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「人気犬種ミックス犬の誤解?!」飼う前に知っておきたい健康・性格・病気のことを解説

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近年、ミックス犬を飼う方が増えています。

「オンリーワンの容姿」「丈夫で健康」などいいイメージのあるミックス犬ですが、異なる犬種や体格の犬を交配させているため、病気やしつけの面でさまざまな課題を抱えているという実態があります。

今回はミックス犬に関するアンケート結果を元にミックス犬が抱えている課題(病気や性格など)について解説します。

ミックス犬をお迎えしたいという飼い主さんが「知らずに後悔している」ということが起きないように、今回ご紹介する内容が少しでも参考になれば幸いです。

人気犬種ミックス犬のイメージは「健康」「性格が良い」

みなさんはミックス犬にどんなイメージを持っていますか?

ブリーダーのマッチングサイトを運営する株式会社ペトリコウェルが「ミックス犬を飼っている」「飼いたいと思っている」方を対象にアンケートを実施しました。

「ミックス犬に対してどんなイメージを持っているか」という質問に対し、結果は下記のようになりました。

▼ミックス犬に対してどのようなイメージを持っていますか?(733人回答)

▼ミックス犬に対するイメージ

1位:「健康状態が良い+性格がよい」66.6%
2位:「かわいい」40.8%
3位:「オリジナリティがある」35.6%

▼健康状態のイメージ

1位:「身体が丈夫」54.8%
2位:「寿命が長い」26.1%
3位:「アレルギーが出ない」19.1%

▼性格のイメージ

1位:「両親の犬種の性格のよいところを受け継ぐ」52.6%
2位:「常にフレンドリーで社交的」34.1%
3位:「純血種よりも賢いのでしつけが簡単」13.3%

全体の回答を見るとミックス犬に対しポジティブなイメージを持っている方が多いことがわかります。

6割以上の方が「ミックス犬は健康で性格も良い」と回答し、5割以上の方が「身体が丈夫」「両親犬種のいい所を受け継ぐ」というイメージを持っていると回答しました。

また「寿命が長い」「純血種よりしつけが簡単」といったイメージを持っている方も少なくありませんでした。

ミックス犬を飼う方が増えましたが、こういったポジティブなイメージが先行した結果なのかもしれません。

しかし、イメージとは裏腹にミックス犬は多くの懸念が指摘されています。

「ミックス犬の誤解?!」ミックス犬が抱えている課題・健康・病気のリスク

同アンケートで「ミックス犬が抱える課題について知っているか?」を質問したところ、すべての項目で7割以上の方が「知らなかった」と回答し、ミックス犬が抱えている課題の認知度の低さが浮きぼりになりました。

▼「ミックス犬が抱えているといわれる課題で知らないものを選択してください」(733人回答)

ドキッとする内容が並んでいますが、病気や健康面と絡めながらミックス犬がどんな課題を抱えているのか順にみていきましょう。

・「繁殖回数、年齢制限の抜け道として利用されている」

日本の法律では、純犬種の母犬に「生涯の繁殖回数」や「年齢の制限」が設けられています。

しかしミックス犬は血統書が発行されないことが多く、法律が適応されません。

そのため、個体の管理や繁殖履歴が曖昧になり、利益優先のブリーダーが制限を守らずに法の抜け道として悪用しているという実態があるようです。

繁殖回数の制限や血統書での管理は母体を守るだけでなく、未熟児や奇形、遺伝子疾患の子を増やさないために必要な措置ですが、守られないとハイリスクな子犬を知らずに迎えてしまう可能性があります。

・「繁殖させたブリーダーが健康や成長に責任が持てない」

純犬種は何世代にも渡ってその犬種の情報が蓄積されているため、特有の遺伝性疾患や健康リスクが明確になっており、犬種ごとの健康管理や予防が可能です。

しかしミックス犬の場合、異なる犬種の特性が混ざり合うため、どの犬種の特性が色濃く出るのか予測できず「どんな成長をするのか」「どんな病気にかかりやすいのか」を把握することが難しいです。

本来ブリーダーは犬の特性や健康リスクなどを飼い主に説明する役割がありますが、ミックス犬の場合は予測ができないため、十分な説明責任を果たすことは困難です。

・「体格差のある掛け合わせの場合母体に負担がかかる」

体格差のある犬種(例:チワワとハスキー)を交配させると、母体や子犬のリスクが高くなります。

例えば母犬が小型犬、父犬が大型犬だった場合、子犬が大きくなりすぎて産道を通らず帝王切開になる可能性がありますし、犬種によって骨格や頭部の形が違うので難産になる可能性もあります。

・「正確な遺伝子検査をできないことが多い」

遺伝子検査は遺伝子を分析して遺伝子疾患のリスクや発症しやすい病気などがわかる検査ですが、登録されているデータが純犬種の場合が多いので、正確な情報を得られないこともあります。

