皆さんは、愛犬との散歩中にヘビと遭遇した経験はありますか?
ヘビと聞くと、田舎のあぜ道や山林など、どちらかというと人気の少ない場所に生息しているようなイメージがあるかもしれません。
しかし実際は都内各地でも、意外にも生息しているヘビには注意が必要です。
今回は愛犬がヘビに万が一噛まれてしまった時の症状や対処法をご紹介します。
夏~秋はヘビによる犬への咬傷に要注意?

日本に生息しているヘビには、主にマムシやヤマカガシ、ハブという品種が多く生息しています。
特に生息地域が日本全土(北海道~九州)とされるマムシによる犬への咬傷事故については、1997年~2006年までの10年間の間に、犬では48例が確認されていることが分かっています。
そしてこれら事例の多くは、季節、発生の時間帯、発生場所、犬種傾向に至るまで報告されており、その詳細は次の通りです。
▽『マムシによる犬への咬傷事故発生時期』
始めに10年間で集めた月別での統計を見てみましょう。10年間で集めた統計では、マムシによる犬への咬傷事故が最も多かったのは、8月の真夏~9月をピークとしていました。
ただ、発生自体は5月頃から11月まで確認されていることから、ヘビ(中でもマムシ)による咬傷事故の季節としては、夏~秋の時期に特に注意をしておくことが大切です。
▽『マムシによる犬への咬傷事故発生時間帯』
次に咬傷が発生している時間帯に関しては、実にその半数以上が夜間帯に集中していました。
当時の夏は、8月~9月までがとりわけ注意が必要だったかもしれませんが、近年の夏は、9月を過ぎて10月になっても暑さが残るため、時代に応じた危機意識を持つことが大切と言えます。
▽『マムシによる犬への咬傷事故発生場所』
さらに咬傷発生場所の多くを確認すると、主に59%が不明、約25%が草むらとなっており、一般的に散歩コースがその対象となっているのが分かります。
思った以上にヘビは、人や犬の生活圏に生息しているため、普段の散歩でも油断はしないよう注意を怠らないことが重要です。
▽『マムシによる犬への咬傷・犬種傾向』
そして最後に、マムシによる咬傷事故で多い犬種の傾向として見てみると、35%で雑種、17%で柴犬、13%でビーグル、10%でダックスフンドと、どちらかというと当時では外で飼養されたり、アナグマなどの狩猟本能が強かったりする犬種が、マムシなどに襲われる傾向として多いのが見受けられました。
雑種や柴犬、ビーグルなどは、性格的にも好奇心や探究心が強い傾向があるため、特に注意しましょう。
犬がヘビに咬まれやすいシチュエーションとは?

では、一般的にとても嗅覚が優れた動物だと言われる犬が、なぜここまでヘビからの咬傷を受けてしまうのでしょうか?
その理由は、犬にとってのヘビに対する忌避意識の低さが関係しているとされています。
基本的に犬は、自分よりも危険な対象だと察知するクマやヤマネコに対しては、本能的にその場から離れようとする危機管理能力が働く動物だと言われています。
しかしヘビに対してはその意識が低いようで、アメリカのアリゾナ州の動物病院では、2年間に収集されたガラガラヘビによる犬の咬傷事故272例を分析した結果は、実に83%の犬がヘビを調べるために顔を寄せたところで咬まれていることが判明したそうです。
これはカリフォルニアで行われた「犬のヘビに対する忌避」への実験でも117頭の犬を対象に、嫌がったりストレスを感じたりするかの検証が行われましたが、結果はガラガラヘビ(有毒)では平均7.42秒もの間、ボア(無毒のヘビ)では平均5.47秒もの間、嗅覚で確認する時間があったと証明されました。
これらの結果は、犬はヘビに対する認識を興味の対象、または好奇心の対象と捉えている可能性があることを示しています。
しかしこれは裏を返せば、犬は知らぬ間にヘビのテリトリーに足を踏み入れて「キャン!」という悲鳴と共に傷を負うきっかけとなり得ることを示唆しており、飼い主さんは気付いたら愛犬が咬まれてしまっていたという状況に出くわすことも珍しくないことを示しているとも言えるでしょう。
都内在住の筆者も以前愛犬との散歩中、大きさはそれほどではないものの、長細いヘビを見つけて咄嗟に回避した経験があります。
犬がヘビ自体をこのような興味の対象とする可能性が高い動物だとするなら、このようなことを踏まえれば都内だからと言って安心せず、夏~秋は特にヘビの発生にも気を配るよう注意することが大切です。
犬がヘビに咬まれた時の主な症状とは?

