無駄吠えはしつけの困りごとでも常に上位に入ります。
一生懸命なおそうとするけど、なかなかうまくいかなくて困っている方も多いのではないでしょうか。
無駄吠えをなおすには「吠え」を止めるだけでなく、「吠える背景」まで考えないと根本的な改善はのぞめません。
愛犬の心に寄り添った、解決策を考えてみませんか?
無駄吠えは無い!愛犬が吠えるには理由がある!
「無駄吠え」という考え方はあくまで人目線で、わんちゃんが吠えるのには必ず理由があります。
吠えをなおすためには、愛犬がなぜ吠えるのかを知ることが大切です。
愛犬が吠える理由は大きくわけて4つです。
愛犬が吠えている場面を思い出して、当てはまるものを探してみましょう!
愛犬の無駄吠えを止めさせるには吠える背景を知ろう!
吠えるだけに限らず、問題行動とよばれるものは人には困る行動でも、犬からすると本能からの自然な行動という場合が多いです。(異常行動はのぞく)
わんちゃんがその行動をとるのには、必ず理由や原因があります。そこに目を向けずに行動だけ修正するのは、わんちゃんの心を無視しているだけなく、根本的な解決になりません。
まず、どうして吠えるのか「背景」を探っていきましょう!
「背景」を探るために下の図を使います。
例えば、無駄吠えのお困りごとで「チャイムが鳴ったら犬が吠える」というのがありますね。
図に当てはめてみましょう。
例えば、①が「警戒心が強い性格」で➁に「知らない人が来て嫌だった」というのであればどうでしょうか?
飼い主さんが「やめなさい」と叱ると「嫌だったから吠えたのに叱られた」とチャイムに対してさらに嫌な印象を持って行動が悪化してしまいます。
また、吠えているうちに来訪者が去ってしまうと、「吠えたからいなくなった」と学習して行動が強化されていきます。
そのため、吠えるのをやめさせるには、「➁知らない人が来て嫌だった」という感情にアプローチをしなければいけません。
・大きな音を出して驚かして止めさせる
・しつけの首輪・グッズを使う
・吠えるたびに「ダメ」と叱る
無駄吠えの対処法としてよく見かけますが、アプローチとして正しくないことがわかりますし、仮に吠えなくなったとしても犬の心に寄り添っていません。
愛犬のことをよく観察して、図に性格や気持ちを当てはめて考えてみましょう!
犬の無駄吠え対応の実例を紹介
実は筆者の犬や周りの犬にも「チャイム吠え」がありました。
どうやって吠えをなおしていったのか実例で紹介しますので、よかったら参考にしてくださいね。
チャイム吠え改善の実例1
まず吠えるきっかけが「チャイムの音」なのか「別のものなのか」を確認しました。
その結果、「チャイムの音」には反応していないことがわかりました。
そこでチャイムが鳴ったときの犬の行動をよく観察すると「チャイムが鳴ったとき」ではなく「TVモニターに人が走り寄る」ときに吠えていることがわかりました。
犬は素早く動くものに反応して吠えたり、興奮が移って吠えることがあります。
また、①の「周囲に同調しやすい性格」というのも、吠える原因の一つであったと思います。
チャイムが鳴っても走らずゆっくり動くようにすると、チャイム吠えは無くなりました。
チャイム吠え改善の実例2
チャイムが鳴ったときの2匹の行動をよく観察し、下記のことがわかりました。
・チワワは吠えているが、ビションは吠えていない
・チャイムが鳴ったらチワワが吠え始めた
・ビションが玄関に走っていく時に一緒について行って吠えている
・吠えているときにチワワに「不安」「警戒」の仕草が見られた
そのため、下の図のような「背景」があると予測を立てました。
アプローチとして「チャイムが鳴ると嫌なこと(知らない人が来る)→チャイムが鳴ると良いこと(オヤツがもらえる)」に変えていくことにしました。
アプローチ方法