・「奇形の発生リスクがある」

異なる骨格や体形を持つ犬種の交配の場合、骨や関節に問題を抱える可能性があります。

例えばチワワはアップルドームと呼ばれる丸い頭が特徴ですが、首の骨が細いヨークシャーテリアとかけ合わせた場合、首と頭がアンバランスで首に負担がかかりやすく将来的にトラブルが起きる可能性があります。

また体格差のある犬種を掛け合わせた場合、体格と骨格、筋肉の付きがアンバランスになり、奇形(背骨や関節が曲がるなど)や若いうちから関節症にかかる可能性があります。

・「どのような病気になりやすいか予測が難しい」

ミックス犬は異なる遺伝子が混在しているため、どちらの犬種の特徴が強く出るかを予測することは非常に難しいです。

例えば、母犬が「心臓疾患を発症しやすい」父犬が「皮膚トラブルを発症しやすい」という特徴を持っている場合、子はその両方のリスクを抱える可能性が出てきます。

そしてその症状がどの年齢で発症するのか予測ができないため、早期発見や治療が困難になります。

「ミックス犬は性格が良い」それって本当?

大勢の人が抱くイメージとは裏腹にミックス犬は多くの課題を抱えていることがわかりました。

では、性格についてはどうなのでしょうか。

「ミックス犬は性格がよい」「フレンドリー」というイメージを持つ方が多くいましたが、実態とは異なる可能性があります。

犬の性格形成に関係している要因の一部を紹介します。

▼「犬の性格形成の要因」(一例)

・両親犬の性格の遺伝
・犬種による特性
・母犬の生活環境
・母犬の飼育行動

遺伝子は体や脳を作るための設計図なので、母犬や父犬の性格が遺伝することがあります。

警戒心が強い犬種同士を交配させたり、神経質な気質を持つ犬同士を交配させると、神経質で攻撃性が強い子犬が生まれる可能性があります。

また、母犬のお腹で育つ時期に母犬にストレスがかかると子犬のストレスの感受性(外界の刺激を受け入れる力)が変化することがわかっています。

母犬の養育行動の質(授乳や舐め行動の時間)も子犬のストレスや問題行動の発現、性格形成に影響を与えている可能性が示唆されています。

つまり「ミックス犬=性格が良い」とは限らず、犬種の組み合わせや母犬の飼育環境によっては扱いが難しい子犬が生まれる可能性は十分あります。

ミックス犬を迎える時はリスクを頭に入れておこう

これまでの内容を見ると「ミックス犬=良くない」という印象を持たれた方も多いかもしれません。

ですが、問題なのは「ミックス犬の課題が認知されていない」ことと「ミックス犬のイメージが実態と異なる」ことだと考えます。

生まれたミックス犬が悪いわけでもお迎えした飼い主さんが悪いわけでも無いのに、イメージと現実のミスマッチが起これば、苦しむのは飼い主さんと愛犬です。

「こんなはずじゃなかった」と後悔しないためにも、ミックス犬を迎えるときには下記のことを頭に入れておきましょう。

▼ミックス犬を迎えるときに知っておきたいこと

・母犬と父犬の犬種の特徴と病気
・予想サイズより大きくなる可能性がある
・母犬と父犬のデメリットを両方受け継いでいる可能性がある
・遺伝子疾患や骨格異常が出る可能性がある
・飼いにくい気質をしている可能性がある
・定期的に動物病院で健康診断をする(病気の早期発見)
・犬を引き取った後にブリーダーのアフターフォローがあるか

ミックス犬は数多くの魅力を持ち多くの人に愛されていますが、異なる犬種を交配することで起きる健康リスクや飼い主のイメージと現実のギャップなど隠れた課題が数多くあります。

知らないことで苦しむ飼い主さんやミックス犬が少しでも減るように、今回ご紹介した内容が役立てば幸いです。

<参考URL>

人気「ミックス犬」誕生の裏にある切なすぎる運命 東洋経済
>https://toyokeizai.net/articles/-/836062?page=5

ミックス犬に関するイメージ調査8割が知らないリスクの真相とは?
>https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000003.000137941.html

<参考書籍>

・動物の精神科医”が教える 犬の咬みグセ解決塾

・動物看護のための動物行動学

<画像元>

Canva

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伊藤さん

伊藤さん

・倉敷芸術科学大学 生命動物科学科卒業
・(元)認定動物看護師
・一般社団法人日本小動物獣医師会 動物診療助手

やんちゃなミックス犬とおっとりトイプードルと暮らす。

大学在学中に「病気になる前の予防が一番大事」と気づき、
ペットフードやペットサプリメントの会社に就職。
「食」に関するさまざまな知識を身につける。

愛犬を亡くしたときに
「もっと色んな情報を知っておけば」と感じた後悔を
「他の飼い主さんにはさせたくない」との思いから、
ライター活動を開始。

「勉強になった・信頼・わかりやすい」を目標に情報を発信しています。
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