人同様に犬を迎えればいずれは迎える寿命。
犬の一生は犬種にもよるものの、一般的には人の約4倍の速さで経過すると言われています。
人も寿命には違いが生じるように、犬もまた寿命には違いが生じます。
今回は、イギリスで明かされた犬の顔の違いと体格差による寿命の長さに関する事と、最新研究から見る犬が長生きする秘訣を解説します。
<目次>
犬には犬の寿命がある!顔の違いと体格差で変わる寿命とは?

犬の一般的な平均寿命は、大体体の大きさによって判断されることが多いです。
そこには確かに犬種の違いや生活習慣の違い、犬自身が抱えるストレス度合いなど、様々な要因の違いで、寿命を迎える時期が異なる事実は想像に難くありません。
しかしそれでも犬の寿命の多くは、大抵体格が大きいか、小さいかの違いが寿命に関係してくるとされていました。
しかし近年の最新研究結果では、その体格の違いに加え、顔の違いによっても寿命が変わるかもしれないことが分かったというのです。
この調査・研究は、イギリスの研究者たちが約60万匹、150種類の犬を対象にした、平均寿命に関する研究結果で示された内容に基づいています。
イギリスの研究者たちによれば、犬の寿命で長寿傾向にある犬は、小型犬かつ長頭犬種に該当する犬種(メス・オス共に)で、次いで寿命が長いのは中型犬かつ中頭犬種に該当する犬種(メス)と発表されました。
▽『犬の顔の違いと体格の違いで見る寿命の差』
具体的には、犬種の一般的な体格を「スモール(小型)」、「ミディアム(中型)」、「ラージ(大型)」の3タイプに分け、且つ頭の形を「長頭」、「中頭」、「短頭」とし、さらにそれぞれの性別の違いによっても分類して実施したと言います。
これを見る限りだと、確かに小型犬で、かつ長頭の犬の場合、オスメス問わず長寿だということが分かります。
ただし、この結果はあくまでもイギリスに居た犬を対象としており、日本の環境下で育つ犬には則さない、または当て嵌まらない可能性があることも覚えておく必要があります。
犬の年齢=人の年齢換算は関係する?

それでは、今まで何年にも渡って語り継がれてきた犬の年齢が人の年齢で換算されたことと、この研究は関係しないのでしょうか?
このことを考える上で、最も重要となってくるのが、イギリスのロンドンにあるウェストミンスター寺院の床に記された言葉かもしれません。
というのも、その寺院の床には、1268年に職人の手によって刻まれた「最後の審判の日」を予言した言葉の中に、
「読むものが、書かれているすべてを懸命に考慮するならば、ここに地球の終わりを見るであろう。ハリネズミの寿命は3年、ここに犬、馬、人間、雄鹿、カラス、ワシ、巨大なクジラ、世界を加える。それぞれの寿命は、前の生き物の3倍」
という文言から来ている可能性があるからです。(諸説あり)
この計算式に犬を当て嵌めると「前の生き物の3倍」のため、ハリネズミの3倍で、その当時の犬はその時点で9歳が寿命だということになります。
そして、人の場合は馬の約3倍の80歳ということに。
ただ、このような犬の年齢=何かの動物の年齢換算として、物事をより正確に判断する時には、やはり犬のサイズなども考慮する必要が生じます。
体のサイズと寿命の長さはトレード・オフってどういう意味?

それを証明する研究として、あるドイツの学者が5万匹の犬のデータを分析した研究で、犬の体の大きさと寿命には密接な関係があり、それはトレード・オフ(一方を尊重すればもう一方が成り立たない状態のこと)だ、とした証言が存在します。
基本的に動物は体が大きければ大きいほど、長寿な場合が多いです。
それこそ、ハムスターなどのげっ歯類とゾウの年齢を比べた時には、圧倒的にゾウの方が長寿なのは、多くの人がご存知でしょう。しかし、犬の場合では状況が違うようで、体格が大きくなる分、激しく細胞分裂をしなければならない状態となり、DNAがそれだけ損傷しやすくなってしまうのだとか。
その証拠に、2020年に発表された最新の遺伝子研究によるラブラドール・レトリバーの1歳の年齢を人間換算で計算した研究においては、ラブラドール・レトリバーの1歳の年齢は、まさかの人の31歳に当たるとの試算がされたというのです。
▽『2020年におけるラブラドール・レトリバーの1年の人年齢換算』
引用元:教養としての犬 思わず人に話したくなる犬知識130
この研究に当たっては、104匹のラブラドール・レトリバーで遺伝子の状態を検証した結果、1歳では人の約31歳分の年を取った計算となり、2歳では約42歳、3歳では約49歳ということが分かりました。
ただし、これらの生物学的年齢は、その子の環境状態やストレス因子の度合いなどでだいぶ左右されます。
筆者の経験でもラブラドール・レトリバーの子において、飼い主さんの献身的なお世話によって、18歳まで生きたという長寿なワンコを知っています。
日本の風土に合った柴犬の平均寿命は○○歳!

