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【動物看護師が解説】愛犬が下痢をしたら?わんちゃんの下痢の原因と対策を解説

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便は健康のバロメーターといわれています。なぜなら腸は消化だけでなく、自律神経や感染症など色々な病気と関わっているからです。下痢はわんちゃんの体の中でなにか異常が起きているサインでもあります。愛犬からのサインを見逃さないように一緒に学んでいきましょう。

なぜ下痢をするの?

腸は伸び縮みしながら便を運び、水分の分泌と吸収を繰り返します。しかし何らかの原因で水分の分泌と吸収のバランスが崩れてしまうと下痢になってしまいます。

異常がおきている場所を探ろう

わんちゃんの消化器官は大きく大腸と小腸の2つに分けられます。下痢の特徴が大腸と小腸で異なるため、観察することでどちらに異常が出ているかをおおまかに判断することができます。獣医師さんにとっても検査方法や原因を特定するうえで大切な情報になるので、しっかりと観察しましょう。

大腸性下痢

大腸に異常があった時におこる下痢を「大腸性下痢」といいます。

■便の量  平常時と同じか少なめ
■便の回数 多くなる
■便の形  柔らかい便 粘液が混ざるゼリー状の便
■便の色  出血があると便に鮮血がみられる
■その他  便を出そうとするが出ない状態の「しぶり」が見られることもある。食欲は変わらないことが多い

小腸性下痢

小腸に異常があった時におこる下痢を「小腸性下痢」といいます。

■便の量  多くなる
■便の回数 平常時と変わらないかやや多い
■便の形  柔らかい便や水っぽい便など様々
■便の色  出血があると黒っぽい墨のような便になる
■その他  食欲は平常時と変わらないかやや落ちる
        栄養を吸収できないので体重が減る
        嘔吐をする場合もある

わんちゃんの下痢の種類

一口に下痢といっても発生するしくみはそれぞれ異なり、大きく分けると4つに分類できます。

①ぜん動運動性下痢

食べ物を肛門側に移動させるために腸は伸び縮みを繰り返します。これがぜん動運動です。

ぜん動運動が活発になりすぎると、食べ物が早く腸を通過してしまい、水分の吸収が不十分になって下痢をしてしまいます。

➁浸透圧性下痢

腸の中と腸の外は同じ浸透圧(水分を引き付ける力)なので水分が自由に行き来しています。しかし消化が不十分な物、消化できない物は浸透圧が高く水分を多くひきつけます。そのため腸内に水分が多くなってしまい下痢になります。

➂分泌性下痢

腸は水分を吸収するだけでなく、消化液などの分泌もしています。細菌による毒素やホルモンの影響で消化液の分泌が多くなると、便の中の水分が多くなり下痢になります。

④浸出性下痢

腸が傷つくと炎症が起き、そこから血液成分、細胞内の液体などがにじみ出るため便の水分量を増やします。また、炎症によって粘液が増えたり、腸の水分吸収能力が低下するため下痢になります。

わんちゃんの下痢の原因

食べすぎ・消化の悪いものを食べた

わんちゃんの下痢の中で多く見られるのが、消化不良による下痢です。食べすぎや消化に悪い食べ物を食べると腸の水分バランスが崩れて下痢をします。

ドッグフードやおやつの変更

ドッグフードやおやつを変更すると今まで食べていた物と成分が異なるので消化時間が変わります。消化時間が長いものは胃に負担がかかり、うまく腸で消化できないと水分が引き付けられて下痢をします。

また、わんちゃんによってはアレルギー反応をおこす食べ物・添加物もあるので注意しましょう。

激しい運動

運動をするとぜん動運動が活発になります。そのため、運動中や運動の後には下痢をしやすくなります。消化不良にもなりやすいので、運動の直前に食べ物をあげるのは控えましょう。

環境の変化

腸は自律神経と関係しています。環境の変化によるストレスなどで自律神経が乱れると、ぜん動運動や消化液の分泌が活発になり、下痢をしてしまいます。

細菌・ウィルス・寄生虫感染

細菌や寄生虫などによって腸の粘膜を刺激され炎症を引き起こします。炎症が起きると腸の水分を吸収する能力が低下するため下痢になります。また寄生虫には腸を傷つける種類もいるため、血便やひどい場合だと貧血になることもあります。

