犬と生活をする上で欠かせない住環境は、例えば引越しをする場合でも大切な判断材料の一つではないでしょうか?
筆者も愛犬とこれまでに、アパート、マンション、戸建てなど、様々な形態の住環境を経験してきました。
そんな住環境で、時には愛犬と高層階で暮らしてみたいと憧れを抱く飼い主さんも多いのでは?
今回は、犬との生活で重視したい住環境について、居住環境別メリット・デメリットと犬の心身への影響をまとめました。
犬は元々高いところが苦手?

犬は本来、地面に近い生活をしてきた動物です。
そのため、高所からの落下リスクを本能的に察知する能力が優れていて、「不安定な場所=危険な場所」と感じて避ける傾向があると言われています。
よく、動物病院の診察台に乗せた瞬間、それまで暴れて落ち着かなかった愛犬がピタッと動きを止めて途端に大人しくなるあの光景は、犬にとって本能的に「安定感や安心感が得られない」と感じたことによって、緊張と怖さも相まって体が硬直してしまうことで起こります。
とはいえ、こうした傾向は同じ犬種でも「社会化期の時期にどう過ごしたか」によっても違いが生まれるため、全く怖がらない犬も居ることでしょう。
しかし、犬は嗅覚や聴覚で地面からの情報を受け取るのを基本としている動物です。地面と離れた場所に不安を抱きやすい犬の場合には、安心感を失いやすく、外部との関係が薄くなりやすい場所での暮らしには注意した方が良いかもしれません。
高層階マンションと気圧の関係は?

住まいの違いを知る上で、高層階マンションと気圧の関係を知ることは、とても大切です。
一般的に、気圧は地上から上空に上がるほど低下し、100m上がるごとに約10hPa下がると言われています。
高層階マンションの場合だと、地上から25階以上に住むと気圧の変化によって、体調に影響を及ぼす可能性が大きくなるようです。
また、このような気圧の変化によって体調に影響が出てしまうことを、世間では気象病や高層階病(高層階症候群)と言います。
高層階病も気象病も、基本的には気圧の変化で体調を崩しやすくなることを指しますが、気象病の場合には人で起こることで知られている一方、近年は犬でも起こり得ることが分かっていて、その主な症状というのも元気消失や食欲低下、胃腸障害など人でも起こるような症状が犬にもあるため、犬と気圧の影響を無視するというのは得策ではありません。

高層階マンションと気圧の関係は、例え最上階が地上100mを超える25階であったとしても、地上との気圧差は約10hPa程度しか違わないため、人でも犬でもそこまで影響にはならないと言われています。
しかし、気圧による変化の感じ方は個人差や個体差があるため、変化を敏感に感じやすい人や犬の場合には、例え5階~10階程度の高さであっても高層階に住むことは注意しておくよう心掛けると良いでしょう。
▼【合わせて読みたい!こちらの記事もオススメです】
台風シーズンは犬も体調を崩す?気圧の変化で起こる気象病とは?対策についても解説!
>https://www.inutome.jp/c/column_9-311-46430.html
住環境別、犬との暮らしのメリット・デメリット

では、ここからは住環境別で見る犬との暮らしのメリットとデメリットをご紹介します。
アパートとマンションと戸建て、様々な形態の住まいがある中で、犬にとってはどんな居住環境が適しているのでしょうか?
ご自身のライフスタイルや愛犬の性格にも合わせて、ぜひ参考にしてみてくださいね。
マンション高層階

マンションに住む中でも、比較的高層階で愛犬と住む場合、次のようなメリットが考えられます。
▽『マンション高層階のメリット』
・遮音性に優れているため静かな環境で過ごせる
・間取りがフラットなため関節などに負担が掛からない
・防犯性が高く脱走リスクが低い
一方でマンション高層階では、次のようなデメリットが愛犬にはあります。
▽『マンション高層階のデメリット』
・高層階のため外部との刺激のなさや孤立感を抱きやすい
・災害時にエレベーターが使えなくなった場合、移動が困難になる
・散歩に出るまでに時間が掛かって散歩が億劫になるリスクがある
・窓の戸締りに気を付けないと落下してしまうリスクがある
・地上との気圧差で体調を崩すリスクがある
以上が、高層階マンションで愛犬と暮らす上での主なメリットとデメリットになります。
マンションの高層階で愛犬と一緒に生活する場合、遮音性や防犯性に優れた部屋が多い傾向にありますが、あまりにも高すぎると遮音性も防犯性も、場合によってはデメリットになるため注意が必要です。
マンション低層階またはアパート

