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【犬種別】ボーダー・コリーがなりやすい病気って?症状・対処法などをご紹介

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トレーニングのしやすさや要望した作業を正確にこなすことが出来る能力、的確な判断力や愛情深さなど、牧羊犬にとって必要な資質をしっかりと備えた犬種であるボーダー・コリー。

今回は、そんなボーダー・コリーがなりやすい病気について、部位別に分けて病名や症状、対処法などをご紹介します。

ボーダー・コリーがなりやすい病気① 眼疾患

ボーダー・コリーの多くは、白内障や進行性網膜萎縮症、コリーアイといった眼疾患を患いやすい犬種だと言われています。

主に遺伝的に発症することが多く、その症状は実にさまざまです。

では、実際にボーダー・コリーで見られる目の疾患をひとつずつ確認してみましょう。

よく見られる病気その1:白内障

水晶体のタンパク質が変性し、白く濁ってしまうことで起こる白内障は、ボーダー・コリーが発症しやすい眼疾患のひとつです。

老化や遺伝、水晶体の傷などさまざまな原因によって起こる病気ですが、放っておくと失明したり、合併症を起こしてしまう可能性がある病気です。

遺伝性のものや糖尿病、傷で出来た白内障は急速に進行することが多く、短期間で失明する危険性があります。

また、進行することで起こる合併症には、ぶどう膜炎やその続発からの緑内障などが起こりやすくなってしまいます。

もしも愛犬の目が白く濁っていて、よく物にぶつかるようになった場合には、白内障を疑ってみてください。

現時点での白内障の治療法は、手術以外に有効な手立てはなく、残念ながら人ほど手術成績も良くないため、進行による合併症などには注意しなければいけませんが、ピレノキシン製剤と言われる点眼薬によって進行を遅らせることは可能なので、獣医さんとよく相談の上、処方してもらってください。

よく見られる病気その2:進行性網膜萎縮症

遺伝子異常によって網膜の細胞が変性、失明を含む視覚障害を起こしてしまう病気の進行性網膜萎縮症もボーダー・コリーにはなりやすい病気と言われています。

この病気は、英名の頭文字を取って、PRA(ピーアールエー)と略されていて、主な原因・症状は、犬種によって異常を起こす遺伝子が違うため、発症時期や症状は異なりますが、これらの病気は徐々に視力が弱体化し、最終的に失明してしまうものです。

そのため、白内障と同じく物にぶつかったり不安がる様子がある場合には、獣医さんを受診してください。

進行性網膜萎縮症の治療法と言えるものは基本的にはないものの、遺伝子検査をすることでこの病気を回避することは可能です。

よく見られる病気その3:コリーアイ

その名の通りコリー種に発症しやすいコリーアイという眼疾患は、ボーダー・コリーだけではなく、シェットランド・シープドッグやラフコリー、オーストラリアン・シェパードなどの犬種で発症します。

この眼疾患の主な原因と症状は、常染色体劣性遺伝によって起こる視力障害や失明を伴う病気で、常染色体とは性を決定する性染色体以外の染色体のことを言います。

要するに、両親から受け継いだ遺伝子のどちらにも遺伝子変異が見られた場合、その子供はコリーアイを発症する、ということです。

コリーアイは、多くは無症状で視力に障害もないものの、その症状によってはグレード分類する場合があり、グレード3以上では、視力障害が見られます。

残念ながらコリーアイの治療法は確立されておりませんが、発症しても生活に支障がなければ、無治療での経過観察を行い対処療法が施される場合があるため、好発犬種を迎えた際には、一度眼科医に見てもらうことをオススメします。

ボーダー・コリーがなりやすい病気② 骨疾患

ボーダー・コリーというと、タフなスタミナがあって、牧羊犬だからこその強靭な足腰というイメージが強いかもしれませんが、意外にも骨や筋肉に対する先天性疾患が多い犬種です。

主に、股関節形成不全や離断性骨軟骨症などがボーダー・コリーによく見られる症状とされているため、こちらについてもひとつずつ確認していきましょう。

よく見られる病気その1:股関節形成不全

主に生まれつき股関節の緩みが原因で起こるとされていて、大型犬での発症が多いとされている股関節形成不全ですが、この病気はボーダー・コリーにも発症しやすいと言われている疾患のひとつです。

主な原因は、遺伝の関与が第1と考えられており、症状としては、後ろ足の成長不良や股関節可動域の制限、伸展時の疼痛などが認められます。

その結果、正常な犬座姿勢が出来ず、腰を振って歩くモンローウォークやウサギのように両足で飛んで歩くバニーホップ、そもそも散歩に行きたがらなかったり、段差を嫌うといった症状が見られます。

