「愛犬に遊び相手を増やしたい」「1頭だけだと寂しいかも…」と犬と暮らしていると、そんな気持ちから多頭飼いを検討する方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、多頭飼いは「犬が2匹になれば幸せも2倍」と単純なものではありません。
愛犬に仲間ができたり、家が賑やかになるというメリットがある一方で、お世話の時間が増えたり、相性への配慮も必要になります。
今回は「多頭飼いを始める前に知っておきたい現実」や「迎える前に準備しておきたいこと」について解説しますので、多頭飼いを検討している人は参考にしてみてくださいね。
<目次>
「多頭飼いの現実」多頭飼いでペットを手放した人は10人に1人

多頭飼いというと「愛犬に仲間が増える」「一緒に遊べて楽しいはず」と良いイメージがありますね。
しかし、多頭飼いを検討している人に覚えておいてほしい現実的な数字があります。
ペット保険相談サービスを運営する株式会社Wizleapが多頭飼いしている飼い主さんを対象に行った「ペットの多頭飼いの後悔」のアンケートによると、ペットを手放した経験のある飼い主さんの割合は下記のようになりました。
▼ペットを手放した経験はありますか?(対象者:247人)
「犬・猫を多頭飼いしていて後悔した経験がある」と回答した飼い主さん247人のうち、実際にペットを手放した経験のある人は11.3%で、約10人に1人の割合でいる事がわかりました。
また、実際にペットを手放す選択を取った飼い主さんに「手放した理由」をたずねたところ、結果は下記のようになりました。
▼「ペットを手放した理由を教えてください」(対象者:28人)
ペットを手放した理由で一番多かった回答が「お世話が大変だった」で次に「先住ペットと喧嘩する」という結果になりました。
ペットを手放した経験が約10人に1人という数字は決して低くありません。
犬種の組み合わせや性格の相性によっては、常に緊張状態やケンカが絶ないため、一緒の空間で暮らすことが難しい場合もあります。
多頭飼いを「楽しそう」「なんとなく上手くいきそう」というイメージで安易に決めるのではなく「迎えた後の生活」や「相性が悪い場合どうするか」まで具体的に決めることが大切です。
多頭飼いをする前に考えておきたい4つのこと

では、多頭飼いをするうえで事前に考えておかなければならないことはなんでしょうか。
ポイントを4つにまとめました。
▼多頭飼いをする前に考えておきたい4つのこと
①「2匹分のお世話をする時間があるか」
②「飼育費用が増えても無理なく払えるか」
③「それぞれ落ち着いて過ごせるスペースがあるか」
④「先住犬が新しい犬を受け入れられそうか」
①「2匹分のお世話をする時間があるか」
多頭飼いでは、散歩やブラッシングなどの基本的なお世話に加えて、それぞれの犬と向き合う時間も必要です。
2匹一緒に遊ぶ時間だけではなく、それぞれと遊んだり、トレーニングしたりする時間も作りましょう。
犬の数が増えれば増えるほど、各犬をコントロールするのは難しくなります。
きちんと一頭一頭とコミュニケーションを取り、信頼関係や自制心を保っておかないと、飼い主さんの指示が届きにくくなります。
犬同士の関係ばかりに目が向きがちですが、多頭飼いは飼い主さんと愛犬という関係を維持することも大切です。
②「飼育費用が増えても無理なく払えるか」
フードやトリミングなど、犬を増やせば日常的な支出も増えます。
さらに考えておきたいのが、病気やケガなどの予定外の出費です。
2匹とも同じタイミングで体調を崩す可能性もゼロではありませんし、体重によって薬代や予防薬の値段は変わってきます。
また、年齢が近い犬を迎える場合は、将来的にシニア期や介護が重なる可能性もあります。
今飼えるかだけではなく、将来的な介護や通院なども含めて、無理のない家計かどうかも含めて考えておきましょう。
③「それぞれ落ち着いて過ごせるスペースがあるか」
多頭飼いでは、犬同士がいつでも一緒にいられる環境を作ればよいわけではなく、1匹で過ごす時間も必要です。
クレートやベッドなど、犬が休める場所をそれぞれ用意しましょう。
また、先住犬が使っていたお気に入りの場所やおもちゃを、新しく迎えた犬に奪われないようにすることも大切です。
特に子犬とシニア犬の組み合わせでは注意が必要で、遊びたい子犬が何度もシニア犬にちょっかいを出すと、シニア犬が十分に休めなくなることがあります。
サークルやゲートなどを使い、「一緒に過ごす時間」と「離れて休む時間」を作れる環境を整えておきましょう。
④「先住犬が新しい犬を受け入れられそうか」
多頭飼いで大切にしたいのが、先住犬の気持ちです。
先住犬が他の犬を苦手としていたり、1匹で過ごすことを好んだりする場合、新しい犬がストレスになる可能性があります。
また、先住犬が吠えやすい、他の犬に攻撃的になるなどの問題を抱えている場合、まず先住犬を安定させることを優先しましょう。
先住犬の問題行動が解決していない状態で新しい犬を迎えると、その行動を後住犬がまねしたり、問題がより悪化する可能性もあります。
「多頭飼いに向かない先住犬とは?」迎える前に確認したい特徴

