皆さんも人生で一度は経験したことがあるであろう【ものもらい】、厄介ですよね。
一度なると状況によっては痛みが伴うし、腫れが酷いと見た目からも痛々しさが人に伝わってしまうこともあります。
そんな【ものもらい】ですが、実は犬にも似たような症状があるのをご存知ですか?
今回は、犬にもできる人の【ものもらい】について、人⇔犬間での感染有無や種類や症状の違い、治療法や注意点などをご紹介します。
<目次>
そもそも【ものもらい】って?

一般的に私たち人の目にできる【ものもらい】とは、まぶたにあるマイボーム腺(脂腺や汗腺)に細菌が感染・炎症を起こしてしまうことで、腫れや痛みを伴う目の病気のことを指します。
主な原因には、黄色ブドウ球菌や表皮ブドウ球菌などの常在菌や疲れや睡眠不足、ストレスなどが挙げられ、人の場合では大人よりも、目を擦りやすかったり、外遊びで汚れやすかったり、免疫力が低下しやすかったりする子供の方が発症しやすいとされています。ただ、こうした【ものもらい】は冒頭でも述べましたが、人だけではなく犬でも起こることがあります。
犬の場合も人と同じように存在するマイボーム腺に、慢性的な炎症を起こしたり、細菌感染が生じてしまったりすると、人の【ものもらい】と似たような症状が起こります。
筆者の2代目愛犬シェルティ・そらも、12歳を過ぎた辺りからマイボーム腺にポツっとしたイボのようなものができた経験があります。ただし後述しますがこのようなイボは、状態によっては放置しておくと徐々に肥大していく場合もあるため、しっかりとした見極めが必要です。
【ものもらい】には“麦粒腫”と“霰粒腫”の2種類がある

人でも犬でもなる【ものもらい】は、大きく分けて“麦粒腫(ばくりゅうしゅ)”と“霰粒腫(さんりゅうしゅ)”という2種類の症状が存在します。
パッと見だとその見た目はほぼ同じなので混同されがちですが、主な原因や症状に関しては、以下のような違いが見られます。
麦粒腫
麦粒腫が愛犬やご自身に見られるような場合、その主な原因は細菌感染によるものがほとんどです。
よく見られる症状には、まぶたの赤みや腫れ、痛み、膿、目ヤニなどがあります。多くは痛みなどが現れるため、愛犬自身が目をしきりに気にしていたら、麦粒腫の可能性があるかもしれません。
比較的短期間で症状は改善しますが、愛犬の年齢や免疫状態によっては、長期の治療を要する場合もあります。
霰粒腫
一方霰粒腫は、何らかの原因によって起こったマイボーム腺の閉塞からくる油分などの詰まりが、炎症を起こしてしまうことによって発症します。
多くの場合、見た目はまぶたにしこりの様なイボ状のものを要し、赤みや痛みは少ない場合が多いです。ただし、その状態を放置していると、徐々に大きさを増したり、まぶたの内側に白い塊状のものが見えたりすることがあります。
また、早めに適切な処置がされない場合、そのしこりが持続的な角膜との接触によって、角膜炎や角膜潰瘍などの引き金になる可能性があるため、注意しましょう。
犬の【ものもらい】は移る?移らない?

【ものもらい】と聞くと、どうしても名前から連想されるのが感染の有無ではないでしょうか?
皆さんも一度くらいは、ご家族から「ものもらいは移るから使う物は分けてね」と言われた試しがあることでしょう。しかし、実は【ものもらい】は、慢性的な炎症や細菌による感染からくる病気であるため、基本的に犬⇔人に移ることはありません。
また、当然そうなると人⇔人でも、犬⇔犬でも移ることは、基本的にはないということが分かります。
しかし、移らないからといって安易に考えるのは危険です。
上記でも少し触れましたが、基本的に【ものもらい】とされる“麦粒腫”と“霰粒腫”の見た目の違いは、ぱっと見ほぼ見分けが付きません。特に多頭飼養で迎えていて、一方の愛犬に【ものもらい】のような症状が見られた時には、ちゃんとした診断を動物病院からされない限り、愛犬同士の安易な接触は避けた方が良いでしょう。
中でも麦粒腫の場合、元が細菌感染からくる目の病気のため、愛犬同士に仮に年齢差の幅があると、免疫力の違いから稀に感染してしまう可能性があります。
“麦粒腫”においても“霰粒腫”においても、一般的な感染性はない(移らない)とは言われていますが、あくまでもそれは直接的な感染がないだけであって、間接的な感染もないというわけではないため、もしもそのような時には、愛犬同士が使用するタオルなどの共有は避けるよう注意しましょう。
【ものもらい】の主な治療法とは?

