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姿かたちが変幻自在の悪性腫瘍「肥満細胞腫」って?症状や注意点・治療法などを解説!

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皆さんは、「肥満細胞腫」という腫瘍をご存知ですか?

腫瘍(ガン)というと、人でもよく聞くメラノーマ(悪性黒色腫)とか、乳ガンなどを思い浮かべる方が多いかもしれませんが、悪性腫瘍のひとつとして数えられるガンの中に、犬や猫で引き起こす「肥満細胞腫」というものがあります。

また、厄介なことにこの肥満細胞腫、多種多様な姿かたちで表れ、これぞガン!というような形状のものでもないんです。

そこで今回は、犬の肥満細胞腫とはどのようなものなのか、肥満との関係性はあるのか、また、症状や治療法、注意点などについて、筆者の愛犬シェルティも患った実体験を交えながら、ご紹介します。

変幻自在の悪性腫瘍「肥満細胞腫」とは?

まず、肥満細胞腫の基本的な情報をご紹介します。

基本的に肥満細胞腫とは、本来体重の増加で起こる『肥満』と一切関係ありません。

実際に関係があるのは、ヒスタミンなどのアレルギーに関係する化学物質をはじめとした様々な物質を含む「肥満細胞」との関係性で、肥満細胞腫とは、この「肥満細胞」がガン化したことで起こる悪性腫瘍のことを言います。

主に出来やすい箇所としては、皮膚や皮下組織が多いものの、元来、肥満細胞は免疫細胞の一種なので、実際には体のどこにでも出来てしまうのが特徴です。

そして、この肥満細胞腫の一番厄介な点として挙げられるのが、その姿かたち、いわゆる形状です。

肥満細胞腫の姿かたちは、多くが形状様々で蕁麻疹状、丘疹状((ポツポツ)、結節状(しこり)、有茎状(茎状のもの)、びまん性にびらん、潰瘍状など様々です。

そのため、肥満細胞腫を目視だけで判断するのはとても困難で、筆者の飼養していたシェルティは、11歳という高齢の時に発症し、その時にはすでに潰瘍化していました。

一般的に、犬の肥満細胞腫の多くは単発性ですが、まれに多発性で発生し、年齢は中歳~高齢に最も多く、パグやフレンチブルドッグの短頭種が好発種とされています。

ただし、これら犬種は多発しやすい一方で、悪性度は比較的低いことが多いと言われています。

肥満細胞腫の主な症状や注意点

次に、肥満細胞腫にはどのような症状があるのか、ご説明します。

一般的に、肥満細胞腫はほかの皮膚腫瘍と同様に飼い主さんたちがわんちゃんに触れることによって気づくことがほとんどです。

しかし、先程も述べたように肥満細胞腫の形状は様々で、見た目だけでの判断をすることは難しく、且つ、良性腫瘍として知られている脂肪腫のような外見、感触をしている場合の肥満細胞腫は、特に注意が必要です。

肥満細胞腫は、基本的に針生検(針を用いて細胞を採取すること)を用いることで比較的容易に診断できるので、例え柔らかい感触であっても、赤黒さもなく、世間的に言われている「普通の細胞との境界が不明瞭であればガン」ということでなくても、気になるしこりを見つけたのなら、針生検を実施するように心がけておきましょう。

また、肥満細胞腫はヒスタミンやヘパリンといった顆粒物質を豊富に含んでおり、外部刺激が加わると、皮膚が赤く腫れたり、悪化してしまう原因になるので、出来るだけ触らないように。

ヒスタミンは、かゆみや痛みの知覚神経に作用するだけではなく、胃潰瘍や胃出血の原因、大量放出の場合には、低血圧や虚脱、ショック症状なども引き起こしてしまいかねないので、注意してください。

さらに、肥満細胞腫はリンパ節や脾臓、肝臓などに転移しやすく、進行すると骨髄浸潤してしまうため、骨髄穿刺(こつずいせんし)と言われる骨髄液を採取し検査する方法が行われることもあるので、覚えておいてください。

肥満細胞腫の治療法は外科的切除が基本!

さて、それでは肥満細胞腫を治療するにあたっては、どのような方法が取られているのか、ということですが、基本的にはほかの腫瘍同様、外科手術での切除が中心となります。

肥満細胞腫にも補助的療法として、ヒスタミン抑制剤の内服や副腎皮質ホルモン剤のステロイドなどの効果によって、一時的に腫瘍が縮小あるいは消失することもあるようですが、これら治療法はあくまでも補助療法のため、最終的には外科的治療を推奨します。

肥満細胞腫は、組織グレード(人で言うところのステージのようなもの)により再発や転移の可能性、生存確率などが大きく異なってきます。

そのため、組織グレードが1の場合であれば、再発率及び転移率は低く、その後の生存も期待ができます。

しかし、グレード2~3に関しては、再発率及び移転率は注意が必要で、その内グレード3については、特に悪い状態の肥満細胞腫となります。

筆者の愛犬は運良く早期発見・早期治療をすることが出来たので、グレード1の状態で切除することが出来ましたが、この肥満細胞腫という腫瘍は正常組織を巻き込むほどの広範囲に渡る切除が必要です。

我が家も例外ではなく、腫瘍の発見時は1cmにも満たないほどの範囲だったにもかかわらず、切除時には3~4cmほどの大きさ、深さについても同程度かそれよりも深く切除してもらい、結果的には、その甲斐あって再発を免れることは出来ましたが、ガン組織に加えて、正常組織の大部分を切除することには変わりないので、出来る限り、早期発見に努められるように、日頃から愛犬とのスキンシップは欠かさないようにしてあげてください。

<参考書籍>

時事通信社:犬の医学

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yukako

yukako

幼少期の頃より柴犬やシェットランド・シープドッグと生活を共にし、現在は3代目となる柴犬と暮らしております。
また、生前疾患の多かったシェットランド・シープドッグをキッカケに取得した愛玩動物飼養管理士などの様々な資格の知識を生かし、皆様に役立つような記事を提供、執筆出来ればと思っております。
何卒、よろしくお願い致します。
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