飼い主さんがもう1匹迎えたいと思っていても、先住犬の性格や気質によっては難しい場合があります。
多頭飼いに向かない先住犬の特徴をまとめました。
▼多頭飼いに向かない先住犬の特徴
・他の犬が苦手、怖がる
・飼い主さんへの依存が強い
・食べ物やおもちゃを守る傾向がある
・シニア犬
・他の犬が苦手、怖がる
「散歩中に他の犬を見ると激しく吠える」「威嚇する」など、他の犬との接触が大きなストレスになっている場合は多頭飼いは避けたほうが良いでしょう。
「家で一緒に暮らせば慣れるだろう」「時間が経てば大丈夫」と無理に同居させると、より状態が悪化する可能性があります。
・飼い主さんへの依存が強い
飼い主さんとの距離が近く、他の犬が近づくと割り込んだり、飼い主さんを独占しようとしたりする犬もいます。
こういった傾向がある犬は、新しい犬を迎えたことで飼い主さんとの時間が減ると、不安やストレスが強くなることがあります。
・食べ物やおもちゃを守る傾向がある
食事やおやつ、おもちゃなどを取られそうになると唸る、噛もうとするなどの行動がある場合は、注意が必要です。
食べ物やおもちゃに執着が強い場合、取られないように攻撃行動を取る可能性があります。
多頭飼いでは食事やおもちゃをめぐるトラブルが起こりやすくなるため、事前に原因を探り、必要に応じて専門家へ相談することが大切です。
・シニア犬
シニア犬の場合、新しい犬を迎えることで良い刺激になるケースもありますが、若い犬の活発な動きや頻繁な遊びの誘いが、シニア犬にとって負担になることもあります。
「若い犬が来れば元気になるはず」と思い込まず、シニア犬が十分に休める時間と場所を確保してあげましょう。
多頭飼いを始める前に!準備しておきたいもの・環境

では、多頭飼いを始める前に準備しておいた方がいい物や環境はなんでしょうか。
ポイントを一覧にまとめました。
▼多頭飼いを始める前の準備・環境
・顔合わせをする
・トライアル期間を設ける
・食事場所を分ける
・トイレを複数用意する
・顔合わせをする
正式に迎える前に先住犬と新しく迎える犬を会わせてみましょう。
家の中でフリーにさせるのではなく、最初は空間を区切ったり、リードを付けたりして距離を保ちながら様子を見ます。
「犬同士が近寄らない=相性が悪い」と判断する必要はありませんが、激しく追いかける、逃げ続ける、体を硬くするなど、強い緊張や恐怖が見られる場合は慎重に判断しましょう。
・トライアル期間を設ける
新しく犬を迎える場合は、可能であればトライアル期間を設けると安心です。
短時間の顔合わせだけでは分からない犬同士の相性や問題も、実際に一緒に暮らすことで見えてくるようになります。
トライアル中は、仲良く遊べるかだけでなく、先住犬が食事や睡眠を普段通りとれているか、ストレスを感じていないかなども確認しましょう。
・食事場所を分ける
犬同士の相性が悪くない場合も、食事は別々の場所で与えることをおすすめします。
食べるスピードや食欲は犬によって違います。
お互いの食事を横取りできる環境では、食べ物をめぐるトラブルにつながる可能性があります。
別室やサークルなどを利用して、安心して食事に集中できる環境を作りましょう。
・トイレを複数用意する
新しく迎えた犬がトイレを覚えている途中の場合、先住犬のトイレを使いたがらないこともあります。
そのため、トイレも1カ所だけにせず、複数設置できると安心です。
頭数や住環境に合わせて複数のトイレを用意し、排泄しやすい環境を作りましょう

飼い主さんが「もう1匹いたら楽しそう」と思っていても、愛犬がそれを望んでいるとは限りません。
迎えて後悔しないために、気持ちだけで決めるのではなく、先住犬の性格、経済的な余裕、将来的な介護まで含めて考えることが大切ですね。
<参考URL>
【犬と猫の多頭飼育に関する調査】ペットを手放した経験のある人の10%がペットを「道端などに放棄」をしている事が判明。
>https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000131.000052686.html
<画像元>
canva
・(元)認定動物看護師
・一般社団法人日本小動物獣医師会 動物診療助手
やんちゃなミックス犬とおっとりトイプードルと暮らす。
大学在学中に「病気になる前の予防が一番大事」と気づき、
ペットフードやペットサプリメントの会社に就職。
「食」に関するさまざまな知識を身につける。
愛犬を亡くしたときに
「もっと色んな情報を知っておけば」と感じた後悔を
「他の飼い主さんにはさせたくない」との思いから、
ライター活動を開始。
「勉強になった・信頼・わかりやすい」を目標に情報を発信しています。
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