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犬の前十字靭帯断裂ってどんな病気?手術しないとダメなの?【動物看護師が解説】

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愛犬が急に足を引きずるようになって、動物病院に行ったら「前十字靭帯が切れている」と言われた・・・このような体験談を耳にしたことはありませんか?

「うちの子がもしなったら」と想像すると辛くなりますが、この恐ろしい病気はどの犬でも起きる可能性があります。

さらに医療費も高額になるケースがあります。

「まさかこんなことに」と焦らないために、「前十字靭帯断裂」という病気について、愛犬が元気なうちに学んでおきましょう。

犬の「前十字靭帯」ってどこにあるの?

「前十字靭帯」といわれてもイメージがつきにくいですね。まずは「前十字靭帯」がどこにあるのかを覚えていきましょう。

「前十字靭帯」の場所を知るには、犬の「ひざ」がどこにあるのか知る必要があります。犬の「ひざ」は下図の「赤丸」がついている所です。

この「赤丸」で囲まれた所の骨を詳しく見ていくと、下図のようになっています。

図を見ると、犬のひざは「大腿骨(太ももの骨)」と「膝蓋骨(ひざの骨)」と「脛骨(すねの骨)」という「3つの骨」で構成されているのがわかりますね。犬のひざは「3つの骨で構成されている」というのがなんとなくイメージできればOKです。

さて、犬が歩こうとすると、ひざの曲げ伸ばしが必要になりますね。

骨だけだとゴリゴリぶつかるだけではうまく曲げ伸ばしができないので、骨同士を繋ぎとめる「ベルト」の役割が必要になります。その「ベルト」の役割をしているのが「靭帯」です。

では今度は、ひざの「靭帯」がどうなっているのかを見ていきましょう。

犬の「ひざの骨」と「靭帯」は、下図のように繋がっています。「前十字靭帯」という文字がでてきましたね。

ひざはたくさん曲げ伸ばしを行う場所なので、しっかり固定できるように、たくさんの靭帯がついています。

「前十字靭帯」はその靭帯のうちの一つで、ひざを構成している「大腿骨」と「脛骨」が離れないようにガッチリと繋いでいます。

図を見ると、「前十字靭帯」と「後十字靭帯」という2本の靭帯がバッテンの形になって、しっかりと骨同士を繋いでいるのがわかりますね。

「前十字靭帯」がどの場所にあるか、なんとなくイメージがついたでしょうか?

犬の「前十字靭帯」が断裂したら、どうなるの?

では、この「前十字靭帯」が断裂してしまったら、いったいどうなるのでしょうか。

先ほど「前十字靭帯」は、太ももの骨と脛の骨をつなぐ「ベルトの役割」をしているとお話ししましたね。「ベルトの役割」があることで、下記のような状態を防ぐことができます。

▼「前十字靭帯」の役割

・脛の骨が太ももの骨より前に飛び出すのを防ぐ

・脛の骨が内側にねじれないように固定する

・ひざの関節が逆側に過剰に曲がりすぎないように支える

しかし、前十字靭帯が切れてしまうとベルトの役割ができなくなるので、下図のように「脛の骨が太ももの骨よりも前に飛び出してしまう」「脛の骨がねじれてしまう」といったことが起こります。

いまいちイメージがわかないという方は、動画の方を見るとわかりやすいかもしれません。

▼犬の前十字靭帯断裂の動きをアニメーションで解説しています

「前十字靭帯」が切れると「脛の骨」が本来の位置からずれたまま動くようになるので、膝全体に痛みとダメージがでてくるだけでなく、骨同士がゴリゴリ当たり軟骨がすり減ったり棘状の骨を形成するようになります。

そのため、「ケンケン歩きをする」「足を引きずるようにして歩く」「足をかばう」といった動作が犬に現れるようになります。これが「前十字靭帯断裂」という状態です。

「前十字靭帯断裂」がどのような病気なのか、おわかり頂けたでしょうか。

犬の「前十字靭帯」が断裂する原因は?

では、この「前十字靭帯断裂」という病気にはどうしてなってしまうのでしょうか。

原因は「2つ」あると考えられています。

▼前十字靭帯断裂の原因

①前十字靭帯に過剰なエネルギーがかかった

➁前十字靭帯が変性してしまった

①前十字靭帯に過剰なエネルギーがかかった

交通事故や激しい運動などで、外からひざに強い力が加わると、耐えきれずに切れてしまいます。

犬ではあまり見られない原因ではありますが、フリスビーやアジリティなど、運動量が多い犬に起きることがあります。

➁前十字靭帯が変性してしまった

前十字靭帯が変性する原因は、色々と考えられます。

▼前十字靭帯が変性する理由

・遺伝

・加齢

・膝蓋骨脱臼を患っている

・肥満

・骨の形成異常

・内分泌疾患(ホルモンの病気のこと)

・免疫介在性の疾患(免疫異常の病気のこと リウマチ等)

上記であげたようにさまざまな原因で、靭帯の構造に変化が起きて、靭帯が弱くなってしまいます。弱くなった靭帯はちょっとした衝撃でも切れたり傷ついてしまいます。

最初にこの病気はどんな犬でも起きる可能性があるとお話ししたのは、変性する原因が非常に多いからです。

実際にチワワやセントバーナードなど、体の大きさにかかわらず、さまざまな犬種で変性が生じることがあると報告されています。

▼「膝蓋骨脱臼って何?」という方は、下記の記事で詳しく解説しています。

愛犬が「前十字靭帯断裂」と言われたら手術は必要?

