一般的に犬種別での性格傾向と聞くと、その犬種によって性格が固定されている印象を受けたことはありませんか?
実際にはそうでなくとも、多くの場合、「大体この犬種ではこういう性格をしている」という感覚を抱いたことがある方は多いと思います。
しかし本当にそうなのでしょうか?
今回は、ペンシルベニア大学で研究開発された犬の行動評価のアンケートテストに関する事と、6つのタイプ別から見る犬の性格診断をご紹介します。
犬の詳しい性格はどう決まる?

一般的な観点から見た犬の性格というのは、冒頭でもお伝えした通り犬種別で見られることが多くあります。
例えば柴犬なら、『警戒心が強い』、『独立心が強い』、『飼い主には従順』、シェットランド・シープドッグなら、『賢い』、『飼い主に忠実』、『愛情深い』といったような具合です。
しかしこれらの性格はあくまで一般論で、犬の詳しい性格を知るためには、性格形成に必要な遺伝子のみならず、環境や経験に基づいた判断が大切になります。
人の性格が人種などで決まらずに個人個人で決まっていくように、犬の性格もまた、犬種だけで語りきる事は出来ません。
私たち人でも、男兄弟に挟まれた女の子や女姉妹に挟まれた男の子だった場合、それぞれのホルモン(男兄弟ではテストステロン、女姉妹ではエストロゲン)の影響で、女の子でも男っぽい性格になったり、男の子でも女っぽい性格になったりすることがありますが、これは犬の場合も例外ではなく、異性に挟まれて生まれてきた犬の場合、男兄弟の中の女の子では、マーキングやマウンティングが頻繁な場合があります。
一方で女姉妹の中の男の子では、縄張り意識の薄さや片足を上げない排泄傾向が多くなる場合があります。
ただこれらは、その子が元々持ち合わせる『気質(生涯に渡って持続しやすい性格)』と、後から備わっていく【パーソナリティ(環境や経験に基づいて変化する性格)】によって、大きく異なることがあります。
犬の詳しい性格を判断できる?C-BARQテストって?

人で行われる自己申告制の質問テスト(例えば性格診断テスト)などは、主観も入っているかもしれませんが、ある程度正しい結果が反映されますよね。
しかし犬の場合では、詳しい性格傾向を示せるようなテストが日本では知られていなかったため、主に犬種別の基本的な性格が個々の犬に対しても当てはまるだろうと推測されていました。
それに対してアメリカでは、2003年にペンシルベニア大学の研究者たちが、犬の行動評価と研究のためにC-BARQというアンケートテストを開発しています。
そして、それらアンケートテストは、2005年からオンラインで公開、現在では世界中の研究機関や獣医、ブリーダーなどが、犬の問題行動における評価や犬種ごとの気質の違いなどを分析するため、広く利用されています。
C-BARQテスト方法①:遺伝子の近い犬種を8グループに分けて分析する
C-BARQテストでは、まず犬の遺伝子の近い犬種を8グループに分けて解析すると分かりやすくなります。
そのため、まずは以下でご自身の愛犬の遺伝子がどのグループに近いかを確認してみましょう。
▽『遺伝子が近い8グループ別犬種表』
仮に迎えている愛犬が上記の表に含まれていなくても、後述する13種類の項目別での傾向や性格の度合いなどを知ることで、ある程度愛犬の性格を判別できるのでご安心ください。
C-BARQテスト方法②:13種類の項目別で分析する
自身の愛犬がどのグループに属し、または属していなくても、以下の項目がどの程度強いかで、その子の特性が見えてきます。
主な13種類の項目は以下の通りです。まずは見てみましょう。
▼【13種類の質問項目】
①見知らぬ人への攻撃性
②見知らぬ人への恐怖性
③訓練性能
④分離不安
⑤興奮性
⑥見知らぬ物や音への恐怖性
⑦家族への攻撃性
⑧見知らぬ犬への恐怖性
⑨見知らぬ犬への攻撃性
⑩愛着行動
⑪家の前を通る人への攻撃性
⑫小動物に対する追跡性
⑬触られる事への反応性
C-BARQは、上記のような項目別に分けたものを100問以上という設問に回答して、導き出します。
当然、これだけ事細かな設問数なので、詳しい結果を表示する時も、以下のような手順を踏んで、結果が通知されるようになっています。
▽『C-BARQ診断により犬の性格を導き出す際の手順』
あなたの愛犬はどのタイプ?6つのタイプ別で見る犬の性格診断!

