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【動物看護師が解説】わんちゃんもいびきをかくの?愛犬のいびきは大丈夫?

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愛犬が寝ていると「グゥ~グゥ~」いびきをかくのが聞こえたことはありませんか?

思わず笑ってしまうほどかわいらしい光景ですが、いびきは病気のサインの場合もあります。どうしていびきをかくのか、どんな病気が考えられるのか、一緒に学んでサインを見落とさないようにしましょう。

わんちゃんはどうしていびきをかくの?

いびきは空気の通り道である鼻や喉が狭くなったことが原因で起こります。狭くなった通り道を空気が通過する際に粘膜が振動することで「グゥグゥ」という音が出ます。

眠っているときは喉の筋肉をふくむ全身の筋肉がゆるむため、起きている時より空気の通り道が狭くなるためいびきをかきやすくなります。

いびきをかきやすい犬種

体の構造上いびきをかきやすい犬種もいます。鼻が短い「短頭種」です。

短頭種は品種改良によって鼻やあごが短くなるように作られました。しかし体の構造としては大きく変わらないため、自然と鼻と喉の気道が狭くなるのです。そのため、鼻が長いわんちゃんに比べるとちょっとしたことで呼吸が乱れ、いびきをかきやすくなります。

<いびきをかきやすい代表的な犬種>
■パグ
■フレンチ・ブルドッグ
■ボストンテリア
■ペキニーズ
■シーズー
■マルチーズ
■キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル
■ヨークシャーテリア
■チワワ

いびきから考えられる病気

いびきは病気のサインのひとつでもあります。どんな病気が考えられるか見ていきましょう。

・軟口蓋過長症(なんこうがいかちょうしょう)

出典元:イラストでみる犬の病気

上あごの奥に伸びている柔らかい部分を「軟口蓋」といいます。この軟口蓋が生まれつき長いと、喉に垂れ下がった状態になります。これが「軟口蓋過長症」です。

症状が悪化してくると寝ているとき以外もゼーゼーといびきのような呼吸がみられ、興奮したり運動をしただけで酸欠や呼吸困難におちいります。とくに短頭種は鼻だけでなくあごも短く改良されているため、喉の気道が狭く軟口蓋過長症の時のリスクは高くなります。

・気管虚脱(きかんきょだつ)

空気の通り道である気管が途中で潰れてしまい、呼吸ができなくなってしまう病気です。最初は軽い咳やむせるような症状から始まり、いびきや起きているときにガチョウが鳴くようなガーガーという呼吸音が現れます。悪化すると酸欠や呼吸困難も見られます。病気の原因は不明ですが、肥満、気道への刺激、老化などが要因ではないかと考えられています。

この病気の怖いところはほとんど症状が現れないまま進行していく場合があることです。初期であれば投薬など対処方法がありますが、悪化すると手術も難しくなります。

・鼻腔狭窄(びくうきょうさく)

鼻の穴と鼻の奥の鼻腔と呼ばれる空間が狭くなった状態のことをいいます。正常な鼻の穴はコンマ状になっていますが、鼻の穴がL字や線のように細い場合は、鼻腔狭窄の可能性があります。生まれつきの場合が多いため、病気そのものを予防することはできません。呼吸がしづらいため、少しの運動で息が上がってしまい上手く体温を逃がすことができないので熱中症のリスクも高くなります。人でいうと生まれた時から慢性的な鼻づまりと同じ状態になっているので、早めに気づいてあげたいですね。

・アレルギーや鼻炎

アレルギーなど炎症が起きると、鼻の粘膜が腫れて鼻づまりが起き、呼吸がしづらくなったことで、いびきをかく場合があります。鼻水が出やすい、くしゃみをよくしている、急にいびきをかくようになったという場合は鼻炎の可能性があります。

・睡眠時無呼吸症

人の場合はよく聞く病名ですね。症例数は少ないですが、わんちゃんも睡眠時無呼吸症になることがあります。

症状としては、大きないびき、何度も起きる、けいれん、呼吸と呼吸の間に長い休止がみられる、睡眠途中に目を覚ましたときの息切れなどが現れます。熟睡することができないので、日中ぼんやりしたり、脳に障害を引き起こす可能性があります。人でも不眠は非常につらい状態です。症状に気づいたらすぐに動物病院(呼吸器専門)にいきましょう。

・心臓病

心臓内には4つ部屋がありそれぞれ部屋にドアの働きをする弁があります。このに弁よって血を逆流させないように調整しています。しかし何らかの原因で開きが悪くなったり閉じにくくなってしまうと、血液がスムーズに流れなくなり、肥大した心臓が気管支を圧迫します。その結果、咳やいびきのような呼吸音を鳴らすことがあります。

・腫瘍

鼻の中に腫瘍ができると鼻づまりを起こしたり気管が狭まったりして、いびきの原因になることがあります。また喉のリンパ節に腫瘍ができても気管が圧迫されいびきをかくようになります。急にいびきをかくようになったら注意しましょう。

こんないびきは注意しよう!

