犬の散歩中、あっちでシャー、こっちでシャーと、オシッコに余念のない犬を見たことはないでしょうか?
その度に飼い主さんが水をかけて洗い流している姿を目にしたことがある人は、きっと数多いことでしょう。では、なぜそこまでしてマーキングにこだわる犬がいるのでしょうか?
今回は、犬にとってのマーキングの意味や排泄との違い、止めさせたい時の方法などをご紹介します。
<目次>
犬がマーキングをする理由って?

犬のマーキングは、犬を迎えていない人からすると、あまり気分の良いものではないと思います。
ただ犬にとってマーキングは、自分がそこを通った証や自己主張するための手段の一つとされています。
それこそ、犬同士の挨拶でお尻を嗅ぎ合う行為がその犬の年齢や性別、体格差などをお互いがお互い知れるのと同じように、マーキングにも、その匂いで相手の様々な情報を読み取れる行動だと言われています。
マーキングをよくする犬は、その犬自身が持ち合わせる気質によるものや犬自身の不安や安心感を得たいために行うもの、また、性的な意味合いで行われているものなど様々あると言われており、その中でも性的なものが関与している場合には、去勢手術や避妊手術をすれば、軽減効果が見込められるとも言われています。
しかし、その他の要因が強く関わっていたり、複雑に絡み合っていたりする場合には、手術をしてもあまり意味を成さなかったり、逆に手術をしたことで、よりマーキングしやすくなったりすることもあるため、一概に去勢・避妊手術がマーキングを軽減させる決定打になる訳ではありません。
とはいえ、マーキングは犬からすると他の犬に対してのプロフィールを残しているようなもので、人からすると気分は良くないかもしれませんが、犬にとっては欠かせない行動の一つが、マーキングというものなのです。
排泄とマーキングの違いはどこにある?

よく、犬の排泄とマーキングはほぼ同じだと思っている人が居ます。
行動や見た目からしても、やっていることが同じなので、そう思ってしまう人が多いのは致し方ありませんが、実は違います。
犬は、排泄とマーキングを明確に使い分けています。その主な違いを確認してみましょう。
犬が排泄している場合
犬が排泄をしている場合、見た目こそマーキング同様の姿を見せますが、その場に留まる時間がマーキングとは圧倒的に違い、それなりの時間を要します。
その理由は、排泄は膀胱に溜まった一定量の尿の排出のために必要な生理現象であり、その排泄場所もトイレや土の上、砂利の上といった比較的安定した場所が必要だからです。
犬がマーキングしている場合
一方犬がマーキングをしている場合、見た目は排泄同様の姿を見せることが多いかもしれませんが、その場に留まる時間は排泄とは違い、ほんの少しで終わらせます。
マーキングは、心理的な表現や縄張りアピール(匂い付け)としての行動のため、体内にある尿をすべて出すのではなく、ほんの少しを「チョン」とかけるのが特徴です。そのため、場所も排泄と違って平らな場所よりも、電信柱やブロック塀、花壇のコーナー付近など、どちらかというと垂直面になるような場所に好んで行うことが多いです。
排泄とマーキングが違えば対処法も違ってくる

犬の排泄とマーキングの違いは、例えばトイレ(排泄)の失敗をしてしまった時の対処法にも違いが現れます。
マーキングだと思って叱ったら、それは実は排泄で、犬のせっかくの排尿機会を逸してしまったといった場合、確かに犬はその後そこで排泄を行なうことはなくなるかもしれませんが、注意の仕方によっては、そこに限らず人が見ている状態やトイレなどでもしなくなってしまう機会が増えてしまうかもしれません。
トイレ(排泄)の失敗は、適切な対応で適切な対処を心掛けないと、なかなか治すのに時間が掛かります。これらの失敗は、幼犬だけとは限らず、トイレを覚えたはずの成犬でもシニア犬でも、環境状態の変化やメンタル面での変化が要因となって、失敗してしまうことがあるため、トイレ(排泄)の失敗とマーキングの違いは慎重に判断する必要があります。
このため、もしも愛犬に排泄関連で困ったような行動が見られているような時には、以下の違いを参考に、見分けるように意識しながら判断しましょう。
▽『トイレ(排泄)の失敗とマーキング』
もし愛犬が「少量を何度も・決まった場所・タイミングで繰り返す」といったような場合が明確だった時には、それはマーキングの可能性が高いです。
そのため、次章でご紹介するマーキングを減らす方法を試してみましょう。
マーキングを止めさせる具体的な方法

