皆さんは、犬の冬の散歩で犬が食べてしまうと危険な木の実の種類をご存知でしょうか?
冬の季節はどうしても寒さ対策に目が向けられてしまうため、そうした視点の違ったテーマは、二の次になりがちです。
しかし、実はその木の実のせいで愛犬が危険に晒されてしまうかもしれません。
今回は、そんな万が一のことにならないために。
犬が冬の散歩中食べてしまうと危険な木の実5つと主な症状、中毒を起こす目安量などをご紹介します。
<目次>
犬が食べると危険な冬の木の実①:マサキ

庭木や生け垣などによく植えられるマサキは、ニシキギ科ニシキギ属に属する常緑樹です。
基本的に1年を通して鮮やかな緑の葉や花、実を付ける姿を見せるため、定期的な剪定などの手入れをして鑑賞を楽しんでいる方も多い植物とされています。
また、雨風などにも強い特徴を持ち合わせており防風林としても活用されているため、海岸沿いなどでも見られます。
マサキの実を誤って摂取した時の犬の主な症状
そんなマサキの実を万が一愛犬との散歩中、愛犬が誤って摂取してしまった際には、以下のような症状が表れる場合があります。
・嘔吐や下痢
・よだれ
・手足の腫れ
・心拍異常、衰弱
・神経症状
マサキは主に12月頃になると赤い実を付けますが、この実は毒性が大変強く、犬はおろか、人にとっても有毒性が高いため、誤って愛犬が口にしてしまうと大変危険な木の実です。
また、マサキは実だけでなくその葉や花、樹皮、根、茎など、どの部分にも有毒性を持ち合わせているため、見つけた際には注意しておきましょう。
犬が食べると危険な冬の木の実②:トウネズミモチ

ブルーベリーのような見た目をしているトウネズミモチは、モクセイ科イボタノキ属に属する常緑低木です(※大きく育つことから常緑高木などの情報もあり)。
トウネズミモチは、元は中国から来た外来種とされていて、日本の在来種であるネズミモチとは実や葉の特徴が多少異なります。
一般的に街路樹や神社、公園などといった比較的開けた場所に植えられていることが多いようですが、ムクドリやヒヨドリなどが食べた後、糞として拡散されている可能性があるため、住宅街などであっても注意が必要です。
トウネズミモチの実を誤って摂取した時の犬の主な症状
見掛ける機会もそうないかもしれませんが、万が一愛犬との散歩中、愛犬がトウネズミモチの実を誤って摂取してしまった際には、以下のような症状に注意が必要です。
・嘔吐や下痢
・消化不良、腹痛
・視力低下
基本的にトウネズミモチの実は、晩秋~初冬にかけて黒紫色に熟します。見た目こそブルーベリーのような見た目をしていて、パッと見では愛犬が口にしても「あれ?なんか食べた?」程度にしか感じないかもしれません。
しかし、トウネズミモチの実は人にも中毒症状を引き起こす可能性のある木の実のため、愛犬が知らぬ間に食べてしまった場合には、食べた後の症状に気を付けましょう。
そして万が一嘔吐や下痢などの症状が見られた際には、早急に動物病院を受診するよう心掛けてあげてください。
犬が食べると危険な冬の木の実③:クロガネモチ

その木に成る実がナンテンとも思えるような真っ赤な実を付けるクロガネモチは、モチノキ科モチノキ属の常緑高木に属しています。
日本では、その「カネモチ」という名前が「金持ち」に通じることから縁起の良い木とされ、昔から庭木として多くの人から親しまれている植物です。
けれど、クロガネモチは他にも公園や街路樹、緑地といった様々な場所にも植えられている植物でもあることから、注意が必要です。
クロガネモチの実を誤って摂取した時の犬の主な症状
もしも愛犬がクロガネモチの実を誤って口にしてしまった場合には、以下のような症状が見られる可能性があります。
・嘔吐や下痢
・消化不良、腹痛
・血圧上昇
・昏睡状態
クロガネモチは、秋頃~冬にかけて赤い実をたくさん付けるため、その実を気にして口にしたがる愛犬も多いかもしれませんが、クロガネモチの実や葉には、嘔吐や下痢といった胃腸障害や血圧に作用する有毒成分のイリシン、犬が摂取すると危険なカフェインやテオブロミンなども含まれていると言われているため、決して近寄らせないように注意してください。
また、人に関しても誤って摂取した場合には、嘔吐や下痢などの症状を呈してしまう危険性があるため、摂取しないように注意してください。
犬が食べると危険な冬の木の実④:ナンテン