わんちゃんがいびきをかいている場合、「どの程度悪いのか」を把握しておくことが大切です。軽度のいびきが時々みられるくらいであれば経過観察で大丈夫ですが、いびきの状態がかわった、いびき以外にも気になるところが見られる場合には早めに動物病院にいきましょう。

・いびきが悪化している

いびきの音が大きくなったりいつもとは違ういびきをかいている場合は動物病院で診てもらった方が安心です。いびき以外にも常に呼吸が荒い、軽度の運動で息が上がる、運動を嫌がるようになったという場合にも検査をしてもらうことをオススメします。

・起きているときもいびき音が聞こえる

昼間もゼーゼーといういびきに近い音が聞こえたら、気管が狭くて呼吸困難を起こしている可能性があります。また、心臓病や腫瘍が原因で呼吸音が変わることもあるため、呼吸に違和感を覚えたら早めに受診しましょう。

・突然いびきをかきはじめた

これまでいびきをかいていなかったのに、急にいびきをかき始める場合は注意してください。病気が進んで症状としていびきが現れている可能性があります。

いびきの予防方法

・肥満にさせない

肥満は喉のまわりの脂肪が増えるため、気道が狭くなりいびきがひどくなる可能性があります。肥満は呼吸だけでなく心臓にも負担がかかるので、愛犬の体重はしっかり管理してあげましょう。

・アレルギー物質を近づけない

アレルギーが原因でいびきをかいている場合は、アレルギー物質を特定し遠ざけることで症状が落ち着く場合があります。タバコの煙、ハウスダスト、香水、花粉などがアレルゲンになることがあるため、一度わんちゃんの環境を見直してみましょう。

・手術

軟口蓋過長症や鼻腔狭窄が悪化している場合には、手術も選択肢の一つとして考えておくことが大切です。若いうちに手術をした場合、改善率は96%と高い治療効果が見られたのに対し、高齢で手術をした場合69%と低い改善率になったと報告があります。

短頭種の場合、麻酔のリスクが高くなるので信頼できる動物病院を探し、獣医師さんときちんと話し合って決めましょう。

いびきの原因はさまざまですが、病気のサインとして出てくる場合もあります。必要以上に怖がることはないですが、「もしかして」という視点をもつことは、愛犬の健康を保つうえでとても大切です。いつもと違うと思ったら、早めに獣医師さんに相談しましょう。

<参考文献>
イラストでみる犬の病気
編集 小野 憲一郎 今井 壯一 多川 政弘 安川 明男 後藤 直彰

犬の短頭種気道症候群の病態から学ぶもの
https://www.sagamigaoka-ac.com/wp-content/dr_file/pdf/20160401.pdf

上気道閉塞性疾患 短頭種気道症候群
https://www.sagamigaoka-ac.com/wp-content/dr_file/pdf/training_0406_2.pdf

犬と猫の睡眠
https://www.sagamigaoka-ac.com/wp-content/uploads/2018/07/b5a3cd04f3ab8ec6f5ba8a4b94e9e27c.pdf

犬の気管虚脱、症状と外科手術
https://pet.doctors-interview.jp/treatment/1434

<画像元>
無料写真素材 写真AC
Pixabay

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伊藤さん

伊藤さん

・倉敷芸術科学大学 生命動物科学科卒業
・(元)認定動物看護師
・一般社団法人日本小動物獣医師会 動物診療助手

やんちゃなミックス犬とおっとりトイプードルと暮らす。

大学在学中に「病気になる前の予防が一番大事」と気づき、
ペットフードやペットサプリメントの会社に就職。
「食」に関するさまざまな知識を身につける。

愛犬を亡くしたときに
「もっと色んな情報を知っておけば」と感じた後悔を
「他の飼い主さんにはさせたくない」との思いから、
ライター活動を開始。

「勉強になった・信頼・わかりやすい」を目標に情報を発信しています。
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