対処法としては、自宅では足が滑らないようなマットを敷いたり、体重管理を行うことで対処します。

症状がほとんど認められない、または軽症の場合、動物病院にて非ステロイド性の消炎鎮痛剤や軟骨保護作用のあるサプリメントといった保存療法から開始されるでしょう。

また、5~8ヶ月齢時の症状が比較的重度だった場合には、将来の変形性関節症の軽減を考え、骨盤三点骨切り術(TPO)という手術が行われる場合があります。

そのため手術を希望する場合には、適応基準などの条件もあるので、必ず獣医さんと相談してください。

よく見られる病気その2:離断性骨軟骨症

他にも、ボーダー・コリーが患いやすい骨疾患では、離断性骨軟骨症という関節表面にある軟骨細胞の分化異常が原因で、関節痛や歩行異常を引き起こす病気があります。

骨が急激に成長する4~8ヶ月齢の中・大型犬に多く、犬ではオスのボーダー・コリーで肩関節発症することが圧倒的に多いと言われています。

骨から軟骨ができる過程でトラブルが生じて発症するこの病気は、正常な軟骨よりも厚く、その底の方では細胞が死んでしまうため、軟骨には亀裂が生じ、病態進行をすると軟骨フラップ(弁)が形成されて、痛みの原因や歩行困難などの症状を起こしやすくなります。

一般的な対処法として、関節炎が軽度な場合や初期の段階では鎮痛剤やサプリメントを使った保存療法が行われます。

ただ、現在ではこの軽度の症状であれば外科手術の適応となり、さらに最近では関節鏡を用いたより体に優しい手術も行われています。

ボーダー・コリーがなりやすい病気③ その他の疾患

さて、目や足の他にもボーダー・コリーでよく見られる病気や症状として、神経セロイドリポフスチン症やセルトリ細胞腫、血管肉腫などが挙げられます。

具体的には、どのような病気なのか、症状についてはどのようなものなのか、それぞれ見ていきましょう。

遺伝性神経変性疾患:神経セロイドリポフスチン症(NCL)

中枢神経の変性によって、脳に老廃物のセロイドリポフスチンという色素が蓄積することで起こる小脳の障害です。

主に運動機能の低下、視力の低下異常などが見られ、好発するボーダー・コリーでは、1~2歳に発症し、2~4歳までには命を落とすと言われている難病です。また、残念ながら治療法もありません。

しかし、現在では遺伝子検査の普及によって繁殖が管理され、発症する犬は減ってきていますので、ボーダー・コリーを迎えたい方は、その点に注意するように心掛けてください。

生殖器疾患:セルトリ細胞腫

精巣腫瘍には、セルトリ細胞腫、間質細胞腫、精上皮腫というものがあり、中でもボーダー・コリーの男の子は、この精巣腫瘍のセルトリ細胞腫になりやすく、30%の犬で雌性化を示します。

また、セルトリ細胞腫は、骨髄機能を破壊することも知られており、ほかの精巣腫瘍と比べて肥大しやすい割に、痛みなどの症状がほぼ無いため、大きくなってから分かることが多いようです。

ただし、このセルトリ細胞腫は、去勢手術を行えば治療が可能なため、若いうちに去勢手術を実施することが一番の対策法となるでしょう。

腫瘍性疾患:脾臓腫瘍

腫瘍は、ボーダー・コリーに限らず、さまざまな犬種で起こる可能性がありますが、知人が飼養しているボーダー・コリーの子では、脾臓に腫瘍が出来てその後手術をしたという話を聞いたことがあります。

脾臓にできる腫瘍は、約2/3が悪性腫瘍と言われており、さらにその内の2/3が血管肉腫と言われる悪性腫瘍です。

脾臓が原発で起こる血管肉腫では、肝臓、心臓、皮膚、骨などに出来ることでも知られています。

一方で、残りの1/3で、良性の病変(血腫や結節性過形成)が見受けられる場合があるので、その点の見極めが大切になってくるでしょう。

基本的に脾臓腫瘍の場合、症状はあまり特徴的ではなく、虚脱や食欲不振、腹部膨満、嘔吐、下痢などが認められ、悪性であった場合には、肝臓や内臓のリンパ節、肺あるいは心臓(血管肉腫の場合)への転移が起きます。

対処法としては、リンパ腫以外の腫瘍は脾臓の摘出術をし、リンパ腫では抗がん剤治療が第一選択肢となっています。

まとめ

いかがでしたか?

ボーダー・コリーが患う病気には、比較的遺伝性によって起こる疾患が多い印象ではありますが、知人が飼養しているボーダー・コリーのような脾臓腫瘍を患うことも、犬の高齢化において少なくないと思います。

そのため、事前になりやすい病気などを知ることで、ボーダー・コリーを迎える際の参考にして頂ければ、とても幸いに思います。

<参考書籍>

犬の医学

最新版 愛犬の病気百科 気になる初期症状から最新医療まで分かる

 

<参考サイト>

犬の腫瘍5,819例の疫学的分析
>https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2010763449

犬血管肉腫における治療標的分子の検索と末梢血血管内皮前駆細胞数変動の観察
>https://eprints.lib.hokudai.ac.jp/dspace/bitstream/2115/62062/1/Mami_Adachi.pdf

渡辺動物病院
>https://www.wahpes.co.jp/medicald.asp?v=p7

 

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yukako

yukako

幼少期の頃より柴犬やシェットランド・シープドッグと生活を共にし、現在は3代目となる柴犬と暮らしております。
また、生前疾患の多かったシェットランド・シープドッグをキッカケに取得した愛玩動物飼養管理士などの様々な資格の知識を生かし、皆様に役立つような記事を提供、執筆出来ればと思っております。
何卒、よろしくお願い致します。