犬を飼っている方なら大型犬の寿命が他の犬よりも短いことはご存知でしょうか。
犬の平均寿命は一昔前より犬の飼育環境が良くなったこともあり平均約14歳まで伸びています。しかし、大型犬に関して言うと平均約11歳です。
なぜ大型犬は短命なのか現在もその理由については研究段階であり、はっきりしていませんが、いくつか考えられることがあります。
<目次>
犬の平均寿命はどのくらいなの?

犬の平均寿命はアニコム損害保険株式会社が報告した2019年度の調査結果では以下のグラフの結果になりました。
超小型犬と小型犬で14.4歳、中型犬で13.4歳、大型犬で11.5歳です。
大型犬の平均寿命が他に比べてとても低いことがわかります。
引用元:アニコム家庭どうぶつ白書https://www.anicom-page.com/hakusho/book/pdf/book_202112_2_3.pdf
犬種別の平均寿命は以下の表のようになります。大型犬だけ注目すると他の犬種に比べて平均寿命が短いことがわかります。
引用元:アニコム家庭どうぶつ白書 https://www.anicom-page.com/hakusho/book/pdf/book_202112_2_3.pdf
なぜ大型犬は他の小さな犬種より長生きできないのでしょうか?
次の章で見ていきましょう。
大型犬の大きさの定義とは?

「大型犬」の大きさに関する固定した世界基準はないため、一般的に「大型犬」と言われる定義で見ていくと、体重25kg以上の犬が大型犬とされています。
これは国や施設で異なるため、20kg以上でも大型犬とされる場合もあります。
犬種で言うと、代表的なものでゴールデン・レトリバーやシベリアン・ハスキー グレートデン セント・バーナードなどがあります。
大型犬の寿命が短い理由はさまざまな見解が多く諸説あり、未だ研究段階にありますが、その理由の多くに考えられるものは次3つです。
大型犬の寿命が短い理由その① 成長スピードが早いから

小型犬のチワワと大型犬のゴールデン・レトリバーを比べると成犬になるまでに大型犬は何倍もの大きさになります。
これは同じ数年の成長期間のうちに激しく細胞分裂を繰り返し、急激な成長をしていることになります。細胞分裂のスピードと回数が速いと「がん」などの病気のリスクが高まります。
そして大型犬は老化スピードも小型犬より早くなるのです。
これらの理由のため大型犬の寿命は短いのではないかと言われています。
大型犬の寿命が短い理由その② 心臓の負担が大きい

なんと驚くことに、犬の器官は体の大きさに関係なくほぼ同じサイズです。
つまり小型犬も大型犬も心臓は同じ大きさということ。
大きな体に小さすぎる心臓で体中に血液を循環させるのは日常生活で大きな負担になっているのではないかと言われています。
実際、大型犬には心臓病が多いのも事実です。
大型犬の寿命が短い理由その③ IGF-1因子のレベルが高いから

人間や動物の成長に必要なホルモンはさまざまなものがありますが、インスリン様成長因子の「IGF-1因子」というホルモンがあります。
アメリカの研究で犬の短い歴史の中で犬の大きさが枝分かれした理由にはこのIGF-1因子が突然変異したことがわかりました。小型犬のほとんどがこのホルモンの変異が見られたということです。
これは犬の大きさだけではなく、寿命や成長にも関連しているのではないかと言われています。IGF-1因子の分泌が多いと体が大きく短命の傾向があります。大型犬はこのホルモンの分泌が多いことも短命の理由だとされています。
大型犬に多い病気とは?

