春の花には、“サクラ”と名の付く桜とは違ったお花がいくつか存在します。
筆者の記事でも、これまでに桜に関する記事を複数掲載してきましたが、実はこの“サクラ”と名の付く花の中には、犬が決して口にしてはいけない有毒植物があります。
それがまさに、“サクラ”と名が付くサクラソウです。
今回は、そんなサクラソウについて、桜との違いや犬に問題となる有毒成分、関連植物や予防法に至るまでご紹介します。
<目次>
“サクラ”と名の付くサクラソウってどんな花?

サクラソウは、北海道南部や本州、九州及び朝鮮半島、中国、ダフリア、アムール、ウスリーなど、広く地域や国に分布する多年草です。
学名ではPrimula sieboldii(プリムラ・シーボルディ)とされ、英名ではプリムラ、和名では桜草とされています。
サクラソウは、一般的にサクラソウ科サクラソウ属に分類され、鉢植えや庭植えなどで多く生育されることが多い花です。
日本で多く見掛けるサクラソウは、一般的に5つくっ付いた花弁が桜のような形をしていてピンク色をした花というのが印象的でしょう。
また、早春の3月~4月にかけて開花するため、カタクリと言われる花同様、スプリングフィメールと呼ばれることもあるそうです。

一方、英名で呼ばれるプリムラは、日本のサクラソウに比べて花弁が丸く、どこかパンジーやビオラを思わせるような見た目をしています。

ただしプリムラは、品種の違いによっては見た目が多少相違することもあるため、注意しましょう。
また、プリムラは主に11月~5月頃にかけて開花するため、そういった点も日本のサクラソウとは違った特徴です。
“サクラ”が付くのに桜とは何が違う?

“サクラ”と名が付くサクラソウなのに、春に咲き誇る桜とは一体何が違うのでしょうか?
結論から申し上げれば、植物の分類(草か木か)と花の構造です。
一般的にサクラソウは、上記でも述べたように『サクラソウ科サクラソウ属』という多年“草”に分類されます。
また花弁も、一枚一枚が独立した離弁花(りべんか)ではなく、花弁が繋がった合弁花(ごうべんか)という特徴を持ち合わせています。
しかし桜は一般的に、『バラ科サクラ亜科サクラ属』という分類で、花弁が離弁花類の落葉樹です。
そのため、桜とサクラソウはそもそもの分類や花弁の作りから、全く異なる植物ということになります。
また、これらの毒性についても明確な違いがあり、桜では花びら以外の葉や種子、果肉(サクランボ)、樹皮には「アミグダリン」や「クマリン」といった成分を含んでいる一方、サクラソウでは花びら以外の葉や根茎に「サポニン」が含まれています。
さらに、英名でサクラソウと同じ扱いをされるプリムラには、後述する有毒成分「プリミン」が含まれています。
桜であっても、桜の花びらでない場合には注意が必要です。
詳しくは、以下の記事で詳細をご紹介しているので、気になる方はこちらもご覧になってみてくださいね。
▼【合わせて読みたい!こちらの記事もオススメです】
犬が桜を食べちゃった!桜による危険性はある?花びらや葉、毒性について
>https://www.inutome.jp/c/column_9-233-38954.html
サクラソウに含まれる有毒成分とは?

それでは、サクラソウに含まれる有毒成分を一つずつ見ていきましょう。
有毒成分➀:サポニン
サポニンは、大豆やゴボウ、お茶(緑茶・抹茶)などの植物に含まれている天然の界面活性剤(配糖体)です。
サポニンには、一般的に強い抗酸化作用や免疫力向上作用、脂肪吸収抑制作用など、適切な摂取がされれば、生活習慣病の予防に役立つ成分として知られています。しかし、犬や猫にとってのサポニンは基本的には有毒で、誤って愛犬がサクラソウの葉や根、茎などを口にしてしまった場合、吐き気や嘔吐、胃腸炎、下痢などの危険性が生じ、重篤の場合には溶血性貧血や痙攣、呼吸困難や腎炎などを生じる恐れがあります。
有毒成分②:プリミン
日本のサクラソウにはほぼ含まれていないけれど、西洋サクラソウのプリムラには含まれていると言われるプリミンは、触れるだけでも炎症が起こると言われる成分です。
基本的に、皮膚炎を引き起こす症例の多くはプリムラ・オブコニカと呼ばれる品種によるものが多いとされており、花の色は橙赤色、桃色、濃青色などがあります。プリミンは愛犬が誤って触れた場合には、アレルギー性皮膚炎の危険性が生じ、愛犬が誤って口にしてしまった場合には、吐き気や嘔吐などを引き起こす可能性があります。
上記の有毒成分は、比較して頂いても分かるように、サポニンの方が毒性は強く、また大変危険です。
加えて住宅街での鉢植えや、河川敷、草原、高原などでは、西洋のサクラソウであるプリムラではなく、日本のサクラソウを目にする方は多いと思いますので、仮に自生しているサクラソウを愛犬との散歩中に見つけた際には、最低限愛犬がサクラソウの葉や茎、根などを誤って口にしないように注意しましょう。
サクラソウと関連する犬にとっての有毒植物