①オヤツを少量、何回か与えてオヤツに意識を集中させます
➁録音したチャイムを小音で鳴らし、吠える前にオヤツを与えます。(報酬価値を上げるためにオヤツは嗜好性が高いものを使用)
➂チャイムの音を少しずつ大きくしました。(最終的には通常鳴らしている音量を目指す)
④これを2週間続けました
2週間後にはチャイムが鳴ると、吠えずに飼い主さんの方にオヤツをもらいに来るようになりました。
ビションはチャイム吠えはありませんが「チワワがくっついて行動していることが多い」「ビションが走るのに興奮してチワワが吠えている可能性」もあったので、一緒にトレーニングしました。
愛犬の無駄吠えをなおす前に知ってほしいこと
①犬が吠えることの問題点
マンションや住宅地など人が密集して住んでいるところは、ちょっとした吠えでも問題視されがちですが、何かを伝えるときに吠えるというのは当たり前の行動です。
吠えで問題なのは「吠えるのをやめないこと」や「色々な刺激に反応して吠えてしまう」ことです。
わんちゃんが吠え続けるとつい近所迷惑だけに目が行きがちですが、わんちゃん自身も不満や欲求が解決されずに、ストレスを抱えている場合もあるというのを忘れないであげてください。
➁愛犬を信じて向き合うこと
わんちゃんは飼い主さんの心の変化や気持ちに非常に敏感です。
吠えさせないようにと神経質になってしまうと、わんちゃんにもその緊張が移って、余計に吠えやすくなることがあります。
またトレーニング中に「何回やっても覚えない」と、投げやりな気持ちで接するとわんちゃんに気持ちが伝わって、わんちゃんが辛くなってしまいます。
「一緒に頑張ろうね」「どうやったら解決できるかな」と前向きな気持ちで、わんちゃんに向き合いましょう。
➂早めにドッグトレーナーに相談
無駄吠えだけに限らず、わんちゃんの行動を相談できるドッグトレーナーは見つけておいた方が安心です。
豊富な経験から、解決策を一緒に探ってくれます。
家庭内で解決が難しい場合は、早めにドッグトレーナーの手を借りましょう。
※ドッグトレーナーを選ぶときは下記の点に注意して選びましょう。
・動物の行動修正に豊富な知識と経験をもっているか
・持論ではなく科学的、学術的な知識を持っているか
・動物心理や動物福祉に配慮してトレーニングを行えるか
いかがでしたか?
わんちゃんが吠えるのには必ず理由があります。
「無駄吠え」の一言で片付けるのではなく、愛犬の心に寄り添った対応をとってあげたいですね。
<参考文献>
・動物看護のための動物行動学 動物看護学全書 森 裕司 (著)武内 ゆかり
・動物の精神科医が教える犬の咬みグセ解決塾 奥田順之著
・鳴き声で、犬の気持ちってわかるの? 講義No.06946 夢ナビ
・問題行動を犬目線で考えてみよう Vol.3 荒田明香 東京大学大学院農学生命科学研究科
・犬と飼い主に寄り添う「動物看護」の世界 講義No.08550 夢ナビ
・インターフォンに吠える犬の対処法DOGGY STATION Vol.75
<画像元>
Pixabay
写真AC
illust STAMPO
いらすとや
ヒューマンピクトグラム2.0
・(元)認定動物看護師
・一般社団法人日本小動物獣医師会 動物診療助手
やんちゃなミックス犬とおっとりトイプードルと暮らす。
大学在学中に「病気になる前の予防が一番大事」と気づき、
ペットフードやペットサプリメントの会社に就職。
「食」に関するさまざまな知識を身につける。
愛犬を亡くしたときに
「もっと色んな情報を知っておけば」と感じた後悔を
「他の飼い主さんにはさせたくない」との思いから、
ライター活動を開始。
「勉強になった・信頼・わかりやすい」を目標に情報を発信しています。
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