では、短命だと言われる大型犬に多い病気にはどんなものがあるのでしょうか?特に命の危険が伴うものをご紹介します。
愛犬がかかりやすい病気を知っておくことで未然に防げるようにしたいものです。
大型犬に多い命の危険度の高い病気には以下のものがあります。
【大型犬に多い病気】
①心臓病
②胃捻転
③骨肉腫(がん)
①心臓病
・拡張型心筋症
遺伝性がある心臓病のひとつでL-カルチン(アミノ酸)が不足し、心筋の厚みが薄くなり、心臓のポンプ機能が低下する病気です。不整脈が発生し、突然死する場合があります。
・大動脈狭窄
心臓付近の大動脈が狭くなり、血流が悪化することで心臓が肥大し、突然死を招く恐れのある心臓病のひとつです。
愛犬が疲れやすく、ゼーゼー呼吸が苦しそう、食欲不振、体重の急な増減、めまいなど見られるようならすぐに獣医師に診てもらいましょう。
②胃捻転
胸部が高い大型犬に多い病気で原因は不明です。
何らかの原因で胃の中にガスが溜まり、正常な位置にある胃にねじれ(捻転)が起こり回ります。周りの血管や臓器も一緒にねじりこまれてしまう為、急激な循環不全が起こり、ショック状態になり高確率で死に至ります。
予防には、1日の食事を少量で回数を多くする、早食いさせない、食後すぐの大量の水分補給はさせない、食後すぐに運動をさせない、などがありますが、特に有効なのは事前の胃の固定手術を受けることです。
食後にそわそわする、吐こうとして吐けない、お腹がふくらむ、大量のよだれ、呼吸困難などの症状があればすぐに動物病院を受診しましょう。
③骨肉腫(がん)
大型犬に多い骨にできる悪性腫瘍(がん)の病気です。大型犬は小中型犬の8倍かかりやすいと言われています。肥満や運動不足の犬がなることが多いです。
体重がかかる脚の軟骨にできやすいため、体重管理が重要です。骨肉腫の多くは肺に転移し、かかるとその寿命はもって平均1年ほどです。治療には抗がん剤や断脚手術をします。
大型犬を長生きさせる秘訣とは?

大型犬に多い心臓疾患は遺伝的や加齢の影響が大きいため、これが予防法だというものは無いことが事実です。
しかし、心肺機能にダメージのない生活をすることが大切ですので以下の事に注意していきましょう。
【大型犬を長生きさせる秘訣】
・毎日の健康観察
・肥満に注意する
・低塩分
・タウリンの補給
・L-カルニチンの接種
毎日の体重測定や検温などの健康観察は重要です。体重の急激な増減は重篤な病気が隠れている場合があります。
そして、体を毎日マッサージしてあげることで腫瘍を見つけやすくなります。毛の長いスタイルの犬種は一見しただけでは腫瘍が見えないため触って確かめることが大切です。
どの病気も肥満には一番注意しなければなりません。体重が2kg増えると寿命が1か月縮むと言われているほど犬の肥満には良いことがありません。
心臓ケアに大切な栄養素はL-カルニチンとタウリンと言われています。低塩分、低脂肪の食事も大切です。
現在は心臓ケアに特化したフードも市販されています。試してみるのも良いかもしれません。
まとめ

体が大きくて丈夫そうな大型犬がさまざまな負担が身体にかかっていて寿命が短いとは驚きですね。
大型犬の寿命の長さが短いことはどうすることもできませんが、飼い主としては愛犬に楽しく健やかに、そしてできるだけ長く一生を送ってほしいと願うばかりですね。
<参考URL>
アニコム家庭どうぶつ白書 犬種別の平均寿命(2019年)
>https://www.anicom-page.com/hakusho/book/pdf/book_202112_2_3.pdf
<参考URL>
NEDO国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構 NEDO海外レポート「イヌの身体の大きさに関与する遺伝子が特定される(米国)
>https://www.nedo.go.jp/content/100105059.pdf
<参考書籍>
いぬ大全304 藤井康一 (著)

フラワーアレンジメント講師
2人の息子の母
実家でパグの出産、育児を経験し、
現在はトイプードルの男の子と暮らしています。
みなさまの愛犬にお役に立てる情報を発信していきたいです。

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