犬を迎えることで得られる癒しや幸福感は、愛犬家の方はもちろん、迎えていない方であっても知るところだと思いますが、犬がもたらす効果には、飼い主の寿命までもが関係するってご存知ですか?
今回は、犬を迎えることでもたらされる健康効果の数々やその凄さ、その上で覚えておきたい愛犬との接し方をご紹介します。
犬の存在はそれだけで飼い主の健康効果をもたらす?
犬を迎えたことがある方なら、愛犬と触れ合うだけで、心が安らいだり、ストレスが軽減したりといった経験をされた方は、きっと多いと思います。
かくいう筆者も、これまで幾度となく愛犬には癒しや元気を分けてもらい、心身共に支えられてきた経験があります。
では、なぜ犬は、そんなことが出来るのでしょうか?
それは…、『犬には人に対して向ける共感能力が非常に高い』からです。
実際に犬には、人が行う指差しといったジェスチャーや目配せを理解したり、人が感じるポジティブやネガティブな感情を共有できたりすることが様々な研究で分かっています。
そのため、これらの結果を鑑みれば、自然と愛犬が人にもたらす健康効果は、その存在だけで証明できてしまっているのでは?と考えても不思議ではありません。
また、その他にも犬のしつけなどで良く重視される『アイコンタクト』は、愛犬と見つめ合うというその行動だけで、【愛情ホルモン】のオキシトシンが分泌されることも証明されています。
とはいえ、犬にも人同様それぞれ性格というものが存在するため、犬種によっては見つめ合うことを苦手とする子も存在し、必ずしもオキシトシンの分泌が促進されるという訳ではありません。
しかし、少なくとも犬が好きで、犬と目線を合わせたり、犬を撫でたりすることで気持ちが落ち着いたり、心が癒されたりする私たち人の場合について言えば、犬の存在はそれだけで健康増進効果が見込めると考えて相違ないのではないか、と筆者は思っています。
犬がもたらす飼い主の健康効果はこんなにもすごかった!
それでは、犬を実際に迎えた時に得られる飼い主の健康効果には一体何があるのでしょうか?実際に研究、発表されたものはもちろん、健康効果が見込めるとされている項目についても、ご紹介します。
犬で得られる健康効果①:心臓疾患リスク低下
犬を迎えることで得られる健康効果の一つ目は、心臓疾患リスクの低下が挙げられます。
カナダにあるトロント大学やスウェーデンのウプサラ大学が行った研究結果によると、この研究結果では、犬を迎えた人とそうでない人とでは、犬を迎えた人の方が心臓発作は65%も低く、あらゆる心臓疾患による死亡リスクについては、一人暮らしで犬を迎えた人の場合、死亡リスクは迎えていない人と比べて33%も低いことが証明されました。
犬で得られる健康効果②:血圧低下
犬を迎えることで得られる健康効果の二つ目は、血圧低下作用が挙げられます。
この研究は、アメリカにあるオレゴン州立大学や米疾病対策センター(CDC)などによって示されている研究結果が基となっており、人は愛犬を撫でるだけで血圧が下がることが証明された、というものです。
この効果は、子供の場合であれば、愛犬が同じ部屋に入ってくるだけで血圧が下がるとも言われているようです。
犬を優しく撫でるという行為は、それだけで犬の心拍数も下がり、落ち着くことが分かっているため、この効果については、双方にプラスの作用が働くと言って良いでしょう。
犬で得られる健康効果③:コレステロール値の低下
犬を迎えることで得られる健康効果の三つ目は、コレステロール値の低下です。
犬を迎えると実感する事ですが、肥満に関係するコレステロール値の低下は、犬との散歩で随分と変わります。
中でも興味深いのは、初めて犬を迎えた人の場合、それまで一人で散歩をしていた場合と比べて、愛犬と一緒だと劇的に歩く距離が増加する事でしょうか。
肥満は万病の元とも言われる生活習慣病です。
歩くスピードによって、効果の度合いは異なりますが、犬を迎えるためには必ず必要となる散歩は、コレステロール低下に加え、愛犬とのコミュニケーション形成にも役立てられます。
犬で得られる健康効果④:ストレスやうつ病リスクの軽減
犬を迎えることで得られる効果の四つ目は、ストレスやうつ病リスクの軽減が挙げられます。
犬と触れ合うことは、【ストレスホルモン】であるコルチゾールの低下や、脳内神経伝達物質で、【幸せホルモン】と言われるセロトニンが増加することで、ストレスやうつ病リスクの軽減が見込めると言われています。
ただ、一方でこの結果は、必ずしも有用に働くとは限らないようで、中にはストレスレベルが上昇しうる可能性も示唆されているため、今後の研究に期待したいところですね。
犬で得られる健康効果⑤:認知症リスク低下