ところで、日本が原産で日本の風土に合った天然記念物且つ、日本が誇る犬種の柴犬の平均寿命は、大体何歳か皆さんはご存知でしょうか?
正解は…、14.6歳です!
▽『柴犬の平均寿命』
これは、現在の人の年齢から換算すると、約72歳~73歳と推定されます。
日本の気候は、年々高温多湿環境下が厳しくなってきてはいますが、それでも日本という環境に長年慣れ親しんできた柴犬の場合、元から持ち合わせる強靭な体力や筋力、また、環境に対する耐性などが相まって、日本という国では長生きする傾向が強くなったのかもしれません。

筆者が生まれて初めて飼養した初代柴犬ミッキーも、推定ではあるものの最終的には19歳という年齢を全うした長寿犬でした。
19歳を現在の人間年齢換算で見ると、おおよそ92歳に該当します。
犬の寿命は、多くの場合誕生した時点から換算され、それが例え0歳で残念なことに亡くなってしまった場合であっても、例外なく該当します。
ここでなによりも重視しておきたいのは、「その子自身の特性や性格と快適に過ごせる生活環境を作ってあげられるかどうか」です。
上記でもお伝えしたラブラドール・レトリバーの子然り、我が家の柴犬ミッキー然り、寿命の長さはその子の生活環境によっては、短くもなれば長くもなり得ます。
そのため、平均寿命というのはあくまでも目安として捉えておくのが良いでしょう。
最新研究から紐解く愛犬が長生きする秘訣とは?

それでは、これだけ寿命に関する数々の研究が発表されている中で、愛犬とはどのような向き合い方をすれば、長生きさせてあげられるのでしょうか?
筆者が思うところとしては、それは普段の愛犬との日常生活の暮らし方にあると思います。
もちろん、愛犬自身の元から持ち合わせる病気に対する耐性や性格などは、寿命と密接に関係してくる部分だと思います。しかし、それと同時にとても重要となってくる部分があるとすれば、それはやはり、普段の愛犬との接し方が関係してくるのではないでしょうか?
一般的に犬という動物は、猫以上に人に共感する生き物だと言われています。
普段から人の動きをよく観察し、飼い主さんが自分に向ける愛情や接し方、共有する時間、食餌への配慮など、それらの多くを犬は感じ取っているはずです。
だからこそ、口では「可愛い!」と言いつつも、実際にはその人が愛犬と共有する時間が極端に短ければ、犬種によるものの、それがストレス因子となって、寿命に影響を及ぼすかもしれません。
しかし一方で、あまり愛犬に対して感情を表に出さずとも、普段から愛犬の傍に寄り添い、多くの時間を愛犬と共有したり、愛犬の健康のための食餌を心掛けたり出来る人が飼い主さんであった場合には、それが愛犬の寿命を延ばすことに一役買っている可能性があるかもしれません。
いずれにせよ、最新研究によって明かされた犬の顔の違いと体格差による寿命の差やDNAと犬の体格差で見る寿命の差は、どちらに転んでも犬自身の性格や生活環境やストレス因子などで、いくらでも変化する可能性があると言えるでしょう。
まとめ

いかがでしたか?
犬の寿命は、現在でも人間に比べれば圧倒的に短く、儚いものです。しかし儚いからこそ、このような最新データを知ることで、命を預かる大切さを改めて認識することが大切なのかもしれません。
現在多くの人が常識として持ち合わせている犬の一生は、小・中型犬では人の約4倍、大型犬では人の約7倍のスピードと言われていますが、このスピードが少しでもゆっくりに、一日でも多く、一秒でも長く続くように、ぜひ愛犬との一日一日を充実したものにしてあげてくださいね。
<参考書籍>
THE FOREVER DOG|フォーエバードッグ
教養としての犬 思わず人に話したくなる犬知識130
<参考サイト>
A Dog Breed’s Size and Face Shape Might Predict How Long It Lives|犬種の大きさと顔の形から寿命を予測できるかもしれない
>https://www.scientificamerican.com/article/a-dog-breeds-size-and-face-shape-might-predict-how-long-it-lives/
Huge study of dog longevity reveals which breeds live the longest|犬の寿命に関する大規模な研究で、どの犬種が最も長生きするかが明らかになった
>https://www.newscientist.com/article/2415370-huge-study-of-dog-longevity-reveals-which-breeds-live-the-longest/
<画像元>
Canva

また、生前疾患の多かったシェットランド・シープドッグをキッカケに取得した愛玩動物飼養管理士などの様々な資格の知識を生かし、皆様に役立つような記事を提供、執筆出来ればと思っております。
何卒、よろしくお願い致します。

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