季節の変わり目は体調を崩しがちになりますね。
実はわんちゃんも人と一緒で季節の変わり目になると、体調を崩してしまうことがあります。
夏から秋に季節が変わるときにかかりやすい病気を覚えて、体調管理に気をつけましょう!
秋に増える犬の病気① 胃腸炎
季節の変わり目になると、食欲不振や下痢、嘔吐など消化器トラブルを起こすわんちゃんが多くなります。
夏の暑さで体力を消耗しているところに秋の寒暖差が加わり、腸管免疫(腸は免疫の7割を占めています)の働きが落ちて、消化器管の働きが悪くなり、嘔吐や下痢をしてしまうのではないかと考えられています。
また朝はあまり食べないけれど、夜はよく食べるなど食欲にムラができて、排便のリズムが変わってしまい軟便や下痢をしてしまうこともあります。
下痢や嘔吐、食欲不振が3日以上続く場合は動物病院で診察を受けましょう。(なにも食べない状態が1日以上続く場合は早めに)
特に年齢が高くなると、回復が遅くちょっとしたことで重症化しやすくなります。
また、獣医師さんに相談して整腸や乳酸菌のサプリメントを使用するのもオススメです。
秋に増える犬の病気➁ 熱中症
夏は毎日エアコンを使っていたけれど、秋に入ると使わなくなる方が多いですね。
7月、8月は熱中症にかかりやすいという意識が強いので、熱中症対策に力を入れるのですが、9月に入ると朝夕が涼しくなるので気持ちが油断しがちになります。
上のグラフはアニコム損保が報告した2020年の熱中症の保険請求があった件数です。
ピークは8月ですが、9月にはいっても発生件数が多いことがわかります。
9月10月はまだ日中が25度を超える日も多いです。
わんちゃんが快適だと感じる気温は22度~25度程だといわれていますので、秋口の気温は人には快適でもわんちゃんには少し暑く感じます。
秋になっても熱中症対策を忘れずに、閉め切った部屋や車にわんちゃんを残さないようにしましょう。
秋に増える犬の病気➂ 関節疾患
夏の暑さから散歩の時間や距離を少なくしていた方も多いのではないでしょうか。
人と同じでわんちゃんも筋肉を使わないとすぐに衰えてしまいますし、運動不足による肥満は関節に負担をかけてしまいます。
また、秋が深まり肌寒くなってくると寒さから血行が悪くなります。血行が悪くなると、筋肉がこわばってしまうので、関節や腰といったよく動かす部位に負担がかかり、関節痛や関節トラブルを起こしがちになります。
飼い主さんが肌寒いなと感じるようになったら、散歩の前に家の中で軽い運動をして体全体を温めてから散歩にいきましょう。
特に朝の散歩は起きがけで筋肉がこわばっているので、関節を傷めないように注意が必要です。
秋に増える犬の病気④ 泌尿器系のトラブル
朝晩が涼しくなってくるとわんちゃんの水を飲む量が少なくなります。水を飲む量が減ると、尿の量も減ってしまうのでなかなかトイレにいきません。
膀胱や尿道に菌がいた場合、排泄をすることで菌を外に出すことができますが、トイレの回数が減るとずっと菌が体内に留まってしまいます。そのため、膀胱炎になったり結石ができるなどの泌尿器トラブルをおこしがちに。
水を飲む機会や量が減ったなと感じたら、フードをお湯でふやかす、ドライフードから缶詰に切り替えるなど食事からも水分が取れるように工夫してあげましょう。
また、尿の回数や色もチェックしておきましょう。尿の色が白濁していたり、匂いがきつかったり、トイレシーツにザリザリとした塊が見られたら泌尿器トラブルを起こしている可能性があります。
早めに動物病院にいきましょう。
秋に増える犬の病気➄ マダニ感染
マダニというと春というイメージがある方も多いのではないでしょうか。
しかし上の図を見るとわかる通り、実はマダニのピークシーズンは春と秋の2回。
秋はふ化したばかりの幼ダニや幼ダニが成長した若ダニが多く、動きも活発になる時期です。
マダニに噛まれると、貧血や皮膚炎など目に見える病気を引き起こすだけでなく、マダニの中に潜んでいる菌や病原体が体の中に入ってきます。
その菌や病原体によって感染症が引き起こされ、最悪の場合死にいたります。
わんちゃんだけでなく、人にもうつる感染症があるので飼い主さんも注意が必要です。
マダニは草むらの中に潜んでいることが多いので、山に河原に遊びに行く、散歩コースに草むらが多いという場合は駆除薬を使用しましょう。
また、マダニはお腹や耳、顔まわりなど皮膚の薄いところを好んで噛むので、服を着せてなるべく皮膚の露出を少なくすることも大切です。
秋は体調を崩しやすい季節のため、最近は秋に健康診断をすすめる動物病院も増えてきました。
今回ご紹介した病気に気をつけて、愛犬の体調に変化がないかこまめにチェックしてあげましょう。
<参考文献>
・アニコム家庭どうぶつ白書2018
・「犬の熱中症週間予報」を、2020年も配信 アニコム ホールディングス株式会社
・夏から秋の変わり目に多い、症状や病気とその要因について 東福岡 たぬま動物病院
<画像元>
illust STAMPO
ICOOON MONO
Unsplash
イラストAC
・(元)認定動物看護師
・一般社団法人日本小動物獣医師会 動物診療助手
やんちゃなミックス犬とおっとりトイプードルと暮らす。
大学在学中に「病気になる前の予防が一番大事」と気づき、
ペットフードやペットサプリメントの会社に就職。
「食」に関するさまざまな知識を身につける。
愛犬を亡くしたときに
「もっと色んな情報を知っておけば」と感じた後悔を
「他の飼い主さんにはさせたくない」との思いから、
ライター活動を開始。
「勉強になった・信頼・わかりやすい」を目標に情報を発信しています。
最新記事 by 伊藤さん (全て見る)
- 「寒さに弱い犬10選」寒がっているときのサインや飼い主ができる防寒対策をご紹介 - 2024年12月3日
- 「犬に関する法律どれくらい知ってる?」飼い主が知っておきたい法律や条例をご紹介 - 2024年11月27日
- 「犬の涙やけは食べ物が原因?!」「犬の涙やけは治せるってホント?」涙やけに関する誤解やよく聞く疑問を解説 - 2024年11月23日
- 「愛犬と食べたい秋・冬が旬の果物」与えてOKな果物とNGな果物知ってる? - 2024年11月12日
- 「長生きする犬の共通点は?」長生きさせるための飼育環境や年齢別の注意点を解説 - 2024年11月4日