C-BARQテストは、上記でも述べたように広く利用している多くは研究機関や獣医師、ブリーダーが中心なので、残念ながら一般の方が使用できる手段は2025年時点では見つかりませんでした。
しかしC-BARQを使わずとも、以下でご紹介する方法で、個々の愛犬のある程度の性格を診断できます。
あなたの愛犬はどのタイプに当て嵌まるでしょうか?それぞれの飼い主さんの接し方もご紹介しますので、ぜひ診断してみてくださいね!
1.繊細さんタイプ
警戒心が強く、また怖がりな一面を持ち合わせ、何をするにも慎重な心を持ち合わせたようなタイプのワンコは、これに当たります。
初対面の人や犬、初めて来た公園などでも、慣れない環境を苦手とします。また、雷や花火といった大きな物音も苦手とし、先住犬や後輩犬が居た場合には、その子の様子を窺がってから行動したりもします。
このような性格を愛犬がしている場合、愛犬は飼い主さんの機嫌や表情にも、とても敏感に反応します。そのため、飼い主さんはいつも笑顔で接し、基本的に急かすことのないようなゆっくりとした安心させてあげられる対応を取ってあげましょう。
2.甘えん坊タイプ
飼い主さんのことが大好きで、いつも飼い主さんの後を付いて歩く程べったりと傍に居たがるのが、このタイプです。
抱っこしたり撫でられたりするのが大好きなため、それを止めるとすぐに前足で催促してくることでしょう。
ただし、愛犬がもしもこのようなタイプの場合、あまり要求に応えていると依存度が高くなり過ぎて、分離不安などになってしまう恐れがあるため、適度に距離を取ったり、自分一人で過ごす時間を意識的に取ってあげましょう。
3.お祭り体質タイプ
色々なものに興味を示し、それでいて好奇心旺盛なタイプがお祭り体質のワンコです。
このタイプのワンコは、「散歩だよ!」や「ご飯食べる?」といった一声で、すぐに嬉しそうにしっぽを振って喜びを伝えるなど、喜怒哀楽が分かりやすいのが特徴です。また、人や犬が大好きな一面を持ち合わせているため、散歩中によそのワンコを見掛けると、一目散に駆け寄って挨拶をしたがる傾向もあるでしょう。
ただし、興奮しすぎると飼い主さんの声が聞こえなくなることもしばしばあるため、暴走する前にクールダウンさせるよう意識してあげましょう。
4.マイペースタイプ
周りに流されたりせず、いつもマイペースでのんびりしている雰囲気があるのが、このタイプです。
基本的には、よその犬とも友好的な関係を築けて、仮に相手から吠えられても動じることなく接することが出来ます。また、散歩についても基本は自分のお気に入りの場所で気が済むまで匂いを嗅いでいるなど、ここでもマイペースぶりを発揮することが多い傾向にあります。
しかし、お気に入りの物を取られそうになった時には、思いもしなかった拒否の仕方をしてくるなど、大人しい子ほど怒らせると怖い、なんて一面も見せることがあるため、多頭飼養する際は気を付けましょう。
5.世話焼きさんタイプ
いつも周りをよく観察していて、家族や弱い立場の相手の見方をするのがこのタイプです。
面倒見がよく、赤ちゃんや子供、後輩犬などのいる家庭では、いつもそばで見守ってくれます。また、争いごとが嫌いで平和主義な一面も持ち合わせるため、夫婦喧嘩などが起こると、途端にその仲裁に入って場の空気を落ち着かせようとします。
ただし、愛犬がこのタイプの場合、このようなお世話焼きと心配性な一面のせいで、知らぬ間に疲れを溜め込んでしまっていることもあります。
そんな時にはノーズワークや散歩などをして、愛犬だけの時間を作ってあげると良いでしょう。
6.クールタイプ
基本的にベタベタするのを好まず、一定の距離間を大事にしたがるのが、このタイプです。
自立心が強く、自分の世界を大事にするため、よその人や犬に対しては自分から積極的にコミュニケーションを取りに行くことはありませんが、心を許した相手に対しては、深い忠誠心や愛情深さを見せる一面があります。
また、こだわりが強い一面も持ち合わせているため、お気に入りの場所から動かされそうになると唸ったり、自分のタイミングじゃない時に何かをされそうになると嫌がったりする一面も持ち合わせます。
そのため、あいまいな態度で接していると、主張がエスカレートしてしまう恐れがあるので、しつけや接し方には毅然とした態度を示すよう意識しましょう。
まとめ

いかがでしたか?
犬の性格は、例え同じ個体でも全く正反対の姿を見せることは珍しくありません。また、診断をした結果、複数当て嵌まるなんてことも少なくないことでしょう。
しかし、それだけ犬の性格は、人の性格同様千差万別です。
そのため、どんな性格の愛犬であっても、その子の特性を大事に、愛犬が喜ぶ接し方を心掛けてあげてくださいね。
<参考書籍>
イラストでわかりやすい!愛犬との絆がぐーっと深まる本
気持ちを知ればもっと好きになる!犬の教科書
<参考サイト>
統計から見る犬種の性格<前編>|ユニ・チャーム
>https://jp.unicharmpet.com/ja/web-magazine/dog-000038.html
平成26年度 犬猫幼齢個体を親兄弟から引き離す理想的な時期に関するアンケート調査等業務
>https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/yourei/rep03.pdf
<画像元>
Canva
photoAC
PAKUTASO

また、生前疾患の多かったシェットランド・シープドッグをキッカケに取得した愛玩動物飼養管理士などの様々な資格の知識を生かし、皆様に役立つような記事を提供、執筆出来ればと思っております。
何卒、よろしくお願い致します。

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