犬もむくみが起こる？影響する疾患からむくみやすい犬種、ケア方法まで解説！

雨の多くなる梅雨は、普通に生活していても気分が憂鬱になったり、むくみや頭痛が生じたりする人は多いと思います。

中でもむくみに関しては、梅雨の湿気が水分代謝の低下を招き、水分が体内に溜まってしまうことで起こるため、様々な対策法を調べて改善を図った人も居ることでしょう。

しかし実は、このようなむくみは犬にも起こるのをご存知でしょうか？

今回は犬のむくみについて、影響する疾患やむくみやすい犬種、ケア方法などをご紹介します。

＜目次＞

▶犬でも起こるむくみってどんなもの？
▶犬のむくみがもたらす注意が必要な疾患とは？
▶梅雨時期は要注意！むくみやすい犬種
▶愛犬をむくませない！お家で簡単リンパマッサージケア方法
▶まとめ

犬でも起こるむくみってどんなもの？

人でも起こるむくみという症状は、実は犬にも起こります。

その主な原因は、天気で起こる低気圧や梅雨時期の湿気の影響、持病によって併発したものなど様々です。

しかし、犬の場合人と違って全身毛で覆われているため、仮に多少むくんだとしても、その変化には気づきづらいかもしれません。

ただ、犬がむくんだ場合、その症状の多くは四肢や顔周りなどに表れやすい傾向にあるため、梅雨時は特に注意深く観察してあげると良いでしょう。

一般的に、犬のむくみは触るとひんやり冷たいような感じがして、痛みもない腫れとして確認できるようです。

また、人でもむくんだ時に皮膚を押すと皮膚がなかなか戻らないように、犬の皮膚もむくんだ時には皮膚を押したり摘んだりするとなかなか戻らない、という特徴があります。

さらに、犬のむくみは皮膚だけではなく舌や肉球にもその症状は出やすく、舌であれば普段との大きさや厚さ、歯型の有無の違いが目安となり、肉球であれば張りの有無、普段の潤いの違いが目安となります。

むくみを経験したことがある方ならご存知とは思いますが、むくみ症状は放置しておくと慢性化して健康被害に繋がってしまう可能性が高いものです。

そのため、愛犬にむくんでいるような傾向が見られた時には、そのまま放置して自然と治まるのを待つのではなく、しっかりとしたケアを施すよう心掛けてあげましょう。

犬のむくみがもたらす注意が必要な疾患とは？

犬にむくみがある状態は、人と同じように血流循環や冷え、だるさ、持病など、様々な症状に影響を及ぼします。

中でも元々持病がある犬では、梅雨時期は特にその症状を悪化させてしまう危険性があるため、むくみを起こしやすい梅雨が来る前の対策が重要となってきます。

では、犬のむくみがもたらす注意が必要な疾患とは、どのような疾患があるのでしょうか？ここではむくみが関係して悪化する疾患を4つご紹介します。

▼【むくみが原因で悪化しやすい4つの疾患】

・心疾患
・腎臓疾患
・肝臓疾患
・脳神経疾患

心疾患

梅雨の湿気が原因のむくみによって、悪化しやすい疾患の1つ目には心疾患があります。

特におおよそ75％の犬で発症しやすいと言われる僧帽弁閉鎖不全症は、梅雨のジメッとした季節が続くことで体内の水分バランスの不安定さ、血液循環の低下などを招きやすいため、心臓への負荷が掛かりやすくなります。

僧帽弁閉鎖不全症は、基本的に年齢を重ねるにつれてその症状が悪化しやすい疾患です。梅雨時期の湿気は特に腹水やむくみ症状を助長しやすい季節となるため、注意しておきましょう。

腎臓疾患

梅雨時期の湿気が原因で悪化しやすい疾患の２つ目には、腎臓疾患が挙げられます。

多くの方がご存知の通り、腎臓は人の体内でも犬の体内でも血液中の老廃物のろ過機能を担っているため、体内の水分代謝が低下してしまう梅雨の湿気は、正常なろ過機能が働きづらく、むくみを起こしやすくなります。

特に腎臓にある糸球体という血液のろ過機能が何らかの原因で炎症を起こす糸球体腎炎やたんぱく尿や高コレステロール血症、腹水などが見られるネフローゼ症候群では、どちらもむくみが多く見られる疾患で知られているため、注意しましょう。

肝臓疾患

むくみによって悪化しやすい疾患の３つ目は、肝臓疾患です。

肝臓の機能は主に代謝機能や解毒、胆汁生成などを担いますが、これら機能が梅雨の湿度によって影響を及ぼすと、働きづらく、結果的に低アルブミン血症を起こして、むくみの症状を呈してしまうことがあります。

低アルブミン血症は、血液中のアルブミンと言われるたんぱく質濃度が異常に低下してしまうことで起こり、この状態は脳に有毒物質が蓄積する肝性脳症になりやすく、むくみだけでなくぼんやりしたり、性格に変化が見られたり、神経症状に影響することもあるため、注意が必要です。