犬を迎えることで得られる健康効果の五つ目は、認知症リスクの低下です。先程、人は犬と触れ合うことで【愛情ホルモン】のオキシトシンが増加するとお伝えしましたが、その効果は、脳の認知機能と深くかかわりがあるドーパミンにも良い効果をもたらすことが分かっています。
現在、日本の総人口のうち、65歳以上の高齢者人口は3,627万人と言われており、認知症患者は今後、2025年までには5人に1人が発症する可能性があると言われています。
犬がもたらしてくれるこの効果は、今後ますます注目されていくかもしれません。
犬で得られる健康効果⑥:アレルギーや感染症のリスク低下
最後に犬で得られる健康効果は、アレルギーや感染症によるリスク低下が挙げられます。
「犬を迎える事とアレルギーって、むしろ罹りやすくなるのでは?」
と心配になってしまう親御さんもいるかもしれませんが、この結果については、すでにアメリカで、2歳までに犬や猫と同居している子ほど、アトピーなどの病気になりにくいことが証明されているのです。
筆者も記憶している限りでは、2歳から初代柴犬と生活を共にしておりますが、これといったアレルギー症状やアトピー症状は、一度も経験したことはありません。
犬や猫といった動物は、確かにばい菌も運んできてしまうものの、自然に免疫力を高めるという点では、この結果は理に適っていると言って良いでしょう。
犬がもたらす健康効果は「愛情あってこそ」
さて、ここまで犬が私たち人に対して、色んな健康効果をもたらしてくれる存在だという事をご紹介してきましたが、だからと言って、「健康寿命を延ばしたいから」とか、「ダイエットに効果があるから」といった理由で犬を迎えるのは、推奨致しません。
犬は、冒頭でもお伝えした通り、『人に対して向ける共感能力が非常に高い』動物です。
そのため、自分に対して向けられている感情が愛情なのか、それとも単なる気まぐれなのかを感じ取ることは、容易に想像できてしまいます。
また、仮にそうでないにしても、犬への関心やコミュニケーションが薄ければ、本来享受できるであろう、犬がもたらしてくれる健康効果は、そこまで望めないと思った方が良いでしょう。
犬を迎えるという事は、その子の一生を見てあげて、最後まで愛情をもって接してあげることが求められるものです。
当然そこからは、「迎えたからそれで飼い主」とはならず、日々のコミュニケーションやしつけ、散歩、健康管理など、人の赤ちゃんと同じように接してあげるくらいの面持ちで、犬と接してあげる必要があります。
そして、基本的に犬との暮らしは、決して楽しいことばかりではありません。
子犬の時ではしつけで悩んで、今では『育犬ノイローゼ』などという言葉が生まれるほど悩む飼い主さんは多く、また、シニア犬の時では成犬の時にはなかった病気で、不安や恐怖、心配を抱える飼い主さんが多くなります。
しかし、そういった不安や悩みなどを全て受け止め、それでも愛情を持って犬と接することが出来る人こそ、愛犬からの健康効果を感じられるだけではなく、その効果を最大限に活かせるようになるのかもしれません。
犬がもたらす健康効果は「愛情あってこそ」。
これから犬を迎えたいとお考えの方は特に、この気持ちをぜひとも念頭に置いた上で、ワンちゃんを迎えてあげてください。
まとめ
いかがでしたか?
犬を迎えることで得られる健康効果には他にも死亡リスク24%減、規則正しい生活など、様々な効果が期待できますが、それも全ては愛犬に対して愛情を持って接することが出来ればこそ。
そして、犬への健康効果がもたらせるのも、飼い主さんが愛情を持って接することが出来ればこそなので、ぜひともその気持ちを大切に、お互い健康でいられる愛犬ライフを共に送ってあげてくださいね。
<参考書籍>
いぬ大全304
気持ちを知ればもっと好きになる! 犬の教科書
<参考サイト>
犬猫を飼育する高齢者における 13 年後の要介護度予防効果|The role of the prevention of the bed-ridden status by caring for dog and cat for 13 years among community-dwelling older Japanese
>http://jssm.umin.jp/report/no35-2/35_2_05.pdf
朝日生命|認知症について知る
>https://anshinkaigo.asahi-life.co.jp/activity/ninchisho/column1/04/
また、生前疾患の多かったシェットランド・シープドッグをキッカケに取得した愛玩動物飼養管理士などの様々な資格の知識を生かし、皆様に役立つような記事を提供、執筆出来ればと思っております。
何卒、よろしくお願い致します。
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