犬が人と生活を共にする上で、切っても切り離せない生活音は、時として犬自身の恐怖心に繋がることがあります。
ですが、皆さんはその音にはどんなものがあって、どうして嫌うのか、考えたことはありますか?
今回は、犬が怖がる音の種類や慣れさせる方法や怖がっている時の見分け方、注意点についてご紹介します。
犬の怖がる音ってどんな音?
犬が良く怖がる音として有名なものに、雷や台風などが挙げられることは、多くの方がご承知の通りだと思います。
けれど、それ以外で犬が怖がる音とは、一体どんな音なのでしょうか?
それは、犬が「予想できない音」や「大きい音」、「普段聞き慣れない音」などに該当する音です。
犬にとってこれらに該当する音は、犬自身が予期することが出来ず、加えて「高音・断続的・突発性」という特徴を持っています。
そのため、これらに該当する音を犬自身が不快に感じれば、多くの生活音を犬が嫌がる可能性は十分に考えられることでしょう。
ただ、一方でこうした特徴を持つ音を全く怖がらない犬もいます。
また、中には「え?これが怖いの?」というようなものに怖がる素振りを見せる犬も居ることでしょう。
要するに、犬によっても怖がる音の種類は千差万別ということです。
ただし、ここで忘れてはいけないのは、そのどれもが放置しておいてはいけないものだということ。
これは通常、多くの犬が怖がるであろう音を怖がらない犬であっても、変わりはありません。
それはなぜかと言えば、私たちの日常は、人の立場である私たちでさえ、時には予期せぬ音が発生する可能性があるためです。
そのため、仮にご自身の犬が、それまで怖がっていた音に耐性が出来て怖がらなくなったとしても、犬に音が聞こえる以上は常に音に対する恐怖は身近にあることを意識し、気を配ってあげるよう心掛けることが大切です。
犬の怖がる・嫌がる音の種類
それでは、ここからは犬にとっての怖がる・嫌がる音の例を以下でいくつかご紹介します。ご自身の愛犬がいくつ該当するかも合わせて確認してみてください。
▼【犬が怖がる・嫌がる音の例】
・雷や豪雨
・掃除機やドライヤー
・インターフォン
・車やバイク・自転車
・救急車などのサイレン
・クラクション
・踏切の音
・工事現場の音
・ガレージのシャッター
ザッと挙げただけでも、犬が怖がる音には、これだけの種類があります。犬種によっては、いくつも該当する子も居れば、一つだけ該当する子、逆に全く該当しなかった子も中には居ることでしょう。
ただ、どんな反応を見せる子であっても、飼い主さんご自身が事前に犬が怖がる音・嫌がる音を把握しておくことは、とても大切です。
というのも、一般的に、こういった音や環境に対する恐怖心は、愛犬が産まれる前の、母犬の生活環境(ストレス度合い)によって、子犬にも影響する可能性があると言われているからです。
これは簡単に言うと、母犬がもし子犬(愛犬)を産む前に、何かしら音に対する恐怖を抱えていた場合、その母犬から産まれた子犬もまた、人と生活を共にする音や環境にストレスを抱えやすい、耐性が低い傾向があるということなのです。
しかし、人の場合であっても犬の場合であっても、幼い頃に経験した恐怖体験(ここで言う音に対する恐怖)というのは、その後もその事柄に対して拒否反応を起こしてしまいやすいものでしょう。
上記の音の種類に限ったことではありませんが、少しでも愛犬に、ある特定の音に対して異変が感じられるようなら、まずはその様子をじっくり観察し、愛犬にとってその音が恐怖に値するものなのかどうかをしっかりと見極めることから始めましょう。
犬が音に怖がっている時の見分け方は?
