『高血圧』は、通常人に対して使われることが多い言葉ですが、実は犬や猫にも使われます。
また、『高血圧』に関連する病気は、私たち人と同様、犬にも身近に潜み、決して珍しい病気でもないと言われています。
冬は、血圧が上がりやすいと言われる季節。
今回は、そんな冬の季節に気を付けたい犬の『高血圧』について、その基本や原因、合併症や日常ケアなどをご紹介します。
<目次>
犬の平均的な血圧ってどれくらい?血圧の基本を知ろう

シニア犬や持病のある犬の『高血圧』を知る前に、まずは犬の平均的な血圧の範囲をご紹介します。
犬の平均的な血圧の範囲は、人とほとんど同じくらいの範囲と言われています。具体的には、血圧は基本的に【収縮期血圧(心臓収縮により血液を送り出す時)】と【拡張期血圧(心臓拡張により血液を溜め込む時)】に分けられており、人ではこの値が最大血圧100~140mmHg未満の間と、最小血圧~90mmHg未満までであれば、一般的に正常値だと言われています。
▽『血圧の基準値』
犬も上記の人の血圧と同じくらいの範囲内であれば、正常な血圧と判断されます。
しかし、もしもこの値が最大血圧140mmHg以上、最低血圧~90mmHg以上であるような場合には、この値は総じて『高血圧』として診断されます。
人の場合では病院や薬局に行けば、そこに備え付けられている血圧測定器で簡単に血圧を測定することが可能ですが、犬の場合には健康診断であっても血圧測定をするプランは少なく、一度も測ったことがない人も多いと思います。
しかし犬の高血圧は、人と同様に決して無視できない状態です。
愛犬が日常生活を送る中で血圧が気になる場合には、動物病院で血圧測定を個別に行ってもらえるよう相談するよう心掛けると良いでしょう。
人にも犬にもある『高血圧』とは?

人にも犬にもある『高血圧』は、一般的に血管の中を流れる血液の圧力(血圧)が異常に高くなってしまう現象のことを指します。
特に冬の場合は、単純に寒さに曝露してしまうことでも血圧は上がりますし、加齢や運動不足による肥満によっても上がることがあります。また、犬の場合ならジャーキーなどをはじめとする塩分が含まれたおやつ類の過剰摂取など、様々な要因が高血圧を招くことで知られています。
高血圧は、突発的に起こる時もあれば、持続的に起こることもあります。
突発的に起こるような場合に最も気を付けておきたいのは、犬にも起こるとされるヒートショックです。ヒートショックは朝・晩の寒暖差によって起こる急激な血圧変化の影響で、突然のふらつきや眼振、元気消失、嘔吐や下痢といった身体症状を呈してしまうことがあり、重篤な時には、意識障害や呼吸困難などを起こしてしまう危険性があります。
一方で、高血圧が慢性的に続く場合に最も気を付けておきたいものには、高血圧症というれっきとした病気です。高血圧症は『高血圧』の状態が慢性的に続いてしまうことによって、他の臓器に様々な影響を及ぼしてしまう可能性があります。
そして、高血圧症には原因となる病気が関連しない【本態性高血圧症】と、後述する特定の病気が関連する【二次性高血圧症】があると言われています。
このうち犬では、【二次性高血圧症】によって起こる高血圧が多いとされているため、上記のような寒さや加齢や運動不足、肥満だけではなく、『高血圧』になり得る原因疾患にも注意することが大切です。
犬が高血圧症になってしまう主な原因