犬がヘビに万が一咬まれてしまった時には、多くの場合、対称性の傷が2か所で見られます。けれど、素人目で判断した場合は、毛に隠れて見え辛いことやひっかき傷のような跡に見えることもある点に注意しましょう。
犬がマムシなどの有毒なヘビに万が一咬まれてしまった可能性がある時には、そのような傷跡の有無と合わせ、以下のような症状を注意深く観察しましょう。
▼【ヘビの咬傷で見られる主な症状】
・腫脹
・元気消失
・出血
・食欲不振
ただし、咬傷があっても10%~25%の確率で毒液が注入されなければ、腫脹などはほぼ見られず、一過性の疼痛があるのみの場合があるようです。
しかし一般的にヘビの持つ毒は、タンパク分解酵素を含んでいる毒だと言われているため、アナフィラキシーショックや数日かけての組織の壊死などが問題となることがあります。
毒液の注入があった場合には、咬傷直後からの疼痛、咬傷後20分~30分の腫脹、1時間~2時間経過後には皮下や筋層に出血と腫脹などが現れる可能性が十分にあり、重症化してしまった場合の症状には、上記に加えて呼吸困難や低血圧、頻脈、痙攣などの発症が危惧されているため、症状の有無に関わらず、早急に動物病院を受診しましょう。
万が一愛犬がヘビに咬まれてしまったら…

それでは、もしも万が一愛犬がヘビに咬まれてしまった場合、どのような対応を心掛ければ良いのでしょうか?
犬が知らぬ間にヘビのテリトリーに侵入して咬まれてしまった場合、その主な個所は、ほとんどが顔面または頭部、前肢が多くなります。
そのため、犬は痛みや違和感から、落ち着きなく動き回ろうとするかもしれません。
しかしそうなる前に、まずは愛犬を出来る限り落ち着かせて安静にし、すぐにでも動物病院を受診しましょう。
これは、興奮して心拍数が上がると起きてしまいやすい毒の回りの早さを、早くしてしまわないためのとても大切な対応です。
そして、間違っても咬まれた箇所の毒をご自身で処置しようとするのは止めましょう。
痛がっている愛犬を目にすると、すぐにでもその場でどうにかしてあげたいとも感じてしまうかもしれませんが、ヘビに咬まれた場合での対処では、人の場合でよく行なう『傷口を水で洗い流す』といった行為や『毒を吸い出す』といった行為を犬で行なうのは、かえって逆効果になる可能性が高く、大変危険です。
このような対症療法は、あくまでも動物病院で適切な処置、処方をしてもらうよう努め、飼い主さんは獣医さんから受けた指示通りに愛犬のお世話をするだけに留めるよう心掛けましょう。
そして、今後このような状況に出くわさないためには、出来る限り草むらには近寄らせないようにしましょう。
ただ、どうしても近寄りたがる時には、人が傘などを使ってヘビの有無などを確認した上で、先導しながら草むらを歩かせてあげてください。
まとめ

一般的にヘビの活動(至適)温度は、24℃~32℃とされていて、咬傷事故の報告が最も多いマムシに至っては、3月~11月頃までの夜間は特に注意が必要だとされています。
遭遇する機会は非常に稀なことかもしれませんが、都内で筆者が目撃したヘビも暑さが感じられる夕暮れ時だったため、少なくとも冬眠時期を迎える12月頃までは、油断しないように注意しましょう。
そして万が一愛犬が知らぬ間にヘビに咬まれたような腫脹や咬み傷が見られた時には、その後の症状の有無に限らず、早急な動物病院での受診を心掛けてあげてください。
<参考サイト>
マムシ咬症の犬48例と猫4例(1997年-2006年)
>https://www.jstage.jst.go.jp/article/dobutsurinshoigaku/17/2/17_2_45/_pdf/-char/ja
<参考サイト>
photoAC
また、生前疾患の多かったシェットランド・シープドッグをキッカケに取得した愛玩動物飼養管理士などの様々な資格の知識を生かし、皆様に役立つような記事を提供、執筆出来ればと思っております。
何卒、よろしくお願い致します。
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