では、サクラソウと関連する犬にとっての有毒植物とは、一体どんな植物なのでしょうか?
その植物とは、ご家庭のガーデニングや公園の花壇などでもよく植えられているシクラメンです。

シクラメンはサクラソウ科シクラメン属に分類され、犬にとってとても有害な植物とされています。なぜ有毒かと言えば、シクラメンの成分には上記でもご紹介した溶血作用のあるサポニン配糖体のシクラミンという成分が含まれているからです。
一般的にシクラメンには全草にシクラミンが含まれており、特に球根にその成分が集中していると言われています。
そのため、愛犬が誤ってシクラメンに触れてしまった場合には、皮膚炎の危険性が生じ、誤って食べてしまった場合には、吐き気や嘔吐、胃腸炎や下痢、不整脈などのサクラソウと同様の恐れがあります。
シクラメンは、多くのご家庭のガーデニングや公園内の花壇などでよく植えられている植物ですが、犬にとっては毒性がとても高い植物の一つでもあるため、安易に近付けさせないように注意しましょう。
愛犬が誤ってサクラソウを口にしないための予防法

“サクラ”と名は付くけれど、犬にとっては危険性の高いサクラソウを、愛犬が口にしないために出来る予防はどうすれば良いのでしょうか?
その方法としては、ご自宅でのガーデニングを検討するなら、愛犬の手の届かないところに鉢植えとして育てるか、別の植物を植えるように検討しましょう。また、これがもし散歩道に自生しているようなサクラソウだった場合には、安易に愛犬が近寄らないよう、リードコントロールを心掛けるようにしましょう。
サクラソウ科の植物は、日本サクラソウであっても、プリムラであっても、そしてシクラメンであっても、犬にとっては危険性のあるものです。
またこれらの植物は、住宅街や公園、河川敷など、愛犬との散歩でよく通るところに広く分布しているため、愛犬との散歩中に愛犬に集中せず散歩してしまうと、危険性はますます高くなってしまいます。
サクラソウ科に分類される植物の中でも、特に危険性が高いと言われているのは、シクラメンとプリムラですが、日本サクラソウの葉や根、茎に至ってもサクラソウサポニンと言われる成分は例外なく含まれているため、愛犬の誤飲を防ぐ際には、サクラソウ科に分類される植物には、出来るだけ近寄らせないようにしっかりと注意しましょう。
まとめ

サクラソウは、見た目こそ桜のように愛らしいお花かもしれません。
そのため、ガーデニングで植える植物を検討する際も、サクラソウやシクラメンは人気が高いことでしょう。しかし、それを犬の目線として見た際には、一旦立ち止まって本当に愛犬に危険性はないのか、検討してあげることが大切です。
春は特にサクラソウが目に付く季節でもあるため、愛犬との散歩の時には決して目を離さずに、しっかり集中してあげてください。
<参考書籍>
必ず知っておきたい犬と猫に危険な有毒植物図鑑|土橋 豊 農学博士(著)|高島 一昭 獣医学・医学博士(監修)
<参考サイト>
プリムローズ|ASPCA
>https://www.aspca.org/pet-care/aspca-poison-control/toxic-and-non-toxic-plants/primrose
サクラソウ|東邦大学薬学部付属薬用植物園
>https://www.lab.toho-u.ac.jp/phar/yakusou/sakuraso.html
<画像元>
photoAC
Canva
筆者提供
また、生前疾患の多かったシェットランド・シープドッグをキッカケに取得した愛玩動物飼養管理士などの様々な資格の知識を生かし、皆様に役立つような記事を提供、執筆出来ればと思っております。
何卒、よろしくお願い致します。
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