ではもし「前十字靭帯が断裂している」と言われたら、どのような治療があるのでしょうか。

▼前十字靭帯断裂の治療法

①外科手術

➁内科療法(温存治療)

①外科手術を選んだ場合

「持病」「年齢」「体重」「ひざの状態」などによって、手術するかしないかは分かれますが、基本的には靭帯が断裂していたり、部分的に切れてしまっている場合は、外科手術を勧められることが多いです。

なぜなら最初にお話ししたように、前十字靭帯が断裂すると骨同士がゴリゴリこすれて、重度の関節炎を起こすので非常に痛いです。痛みは日常生活の質を大きく落とすだけでなく、ストレスにもなります。

また部分的に断裂している場合、完全に断裂する前に手術をした方が、その後の経過がよかったという報告もあります。

ただ、「手術をする」と決めた場合、知っておいて欲しいのが「治療費」の金額です。

知っておきたい前十字靭帯断裂手術の金額

下の表は「アイペット損害保険株式会社」が発表した「手術を伴った病気」のランキングです。

猫ちゃんのデータも含まれますが「前十字靭帯断裂」は「第9位」にランクインしています。

注目していただきたいのは「傷病名」の横に書いてある「平均診療費」の金額です。

前十字靭帯断裂の手術は、ランキングの中でもかなり高額で「30万円」ほどかかります。

急に払ってと言われると「ギョッ」としてしまう金額ですが、覚えていて欲しいのが片方の靭帯を断裂した犬はもう片方の足も断裂する可能性が高いという事です。つまり場合によっては治療費が2倍かかります。

「どうにかして治してあげたい」「また歩けるようにしたい」というのが、飼い主さんの心情ですが、ちょっと冷や汗が出る金額なので、治療費が高額になることがあるというのは、覚えておきましょう。

➁内科療法(温存治療)

外科手術以外に「安静にする」「お薬で痛みを取る」「体重管理」などで、状態が悪化しないように環境を整えていく内科療法もあります。

「断裂の状態が軽度」「高齢で運動量が少ない」「体重が軽い」場合は、内科療法で経過を見ていくというケースもあります。

ただ、内科療法を選択するときに忘れないで欲しいのが、一度断裂した靭帯は自然に治ることはないという事です。

ひざの骨が動きやすいという状況は変わらないので、高齢になって悪化する、様子を見ている内に悪化するという場合もあります。

また片方の足が悪いと、もう片方の足に負担をかける歩き方をしてしまうので、両足の靭帯を痛めてしまうということも考えられます。

治療方法を決めるときは今の生活だけでなく「将来どんな生活をさせてあげたいか」も含めて獣医師さんと治療方針を決めてあげてくださいね。

「前十字靭帯断裂」はどの犬でも起こる可能性がある病気です。

「こんな病気があったなんて知らなかった」とならないために、愛犬が元気な内にこの病気の事を知って、いざという時に備えておくようにしましょう。

この記事がそんないざという時の役に立てれば幸いです。

<参考書籍>

小動物獣医看護学 小動物看護の基本と実践ガイド 上巻・下巻 西田 利穂 (翻訳), 石井 康夫 (翻訳), D.R.Lane B.Cooper

<参考URL>

犬の前十字靭帯断裂 ONE for Animals
http://one-for-animals.co.jp/case/03

前十字靭帯断裂 一般社団法人日本小動物整形外科協会
http://voa.or.jp/case/03

ペットの傷病ランキング2018 アイペット損害保険株式会社
https://www.ipet-ins.com/info/13873/

<画像元>

Unsplash

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伊藤さん

伊藤さん

宮崎出身の動物看護師。
やんちゃなミックス犬とおっとりトイプードルと暮らす。

大学在学中に「病気になる前の予防が一番大事」と気づき、
ペットフードやペットサプリメントの会社に就職。
「食」に関するさまざまな知識を身につける。

愛犬を亡くしたときに
「もっと色んな情報を知っておけば」と感じた後悔を
「他の飼い主さんにはさせたくない」との思いから、
ライター活動を開始。

「勉強になった・信頼・わかりやすい」を目標に情報を発信しています。

・倉敷芸術科学大学 生命動物科学科卒業
・日本動物看護職協会 認定動物看護師
犬の前十字靭帯断裂ってどんな病気?手術しないとダメなの?【動物看護師が解説】
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