それでは、愛犬にもしも【ものもらい】が出来てしまった場合、どのような治療法があるのでしょうか?
“麦粒腫”と“霰粒腫”によって治療方法が異なるため、以下で詳しい治療法を一つずつ確認してみましょう。
麦粒腫の主な治療法
麦粒腫などの細菌感染による発症が愛犬に疑われる場合、その主な治療法には、抗菌作用のある点眼薬または塗り薬、抗生剤などの内服薬が挙げられます。
主に細菌の増殖の抑制や炎症の軽減、二次感染の防止などに効果を発揮し、特別な事情や特段の問題がなければ、比較的早い改善が見込めます。ただし、あまりにも腫れが酷かったり、急激な悪化が見られるような場合には、排膿処置が施される場合もあります。
霰粒腫の主な治療法
慢性的な炎症や油分の詰まりによって、霰粒腫などの症状が愛犬に疑われる場合、その主な治療法は、まぶたの一部切開、塗り薬、ホットアイマスクでの対症療法などが挙げられます。
霰粒腫のしこりが大きい場合や長期間治らない場合などは、内容物の排出が最も効果的な方法のため、外科的処置が取られます。ただし、症状がごく初期であったり、軽症であったりした場合には、内科的治療と並行して、ホットアイマスクなどの対症療法によって、改善することもあります。

ホットアイマスクによる対症療法は、人肌程度に温めたタオルを愛犬のまぶたの上に3~5分充てて、その方法を2~3回程度繰り返すことでも、内容物の油分の改善や詰まりの改善の効果が期待できます。
筆者の2代目そらは、そら用にと用意したアイマスクでしこりの出来やすいまぶたを定期的に温めていました。
【ものもらい】とは実は違う腫瘍の注意点

犬のまぶたのしこりにおいて、ぱっと見【ものもらい】のように見えるしこりが、実は腫瘍だったというのは、珍しくありません。
特に徐々に大きくなってきたり、表面がイボ状にいびつな形をしていたり、触ると出血したり、何度も再発するような場合には、このタイプのしこりの初期は、“麦粒腫”や“霰粒腫”と見分けを付けるのは、大変難しいです。
実は筆者の愛犬そらも、最初こそ霰粒腫の類かと思って、ホットアイマスクの対症療法を定期的に行っていましたが、結果はマイボーム腺腫でした。
犬のマイボーム腺腫やマイボーム腺上皮腫といった腫瘍性病変は、どちらも良性腫瘍のため、放っておいても命に関わるようなことは基本的にはありません。ただ、そのまま放置しておいた場合には、そのしこりは徐々に大きくなり、最終的に角膜の損傷や涙や目ヤニの量の増加原因に繋がります。
マイボーム腺の炎症や腫瘍の出来やすさは、シニア犬に特に出来やすい傾向にあります。とはいえ、犬種や体質によって変わるため、一概には言えないものでもあります。
筆者の愛犬そらは、12歳に初めて発症してから合計二度外科手術によって腫瘍を取り除き、その後は再発しないようにと、引き続きホットアイマスクでの対症療法をしつつ、逐一様子を窺がいながらケアを行っていました。
マイボーム腺腫に関する記事については、以下で詳しい症状や対処法をご紹介しています。気になる方はぜひ下記の記事も、ご覧になってみてくださいね。
▼【合わせて読みたい!こちらの記事もオススメです】
犬のマイボーム腺腫ってどんな病気?病気による目への影響と対処療法について
>https://www.inutome.jp/c/column_7-93-37386.html
まとめ

いかがでしたか?
犬のマイボーム腺に出来る【ものもらい】は、人と似たようなものであっても犬の口が聞けない以上、市販薬での対処には限界があります。
筆者が愛犬そらに行ったホットアイマスクによる対症療法も、かかりつけの動物病院の獣医さんから指導や助言を受けつつ万全を期した状態で、自宅で応用した方法です。
そのため、種類や症状、状況に応じて行う必要のある対応は、やはり動物病院を受診して、適切な処方及び適切な処置をしてもらった上で、行なうよう心掛けてください。
<参考書籍>
犬の医学|田中 茂夫(総監修)|津曲 茂久/鎌田 博/亘 俊広/上地 正実(監修)
<参考サイト>
犬のまぶたの腫れ?ものもらい(霰粒腫と麦粒腫)の違いと治療法|湘南Ruana動物病院
>https://ruana-ah.com/blog/1871/
<画像元>
photoAC
Canva
また、生前疾患の多かったシェットランド・シープドッグをキッカケに取得した愛玩動物飼養管理士などの様々な資格の知識を生かし、皆様に役立つような記事を提供、執筆出来ればと思っております。
何卒、よろしくお願い致します。
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