犬との生活で切っても切り離せないのが病気です。
愛犬にはずっと元気でいてほしいものですが、もしものときにはしっかり対応できるように治療費や通院にかかる回数などは知っておきたいですね。
そこで今回は「犬の通院回数が多い病気トップ5」をご紹介します。
あくまで参考値にはなりますが、治療にかかる費用もあわせて紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
<目次>
犬の通院回数が多い病気トップ5は?
少し古いデータになりますが、ペット保険のアニコム損保が2006年から2007年までの1年間で同一疾患における通院回数を調べた調査によると、犬の通院回数が多い病気は下記のようになりました。
▼各疾患の平均通院回数(1年間あたり)
▼犬の通院回数が多い病気トップ5
1位:「循環器疾患」4.5回
2位:「内分泌疾患」3.7回
3位:「神経疾患」3.7回
4位:「皮膚疾患」3.3回
5位:「肝・胆道疾患」3.2回
一番犬の通院回数が多い病気は循環器疾患(4.5回)で、次に内分泌疾患(3.7回)、神経疾患(3.7回)という結果になりました。
病気の発症時期によって通院回数が変わるため、上記の病気にかかると必ずこの回数通うというわけではありませんが、ランキング上位の病気にかかると病院に通う回数が多くなる傾向にあることがわかります。
治療費に加えて通院費や通院するための時間を確保する必要があるということは覚えておきましょう。
では、ランキングに入っている病気はどんな病気が該当するのでしょうか。
次章で詳しく解説していきます。
犬の通院回数が多い病気1位:「循環器疾患」
犬の循環器疾患にはどんな病気が含まれるのでしょうか。
犬がかかりやすい循環器疾患をご紹介します。
▼犬がかかりやすい「循環器疾患」
・僧帽弁閉鎖不全症
・肺動脈弁狭窄症
・心筋症
・不整脈疾患
循環器疾患は心臓や血管などに不具合がおきる病気です。
心臓に不具合が起きると、肺水腫や腹水なども引き起こすため日常の質が大きく下がるだけでなく、最悪命を落としてしまいます。
▼治療にかかる費用は?
病気の進行具合によって行う治療の幅が広いため、かかる費用には非常にばらつきがありますが、循環器を専門にしている動物病院で公開されている費用は下記のとおりです。
▼僧帽弁閉鎖不全症の治療の場合(一例)
最初の検査 7万円
手術費用143万円
入院費 1週間で約40万円
定期検診 1回6万円×4回=24万円
循環器を専門に治療している動物病院は少なく、治療を望む場合は二次診療施設を紹介されることが多いです。
動物医療には(※)国の保険制度が適用されないので、高度な医療を受ける場合には費用が高額になりがちです。
愛犬の年齢や今後どんな生活を送らせてあげたいかを考えながら、獣医師さんと治療方針を決めていきましょう。
(※)民間の保険制度はあるので、加入している場合は契約条件に応じて還付が受けられるケースもあります。
犬の通院回数が多い病気2位:「内分泌疾患」
次に犬の内分泌疾患にはどんな病気が含まれるのかをご紹介します。
犬がかかりやすい内分泌疾患をみていきましょう。
▼犬がかかりやすい「内分泌疾患」
・副腎皮質機能亢進症
・甲状腺機能低下症
・糖尿病
内分泌疾患は、必要なホルモンを作り出すシステムである内分泌器官に異常が起こり、ホルモンが増えたり減ったりすることによって、体にいろいろな影響がでてくる病気のことをいいます。
内分泌疾患は完治するのが難しい病気で予防法もないため、早期発見がなによりも大切です。
▼治療にかかる費用は?
▼甲状腺機能低下症の治療の場合(一例)
血液検査 15,000円~
治療薬 月5,000円~
定期検診 8,000円~
治療薬の値段は体格やホルモン剤の量、各病院の設定などによって異なります。
内分泌疾患の場合、外科手術よりかは内科治療でホルモンの値を正常な範囲に戻して維持していくのが治療になります。
そのため、治療を始めてからしっかりと維持できるまで、定期的に動物病院に通い検査を受ける必要があります。
完治が難しい病気なので、継続的に治療が続いていくということは覚えておきましょう。
犬の通院回数が多い病気3位:「神経疾患」
犬の神経疾患にはどんな病気が含まれるのでしょうか。
犬にみられる神経疾患をご紹介します。
▼犬がかかりやすい「神経疾患」
・てんかん
・前庭疾患
・椎間板ヘルニア
・認知機能不全
・脳腫瘍
手足を動かしたり物を考えたりするのは神経系(脳・脊髄)の働きによるものです。
そのため、その場所に異常が起きると「全身が痙攣する」「まっすぐ歩けない」「足をひきずる」といった症状が現れます。
神経疾患を引き起こす原因はさまざまで、筋肉に問題があって症状がでていることもあれば脊髄や脳にトラブルが起きている場合もあります。
突然発症する場合も多く、ときには命にかかわるケースもあるため、早期発見・早期治療が重要です。
▼治療にかかる費用は?
