梅雨や台風など、低気圧が起こりやすい時期が近付くと頭痛を感じる人は多いのではないでしょうか?頭痛と聞くとどうしても人がなるイメージが強いものですが、実は犬にも起こり得るのをご存知ですか?
犬の場合、ハッキリ『頭痛』と診断されることはほぼありませんが、今回は、犬が頭痛を感じている時に見せる行動や病気の可能性などをご紹介します。
犬の日頃の体調管理にも役立てられるので、ぜひ最後までお付き合いください。
そもそも犬に頭痛は起こる?

犬の場合でも下痢や嘔吐といった目に見える消化器症状なら、明らかに症状があると分かります。
しかし、一般に目に見えない痛みとして表れる頭痛は、犬にも起こることなのでしょうか?
結論から申し上げれば、犬にも頭痛は起こると言われています。
アメリカ・インディアナ州にあるパデュー大学獣医学部獣医神経学・神経外科准教授(現在は母国リバプール大学にて教授として在任中)のティム・ベントレー(Tim・Bentler)氏は、脳腫瘍や脳炎など、重篤な病気を抱えている犬の場合、頭痛を起こすことがあると語っています。
また、アメリカ・ニューヨーク州にあるコーネル大学獣医学部生物医学化学科准教授のアダム・ボイコ(Adam Boyko)博士においても、犬が頭痛を起こすかどうかを確実に知る方法はないとしつつも、脳炎や腫瘍、副鼻腔炎、腫れなどの発症で、人と生物学的特徴が非常に似ている犬が、痛みを仮に感じないとすれば驚きだと、頭痛が起こることを示唆しました。
ただ一方で、アメリカ・カリフォルニア州にあるカリフォルニア大学デービス校臨床行動サービス臨床医兼獣医行動学者のエリザベス・ステロウ(Elizabeth Stelow)氏によれば、一部の獣医師は犬が人の片頭痛に似た頭痛を示すと発言しており、その証拠として、人が見せる片頭痛への痛みの行動と非常に類似して見られる点が犬にもあることを示唆しています。
しかし、これら症状の多くは犬を対象とした臨床実験などの報告が少ないため、あくまでも可能性の高さを示したものに過ぎないとのこと。
けれど、犬にも人間同様に中枢神経経路(脳と脊髄との繋がり)はあるのだから、痛みが起こり得ない方が不自然だとの見解は、多くの獣医学者、獣医師が持ち合わせているのは確かだと言えるでしょう。
犬が頭痛を感じている時に見られる行動とは?

では、犬が頭痛を感じている時に見られる行動には、どのような行動が見られるのでしょうか?
犬が頭痛を感じている時の主な症状を、ここでは5つご紹介します。
1. 頭を触られるのを嫌がる
犬は基本的に、どの部位に対しても痛みを感じる部分を触られそうになると嫌がる動物です。
そのため、普段なら嫌がらない頭を撫でるという行為を、頭を撫でようとした瞬間に愛犬が嫌がるような場合には、もしかしたらそれは頭痛を感じているサインかもしれません。
ただ、このような行動は歯痛や耳周りなどの不調でも見られるため、嫌がっている理由がどんなものかは、しっかりと注意深く観察するよう注意しましょう。
2. 頭をどこかに押し付ける
犬が壁やドアなど、とにかくどこかに頭を押し付けていたりする場合、その行動はもしかしたら頭痛を鎮めようとしているサインかもしれません。
私たち人の場合でも、頭痛や片頭痛が起こると、手でその部分を押さえて痛みを鎮めようとしますが、それに近い行動を犬も見せることがあります。ただし、この行動には他にもどこか痒みを伴っていたり、違和感を持っていたりする場合にも見られる行動のため、そこに関する見極めは、慎重に行うことが大切です。
とはいえ、何度止めさせても頭をどこかに押し付ける行動が見られるようなら、早めに動物病院を受診しましょう。
3. 嘔吐や吐き気を催す
人でもひどい頭痛を感じている場合、嘔吐をしたり、吐き気を感じたりするように、犬もひどい頭痛の場合は嘔吐や吐き気を催すことがあります。
空腹状態や誤飲をしたわけでもないのに、何か苦しそうにしている時には、その行動はもしかしたら頭痛を感じているかもしれません。
ただ嘔吐の症状は、消化器症状で起こったり、他の病気によって引き起こされたりしている場合にも見られるものなので、原因究明のためにも、早めの動物病院の受診を心掛けましょう。
4. 光や音に敏感に反応する
光や音の刺激というのは、頭痛を感じている際には頭に響いて頭痛を増幅させることがあります。
私たち人の場合でも、頭痛を感じている時に光を異様に明るく感じたり、音がうるさいと感じたりすることがありますが、この傾向は犬にも見られます。
普段なら明るい場所も音も気にしない愛犬が、静かな部屋、または暗い部屋から一向に出たがらない時には、その行動は頭痛が関係しているかもしれません。
5. 頭を低くして唸ってくる
頭痛を感じるとその痛みから、私たち人でも唸ってしまう時があるように、犬も頭痛を感じている時には、頭を低く保って唸ることがあります。
通常犬が何か警戒心や恐怖心を抱いた時には、頭を高くして力強く吠えますが、特にこれといって警戒する場面でもないのに頭を低くして唸っている時には、首の不調に加えて、頭痛を感じている可能性があると言えるでしょう。
犬の頭痛が関係する病気には何がある?

