飼い主の皆さんが普段愛犬にあげられているドッグフードは何ですか?
今やドッグフードというと、製造方法の違いからドライ、ソフトドライ、セミモイスト、ウェットなど、与え方によって選べるほど多種多様となりました。
しかし、だからこそ注意しておきたいのが、その保存方法です。
今回は、梅雨に備えておきたいドッグフードの保存ポイントや正しい保存方法などをご紹介します。
現代のドッグフードの需要とその種類とは?

ドッグフードの保存と言えば、パッと思いつくものにドライフードが挙げられます。
一般社団法人ペットフード協会(事務局所在地:東京都千代田区、会長:児玉 博充氏)においても、2019(令和元)年~2023(令和5)年までの5年間における犬の主食フードタイプ構成比を表した表では、ドライフードの需要が毎年約7割の推移で変わっていないことが分かっています。
▽『犬の主食におけるフードタイプ構成比』
この表では、一番濃いオレンジのバーがドライタイプを、その他の色のバーがドライ以外を示しています。
しかし圧倒的なドライフードの需要がある一方で、徐々に多くなってきているのが、薄いオレンジバーが示す市販のウェットタイプと黄色いバーが示す市販のソフト(生半)タイプの2種類です。
これらの結果は、それまで私たち人が当然のように愛犬や愛猫に与えていたフードの種類が多くなっていることを表しています。
では、その種類とは今やどれほどの数に及ぶのか…。
こちらも同社で示されているペットフードの区分表で、次のような種類が存在することが分かっています。
▽『ペットフードの区分と定義』
このように、今や多くの市場に出回っているドッグフードには、ドライだけに留まらず、ソフト系、モイスト系、ウェット系といった様々な区分に分かれており、そして、それに加えて飼い主さんご自身が手間をかけて作られる手作り食も種類に加えると、ドッグフードの保存を行う際には、そういった種類の違いにも注意しながら適切な保存対策を心掛けることが大切です。
ドッグフードにも保存が重要な理由って?

昔はそれこそ猫はおろか、犬であっても置き餌が普通だったペットのご飯が、なぜ今は保存が重要だとされているのでしょうか?
それは、ドッグフードに含まれている油分や脂肪が、空気(酸素)に触れることによって徐々に『酸化』してしまうからです。
ドッグフードが『酸化』する状況と言うのは、やがて過酸化脂質と言われる脂肪のサビへと変化していくことを意味しています。
特に梅雨の時期の湿気が高く、ジメジメしやすい今の季節では、酸化の影響だけではなく細菌やカビの発生にも気を付ける必要があります。
一般的にドッグフードなど、ペットが日常的に食べるものの場合、パッケージ仕様によってはしっかりと密閉しきれないものも多く、ご自身では密閉しきれていると思っていても、実際にはそうならずにドッグフードが劣化してしまっていることは珍しくありません。
ドッグフードが劣化した状態で愛犬がそれらを口にすることは、愛犬への体調の異変だけではなく、栄養価の不足、嗜好性の低下なども招いてしまう事態になります。
そのため、少しでもフードの異変を感じ取れば愛犬の方から口にしなくなるということは十分にあり得ることでしょう。
ただし、食に対する執着心が強いワンコや食いしん坊で出されたものをすぐに食べてしまうワンコ、食べられそうなものであればなんでも口にして状態を確かめたがる好奇心旺盛なワンコであった場合には、この限りではないため、やはりドッグフードをあげる前には、飼い主さんご自身が劣化していないかどうかの判断をしてあげるよう心掛けましょう。
梅雨時期に特に押さえておきたいドッグフードの保存ポイント

