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犬のアトピー性皮膚炎と皮膚pHの重要性とは?知っておきたい薬だけに頼らない方法や注意点

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飼い主さんにとって犬のアトピー性皮膚炎は、愛犬が一度発症してしまうとなかなか頭を悩ませてしまう厄介な病気ですよね。

どうにかして治してあげたいけれど、薬だけに頼り続けるのは気が引けるし、かといって、薬を止める引き際なんて、愛犬の皮膚状態次第だからそう簡単なものでもない…。

今回は、そんなアトピー性皮膚炎に悩まれている飼い主さんへ。

犬のアトピー性皮膚炎に深い関係を持つ皮膚pHと薬だけに頼らない方法、注意点などをご紹介します。

犬のアトピー性皮膚炎とは?

犬のアトピー性皮膚炎と皮膚pHの関係性を知る前に、まずは基本的なアトピー性皮膚炎についておさらいしておきましょう。

犬のアトピー性皮膚炎とは、遺伝的な体質(アトピー体質)が関連していたり、免疫異常が関連していたり、はたまた、皮膚のバリア異常が関連していたりすることで起こる皮膚疾患のことを指します。

一般的にこうした原因で起こるアトピー性皮膚炎は、通常問題のない皮膚であれば平気な環境中の物質を異物と判断し、一度体内で作り上げた抗体でその物質を攻撃、アレルギー症状を起こしてしまいます。

そして、基本的に一度アトピー性皮膚炎を発症してしまったワンコの場合、こまめな環境の清掃、愛犬自身の洗浄などが必要となってきてしまいます。

また、アトピー性皮膚炎は人の場合でもそうですが、犬の場合であってもしばしば慢性化し、一度病状が治まっても多くの場合は再発してしまうため、長期に及ぶ薬の服用も欠かせない場合が多いです。

アトピーは、その75%が生後6か月から3歳頃までに初めて発症することが多いと言われていますが、場合によっては3歳までは外耳炎だけだったのが、5歳を過ぎたら皮膚炎を新たに発症して、それがアトピー性皮膚炎だったというようなケースもあるため、幼若の頃から外耳炎を繰り返す犬の場合は、アトピー体質の可能性も考慮しておくことが大切です。

皮膚のpHがアルカリ性だと乾燥肌を招く?

皆さんは愛犬と生活を共にする上で、pHという言葉を耳にすることがあると思います。

このpHとは水素イオン濃度の略称であり、簡単に言ってしまえば『水の性質を示す単位』の一つです。

pHは一般的に0~14の数値で表され、pH7を中性として、7より小さい値であれば酸性、7より大きい値であればアルカリ性となります。(下記図表参照)

▽『pH値一覧表』

そしてこのpHの値は、私たち人の皮膚の皮脂膜や犬の皮膚の皮脂膜にも関連しています。

ただ、この皮脂膜に関するpHについては、人、犬共にアルカリ性にpHが傾くと、乾燥肌・敏感肌傾向になりやすいと言われているのです。

基本的に犬の皮膚というのは、人の弱酸性(pH4.5~5.5)の肌より弱アルカリ性(pH7.4~7.8)にあると言われています。

にもかかわらず、その弱アルカリ性にある犬の皮膚が、さらにアルカリ性に傾いてしまう状態というのは、本来正常に働くはずの常在菌のバランスが崩れてしまって、乾燥肌を招く原因となっていることを表しています。

アトピー性皮膚炎と皮膚pHの重要性って何?

そこで、今回の本題である犬のアトピー性皮膚炎と皮膚pHが関係してくることになります。

冒頭でアトピー性皮膚炎とは、遺伝、免疫異常、皮膚のバリア異常が関連することで発症してしまう疾患だとお伝えしましたが、このうち少なくとも皮膚のバリア異常に関しては皮膚pHがアルカリ性に傾くと、アトピー性皮膚炎の発症、または悪化に繋がってしまう原因と考えられています。

▽『アトピー性皮膚炎と皮膚pHの関係性』

上記の図表は2016(平成28)年に、アトピー性皮膚炎に関する事を研究する上で、東京農工大学が発表した研究報告の図表です。

これは、通常のマウスとアトピー体質を持つマウスの皮膚のpH(縦軸)の違いと、発症してしまった時期(横軸)を表しています。

マウスの皮膚のpH値は基本的に6前後で、どちらも5週目までは皮膚のpHの値はほぼ変わらない状態で推移します。

しかし7週目からを比べて見ると、通常マウスは週齢が進むにつれてpH値が酸性寄りを示す一方で、アトピーマウスでは週齢が進むとアルカリ寄りにpHが傾いていっています。

この傾向は、アトピーの発症と皮膚の保湿能力低下が始まる時期とも関連していることが判明し、通常マウスとアトピーマウスでは以下のような違いが見受けられました。

▽『アトピーと皮膚保湿の関係性(マウス)』

アトピーマウスは週齢が進めば進むだけ、皮膚の水分蒸発量が多くなるのに対し、通常マウスはあまり変わっていません。

この研究で実験を受けたのはあくまでもマウスですが、元々皮膚pHが酸性傾向にあるマウスであっても、アトピー体質の皮膚pHの場合だと、アルカリ性を示す傾向が強くなります。

そのため、元から弱アルカリ性に皮膚pHが強い犬の場合には、このような関係性にも着目することが大切です。

薬だけに頼らない犬のアトピー改善方法

一般的に、犬のアトピー性皮膚炎を改善するための最良な方法として挙げられるのは、冒頭でもお伝えした通り、日々の環境中の清掃及び愛犬自身の洗浄、そして、薬の服用です。

しかし、この中でも薬の服用は特に長期に及べば及ぶほど、薬の利きが悪くなったり、または副作用の影響で免疫、体調に異変を来したりということが起こり得ます。

では、そんな状態を長く続けさせないためにはどうすれば良いのでしょうか?

