愛犬を迎えると「愛情いっぱい育てよう!」と張り切って、愛犬が求めることすべてに応えてあげたくなってしまいますよね。
ただ、その応え方や接し方を間違えてしまうと時としてその対応は、『優しい虐待(過保護)』となってしまう可能性があるんです。
今回は、愛犬に対する構い方で過保護過ぎても問題になる行動5つと、それによって生じる犬への悪影響についてご紹介します。
<目次>
愛犬への過保護行動①:しつけをしない

犬が私たち人と生活を共にする上で必要となってくるしつけは、犬にとっても人間社会を生き抜く上で、決して欠かせないものですよね。
特に最低限覚えさせておきたい“マテ”や“オスワリ”、トイレに関するトレーニング、また、噛み癖や引っ張り癖に対するしつけは、愛犬同士に限らず、飼い主さん同士のトラブルを回避するためにも必要なものです。
にもかかわらず、そういったしつけを「うちは大人しいから」といった理由や「可哀そうだから」といった理由で、飼い主さんが独断でしつけをしないでいるのは、過保護な行動に該当します。
犬はどんなに大人しくても、どんなに人や犬が好きなフレンドリーな性格をしていても、時として牙を剥く動物です。
基本的に平和主義を好む動物とはいえ、自分の身、もしくは飼い主さんの身が危険に晒された時には、愛犬は咄嗟の行動で噛みついたり、そうでなくとも怖さのあまり、飼い主さんの制止も聞かず逃げ出してしまったりするかもしれません。
愛犬の行動を制御できる存在は飼い主さんのみです。
そのため、愛犬を迎えた以上はどんなに可愛くても、しつけを全くしない接し方はやめましょう。
愛犬への過保護行動②:おねだりには必ず応える

犬を迎えると、犬はいろんなことに興味や関心を持ちます。
中でも愛犬が好んで食べたがるおやつや人間の食べ物は、犬にとってしてみたら、魅力溢れるもの以外の何物でもないでしょう。
しかし、このようなおやつや食べ物を愛犬が欲しがるからと与え過ぎてしまう行為は、当然肥満を招き、そして過保護な行動に該当します。
犬にとっての肥満は人が1kg増えるのとは訳が違います。
犬が人と同じ1kg増えた時には、その1kgは人の10kgに相当すると言われています。
見た目が元から可愛い犬は、少しぽっちゃりしたところで可愛い存在には変わりないため、意外にも犬と人との体重の違いは見過ごされがちです。
けれど、犬の肥満は人の肥満同様、【百害あって一利なし】です。
犬を迎える際には、可愛くおねだりされたとしても、ダメな時にはしっかりダメなことを教えることが大切です。
愛犬への過保護行動③:犬の嫌がることは全て避ける

犬にも必要な日常的ケア(歯磨きや爪切り、お風呂など)は、例え嫌がる子であっても、心を鬼にしてやっている方は多いですよね。
お風呂に関しては、とりあえずブラッシングでもある程度、皮膚被毛の健康を保つことが出来ますが、歯磨きや爪切りについては、放置してしまうと将来的に歯周病の原因になったり、愛犬自身が自分を傷付けてしまう原因になったりしかねないため、定期的なケアがどうしても必要になります。
しかし、こうしたケアについて「愛犬自身が嫌がるから」という理由で、愛犬が嫌がることを全て避けるような行為は、過保護な行動に該当します。
野性時代の犬の主な主食は、基本的には生肉で、それらには硬い骨なども含まれていました。
そのため、その骨も全て食べることによって歯垢や歯石も除去出来て、歯磨きの代わりになっていたと言われています。
また爪についても、野性時代は当然屋外での生活が多く、自然と犬自身が齧って削っていたり、歩くことで削られていたため、そこまで問題となることもありませんでした。
しかし、現在の犬の生活事情は、栄養バランスが整ったドッグフードや過ごしやすい室内環境の中で暮らしている子の方が多いため、意識的なケアを行わなければ、愛犬の健康に影響が出てきてしまう可能性があります。
嫌がる姿は確かに居た堪れない気持ちになりますが、それでも最低限押えておきたい日常的なケアは、愛犬の健康を守ることに繋がる手段なので、しっかりと心掛けてあげましょう。
愛犬への過保護行動④:常に傍に居ようとする