ドッグフードの保存ポイントは、普段からも当然押さえておきたい項目ではあるのですが、梅雨時期は前章でも述べた通り通常の『酸化』だけではなく、細菌やカビの発生にも注意する必要性があります。
そのためここからは、梅雨時期に特に押さえておきたいドッグフードのポイントをご紹介します。
賞味期限を過ぎないよう意識する
一般的に犬や猫が食べるペットフードは物にもよりますが、以下のような賞味期限目安が設けられています。
・ドライ・ソフトドライフード=未開封で約1年~2年
・セミモイストフード=未開封で約2年前後
・ウェット缶詰=未開封で最長約3年
・レトルトパウチ=未開封で約2年前後
ただし、中にはあまりにも長い保存期間が設けられているドッグフードもあるため注意が必要です。
未開封時の賞味期限の概ね目安は、あくまで未開封の場合です。大容量のドッグフードを購入する際には、一袋1kg×5袋といった小分けにされたものを選び、上記の期間を念頭に、賞味期限が過ぎないよう意識しましょう。
開封後は賞味期限に関わらず早めに使い切る
概ねの賞味期限目安を守っていても、開封した場合には賞味期限に関わらず早めに使い切るよう心掛けましょう。
ドッグフードは、開封すると急速に劣化や腐敗が進みます。その理由は、上記でも述べたように空気(酸素)に触れたり、湿気が影響したりするためです。
そのため、一旦開封してしまった時には以下の賞味期限が目安となります。
・ドライ・ソフトドライ=約1カ月
・セミモイスト=約2週間
・ウェット缶詰・レトルトパウチ=直接与えた場合は当日、取り分けた場合は1日~2日
使い切る際には、パッケージに記載してある賞味期限内に関わらず、早めの内に使い切るよう注意しましょう。
温度・湿度管理を徹底する
梅雨時期に発生しやすくなる細菌やカビは、室温がおおよそ20℃~35℃前後、湿度が60%~80%で繁殖及び増殖する条件が整うと言われています。
そして、以下の水分活性(Aw:Water Activity)の値が高ければ高いほど、カビの発生がしやすい状況が作られてしまいます。
▽『ドッグフード別水分活性の違い』
とはいえ上記の数値だけだと、本来カビが発生する水分量約13%を下回る10%以下で製造されるドライフードでは、あまり関係ないように思えてしまいます。
しかし、ドライフードであっても保管場所を誤ってしまうと細菌やカビの発生に繋がるため、特に梅雨の時期の温度管理・湿度管理には注意しましょう。
ドッグフードの正しい保存方法

では、ここからはドッグフードの正しい保存方法を種類別で見ていきましょう。
この記事では、ドライフードの保存方法、ソフトドライ・セミモイストの保存方法、ウェット・レトルトパウチの保存方法の3つをご紹介します。
ドライフードの保存方法
ドライフードの主な保存方法は、以下の3点に気を付けましょう。
①袋の密閉
②直射日光の当たらない場所
③常温保存
ここ最近のドッグフードの中には、ものによって「冷蔵庫で保管しましょう」と書かれてある無発砲製法(低温・低圧製造)で作られたドライフードなども販売されておりますが、特別そうしたことが書かれていない場合には、冷蔵庫など、出し入れの都度結露が発生してしまう場所に保存するのはかえって水分を発生させ、カビの発生を促してしまう恐れがあるため、原則『日の当たらない、出来るだけ涼しい常温保存』を心掛けましょう。
そして1か月を目安に使い切るよう努めましょう。
ソフトドライ・セミモイストフードの保存方法
ソフトドライ・セミモイストフードの保存をする際の主な保存方法は、以下の2点に気を付けましょう。
①袋の密閉
②冷蔵庫による保管
ソフトドライやセミモイストフードは、ドッグフードと違って水分量が25%~35%と多く、セミモイストフードの場合は特に無発砲製造されているものが多いため、細菌やカビの発生を防ぐためにも、冷蔵保存するよう努め、ソフトドライでは1か月、セミモイストフードでは2週間を目安に使い切るよう心掛けましょう。
ウェット・レトルトパウチの保存方法
ウェット・レトルトパウチにおける保存方法は、主に以下の2点に気を付けましょう。
①開封したら出来るだけ当日中に使い切る
②余った場合は冷凍保存する(※ただし食味を損なう場合あり)
一般的に水分含有量が75%と、他のどのドッグフード製品よりも水分が含まれているウェット・レトルトパウチに関しては、一度開封した場合、当日中、または遅くとも1日~2日中には使い切るよう努めましょう。
またこうしたドッグフードは、食器に出した後に品質が著しく低下してしまうため、ウェットやレトルトパウチではなかなかない事だと思いますが、万が一愛犬のお気に召さないものだった場合には、20分を目安に片付けるよう注意しましょう。
まとめ

いかがでしたか?
基本的に保存に不可欠な方法として挙げるとしたら、それは、フードはしっかりと密閉した状態、高温多湿にならない状況を心掛けてあげることです。
梅雨時期はジメジメとした日が多く訪れます。そのため、梅雨時期は特に出来る限り酸化しない、腐敗しない保存対策を心掛けてあげてくださいね。
<参考サイト>
一般社団法人ペットフード協会
>https://petfood.or.jp/index.html
プレミアムペットフード専門店PET DINING|フードの取り扱い
>https://pet-dining.jp/hpgen/HPB/entries/36.html
環境省|ペットフードの保存方法
>https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/petfood_guide_1808/pdf/5.pdf

また、生前疾患の多かったシェットランド・シープドッグをキッカケに取得した愛玩動物飼養管理士などの様々な資格の知識を生かし、皆様に役立つような記事を提供、執筆出来ればと思っております。
何卒、よろしくお願い致します。

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