脳神経疾患

梅雨時期の湿気が原因で悪化しやすい疾患の最後は、脳神経疾患です。

犬の脳神経疾患で多いてんかんや前庭疾患は、梅雨の低気圧の影響や体内の水分バランスの不安定さ、血液循環の低下などによって、症状が悪化しやすくなる傾向にあります。特にてんかん発作が起こった後や老齢性の突発性前庭疾患には、むくみが表れやすい傾向があります。

また、てんかん発作が起こった後に見せるむくみは、頻発すると脳浮腫を起こし重篤化してしまう危険性があるため、梅雨時期は早めの対策を心掛けることが大切です。

梅雨時期は要注意！むくみやすい犬種

梅雨時期の湿気の影響でむくみやすい犬種には、次のような犬種が挙げられます。

▼【むくみやすい主な犬種】

・チワワ
・フレンチブルドッグ
・マルチーズ
・ヨークシャー・テリア
・ミニチュア・シュナウザー
・ミニチュア・ピンシャー
・ボクサー

他にも、僧帽弁閉鎖不全症を起こしやすい小型犬やリンパの流れの滞り、関節炎などを伴って、それらがむくみに直結しやすい大型犬なども梅雨時期には注意しましょう。

また、心臓病や腎臓病などの持病を持っている場合、免疫力の低下や肝臓機能の低下が著しく表れやすいシニア犬の場合にも、梅雨時期はむくみやすくなる傾向にあるため、注意するよう心掛けましょう。

愛犬をむくませない！お家で簡単リンパマッサージケア方法

梅雨時期は犬にとって、ただでさえ梅雨前線の影響で思うような散歩が行えなかったり、気分の憂鬱さが出やすい時期になったり、とにかくストレスが溜まりやすい時期となります。

にもかかわらず、そこに拍車をかけるように高温多湿化の環境によって血液循環の滞りなどが重なってしまうと、益々むくみの症状が表れやすくなってしまう可能性があります。そのようなストレスや梅雨の湿気によって引き起こされた免疫力の低下や持病による悪化については、症状が重症化する前に対策するよう心掛けることが大切です。

特に自宅で簡単に真似できる愛犬へのリンパマッサージについては、ご自身の時間が出来た時に行えば、むくみの解消だけではなく、愛犬とのコミュニケーションにも繋がるためオススメです。

▽『犬の５つあるリンパ節の場所』

引用元：https://jinbei-ah.com/blog/

一般的に犬の５つあるリンパ節は、それぞれ下顎、浅頸（せんけい）、腋窩、鼠径、膝窩という部分にあります。

リンパマッサージは、この５つの場所をマッサージしてあげることで、流れの改善を見込めます。ただし、行なう際には事前に獣医さんへの相談を心掛けましょう。

では、具体的な方法を以下でご紹介します。

①左肩甲骨の浅頸から撫でる

自宅でリンパマッサージを行なう場合、まずはリンパの出口となる左肩甲骨の浅頸リンパ節の前縁部分を前に向かって優しく撫でます。

この時、リンパの出口を開いてあげるようなイメージを持って撫でてあげることで、しっかりとリンパが流れやすくなります。

②下顎リンパ節を通って腋窩リンパ節を撫でる

次に下顎の付け根部分に位置する下顎リンパ節を、両手を使って左右の下顎から耳の付け根に向かって優しく撫で上げます。

そのまま首から肩へとリンパを流してあげましょう。そして脇のリンパ節はその流れで前脚の付け根を優しく掴むように揉んであげるか脇をさすってあげるように撫でてあげましょう。

③鼠径リンパ節は内股のくぼみに沿って撫でる

後ろ脚の付け根に位置する鼠径リンパ節は、内股のくぼみに指を入れるように沿わせて軽く揉みます。

慣れない内や小型犬の場合、くぼみをさするだけでも効果は十分です。徐々に慣れた時には軽く揉んでリンパの流れを促してあげましょう。

④腋窩リンパ節を挟むように揉んでフィニッシュ

最後は、膝の後ろ側に位置する膝窩リンパ節を挟むように揉んであげてフィニッシュです。

太ももの上部を挟むように掴んで軽く揉んであげましょう。

これらはいずれも6回～10回を目安に繰り返して、リンパの流れを促してあげましょう。

また、嫌がる場合には無理をせず、その時には獣医さんを受診するよう心掛けましょう。

まとめ

いかがでしたか？

人のむくみもそうですが、犬のむくみも慢性化すると持病の悪化はもちろんのこと、むくみ自体の悪化も招きやすくなります。

また、犬のむくみは何らかの病気が原因で起こっていることも多い症状のため、“たかがむくみ”ではなく、“されどむくみ”と思って対応することが、愛犬の今後の健康のカギとなります。

愛犬がこれからも変わらず健康に日常生活を送れるように、日頃からの観察やケアは、ぜひ心掛けてあげてくださいね。

＜参考書籍＞

イラストでわかりやすい！愛犬との絆がぐーっと深まる本

犬の医学

この記事を書いた人
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yukako

幼少期の頃より柴犬やシェットランド・シープドッグと生活を共にし、現在は3代目となる柴犬と暮らしております。
また、生前疾患の多かったシェットランド・シープドッグをキッカケに取得した愛玩動物飼養管理士などの様々な資格の知識を生かし、皆様に役立つような記事を提供、執筆出来ればと思っております。
何卒、よろしくお願い致します。