マンションでも低層階(3階以下)やアパート(1~2階)に愛犬と住む場合、次のようなメリットが考えられます。
▽『マンション低層階&アパートのメリット』
・地上と近いため散歩や災害時の避難がスムーズに行える
・間取りがフラットなため関節などに負担が掛からない
・ペット共生型なら大型犬飼養もOKのところがある(1階のみ)
けれど、マンション低層階またはアパートであっても、犬にとっては次のようなデメリットが存在します。
▽『マンション低層階&アパートのデメリット』
・通行人や他犬の気配を感じやすい
・防犯・脱走対策が必要な場合がある
・木造アパートだと防音性に欠ける
比較的愛犬にも優しく、また、私たち飼い主からしても過ごしやすいマンション低層階やアパートでも、以上のようなデメリットには注意しましょう。
特に低層階だからといって、不用意に窓や玄関を開けると階段をさっさと駆け下りて脱走してしまう危険性は、高層階よりもずっと高いため、油断しないよう注意することが大切です。
戸建て

一般的に賃貸ではなく、規約なども存在しない戸建てで愛犬と一緒に暮らす場合、次のようなメリットが考えられます。
▽『戸建てのメリット』
・地上と最も近いため散歩や災害時の避難がスムーズに行える
・お庭がある場合、自由に運動させることが出来る(ただし放し飼いはNG)
・騒音への配慮が最小限で済み、愛犬絡みの近隣トラブルが少ない
・賃貸でなければ3頭以上の多頭飼養が可能(賃貸の場合多くても2頭)
愛犬と戸建てに住む場合、戸建てはある程度自由度が高いため、やはり犬にとってはメリットが多い傾向にあります。
しかし一方で戸建てには、犬にとって次のようなデメリットも存在します。
▽『戸建てのデメリット』
・脱走防止、防犯対策を徹底する必要がある
・通行人や他犬の気配を感じやすい
賃貸ではない戸建ては、規約や制限、また防犯設備や防音設備が少ない分、自ら対策する必要があります。
そのため、犬にとって快適でも飼い主さんの防犯意識が低い場合には、愛犬の咄嗟の行動に対応できないと大変危険なため、しっかりと防犯意識を心掛けることが大切です。
高層階が犬に与える心身の影響とは?

上記でもお伝えしましたが、犬は元々高いところを苦手とする子が多い動物で、気象病なども発症することがあります。
また、こうした理由だけではなく高層階だと状況によっては散歩時間の減少が頻発したり、自然な刺激を感じにくくなったりすることで、特定の疾患(肥満や糖尿病、認知症など)を発症しやすくなる危険性も考えられます。
特に糖尿病などの生活習慣病に関しては、スウェーデンのウプサラ大学の研究で、糖尿病になってしまった場合の犬の飼い主は、健康な犬の飼い主と比較して糖尿病発症リスクが38%も高いことが報告されています。
夫婦の片方が糖尿病を患っている場合、もう片方も糖尿病発症リスクが高いことは以前から知られていたものの、2021年4月の時点では、それが犬の場合でも飼い主に表れるというのだから、例え高層階であったとしても、散歩はよっぽどのことがない限り、欠かしてはいけないことを覚えておきましょう。
犬との居住環境を考える際の基本的なポイントは、愛犬と引っ越す際に極端な高低差が生まれるような場所に引っ越すのではなく、それまでとあまり変わらない、程よい高さの住まいを意識的に選んであげることです。
例え高いところを苦手としない愛犬であったとしても、このような疾患リスクに対する内容は、総合的な視点で判断するよう心掛けておくことが大切です。
まとめ

いかがでしたか?
多くの飼い主さんの場合、愛犬と一緒に住む場所は出来るだけ地上と近い場所を意識しながら選択していると思います。
ただ、同じマンションでも高層階と低層階、戸建てなどでは随分と環境状況が違ってくるものです。
現在都市部では特に高層マンションでのペット飼養ニーズが高いようですが、犬の元々の習性や本能で好むのは、基本的には地上から近い場所です。
そのため愛犬との居住環境を考える際には、ご自身の好みだけでなく、愛犬の体格や状況、さらには性格に至るまで、愛犬に対しても快適な住まいを提供してあげてください。
<参考サイト>
高層マンションと気圧:ペットへの影響を知ろう
>https://www.bowmeow-tokyo.com/?p=316
ペットの飼育環境はやがて飼い主にも影響が出る?
>https://www.tyojyu.or.jp/net/topics/news/2021/pettoshiikukankyo-kainushieikyo.html

また、生前疾患の多かったシェットランド・シープドッグをキッカケに取得した愛玩動物飼養管理士などの様々な資格の知識を生かし、皆様に役立つような記事を提供、執筆出来ればと思っております。
何卒、よろしくお願い致します。

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