犬の音に対する反応は、上記でもお伝えした通り、犬種によって様々です。そのため、同じものでも反応する子も居れば、反応しない子も当然居るでしょう。
犬が音に怖がっているかいないかの目安としては、『直前まで寝ていたとしても、耳を傾けて気にする程度』なら、そこまで心配する必要はありません。
しかし、もしもこの時、ご自身の愛犬がウロウロと落ち着かなくなったり、その音から離れたがったり、はたまた飼い主さんにしがみついたりしてきた時には、愛犬はその音に対して恐怖心を抱いています。
また、その音を聞いた途端に物陰から隠れて出てこようとしない、大声で威嚇し吠え続ける、嘔吐や下痢、失禁などをしてしまうなどの症状が見られた場合には、音恐怖症にまで悪化している可能性があります。
愛犬が音恐怖症を発症してしまっている場合、それがエスカレートすると、現時点で怖がっている音の対象だけではなく、大きな音全てに対して苦痛を感じてしまう恐れがあります。
さらに、もっと症状がひどい場合には、最悪飼い主さんに対して、噛みつきなどの攻撃性を示してしまうことも考えられるため、こうした場合の愛犬への対応は、ドッグトレーナーや専門家の人に任せるなど、外部に頼ることをオススメします。
犬に嫌いな音を慣れさせる方法
それでは、犬に嫌いな音を慣れさせる方法をご紹介します。
ここでは、多くの犬が嫌がることの多い掃除機やドライヤー、そして散歩中で気を付けたい車やバイクを抜粋してご紹介します。
掃除機の音に対する対処法
今年で4歳になる筆者の3代目柴犬は、現在色々な音に反応し、その都度興味を示したり、怖がったり、首をかしげて疑問を向けたりと、様々な行動を見せますが、中でも最初にこの子が怖がったのが、掃除機でした。
一般的に掃除機で出される騒音値は、静かなもので60dB、うるさいもので76dBまでになると言われています。
通常不快とされる50dBをゆうに超えている掃除機を、聴覚の良い愛犬が怖がるのは、何ら不思議なことではありませんね。
ただ、だからと言って普段使用する掃除機で、毎回愛犬が怖がっていたら愛犬の身が持ちません。
我が家に限らず掃除機をもれなく怖がる時には、最初は遠くの部屋から掃除機を弱運転でかけるように意識しましょう。
そして、この状態で怖がるようなら、掃除機の電源は落とさないまま、おやつをあげたり遊んだりしてあげてください。
その結果徐々に慣れてきたら、愛犬と掃除機の距離を詰めていき、例え掃除機をじっと見ていても、最終的に「近寄ってきてもこれは怖くはないもの」と認識してもらえたら、上出来です。
ドライヤーの音に対する対処法
お風呂上りに欠かせないドライヤーですが、このドライヤーも犬が怖がりやすい代表家電ですよね。
ドライヤーは家全体を綺麗にする掃除機と違って、使用する対象が人や犬など、基本的には決まっている生活家電です。
そのため、愛犬がドライヤーを嫌がるようなら、最初は当たるか当たらないかくらいの距離で始めましょう。
ただしその際には、シャンプーの後のタオルドライはしっかり行うことをお忘れなく。
愛犬がドライヤー嫌いだと、ドライヤーはそれ単体では、なかなか犬の毛を完全に乾かすまでに、時間が掛かってしまいます。
そのため、扇風機の風を当てながら、ストーブの低温で温めながらなど、別の家電とドライヤーを併用しながら、徐々に愛犬に慣れてもらいましょう。
車やバイクの音に対する対処法
散歩中、最も気を付けておきたい車やバイクの音に対する対処法では、何よりもまず飼い主さんが毅然とした態度で愛犬と向き合うことが大切です。
基本的に犬という動物は、頼れる親のような存在を、昔で言う「良いリーダー」として慕います。
車やバイクがクラクションを鳴らして走ってきた際、飼い主さんが慌てて「大丈夫?平気だった?」というように狼狽えてしまうと、頼っていたい愛犬にとっては、不安でしかありません。
車のクラクションの音やバイクのマフラー音はもちろんですが、他にも救急車のサイレン音、工事現場の音など、どんな状況下であったとしても、どっしり構えてあげることで愛犬は安心して身を任せることが出来ます。
そのため、例え愛犬が音に反応して吠えてしまったとしても、飼い主さん側は常に落ち着いた態度で愛犬と向き合うように心掛けましょう。
そして、それを続ける内に愛犬自身が落ち着き、余裕のある態度を見せた時には、すぐさまご褒美を与えてあげてください。
犬に嫌いな音を慣れさせる時の注意点
犬に嫌いな音を慣れさせる時に注意しておきたいことは、怖がるからと言って、特別構ってあげることがないようにすることです。
犬は純粋無垢なように見えて、実は意外にも飼い主さんの関心が引けるなら、巧妙に演技や仮病を使って気を引こうと試みる動物です。
しかし、音に対する恐怖心を失くすためには、あえて飼い主さん自身が心を鬼にして愛犬と接する必要性が生じます。
この時に、飼い主さん自身が心配して撫でたり、構ってあげたりすると、かえって犬は「怖がれば優しくしてくれる」と思って、より怖がりが強くなってしまうことがあります。
また、こうした行為はそれまで怖がっていなかったものに対しても、怖がるようになってしまう危険性があるため、ツラいかもしれませんが一貫した態度で愛犬と接しましょう。
そしてその結果、少しずつでも怖いものに対して愛犬が慣れて、吠えや威嚇などを見せず、落ち着いた態度を取れるようになった時には、その時初めて遊んだり、おやつをあげたりして褒めてあげましょう。
まとめ
今回は、犬が怖がる音についてご紹介しました。
犬に怖い音を慣れさせるためには、それなりの時間とそれなりの労力が必要になると思います。
しかし、人でもそうですが犬もまた、適度なストレスに慣れさせてあげることはとても大切なことなので、ゆっくり時間をかけて、少しずつ克服させていってあげてくださいね。
<参考書籍>
気持ちを知ればもっと好きになる! 犬の教科書
<参考サイト>
犬の音に対する恐怖症について|雷、花火など
>https://www.pet-hospital.org/manyu-oto.html
また、生前疾患の多かったシェットランド・シープドッグをキッカケに取得した愛玩動物飼養管理士などの様々な資格の知識を生かし、皆様に役立つような記事を提供、執筆出来ればと思っております。
何卒、よろしくお願い致します。
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