▼椎間板ヘルニアの治療の場合(一例)
神経疾患でおきるトラブルは日常生活が不便になるものから、鋭い痛みを感じるものまで様々です。
そのため治療は外科手術だけでなく、内科治療やリハビリテーションを組み合わせて行うことがあります。
特に椎間板ヘルニアを発症している場合は、足に麻痺がでているケースが多く術後に機能改善を目指してリハビリを勧められることがあります。
数ヶ月のスバンで取り組むこともあるので、術後も継続的に動物病院に通う可能性があることは覚えておきましょう。
犬の通院回数が多い病気4位:「皮膚疾患」
犬の皮膚疾患にはどんな病気が含まれるのでしょうか。
犬によくみられる皮膚疾患をご紹介します。
▼犬がかかりやすい「皮膚疾患」
・膿皮症
・ニキビダニ症
・マラセチア皮膚炎
・皮膚糸状菌症
・アレルギー性皮膚炎
犬の皮膚は人の3分の1ほどの薄さと言われています。
そのため刺激や乾燥に弱く、ちょっとしたことで皮膚トラブルに発展してしまいます。
また、全身を毛に覆われているため菌も繁殖しやすい環境です。
犬の皮膚疾患の原因には遺伝やアレルギーなど様々な要因が複雑に絡み合っていることも多く、なかなか治らなかったり皮膚トラブル繰り返すケースも少なくありません。
▼治療にかかる費用は?
▼アレルギー性皮膚炎の治療の場合(一例)
皮膚疾患は通常内服薬や外用薬を用いた治療になりますが、病気の進行具合によって食事療法や薬浴なども取り入れます。
また、原因特定のために血液検査やアレルギー検査なども行う場合があります。
皮膚疾患は経過観察をしながら継続的に治療を行っていくため、定期的な通院が必要なケースが多いです。
1回の通院費用はそこまで高額ではありませんが、継続的に治療費がかかっていくということは覚えておきましょう。
犬の通院回数が多い病気5位:「肝・胆道疾患」
犬の肝・胆道疾患にはどんな病気が含まれるのでしょうか。
犬によくみられる肝・胆道疾患をご紹介します。
▼犬がかかりやすい「肝・胆道疾患」
・慢性肝炎
・胆嚢粘液嚢腫
・胆管炎
・胆管肝炎
・肝外胆管閉塞
肝臓は栄養素の分解や合成、毒素の分解など重要な役割をもっている臓器です。
非常に再生能力が高いので、病気で肝臓の85%が壊れても働き続けることができるといわれています。
そのため、症状が現れるということは非常に大きいダメージを肝臓が受けているということでもあります。
早期発見につとめましょう。
▼治療にかかる費用は?
▼肝外胆管閉塞の治療の場合(一例)
炎症が原因の場合は内科治療で様子をみることもありますが、外科手術が選択されるケースが多く、費用は高額になりがちです。
また、悪性腫瘍が原因で肝臓にトラブルが起きている場合は、転移や再発する可能性もあります。
早期発見がなによりも大切な病気なので、定期的に動物病院で血液検査を受けるようにしましょう。
犬の通院回数が多い病気トップ5をご紹介しました。
どの病気の治療も定期的な通院が必要で、治療費も高額になる場合が多いです。
いざというときに満足のいく治療ができるように、日頃からきちんと備えておきたいですね。
<参考書籍>
小動物獣医看護学 小動物看護の基本と実践ガイド 上巻下巻
D.R.レイン (著)B.ク-パ- (著) 西田利穂 (著)
<参考URL>
通院回数が多い疾患は? アニコム家庭どうぶつコラム
>https://www.anicom-page.com/hakusho/column/pdf/090928.pdf
ペットの傷病ランキング2018
>https://www.atpress.ne.jp/news/156379
<画像元>
Unsplash
・(元)認定動物看護師
・一般社団法人日本小動物獣医師会 動物診療助手
やんちゃなミックス犬とおっとりトイプードルと暮らす。
大学在学中に「病気になる前の予防が一番大事」と気づき、
ペットフードやペットサプリメントの会社に就職。
「食」に関するさまざまな知識を身につける。
愛犬を亡くしたときに
「もっと色んな情報を知っておけば」と感じた後悔を
「他の飼い主さんにはさせたくない」との思いから、
ライター活動を開始。
「勉強になった・信頼・わかりやすい」を目標に情報を発信しています。
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