わんちゃんも人と同様、毎日のお口のケアが必要です。お口のケアを怠ると歯周病になるだけでなく、歯周病菌が原因で「心不全」や「肝臓障害」など恐ろしい病気を引き起こす可能性もあります。
>【動物看護師が解説】愛犬のために知っておきたい!軽く見てはいけない犬の歯周病の記事はこちら
愛犬がずっと健康でいられるように「上手に歯みがきができる3つのステップ」で歯みがき上手になりましょう!
<目次>
ステップ1.愛犬の口まわりを触ることに慣れよう!
急に歯みがきをしようとしても、わんちゃんは嫌がってなかなかうまく磨けません。最初は口まわりに触れることから始めましょう。
①最初は指先で顔まわりを触りましょう。
➁慣れてきたら手の甲→手のひらと接触する範囲を広げてください。
➂口元を優しく触りましょう。
<ポイント>
触るときは「いい子だね」と繰り返し褒めながら触ってください。オヤツを与えながら触るのも効果的です。
「口の周りを触られる」→「良いことがおこる」と関連づけて覚えさせることが大切です。あまりにも嫌がるようなら、歯周病などで口に痛みが出ているのかもしれません。一度動物病院で診察してもらいましょう。
口まわりを触ることにわんちゃんが慣れたら次は口の中を触ってみましょう。
①唇を触ってみましょう。
➁嫌がらなかったら唇をめくってみましょう。
➂指で前歯や犬歯の部分を触ってみましょう。
④慣れてきたら奥の歯も触ってみましょう。
<ポイント>
指にお肉の湯汁や味がついた歯みがきジェル(犬用)をつけると嫌がることが少ないです。
ステップ2.デンタルシート(犬用)で歯みがきしてみよう!
口まわりに触れることに慣れたらデンタルシート(犬用)を使って歯を磨きましょう。ガーゼでも代用可能ですが、薄いガーゼを使用すると破れやすく糸を飲み込む可能性があるので不織布のガーゼがオススメです。
指に慣れたわんちゃんは飼い主さんの指の感触があるためガーゼやデンタルシートでの歯みがきを比較的受け入れてくれます。
①指にシートを巻きつけます。
➁唇をめくり前歯・犬歯を磨きましょう。
➂奥歯、歯の裏を磨きましょう。
<ポイント>
デンタルシートに味がついた歯みがきジェル(犬用)をつけるとわんちゃんが嫌がることが少なくジェルの効果でプラーク(細菌の塊)が付きにくくなります。
ステップ3.歯ブラシ(犬用)で歯みがきしてみよう!
歯周病菌やプラークは歯の隙間や歯周ポケットに潜んでいるので、シートに慣れたら次は歯ブラシ(犬用)を使って磨きましょう。ヘッド部分が小さく毛先も柔らかく設計されているため、人用ではなく必ず犬用を使いましょう。
①歯ブラシの匂いを嗅いだら褒めましょう。
➁歯ブラシをなめたら褒めましょう。
➂歯ブラシを口に入れたら褒めましょう。
④唇をめくり前歯・犬歯を磨きましょう。
➄奥歯、歯の裏を磨きましょう。
<ポイント>
歯ブラシは水、歯みがきジェルでぬらしてください。力を入れすぎると歯ぐきから出血するため優しく磨きましょう。歯に対して45度の角度で小刻みに磨きましょう。
おすすめ補助グッズ
歯みがきジェル
歯みがきジェルの成分によってはプラークを落としやすくしたり、つきにくくする効果があります。歯みがきの効果がアップしますし、わんちゃんに好まれる味にしている歯みがきジェルが多いので取り入れてはいかがでしょうか。
<注意>
人用の歯みがきジェルは使わないでください。人用には泡立てる成分が入っていますが、わんちゃんは泡を飲みこむことができません。また、人用の歯みがきジェルに含まれているキシリトールはわんちゃんに有害です。
口臭スプレー
口臭スプレーに含まれている成分の中に歯周病菌が住みにくい環境を作ったり、増殖を抑える効果がある商品もあります。菌の数を減らすことも大切なので、歯ブラシと併用して使うことをオススメします。
歯みがきガム・かたいオヤツ
硬いものと歯がこすれることによって付着しているプラークを落とすことができます。また噛むことで唾液も出るため食べかすを洗い流すこともできます。これだけですべての口内ケアはできませんが歯みがきと併用することをオススメします。
<注意>
ひづめなど硬すぎるものは歯が折れる可能性があるため小型犬やあごの弱いわんちゃんには控えましょう。誤飲の可能性もあるため、与えている間は目を離さないようにしましょう。
歯石取り用のスケーラーやベンチの注意点
歯石取り用にわんちゃん用のスケーラーやペンチが売っていますが、あまりオススメはしません。歯の表面は湿っているためよく滑りますし、わんちゃんは動くのであやまって口内を傷つける可能性があります。痛い思いをするとわんちゃんが歯みがきを嫌いになってしまうので、歯石取りは動物病院におまかせしましょう。
これで解決!歯みがき上手になる方法
歯みがきを苦手に感じた理由を飼い主さんに伺ってみると、「口に触れられないから」「わんちゃんに嫌がられたから」「うまく磨けなかったから」の3つの意見が多い印象があります。この3つを解決して歯みがき上手になりましょう。
うまく口に触れられない
口は敏感な場所なので触られること自体を嫌がるわんちゃんが多いです。まずは口まわりに触れることに慣れさせましょう。触れる時間は短く回数を多くすることがポイントです。嫌がっているのにしつこく触ると次から触らせてくれないので、短期ではなく毎日コツコツ慣れさせましょう。
わんちゃんに嫌がられた
「歯みがき=嫌なこと」と認識されているのかもしれません。「歯みがき=楽しいことが起こる」と関連づけさせてあげましょう。歯みがきの後に散歩に行ったり、慣れさせている最中にオヤツをあげましょう。一度ではなく毎日継続して行うとより覚えやすくなります。
うまく磨けなかった
「歯みがきをしたけどうまく磨けなかった」という場合は、動物病院の歯みがき教室に通うのはいかがでしょうか。動物病院は病気になったら行くイメージですが、健康寿命を延ばすために口内ケアに力を入れている病院が増えてきました。わんちゃんの性格にあわせて飼い主さんと一緒にケア方法を教えてくれます。ハードルが高いと思われるかもしれませんが、きちんと技術を習得でき、愛犬の将来へのリスクを減らすことができます。一人で悩まずにプロの手を借りましょう。
口の中が汚れていてもわんちゃんは自分で歯みがきをすることはできません。歯によって健康寿命を延ばせるのは人もわんちゃんも同じです。飼い主さんの手で愛犬の健康寿命を延ばしてあげましょう!
<使用画像>
無料写真素材 写真AC
<参考文献>
ライオン歯科衛生研究所
https://www.lion-dent-health.or.jp/labo/article/tool/02.htm
・(元)認定動物看護師
・一般社団法人日本小動物獣医師会 動物診療助手
やんちゃなミックス犬とおっとりトイプードルと暮らす。
大学在学中に「病気になる前の予防が一番大事」と気づき、
ペットフードやペットサプリメントの会社に就職。
「食」に関するさまざまな知識を身につける。
愛犬を亡くしたときに
「もっと色んな情報を知っておけば」と感じた後悔を
「他の飼い主さんにはさせたくない」との思いから、
ライター活動を開始。
「勉強になった・信頼・わかりやすい」を目標に情報を発信しています。
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