愛犬が可愛いと、どうしても時間が許す限り傍にいて、その一瞬一瞬を一緒に過ごしてあげたいと思う気持ちは、特に初めて犬を迎える飼い主さんにとっては、あるあるな行動だと思います。
しかし、例えどんなに社交的な人であっても一人でゆったり過ごす時間が大切なもののように、犬にとってもそうした時間はとても大切です。
近年はQOL(クオリティ・オブ・ライフ)や働き方改革の観点から、在宅ワークでも収入が得られる形が増えてきて、以前の通勤スタイルが多かった頃よりも、だいぶ愛犬との時間を確保できた方も少なくないのではないでしょうか?
その結果として愛犬の傍に居ようとする時間や頻度が多くなってしまうと、その過保護状態はかえって愛犬の自立心などを阻害する恐れがあるのです。
在宅ワークで愛犬との時間が増えたことで、飼い主さん側から事あるごとに愛犬の様子を気にして、目の届かないところに愛犬が行ってしまうとすぐに名前を呼んだり、触りに行ったりする行動は、場合によっては愛犬へストレスを与えてしまっている可能性があるため、愛犬の一人時間の確保と適度な距離感はしっかりと意識してあげましょう。
愛犬への過保護行動⑤:愛犬の経験を奪う

時々散歩中お見掛けする光景で、すれ違う直前に愛犬を抱っこして通り過ぎる飼い主さんがいます。
この行動は、飼い主さん側からすれば「うちの子は吠えちゃうから…」という配慮の気持ちで起こしている行動かもしれませんが、愛犬の立場からすると違うかもしれません。
筆者の3代目柴犬は元から人も犬も大好きで、向かい合うと立ち止まって動こうとしなくなる時があります。
そのせいで、柴犬の特徴的な立ち耳と筋肉質な体格、また、張っている訳ではないけれど張っているように見えてしまう鳩胸の外見は、相手の飼い主さんからすると威圧感があるようで、咄嗟に抱っこで回避をされたり、Uターンで道を引き返されたりすることが多々あります。
しかしこの行動は、時として愛犬のせっかくのコミュニケーション機会を逸してしまう原因となる場合があります。
我が家の愛犬に限って言えば、立ち止まって動かなくなるその姿は挨拶の前段階のようで決して威圧的に見せている訳ではないため、遊べなかった時には当の本人はしょんぼりして、「クンクン」と鳴くこともしばしば…。
他にもこうした境遇だけではなく、水たまりや側溝のフタも、「嫌がるから」と抱き上げて回避させようとする飼い主さんがいますが、愛犬自身が本当に怖がって飼い主さんに助けを求めたり、威嚇したりする状況ではない場合、一旦様子を見た上で、状況をまずはじっくり観察してあげるよう心掛けてみてください。
過保護で起こる犬への悪影響とは?

愛犬を愛情いっぱい可愛がることは決して悪いことではありません。
適度に構ってあげることもとても大切なことです。ですが、「可愛がる」ことと『甘やかす(過保護)』ことは違います。
上記のような過保護な行動が、愛犬の中で当たり前なものとなってしまった場合、それは次のような悪影響を招いてしまうことがあります。
▽『愛犬を甘やかすと起こり得る悪影響』
・愛犬・飼い主同士のトラブルリスク
・糖尿病・心疾患・関節疾患などの疾病リスク
・重大な病気の見落としリスク
・分離不安症・常同障害などの精神疾患リスク
・コミュニケーションスキルの低下リスク
愛犬を可愛がりたい気持ちは、飼い主さんなら誰もがきっと持ち合わせていることでしょう。
しかし、それは度を越せば愛犬への負担やわがままの助長に繋がってしまう場合があります。
だからこそ飼い主さん側は愛犬を「可愛がる」ことと『甘やかす(過保護)』ことの区別をしっかりと弁えてあげる必要があるのです。
しつけや体調管理などは時として専門家の力を借りて行うことが推奨されますが、愛犬の日常的なケアや一人時間への配慮、愛犬自身の経験値などは飼い主さん自身が自ら気にしてあげることで、いくらでも改善することが可能です。
迎え始めすぐは、なかなか距離感の掴み方など難しい面もあるかもしれません。しかし、出来る限り過保護にならない接し方で愛犬と接してあげることで、過保護で起こり得る悪影響を最小限に抑えられるよう心掛けてあげましょう。
まとめ

いかがでしたか?
犬に対する問題のある接し方と聞くと、そのまま暴力や飼養放棄のイメージが強いかもしれませんが、それだけではありません。
過保護になって、何でもかんでも甘やかすことでも、時にそれは虐待となってしまう場合があるのです。
犬にとって飼い主さんの存在は親という立場に近しいものですが、近しいからこそ距離感を大切に、愛犬にとって何が一番良いことなのか、考えてあげてください。そうすることで、もっともっと愛犬との生活がより良いものになってくれるはずです。
<参考サイト>
知らずにしている愛犬への優しい虐待|ウィズペティ 犬猫健康ライブラリー
>https://withpety.com/withpetyclub/detail.php?kid=2445&srsltid=AfmBOoopEFp_5B8XODyycDEYwNmFqoOc2UIux7tmitqhYksuLP7QRulz

また、生前疾患の多かったシェットランド・シープドッグをキッカケに取得した愛玩動物飼養管理士などの様々な資格の知識を生かし、皆様に役立つような記事を提供、執筆出来ればと思っております。
何卒、よろしくお願い致します。

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