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「膝の病気(前十字靭帯断裂)にかかりやすい犬種は?」 かかりやすい年齢もご紹介

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「前十字靭帯断裂」という病気をご存知でしょうか。

犬の整形外科疾患の中でもよく見られる膝の病気で、どの犬でも発症するリスクがありますが、特にかかりやすい犬種や年齢があります。

そこで今回は「前十字靭帯断裂にかかりやすい犬種」や「発症しやすい年齢」について解説します。

ペット保険が公表している「ペットの手術ランキング」の中でも、特に手術費用が高額になりがちなので、愛犬が発症しやすいかどうかを覚えて備えておきましょう。

「前十字靭帯断裂」ってどんな病気?

発症しやすい犬種や年齢のお話をする前に「前十字靭帯断裂」がどんな病気なのかを復習しておきましょう。

膝はたくさん曲げ伸ばしを行う場所なので、骨同士をしっかり固定できるようにベルトの役割をしている靭帯がついています。

前十字靭帯はその靭帯のひとつで、バッテンの形になって骨同士をつなぎとめています。

▼犬の膝関節の模式図 (図の中央のピンク色のバッテン部分が前十字靭帯です)

前十字靭帯が切れると、膝の骨がずれたまま動くため膝全体に痛みがでてきます。

また骨同士が接触しやすくなるので、軟骨がすり減ったり棘状の骨を形成したりするようになります。

そのため、「ケンケン歩き」や「足を引きずる」といった動作が犬に現れるようになります。

片足の前十字靭帯が切れてしまうと、残った足に負荷をかけるような歩き方をするので、他の足にもトラブルが発生しやすくなります。

歩き方に違和感がある場合は、早めに動物病院で診てもらいましょう。

「前十字靭帯断裂」が起きやすい体型・犬種は?

では、この前十字靭帯断裂が起きやすいのはどういった犬種なのでしょうか。

「起きやすい体型」と「犬種」をそれぞれご紹介します。

「前十字靭帯断裂」が起きやすい体型は?

ペット保険のアニコム損保が保険契約を開始した0から10歳の犬を「小型犬」「中型犬」「大型犬」の3つに分類して前十字靭帯断裂で通院した割合を調べたところ、結果は下記のようになりました。

▼犬の体重別にみた前十字靭帯の通院割合

黒い線が大型犬、オレンジの線が中型犬、赤い線が小型犬を表しています。

グラフを見てみると小型犬よりも中型犬や大型犬の方が、通院割合が高い傾向にあることがわかります。

中型犬や大型犬は小型犬に比べると体重が重いので、体重負荷がかかりやすい体型が発症しやすいと考えられます。

ただグラフを見てみると小型犬も4歳以降の通院割合が上がってきているので、体重が軽くても4歳以降は注意しておいた方がよいでしょう。

「前十字靭帯断裂」が起きやすい犬種は?

同調査で前十字靭帯断裂の通院割合を犬種別に調べたところ結果は下記のようになりました。

▼「前十字靭帯断裂」の通院割合

※契約頭数の多い小型犬に着目し、5歳時の通院割合を犬種別に調査

通院割合が一番高い犬種は「ヨークシャー・テリア」で次に「ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア」「マルチーズ」の順になりました。

小型犬全体の通院割合と比較するとヨークシャー・テリアが特に通院割合が高いです。

小型犬全体の通院割合の平均が0.19%なので、一覧表の上位に入っている犬種がいかに発症しやすいかがわかります。

一覧表に入っている犬種を飼っている方は、日常的に歩き方に違和感がでていないか注意しておくほうがいいでしょう。

「前十字靭帯断裂」が起きやすい年齢は?

では、前十字靭帯断裂が起きやすい年齢はあるのでしょうか。

同調査で保険契約を開始した0から10歳の犬において前十字靭帯断裂で手術、通院をしたことがある犬の割合を年齢別に調べたところ結果は下記のようになりました。

▼前十字靭帯断裂の手術・通院割合(年齢別)

横の数字が年齢を表しており、赤い線が通院割合、オレンジの線が手術割合を示しています。

グラフを見てみると、4歳ごろまでは通院割合は0.1%前後を推移していますが、4歳をすぎると右肩上がりに通院割合が増えていることがわかります。

前十字靭帯が断裂する原因は「遺伝」「加齢」「肥満」「膝蓋骨脱臼(パテラ)」などがありますが、4歳前後は膝に積み重なってきたダメージが表に出やすい年齢なのかもしれません。

4歳を超えたら歩き方に違和感がないかを細かくチェックしておきましょう。

特に発症しやすい犬種は注意が必要です。

「前十字靭帯断裂」が起こったら、どうすればいいの?

愛犬が前十字靭帯断裂と言われたら、どうすればよいのでしょうか。

治療方法は「2つ」あります。

▼前十字靭帯断裂の治療法

①外科手術
➁内科療法(温存治療)

①外科手術

持病やひざの状態などによって獣医師さんが手術をするかどうか判断しますが、基本的には靭帯が断裂していたり部分的に切れてしまっている場合は、外科手術を勧められることが多いです。

最初にお話したように前十字靭帯が断裂すると骨同士が接触しやすくなり、重度の関節炎を発症する可能性があります。

関節炎による痛みは生活の質を著しく落とすだけでなくストレスにもなります。

ただ前十字靭帯断裂の手術は高額(30万円前後)なので、手術費や通院費が高額になるということは覚えておきましょう。

➁内科療法

断裂の状態が軽度だったり体重が軽い場合は、「薬で痛みを取る」「体重管理をする」などの内科療法で経過を見ていくケースもあります。

ただ、一度断裂した靭帯は自然に治ることはありません。

膝にダメージが蓄積することには変わりがないので、年齢が高くなって悪化するということも考えられます。

「外科手術」と「内科治療」のどちらが愛犬にあっているのか、獣医師さんと話し合って方針を決めるようにしましょう。

前十字靭帯断裂はどの犬でも発症する可能性がありますが、発症しやすい年齢や発症しやすい犬種の傾向があります。

いざというときに慌てないように、散歩や室内を歩かせるときに歩き方に違和感がないか、日頃からチェックしていち早く変化に気づいてあげましょう。

<参考書籍>

小動物獣医看護学 小動物看護の基本と実践ガイド 上巻・下巻 西田 利穂 (翻訳), 石井 康夫 (翻訳), D.R.Lane B.Cooper

<参考URL>

犬の前十字靭帯断裂 ONE for Animals
>http://one-for-animals.co.jp/case/03

前十字靭帯断裂 一般社団法人日本小動物整形外科協会
>http://voa.or.jp/case/03

「十字靱帯損傷」になりやすい年齢ってある? アニコム家庭どうぶつコラム
>https://www.anicom-page.com/hakusho/column/pdf/130510.pdf

<画像元>

Unsplash

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伊藤さん

伊藤さん

・倉敷芸術科学大学 生命動物科学科卒業
・(元)認定動物看護師
・一般社団法人日本小動物獣医師会 動物診療助手

やんちゃなミックス犬とおっとりトイプードルと暮らす。

大学在学中に「病気になる前の予防が一番大事」と気づき、
ペットフードやペットサプリメントの会社に就職。
「食」に関するさまざまな知識を身につける。

愛犬を亡くしたときに
「もっと色んな情報を知っておけば」と感じた後悔を
「他の飼い主さんにはさせたくない」との思いから、
ライター活動を開始。

「勉強になった・信頼・わかりやすい」を目標に情報を発信しています。
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