上記ですでに述べましたが、頭痛は、犬では明確な『頭痛』という診断をされることは稀な症状です。
しかし、その頭痛に関連する病には放っておくと重篤化して、最悪は死亡してしまうものが多々あります。
脳腫瘍
脳腫瘍とは、いわゆるガンのことです。獣医療の発展も目覚ましい近年では、長寿となってきた犬・猫の死亡原因も、常に上位を占めています。
脳腫瘍には、髄膜腫、神経膠腫(神経上皮細胞から発生する悪性脳腫瘍、別名:グリオーマ)、脈絡叢腫などがあり、初期症状では、嗜好、性格の変化、トイレや散歩での生活習慣の変化などが見られます。
症状が進むと前肢や後肢のふらつき、一定方向への回旋運動、徘徊行動などが見られるようになります。しかし、このような症状に加えて見られるとされているのが、『頭を触られるのを嫌がる』というものがあるようです。
ティム・ベントレー氏によれば、心拍数が高く、頭を触れられるのを嫌がった犬の診察をした時には、MRI検査の結果、脳腫瘍が見つかったと言います。
脳炎
脳炎とは、細菌やウイルス、真菌、原虫(トキソプラズマ、ネオスポラ)、寄生虫などの感染、免疫性または特発性(原因不明)など、様々な要因によって発症する疾患です。
犬が脳炎を発症してしまった場合、多発性またはびまん性に脳が冒されるために、てんかん発作や片側麻痺、四肢麻痺、運動失調、脳神経症状などの症状が見られます。
脳炎は、非常に多くの症状を発症するため、その中には頭痛を感じているような行動も起こしているかもしれません。症状が見られた際には、早急な処置を心掛けることが大切です。
気象病
気象病とは、その名の通り梅雨や台風、低気圧などが原因となって、頭痛やだるさ、食欲低下、特定の疾患の悪化などが見られます。
気象病は、基本的には天気に影響して頭痛が見られたり、だるさや食欲低下、運動失調などが見られたりするため、その天気が回復すれば、症状も軽減します。
しかし、梅雨時期や台風が頻繁に起きやすい季節の場合には、犬も私たち人と同じように、片頭痛の痛みから、何かしら頭痛を回避する行動を取っているかもしれません。
天候の変化に敏感で、決まって天候が悪くなると気分が沈んでしまうような場合には、愛犬が落ち着けるような生活環境を整えてあげましょう。
もしも愛犬に頭痛を感じているような素振りが見られたら…

愛犬がどことなく頭痛を感じていそうな行動が見られた場合、その時には出来るだけ早急に動物病院を受診しましょう。
そうすることによって、仮に何か重篤な疾患が原因だったとしても、早期発見・早期治療のおかげで、最悪な状態を未然に防ぐことが可能です。
また、もしも万が一動物病院が開いていなかったとしても、「痛みを和らげたい」一心で、人用の頭痛薬を与えるようなことは避けましょう。
確かに、犬に薬を処方する時には時と場合によって、人に処方する薬が役立つことはあります。
しかしそれは、しっかりと犬の体重、年齢、持病の有無、成分など、様々な事情を把握し、獣医さんが処方してくれるからこそ、安全性が担保されるものです。
素人判断のまま、愛犬に人用の薬を目分量で与えてしまうと、嘔吐や下痢などの中毒症状はもちろんのこと、重症化した場合には、意識障害や痙攣、最悪は死亡してしまう危険性があります。
このような症状は、頭痛薬に限らず、単なる風邪薬や胃腸薬などでも変わらないため、例え愛犬に頭痛を感じているような素振りが見られたとしても、人用の薬は決して与えてはいけません。
そのような場合には、まずは救急の動物病院などに連絡し、状況などを説明した上で、適切な診断、適切な処置を施してもらうように心掛けてください。
<参考書籍>
もっともくわしいイヌの病気百科
<参考サイト>
Do Dogs Get Headaches?|犬にも頭痛は起こる?
>https://gizmodo.com/do-dogs-get-headaches-1832867382
<画像元>
photoAC
また、生前疾患の多かったシェットランド・シープドッグをキッカケに取得した愛玩動物飼養管理士などの様々な資格の知識を生かし、皆様に役立つような記事を提供、執筆出来ればと思っております。
何卒、よろしくお願い致します。
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