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お伊勢参りを果たす「おかげ犬」って?歴史や代参犬シロの実話をご紹介!

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三重県伊勢市にお社を構える伊勢神宮。

多くの人が生涯に一度は訪れたいと願う「お伊勢さん」に、実はその昔、犬が単独で参拝したという伝承があるのをご存知ですか?

今回は、そんな「おかげ犬」と言われる犬がなぜ生まれたのか、歴史や代参犬で有名になった犬の実話をご紹介します。

「おかげ参り」と「おかげ犬」が始まった由来

そもそも、最初に飼い主の代わりに犬のお伊勢参りが確認されたのは、明和八年(1771年)の4月頃だと言われています。

現代の人にとってもお伊勢さんと聞くと、『全ての神社の一番上に存在している神社』として名高いイメージがありますが、江戸時代の人たちにとってしてみてもそれは変わらず、多くの人が『一生に一度は必ず訪れてみたい神社』と考える程有名な神社でした。

中でも江戸時代におよそ60年周期に一度訪れたとされる【お陰年】には、伊勢神宮へ集団で参拝するのが流行となり、参拝者の数は300万~500万人以上になった年もあるという程。

その時代の参拝者の多くは男性がほとんどだったようですが、伊勢神宮への参拝意欲の強さは、当時家を守るのが役割とされていた女性や体力のない子供のみならず、奉公人など仕事に就いている人たちでさえも、無断欠勤をしてまで参拝に訪れる人が居たといいます。

ただ、【お陰年】に行われる参拝は、そういった人に対しても他の人々は食べ物や宿を与え、その行為がまるで神様のおかげだとしたことから「おかげ参り」と言われるようになりました。

しかし、当時江戸には車はおろか、電車もバスもない時代です。江戸から出発したとしたら、その距離は片道だけでも400kmはゆうに超え、往復ともなれば、お伊勢参りには1カ月以上の大掛かりな参拝となります。なので、お金もかかれば時間も体力も必要になり、病弱な人はもちろんの事、時間やお金に余裕のない人にとっても、伊勢神宮の参拝は行きたくてもいけない状態でした。

そんな時、突如として飼い主さんから伊勢参りを任され、単独で伊勢神宮に現れた犬の存在が、丁度犬のお伊勢参りが知られるようになった明和八年(1771年)のことだったのです。

最初に伊勢参りをする「おかげ犬」が見せた参拝方法

最初こそお伊勢参りをしたくても出来ない飼い主さんは、「知り合いに自分の愛犬を託し、自分の代わりにお参りをしてもらう」というようなスタイルを取っていたようでした。

しかし明和八年(1771年)に起こった大規模なおかげ参りが始まって間もない頃、伊勢神宮の上方から、犬が単独で参宮したという話が舞い込んできたのです。

周りは当然驚きますよね。

けれど、その犬は「おかげ参り」をしていた参拝人からおにぎりなどを貰って、その足で伊勢神宮の外宮へ赴き手洗場で水を飲み、本宮前の広場で伏せをし、本当に拝礼するかのような格好をしたと言われています。

当時、犬は四つ足の獣とされ、穢れた存在とも言われていたため、当然宮司さんたちも宮中に犬が立ち入ることを固く禁じていたようですが、その犬に限っては信じられない程の立ち居振る舞いだったので、犬を労り抱えて、お祓いした後お札を付けて放してあげたとされています。

いささか信じられないような話ですが、その後語り継がれる「おかげ犬」が道中掛かる金銭や伊勢参りをする旨を書いたしめ縄を着け、伊勢神宮へと向かうきっかけになったのは、ここから来ているのかもしれません。

「おかげ犬」を助けると徳を積める?

「おかげ犬」の存在が広まるようになってから、犬のお伊勢参りには必ず誰が見ても分かるように、一筆書いた旨と道中必要になるお金を入れた袋をしめ縄に括り、犬の首に着けて送り出すのが習わしとなりました。

これだけ見ると、「卑しい考えを持った人が犬の持つお金を奪ってしまうのでは?」と心配になってしまいますが、当時の江戸時代の人たちは信仰心が厚く、伊勢神宮までの長い道のりを懸命に歩く犬をサポートし、寝床やご飯を与えることは徳を積めると考えていたのでしょう。

そうして色々な人に助けてもらいながら伊勢神宮へとたどり着いた「おかげ犬」は、伊勢神宮の宮司さんから竹筒に入ったお札を貰い、再び色々な人から助けてもらいながら、ご主人の元まで無事に帰ったと言われています。

江戸時代にどれだけの「おかげ犬」が誕生したかは分かりませんが、上記の画像でも分かるように、江戸時代の浮世絵師である歌川広重の【伊勢参宮宮川渡しの図】【東海道五十三次 四日市】には、ご主人のためにお伊勢参りをしようとする犬が描かれているので、数々の犬が「おかげ犬」になっていることが窺えるのではないでしょうか?

「おかげ犬」で有名な秋田犬シロの実話

福島県須賀川市十念寺には、お伊勢参りを無事に果たした代参犬、「シロ」という犬にまつわる犬塚が存在します。

「シロ」の犬種は秋田犬で、福島県で代々床屋を営んでいた市原家は、それはそれは大事に飼っていた犬でした。

市原家では毎年当主の綱稠(つなしげ)氏が、皇大神宮(内宮)神楽祭りに参拝するのが通例だったそうなのですが、ある年の事、当主が病気を患ってしまい、お伊勢参りに行けなくなってしまったとか。

そこでどうしたものかとみんなで相談をしたところ、普段から人の言葉を理解でき、買い物や用事をこなしてきた「シロ」に代参をさせようということが決まりました。

「シロ」の首には、事前に道順とお金、『人の言葉を理解するので道順を教えてあげてください、「シロ」を助けてあげてください。』と書いた紙を袋に入れて持たせ、伊勢神宮へと向かわせました。

市原家の人々は須賀川宿の外れまで「シロ」を見送り、その後は朝晩神棚に行灯を挙げ無事を祈ったと言います。

そして「シロ」は、市原家の期待に応えるように、奥州街道を下って江戸に入り、東海道~四日市市経由で伊勢神宮へ赴き、2カ月という長い月日を経て、無事に市原家まで帰ってきたのでした。

行きで持たせた袋の中には、しっかりと内宮で頂いたお札と、奉納金の受領、食べ物の代金を記した帳面とお金の残りがあったと伝えられています。

まとめ

犬は元々帰巣本能があると言われますが、まさか福島県から三重県までの道のりを主人に変わり、お伊勢参りのために一生懸命果たせる犬が居るのは驚きです。

けれど、そういった伝承が現在も変わらず受け継がれているからこそ、今でも伊勢神宮内宮前に位置するおかげ横丁では、「おかげ犬」にまつわるお守りやおみくじ、体験などが出来るのだと思います。

<参考書籍>

犬の伊勢参り

気持ちを知ればもっと好きになる! 犬の教科書

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yukako

yukako

幼少期の頃より柴犬やシェットランド・シープドッグと生活を共にし、現在は3代目となる柴犬と暮らしております。
また、生前疾患の多かったシェットランド・シープドッグをキッカケに取得した愛玩動物飼養管理士などの様々な資格の知識を生かし、皆様に役立つような記事を提供、執筆出来ればと思っております。
何卒、よろしくお願い致します。
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