「難を転じて福となす」で知られるナンテンは、メギ科ナンテン属の常緑低木です。
日本ではお正月の際の正月飾りなどで飾られることが多く、縁起物としての一面や厄除けや魔除けとしての一面を持ち合わせた縁起木とも言われていますね。
基本的にナンテンを公園などで目にすることはあまりないと思われますが、代わりに一般家庭の庭木として植えられていることは少なくない植物のため、住宅街の散歩が日課の愛犬の場合には、注意しましょう。
ナンテンの実を誤って摂取した時の犬の主な症状
ナンテンの実は、しっかりと剪定して手入れの行き届いている場合なら誤って犬が摂取してしまうこともないかもしれません。
しかし、そうでない状態だった場合に愛犬が誤ってナンテンを摂取してしまった場合には、以下のような症状が見られることがあります。
・嘔吐や下痢
・よだれ
・呼吸困難、痙攣
・意識障害、昏睡状態
ナンテンは、その植物全体に有毒成分を含んでおり、特に赤い実の部分に毒が多いのが特徴です。
意識障害や痙攣、呼吸器障害を引き起こすドメスチンやナンテニン、強心作用などを引き起こすヒゲナミンなどは、過剰摂取してしまうと中毒症状を呈してしまうため、散歩中にナンテンを見つけても愛犬には近付けさせないように注意してください。
また、葉の部分に関しても、殺菌効果のあるナンジニンという成分が含まれているため、愛犬が誤って口にしないよう注意しましょう。
犬が食べると危険な冬の木の実⑤:クスノキ

薬品としての利用からクスリノキ(薬の木)や香りの強さに因んでクスシキ(臭し木)などと呼ばれるクスノキは、クスノキ科ニッケイ属に属する常緑広葉樹です。
神社や寺院、庭園、街路樹、公園など様々なところに植栽されており、その高さは、ものによって40m以上の大木になるものまであると言われています。
クスノキの実を誤って摂取した時の犬の主な症状
しかしそんなクスノキも、秋~冬にかけて成る実を愛犬が誤って摂取してしまった際には、以下のような症状に注意が必要です。
・嘔吐や下痢
・消化不良、腹痛
・痙攣
クスノキの実は、見た目がトウネズミモチの実同様、ブルーベリーのような見た目をしているため、単なる木の実のように思う飼い主さんは多いかもしれません。
しかし、クスノキ科として知られるアボカドの種子は、それを誤って愛犬が口にしてしまうと中毒症状を呈してしまう危険性があるペルシンが含まれていて、与えてはいけないことで知られています。
一般的にペルシンは、クスノキ科の中でもアボカドのみに関連しているようですが、筆者が愛犬と散歩する近くの公園では、クスノキが多く植栽されており、ご挨拶をしたほかの飼い主さんから「黒い実を食べて吐いていた」というお話を耳にしたことがあります。
そのため、万が一愛犬が誤ってクスノキの実を口にしてしまった際には、念のため動物病院を受診するよう心掛けてあげてください。
愛犬が一般的に中毒症状を起こす目安量

では、愛犬との散歩中に愛犬が誤って木の実を食べて中毒症状を起こす目安量は、一体どれくらいなのでしょうか?
厳密なことを申し上げれば、『一概には言えない』が結論と言えます。
しかし一概には言えないものの一般的には、犬が何か中毒症状を起こす食材を誤って摂取してしまった場合、それらの多くは大体体重の0.5%以上の量を一度に摂取すると、中毒症状が認められると言われています。
ただし、体重1kg当たり、犬では15g~30g(タマネギの場合)で血液検査の異常が認められるとされているため、少量でも注意が必要で、そこには当然、個体差や食べた部位によっても違いが生まれてくるため、それによる違いにも注意する必要があるでしょう。
まとめ

今回は犬にとって危険な冬に実を付ける木の実をご紹介しましたが、いかがでしたか?
冬は植物が実を付けるとは縁遠い季節だと思われがちですが、実際には冬にも実を付ける植物は多く存在します。
万が一誤って愛犬が実を口にしてしまった際は、症状の有無に関わらず動物病院を受診しましょう。
<参考書籍>
犬と猫に有害な植物/食べ物と予防と対策
<参考サイト>
与えてはいけない食べ物その1:ネギ属(Allium spp)植物
>https://www.jstage.jst.go.jp/article/jpan/26/2/26_82/_pdf/-char/ja
生薬の花|公益社団法人日本薬学会
>https://www.pharm.or.jp/flowers/post_26.html
身近な植物中毒vol.6 ~ナンテン中毒~|岐阜医療科学大学|薬学部薬学科
>https://phar.u-gifu-ms.ac.jp/column/2729.html
<画像元>
Canva
photoAC
また、生前疾患の多かったシェットランド・シープドッグをキッカケに取得した愛玩動物飼養管理士などの様々な資格の知識を生かし、皆様に役立つような記事を提供、執筆出来ればと思っております。
何卒、よろしくお願い致します。
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