前述でも述べましたが、犬の場合の『高血圧』は、人と違って特定の病気が関連して起こる【二次性高血圧症】が多いと言われます。(特定疾病がなくても注意は必要です。)
通常の『高血圧』になりやすい原因が、寒さや加齢、運動不足、肥満などである一方、【高血圧症】というれっきとした病気の原因となってしまう特定疾患とは何なのでしょうか?以下でいくつか確認してみましょう。
▼【犬が高血圧症になってしまう主な原因疾患】
・腎臓病
・糖尿病
・クッシング症候群
・甲状腺機能亢進症
腎臓病
愛犬が腎臓病を患っていると、その影響から高血圧症を招いてしまうことがあります。
腎臓は元々老廃物や余分な塩分のろ過などを担う臓器として知られていますが、この機能が加齢によって衰えたり、病気によって悪化してしまうと、そのろ過機能が上手く働かず、結果的に血圧が上昇してしまう悪循環に陥ります。
愛犬の腎機能の改善をするためには、多飲多尿になっていないか、おやつの与え過ぎはないかといった事に注意し、生活習慣を整えることが大切です。
糖尿病
膵臓のランゲルハンス島β細胞からのインスリン分泌が適切に行えなくなる糖尿病は、その影響で高血圧症になる場合があります。
糖尿病は、多飲多尿や食欲増進が見られる一方、それに反して体重減少や空腹時の高血糖が認められる疾患で、その高血糖も起因することで高血圧が見られるようになります。糖尿病を愛犬が患ってしまっていると、全く高血圧症にさせない手段というのはなかなか難しくなりますが、日々の生活習慣の整えやインスリンの投与によって、緩和させてあげることは出来るので、しっかりと獣医さんとの連携を取るよう心掛けましょう。
クッシング症候群
下垂体にある副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)の過剰分泌によって発症することがあるクッシング症候群は、その過剰分泌の影響で体内の塩分濃度と水分が増えることで高血圧症を引き起こしてしまうことがあります。
この場合の高血圧症は、糖尿病の併発や血栓症の併発など、命に関わるようなリスクも高めるため、早期発見・早期治療、また塩分制限などの食事管理やホルモン分泌抑制の治療法などを獣医さんと連携して行うことが大切です。
甲状腺機能亢進症
甲状腺ホルモンの過剰分泌によって、多飲多尿、食欲増進、体重減少、頻脈などが見られる甲状腺機能亢進症は、クッシング症候群同様その過剰分泌の影響で高血圧症を引き起こしてしまうことがあります。
甲状腺機能亢進症では、通常以上の血液を心臓は体に送り出そうとしてしまうため、重度になると心不全を起こす可能性もあり、中高齢のシニア犬は特に注意が必要です。
ただし犬の場合、甲状腺機能については亢進症とは逆の“甲状腺機能低下症”を発症しやすいとされていますが、稀であっても発症する可能性は0ではないため、油断しないようにしましょう。
犬の『高血圧』で見られる主な合併症と症状とは?

犬が『高血圧』になっている場合、主な合併症としては以下のようなことが挙げられます。
▼【犬が高血圧になった時に見られる合併症】
・失明
・脳出血
・心不全
・腎不全
犬が『高血圧』になってしまっている場合、上記でご紹介した原因と重複する部分もあるものの、以上のような合併症が見られます。
これらの合併症は、主に初期段階では何の自覚症状も呈さない【サイレント・キラー】として知られ、どれも高血圧が慢性的に続いて臓器がダメージを受けることで起こるとされています。
特に失明や脳出血に関しては、症状が急激に悪化するケースがあるとも言われているため、早期に気付けるかどうかが大きな分かれ道となります。
また、このような合併症の他にも、以下のような様子の変化が見られた際には、『高血圧』を呈しているサインです。
▼【犬が高血圧を示している時のサイン】
・落ち着きが無くなる
・興奮しやすくなる
・家具や壁にぶつかる
・食欲が落ちる
・体重が減少する
・元気がない
こういった症状は、年齢によるものとの区別がつきづらいこともありますが、高血圧でも見せる症状として、一つの目安となります。
気になる方は参考にしておくと良いでしょう。
犬の『高血圧』を招かないための日常ケア

一般的に、『高血圧』や【高血圧症】に対する治療には、主に降圧剤と言われる血圧を下げる薬が使用されます。
しかし、こうした降圧剤はいくつか種類もあることから、繰り返し血圧測定を行い、血液検査など他の検査で臓器の状態も観察しながら種類と用量を調整していくため、犬への心身の負担となります。
そのため、そういった事への負担を軽減するためにも、常日頃から愛犬の生活習慣は整えてあげることが大切です。
普段から愛犬におやつを与える量が多い場合には、その子の体重に合った適正量を意識してあげたり、毎日の水分摂取量や排尿回数、食欲、元気かどうかのチェックをこまめにおこなったりすることが大切です。
また、シニア犬であれば定期的な健康診断を意識したりして、少しでも異変を見つけたなら、獣医さんに適切な処方、処置をしてもらいましょう。
特に冬場は、ただでさえ高血圧になりやすい季節とされています。散歩に出掛ける際にも、朝晩の寒さ対策には十分気を付けましょう。
まとめ

犬の『高血圧』は、症状がない内は気付かれにくいため、気付いた時には重症ということも珍しくありません。
しかし、そうした状態を避けるためには、やはり飼い主側が率先して犬の日々の生活習慣を整えてあげることが大切です。
愛犬の血圧が気になった際には、ぜひ測定を検討してみてくださいね。
<参考書籍>
犬の医学
<参考サイト>
犬と猫の高血圧、見逃していませんか?|気づきにくい症状と合併症
>https://kumachan-ah.com/dog-cat-high-blood-pressure/
犬と猫の高血圧 – 要因と種類、診断、標的臓器、治療、管理、認識と対処
>https://tokyowest-ah.jp/blog/2024/08/01/
<画像元>
canva
PAKUTASO
photoAC
また、生前疾患の多かったシェットランド・シープドッグをキッカケに取得した愛玩動物飼養管理士などの様々な資格の知識を生かし、皆様に役立つような記事を提供、執筆出来ればと思っております。
何卒、よろしくお願い致します。
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