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犬のアトピーは春に悪化する?!愛犬のために飼い主さんができる対策は?【動物看護師が解説】

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犬の皮膚病でよく見られるのが、「アトピー性皮膚炎」です。

このアトピー性皮膚炎は、春になるとかゆみが増したり、悪化することがあるというのはご存じでしょうか?

「アトピーに悩んでいる」「春になると外耳炎を起こす」「3歳未満の犬を飼っている」という飼い主さんは、ぜひこの記事を読んで予防に役立ててくださいね!

犬のアトピー性皮膚炎ってどんな病気?

アトピーの話に入る前に、軽く犬のアトピーについて復習しておきましょう!

犬の「アトピー性皮膚炎」はどんな病気なのでしょうか?

図を見るとわかるように、「アトピー」は「アレルギー性皮膚炎」の一つです。

このアレルギー性皮膚炎の中で、2つ条件を満たす皮膚炎がアトピーと診断されます。

2つ条件を満たせば「アトピー」
①主に皮膚に症状が出る
➁環境中にある抗原(ハウスダストなど)にアレルギー反応がでる

皮膚のバリア機能や免疫の働きに問題があったり、遺伝がアトピーの原因だと考えられています。

3歳までに何らかの症状が出ると言われていますが、耳にだけ(※)症状が出てアトピーを見落としてしまうこともあります。

※)外耳炎を引き起こす原因の一つがアトピーです。軽度の外耳炎しか現れていないけれど、実はアトピーが隠れていたという話はよくあります。

春にアトピーがひどくなるのはなぜ?

さきほど、「環境中の抗原(ハウスダストなど)」に反応してアトピーが出るとお話ししました。

これが、春にアトピーが悪化する事と繋がってきます。

春になると植物の動きも冬と違って活発になりますね。花粉症の人には辛い「花粉」が飛び始めます。

花粉は犬のアトピーを引き起こす原因になるので、皮膚につくとかゆみや皮膚炎を引き起こします。

そのため、毎年春先になるとかゆみが強くなったり、アトピーが悪化するという事態が起こってしまいます。

アトピーがひどくなる前に、飼い主さんができる5つの対策

春になると花粉が飛ぶのでアトピーの子は反応して、かゆみがひどくなるということがわかりました。

ではアトピーを持っている愛犬のために、飼い主さんができる対策は何でしょうか?

飼い主さんができる5つの対策
①悪化したら、まず動物病院へ
➁シャンプー&ブラッシング
➂保湿剤をしっかり塗る
④皮膚の刺激をなるべく減らす
➄犬の生活環境を清潔にする

①悪化したら、まず動物病院へ

アトピーが悪化してきたなと感じたら、まず動物病院に相談しましょう。

飲んでいる治療薬の量や回数を見直してくれます。

また、搔きむしりやかゆみがひどい場合には「ステロイド」も処方してくれます。

アレルギーは一度出ると、短時間で急激に悪化していきます。ステロイドは注意が必要な薬ですが、急激なかゆみを素早く静めるには非常に優秀な薬です。

塗り薬や飲み薬で皮膚の状態をコントロールしている子は、春先は早めに動物病院に相談しましょう。

➁シャンプー&ブラッシング

飼い主さんの心情としては、ステロイドやお薬以外のケアもしてあげたいですね。

その一つが「シャンプー」と「ブラッシング」です。

花粉などが皮膚に付いて、炎症を起こしてしまうので皮膚や毛の表面についた抗原をシャンプーやブラッシングで減らしてあげることは、非常に大事な対策です。

アトピーの子は肌が非常に敏感なので、シャンプーは低刺激な物を選んであげましょう(獣医師さんに要相談)。

また、細かく洗う事が難しい場合は体を拭いてあげることも効果的です。

➂保湿剤をしっかり塗る

アトピーの犬の肌はうるおいを保つために必要な「セラミド」という成分が不足しています。

そのため皮膚のバリア機能がうまく働かず、肌が乾燥しやすかったり、抗原(ハウスダスト等)が肌の中に入りやすかったりします。

つまりアトピーの犬の肌は、非常に弱くて感染症にもかかりやすいということです。

保湿剤でしっかりと保湿をして皮膚を綺麗にしてあげましょう。

上の写真のわんちゃんもひどいアトピーに悩んでいたそうですが、スキンケアとお薬を併用して改善に向かったそうです。

保湿剤なら何でもいいというわけではなく、そのわんちゃんの状態に合ったものを選ばないと逆効果になることもあるので、必ず獣医師さんに相談しましょう。

④皮膚の刺激をなるべく減らす

犬の皮膚に刺激になる物
シャンプー
●お湯の温度
●ドライヤー

上記の物はすべて犬の皮膚に刺激となります。

アトピーの犬の皮膚はとってもデリケートなので、シャンプーやドライヤーをするときには、ひと工夫してあげることが大事です。

●シャンプーの時の工夫
低刺激で保湿成分が入っている物を選びましょう。
シャンプーの後は皮膚が乾燥するので、犬に合った保湿剤を塗りましょう。

●お湯の温度の工夫
熱すぎるお湯はかゆみがひどくなります。
犬の体温より低いぬるま湯で、十分濡らして汚れを落としてあげましょう。

●ドライヤーの時の工夫
アトピーの肌にはドライヤーの熱も刺激になります。
吸水性の良いタオルでしっかりと水分をとって、ドライヤーを近づけすぎないようにしましょう。

➄犬の生活環境を清潔にする

アトピーを引き起こす原因の抗原はなるべく少なくしてあげたいですね。

「ハウスダスト」はアトピーの抗原になるので、できるだけ犬の側から無くしてあげましょう。

犬の生活環境を清潔に(一例)
●犬が使うカーペットやクッションを洗う
●犬が着る服を清潔にする
●部屋の掃除をこまめにする
●空気清浄機をおいて空気を綺麗にする

生活環境を意識することでお薬の量を減らせる場合もあるそうなので、清潔にすることはアトピーを悪化させないために重要ですね。

少し長くなったので、最後に少しだけ復習をしておきましょう。

●アトピーは環境抗原(花粉など)に反応する皮膚炎
●春は花粉が飛び始めるのでアトピーが悪化しやすい
●アトピーを悪化させないために大事なのは、「保湿」・「刺激を無くす事」・「清潔」

これからだんだんと暖かくなるので、アトピーで悩んでいるわんちゃんは要注意の季節です。

「毎年春にアトピーがひどくなる」というわんちゃんは、ぜひ参考にしてくださいね!

<参考文献>

・アジア動物スキンケア検定 公式テキスト 動物スキンケア実践ガイド 岩﨑 利郎 (著)

・スキンケアでアトピー性皮膚炎が劇的に改善したトイ・プードルさん
https://circus-ah.com/wp/archives/53

・大掃除で愛犬のアレルギーが改善する理由
https://magazine.vdt.co.jp/1174/

<画像元>

Unsplash

写真AC

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伊藤さん

伊藤さん

・倉敷芸術科学大学 生命動物科学科卒業
・(元)認定動物看護師
・一般社団法人日本小動物獣医師会 動物診療助手

やんちゃなミックス犬とおっとりトイプードルと暮らす。

大学在学中に「病気になる前の予防が一番大事」と気づき、
ペットフードやペットサプリメントの会社に就職。
「食」に関するさまざまな知識を身につける。

愛犬を亡くしたときに
「もっと色んな情報を知っておけば」と感じた後悔を
「他の飼い主さんにはさせたくない」との思いから、
ライター活動を開始。

「勉強になった・信頼・わかりやすい」を目標に情報を発信しています。