケアでの除去は難しく、歯石を取り除かないかぎり歯周ポケットのケアすることはできません。また歯石の表面はザラザラしているため菌を集めやすく、雪だるまのように歯石を蓄積させていきます。

④歯周病菌が歯ぐきを破壊する

バイオフィルムと歯石で除去されにくくなった歯周病菌は増殖しながら、奥へ奥へと歯ぐきを破壊しながら進んでいきます。歯石によって隙間ができた歯周ポケットはさらに深くなります。また毒素で炎症が起きて歯肉が柔らかくなり歯がぐらつきはじめます。

炎症が起きると出血もするため、口の中に大きな傷口ができたことと同じになります。この傷口から歯周病菌が出す毒素や菌が体の中へと侵入します。

➄免疫反応が歯を支える骨を破壊する

体の中には悪いものが入ってくると体を守るために免疫反応がおこります。炎症が起きると体を守っている「白血球」が戦いますが、戦う際に白血球から出る物質によって歯ぐきや骨が破壊されてしまいます。そうすると生き残った歯周病菌はますます奥へと進み増殖していきます。戦った白血球や菌の死骸は膿になるので、歯の根元や目の下に膿や血が溜まって腫れることもあります。

犬は歯石がつきやすい!?

口内のプラークは歯に付着した食べかすを栄養源に増殖します。プラークが付着したままだと唾液に含まれるカルシウムが沈着して石灰化します。これが「歯石」です。わんちゃんの口内はアルカリ度が高いため、石灰化のスピードが速く約3~5日で歯石になるといわれています。

歯周病がまねく病気

歯周病は歯だけの病気ではありません。口の中で出血すると血管を通して全身に菌や毒素が広がりさまざまな病気を引き起こす原因となります。

■外歯瘻(がいしろう)

炎症が歯の根元周辺まで及び、菌があごの骨を溶かして皮膚まで貫通してしまう病気です。

目の下や頬など皮膚に穴があき、そこから膿や血が出てくるようになります。穴が開いているのに気づかないと皮膚が壊死してしまい、重篤な感染症を引き起こす場合があります。

■心不全

歯周病菌は慢性心不全の原因の一つともいわれています。歯にも血管は通っているので、歯周病が悪化すると血管を介して毒素が全身をめぐり、心臓に到達するとそこで炎症を引き起こしてしまいます。また歯周病菌などの刺激により動脈硬化を誘発する可能性があるという報告もあります。

■二次性肝障害

二次性肝障害とよばれる肝臓が間接的に障害をうける状態です。心不全と同じく、歯ぐきから血管に侵入した菌や毒素が全身をめぐって肝臓に運ばれて炎症が起き、肝臓の働きが悪くなることがあります。

■糖尿病の悪化

白血球が歯周病菌を追い出そうと戦ったときに出る物質は、血糖をコントロールするホルモンの働きを妨げるといわれています。高血糖状態が続くため糖尿病を悪化させたり、糖尿病を引き起こしやすくなる可能性があります。

■あごの骨折

歯周病が悪化しあごの骨が溶けてしまうと硬いものを噛んだり、衝撃が加わっただけでも簡単に折れてしまうことがあります。

歯周病は歯だけの病気と思われがちですが、さまざまな病気を引き起こすトリガーになる可能性が高いことがわかってきました。歯周病のリスクを下げるためにはわんちゃんの口内ケアや歯みがきが何よりも大切です。

次回は「愛犬の歯磨きが苦手なあなたへ 上手にできる3つのステップ」をお伝えします。

<参考文献>
人獣共通感染症としての犬歯周病に関する研究
麻布大学・獣医学部獣医学科・教授 浅井史敏
https://kaken.nii.ac.jp/ja/file/KAKENHI-PROJECT-23658256/23658256seika.pdf

歯周病の原因や感染経路、全身の健康への影響について
https://panasonic.jp/teeth/doctor/episode01.html

衝撃の事実!お口のトラブルの根源 バイオフィルムの恐怖と実態
https://www.listerine-jp.com/sites/listerine_jp/files/listerine_201403_handbook.pdf

口腔細菌がおよぼす全身への影響
http://www.eiken.co.jp/modern_media/backnumber/pdf/2017_08/001.pdf

歯科処置が糖尿病犬の血糖コントロールに及ぼす影響について
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jpan/14/2/14_2_76/_article/-char/ja/

日本臨床歯周病学会 歯周病が全身に及ぼす影響
https://www.jacp.net/perio/effect/

歯周病における組織破壊に関する免疫学的考察
https://www.jstage.jst.go.jp/article/perio/59/4/59_185/_html/-char/ja

イラストでみる犬の病気
編集 小野 憲一郎 今井 壯一 多川 政弘 安川 明男 後藤 直彰

※1

<引用元>
アニコム家庭どうぶつコラムVol.013 2010年2月12日発行

歯周病になりやすい犬種は?
https://www.anicom-page.com/hakusho/column/pdf/100215.pdf

<画像元>
無料写真素材 写真AC
イラストAC
歯科素材.com

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伊藤さん

伊藤さん

宮崎出身の動物看護師。
やんちゃなミックス犬とおっとりトイプードルと暮らす。

大学在学中に「病気になる前の予防が一番大事」と気づき、
ペットフードやペットサプリメントの会社に就職。
「食」に関するさまざまな知識を身につける。

愛犬を亡くしたときに
「もっと色んな情報を知っておけば」と感じた後悔を
「他の飼い主さんにはさせたくない」との思いから、
ライター活動を開始。

「勉強になった・信頼・わかりやすい」を目標に情報を発信しています。

・倉敷芸術科学大学 生命動物科学科卒業
・日本動物看護職協会 認定動物看護師
【動物看護師が解説】愛犬のために知っておきたい!軽く見てはいけない犬の歯周病
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