そこで、薬に頼りきりにならないための犬のアトピー改善方法が重要となってくるのです。

以下でいくつか確認していきましょう。

薬に頼らないアトピー改善方法①:pH値が酸性の温泉成分でケアをする

薬に頼らずアトピーを改善する方法の一つ目は、pH値が酸性傾向の温泉成分が配合されたもので皮膚のケア、もしくは温浴させてあげる方法です。

今や愛犬と一緒に訪れることが出来る温泉施設は、数多く展開されるようになりました。それに伴った形で、今では愛犬専用に作られた入浴剤や源泉水などが販売されています。

▲天然硫黄泉|那須温泉いぬのゆ|通販価格:1,100円+送料

我が家も季節によって皮膚状態が不安定になる愛犬のために、那須の天然硫黄温泉をふんだんに使った入浴剤を購入して、様子を見る目的も兼ね現在少量ずつお湯と希釈しながら使用しています。

その甲斐あってか9月末頃の愛犬の被毛はところどころ脱毛が目立っていたものの、11月に撮った写真ではここまで改善しました。

▲9月30日

image2

▲11月12日

基本的にpH値が5前後の硫黄は、弱酸性でありつつ殺菌効果も期待できることから、アトピー性皮膚炎の改善に効果的だと言われています。

愛犬の皮膚状態、また、どれだけデリケートかといった違いで状況判断は必要となりますが、お風呂が嫌いでないワンコなら、検討してみても良いでしょう。

薬に頼らないアトピー改善方法②:犬用漢方薬

薬に頼らずアトピー改善を目指す二つ目の方法は、犬用の漢方薬を使う方法です。

漢方薬は基本的に即効性があるものではないため、すぐに効果を実感したい場合には不向きですが、そうではない場合には、薬よりも副作用の危険性が低いと言われる漢方は効果的です。

中でも犬専用に作られた漢方薬なら、症状に合わせた漢方薬を簡単に調べられますし、自ら飲み合わせを気にしたりする必要性もないため、手軽に与えられます。

▲UCHINOKO|血の巡り30g|通販価格:3,960円(送料無料)

ただし漢方薬を与える場合、既に服用している薬などがあった時には効果を阻害しないかどうかを確かめておく必要があります。

そのような場合には、事前に獣医さんと相談の元、与えてあげるかどうか判断をするよう心掛けましょう。

薬だけに頼らない犬のアトピー改善方法の注意点

犬のアトピー性皮膚炎は、程度によっては薬に頼りすぎることなくある程度改善させることが可能です。

現に筆者の3代目は、現在程度がそれほど酷くないために、1か月弱であれほどの皮膚・被毛の改善を見込むことが出来ました。

しかし、これが例えばもう既に酷い状態、またはあまりにも痒みが激しいという場合には、温泉水や漢方だけのケアでは間に合わないため、薬の力を借りて、その上で併用することが大切です。

また、仮にそうではないにしても、酸性傾向の強い温泉水はそれだけで殺菌効果が強いと言われるため、愛犬の肌に合わなかった場合にはすぐに使用を中止するよう気を付けなければなりません。

さらに漢方も、副作用の強さが処方薬より弱いと言っても全くない訳ではないため、長期服用をする際は、事前に獣医さんと相談することが大切です。

いずれにせよ、薬だけに頼らないで犬のアトピー改善を試みる場合には、時間も労力も、また、お金も掛かることは必至です。

大切な愛犬だからこそ、出来る限り薬に頼らない方法でアトピーを改善させてあげたいのが飼い主さんの思いかもしれませんが、どうしても酷い時には無理せず動物病院で薬を処方してもらいましょう。

まとめ

いかがでしたか?

犬の皮膚疾患は、アトピー性皮膚炎のみならず、食物アレルギーや膿皮症や外耳炎、マラセチア皮膚炎等、様々な皮膚疾患が存在します。

しかし少なくともアトピー性皮膚炎と皮膚のpHとの関係性をコントロールすることで、もしかしたら改善が見込めるかもしれないことは覚えておいてください。

意識的にした飼い主さんのその頑張りは、愛犬の皮膚・被毛の健康にきっと効果を発揮してくれるはずです。

<参考書籍>

獣医版 フローチャート ペット漢方薬

最新版 愛犬の病気百科 気になる初期症状から最新医療までがわかる

もっともくわしい イヌの病気百科

<参考サイト>

帝塚山ハウンドカム|【獣医師が解説】ペットの病気編: テーマ「皮膚のpHとバリア機能」
>https://www.houndcom.com/blog/archives/4543#pH-3

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yukako

yukako

幼少期の頃より柴犬やシェットランド・シープドッグと生活を共にし、現在は3代目となる柴犬と暮らしております。
また、生前疾患の多かったシェットランド・シープドッグをキッカケに取得した愛玩動物飼養管理士などの様々な資格の知識を生かし、皆様に役立つような記事を提供、執筆出来ればと思っております。
何卒、よろしくお願い致します。
犬のアトピー性皮膚炎と皮膚pHの重要性とは?知っておきたい薬だけに頼らない方法や注意点
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