それでは、犬のマーキングを止めさせる具体的な方法をここでは見ていきましょう。
犬のマーキングを止めさせるには、以下のような方法が挙げられます。
➀去勢手術または避妊手術を受ける
前述で少し触れた去勢手術や避妊手術は、ホルモンの影響が関係して起こすマーキング行為に一定の効果をもたらします。
特にオスの場合には、生後6か月~12か月の間に手術を行うことで、マーキング行動の定着を防止する効果が期待できます。ただし、先程も述べた通り、その子の状況や個体差によっては去勢手術や避妊手術だけで、マーキングが無くなる訳ではないため、そういった場合には別途トレーニングと併用するよう心掛けましょう。
②落ち着ける環境を作る
犬が環境や精神的ストレスを抱えている場合、そういった時にもマーキング行動が活発化することがあります。
そのため、それまでマーキング行動を見せなかった愛犬が、急にマーキング行動などをし始めた場合には、まずはその原因を探り、愛犬自身のストレスが関係している環境因子を取り除きましょう。
③叱らず、静かに片づける
犬がマーキング行動を行なっていたりしても、きつく叱ったり、大声を出して注意したりしないようにしましょう。
これは、犬がトイレ(排泄)を失敗してしまった時と同じようなもので、犬が「排泄=嫌なこと」という学習をしてしまうと、飼い主さんの見えないところでのマーキングを助長してしまう原因になる可能性があります。
愛犬がマーキングをしてしまった場合には淡々と片付け、きちんとできた時にはしっかりと褒めることを徹底し、匂い消しについては市販の消臭スプレーなどでしっかりと匂い消しを行いましょう。
④多頭飼養では各々の占有スペースを確保する
オス同士の犬を多頭飼養している場合、同じ空間での生活は、時として競争や優位性の主張の原因となることがあります。
お互いがお互いの自己主張のためにマーキングを行う場合があるため、このような時には各々の愛犬に、個別の占有スペースを設け、状況によっては食餌や寝床も別々にしてあげましょう。
また、トイレも複数個設置したり、散歩の順番も時間をずらしていってあげたりすると有効です。
犬のマーキングに対する認識の注意点

これまで、犬のマーキングに関する基礎や排泄との違い、止めさせる方法などをご紹介してきましたが、一つだけ注意点があります。
それは、基本的にマーキングはどんな犬にとっても本能で、完全に止めさせることは難しいという認識が必要だということです。
犬が『本能』で行なう行動は、例え毎回飼い主さんが愛犬のマーキング防止を意識して、犬の気を逸らしたり、立ち止まらないよう早足で歩いたりしても、隙を見てする可能性があります。
飼い主からすると衛生マナーとしての責務があるため、しっかりと水で洗い流して「これで良し」と思うかもしれませんが、残念ながらアンモニア臭は少し水を掛けた程度では脱臭することが難しいため、別の犬がそこを通ってまた新たにマーキングをした時には、愛犬は再度同じようにマーキングをする可能性があります。
そのため私たち飼い主は、あくまでも犬のマーキングは『減少させる』ものという認識で居ることが大切です。
そして、減少しつつある中でも再度マーキングを愛犬がしてしまった際には、すぐに水をかけて洗い流すように心掛けましょう。
まとめ

犬のマーキング行動は、排泄と違って犬にとっては大切な自己表現のようなものです。
このため、完全に止めさせるというしつけは、なかなか難しい方法と言わざるを得ません。しかし、根気よくトイレトレーニングをした時と同じように、根気よくマーキングをしないように愛犬と向き合ったなら、それはいつか実を結ぶ結果に繋がるかもしれません。
そのため、愛犬のマーキングを減らしたい際には、焦らず、じっくりと愛犬と向き合ってあげてくださいね。
<参考書籍>
犬がもっと恋しくなる いぬことば|増田宏司(監修)|ヨシモフ郎(イラスト)
<参考サイト>
トイレの失敗じゃない?犬のマーキング行動を見分けるポイント
>https://omoriys.com/blog/
<画像元>
photoAC
Canva
また、生前疾患の多かったシェットランド・シープドッグをキッカケに取得した愛玩動物飼養管理士などの様々な資格の知識を生かし、皆様に役立つような記事を提供、執筆出来ればと思っております。
何卒、よろしくお願い致します。
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