内臓疾患

糖尿病などのホルモンの病気や子宮蓄膿症などの子宮の病気で炎症が起きたり分泌液が多く出ていると腸内の水分が多くなり下痢をしてしまいます。

動物病院に行くタイミング

下痢をしてるけど元気

食べすぎやドッグフードの変更などが原因の一時的な下痢の場合、元気にしていることが多いです。わんちゃんの周りに変化があったか思い出してみましょう。激しい運動はさけて、お家の中で1~2日安静に過ごしてください。

下痢がずっと続くとき

軽度の下痢であれば1~2日でおさまりますが、3日たっても下痢が続いている場合は動物病院に行って診察を受けましょう。細菌・ウィルス・寄生虫感染や、胃腸炎を起こしている可能性があります。下痢がずっと続くと脱水も引き起こしやすくなるので早めの診察がおすすめです。

下痢と嘔吐があるとき

異物や食べてはいけない物を食べている可能性があります。また、食物アレルギーの場合には、原因の食べ物を見つけて避けないかぎり嘔吐と下痢を繰り返します。下痢以外の症状も見られたら、すぐに動物病院にいきましょう。

血便が出たとき

1~2日で治まるなら肛門付近が切れて血が出ている可能性があります。しかし、黒っぽい便、3日たっても血が混ざっている場合には、腸が炎症を起こし出血しているか寄生虫が感染している可能性があります。小腸から出血していると黒っぽい便が出るので普段より黒い便がでたらすぐに動物病院にいきましょう。

体を丸める・触るのを嫌がる

下痢をした後にうずくまって元気がなかったり、触るのを嫌がる場合は痛みが出ている可能性があります。炎症がおきていると熱が出ることもあるため、元気がない場合は早めに動物病院にいきましょう。

愛犬のためにお家でできること

下痢をした日のご飯は?

元気や食欲がある場合には、半日ほど絶食させましょう。その後に食べなれているフードをお湯でふやかして少なめに与えましょう。

下痢をしている場合には脱水を起こしやすいので、こまめに水分補給をさせてあげてください。冷たい水は腸への刺激になるので温めがおすすめです。

下痢以外の症状もある場合は、ご飯やお水はあげずに動物病院で診察を受けましょう。

下痢止めはあげていい?

原因によって止めたほうがいい下痢とそうでない下痢があります。細菌やウィルスが原因の場合、下痢止めを使ってしまうと菌や菌が排出する毒素を体の中にとどめてしまいます。診察を受ける前に下痢止めを飲ませることは控えましょう。

下痢の記録をとる

下痢の原因の特定には検査だけでなく飼い主さんからの聞き取りも大切な手がかりになります。「いつから下痢をしているか」「どんな下痢をしていたか」「何回下痢をしたか」「普段何を食べさせているか」などメモして獣医さんに伝えましょう。また便も一緒に持参するとスムーズに検査をすることができます。

一口に下痢といっても色々な原因や要因が絡み合って下痢をしているのがお分かりいただけたかと思います。すぐ治る下痢もありますが、重篤な病気のサインで下痢がでることもあります。わんちゃんからのサインを見逃さないようにしましょう。

<参考文献>
イラストでみる犬の病気
編集 小野 憲一郎 今井 壯一 多川 政弘 安川 明男 後藤 直彰

ウィルス/原虫による感染性大腸炎(CMVも 含 む)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jcoloproctology1967/54/10/54_10_945/_pdf

消化器系の問題
http://www.jbvp.org/petlovers/cat_symp_syouka.html

日本内科学会雑誌第100巻第1号
小腸疾患:診断と治療の進歩
https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/100/1/100_71/_pdf

<画像元>

無料写真素材 写真AC
イラストAC
Aphoto
Pixabay

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伊藤さん

伊藤さん

・倉敷芸術科学大学 生命動物科学科卒業
・(元)認定動物看護師
・一般社団法人日本小動物獣医師会 動物診療助手

やんちゃなミックス犬とおっとりトイプードルと暮らす。

大学在学中に「病気になる前の予防が一番大事」と気づき、
ペットフードやペットサプリメントの会社に就職。
「食」に関するさまざまな知識を身につける。

愛犬を亡くしたときに
「もっと色んな情報を知っておけば」と感じた後悔を
「他の飼い主さんにはさせたくない」との思いから、
ライター活動を開始。

「勉強になった・信頼・わかりやすい」を目標に情報を発信しています。
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